拝啓:庄司夕起選手
初めてお手紙します。
恐らく、最初で最後のお手紙になると思います。
セリンジャー元監督時代から、あなたのブロックのセンスには密かに注目していました。レシーブ面でも、他チームのミドルブロッカー陣のそれとは比べものにならないような安定感が、試合前のパス練習から1ファンにも伺えました。斎藤真由美選手が引退して、誰かに惹かれるわけでもなく、それでもセリンジャーバレーを見たくてパイオニアの試合を見続けているうちに、気づけば私は、あなたのファンになっていました。吉田敏明前監督の下なら、あなたの持っている素質を開花させられるはず、そう確信して迎えた2006/07シーズン・・・助っ人外国人選手の怪我で巡ってきた数少ないチャンスをものにし、全日本にも見事初選出。失礼ながら巷では、誰もあなたが全日本のスタメンに名を連ねるなどと予想していた人はいなかったでしょうが、私はそれを確信していました。あなたが全日本のスタメン・ミドルブロッカーとして君臨しない限り、日本の女子バレーに未来はないと感じ、その通りにブログでも書いていました。そして、本当にあなたはそれを達成した・・・でも、それは考えてみれば、すごいことでも何でもなく、あなたが持つ才能が、そのまま発揮された結果だったと思います。
そして迎えた2007/08シーズン、私だけでなく多くのパイオニアファンは、あなたこそが次期キャプテンを担うべき選手だと感じていたはずです。なぜなら、それがあなたにとって、最も欠けている資質であり、かつもう一段高い次元に達するために絶対に欠かせないものだと、みんなが信じていたからです。そう、あなたに足らないものは「スター性」や「カリスマ性」・・・こういったものは、ごく一部の人間は生まれつき持ち合わせているものでしょうけど、大抵の人間はプレー経験を積んでいく中で徐々に培われていくものでしょう。あなたの偉大なる先輩である、吉原知子さんがそうでした(日立入団当初は地味な選手でした)。その意味では、通常のチームに比べて「スター性」「カリスマ性」を生まれつき持ち合わせている選手が多いチームにあって、その中であなたがキャプテンを務めることこそが、「スター性」「カリスマ性」を手に入れられるチャンスだと、みんなが直感的に感じていたのでしょう。
結果的にそのチャンスは、私たちが感じたタイミングから1年遅れてやってきました。しかもその2008/09シーズンほど、パイオニアファンにとって辛いシーズンはありませんでした。ましてや、初めてキャプテンを務めることになったあなたには、この上ない辛い試練となったことでしょう。私もブログで相当に厳しいことも書きました。でもそれは、時間がかかったとしても必ずや乗り越えてもらえる試練だと思ったからこそ、敢えて書いたことです。
ところが、あなたはその試練を自ら放棄する選択を、結果的にしました・・・。事の真相は1ファンに過ぎない私にはわかりません。勿論あなたにも言い分があるでしょう。ファンのバッシングも容易に想像は出来たはずですから、それを覚悟の上で選択されたことでしょう。何せ、キャプテンを務めるレギュラー選手が、たった1年でチームを離れるなどという事態は、女子バレー界では異例のことでしょうから。それ相当のチーム内の事情があったことは容易に想像できます。
ですが、あなたの決断は、ただ単に「パイオニアのキャプテンを放棄した」という、1つのチーム内の問題だけでは済まないのです。チームの内部事情は知りませんから、どういう経緯であなたがキャプテンに任命されたかはわかりませんが、少なくとも多くのパイオニアファンは、上述の通り、ただ単にパイオニアという1チームを牽引して欲しいという意味だけでなく、日本を代表するプレーヤーになってもらいたという願いを込めて、あなたにパイオニアのキャプテンを任せた気持ちになっていたのです。ですから、あなたがそれを自ら放棄したということは、「庄司夕起」という、全日本を背負って立つミドルブロッカーになり得る資質を持つはずの1選手が、その才能を存分に開花させるチャンスを自ら放棄した、という風に感じ取ったのです。
北京オリンピック最終メンバーからの落選という屈辱を経て、あなたにもう一度全日本の舞台というチャンスが巡ってきたのは当然のことでしょう。ブロックシステムの改革を公言する真鍋監督の下では、再びあなたがレギュラーの座を掴むのは目に見えていました。さらに一段高い次元へ到達するための舞台は準備されました。私たちが期待したとおりに、ロンドンに向けて日本を引っ張るミドルブロッカーとして成長していってもらえるかどうか? その兆しが伺えるかどうかを確認しに、大阪へ毎晩通いました。
あなたの持ち味は、数字に表れにくいプレーです。素人目には大変わかりにくいことでしょう。ですから、テレビ局はじめとする一般のマスコミや、一般のファンの間であなたが評価されていなくても、それは気にする必要はありません。戦術をきちんと見ることが出来るコアなファンは、これまでもきちんと正当にあなたを評価してきました。勿論、昔からあなたをずっと見続けている私をはじめとする多くのパイオニアファンも。ですが、残念ながら今回あなたが下した決断の結果、今後はあなたを評価するファンの目は、間違いなく厳しくなっていくでしょう。実際、私もこれからは「ユウヲタとして」あなたのプレーを見たりブログで評価することは、恐らくはなくなると思います。どこのブログよりも先駆けて『庄司夕起(ユウ)』というカテゴリを立ち上げてサポートしてきたつもりですが、このカテゴリに新たなエントリーを設けることは、少なくとも当分はないでしょう。ですが、あなたのことは1バレーファンとして、変わらずずっと見続けます。これまでよりも、より冷静に、より厳しい目で、見続けていきます。
本来ならあなたの持ち味を発揮するには、パイオニアでそうであるように裏センターに配されるのがベストなのでしょうが、今年の全日本ではどうやら表センターで固定されているようですね。勿論、好意的な見方をすれば、低身長のセッターと隣り合うポジションでブロック面での期待をされているとか、前衛アタッカーの枚数が少ないローテーションで、あなたが堅実に速攻の囮に入ることで時間差攻撃の決定率を高めることを期待されているとか、そういう見方も出来るでしょうが、ずっとあなたのプレーを見続けてきた1ファンから言わせていただくと、今の全日本で最もブレイク率が高く見込まれる栗原選手のサーブの場面で、あなたが前衛にいると、せっかく相手のレセプションを乱してダイレクトボールが返ってきても、それを相手コートにブロックなりダイレクトスパイクなりで決めきれずに、結果的に相手にチャンスボールをみすみす与えてしまう、、、そういうあなたの姿が脳裏に浮かんでしまうのです。そう、あなたの「スター性」「カリスマ性」のなさが最もプレーに表れるのが、こういった「ネット際での弱さ」です。今回のワールドグランプリ・大阪ラウンドでも、韓国戦での第3セットでは、坂下選手のサーブの場面で同じようなプレーがあってその直後に、あなたは井上選手と代えられてしまいましたね。
「ネット際での弱さ」を見せる選手に、名選手は決していません。ひいてはそれは「勝負弱さ」にも繋がりますから。あなたが自ら選んだ新しいプレー環境が、「ネット際での弱さ」ひいては「勝負弱さ」を克服させるに適した環境なのか? 私にはわかりません。が、あなたがそうだと信じて決断したのなら、それは尊重したいと思います。ただ、そうであるなら、きちんと結果は出して下さい。その意味で、ここ最近日本でほとんど勝った記憶のないロシア相手に、ワールドグランプリながらも勝てたというのは、一つのいい兆しと受け取りたいと思います。
ただの1ファンの分際で、偉そうなことを言って(書いて)申し訳ありませんでした。
上尾メディックスを応援することはないと思いますが、あなたのプレーは今後もずっと、陰ながら見続けていきます。今回のあなたの決断に対して、今後一切、何かを言うつもりはありません。日本国内ではなく、世界相手のプレー及び結果で応えてください。
あなたが「プロ意識」を持ったプレーヤーだと信じてきた1ファンより。
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