2009年8月10日 (月)

拝啓:庄司夕起選手

初めてお手紙します。
恐らく、最初で最後のお手紙になると思います。

セリンジャー元監督時代から、あなたのブロックのセンスには密かに注目していました。レシーブ面でも、他チームのミドルブロッカー陣のそれとは比べものにならないような安定感が、試合前のパス練習から1ファンにも伺えました。斎藤真由美選手が引退して、誰かに惹かれるわけでもなく、それでもセリンジャーバレーを見たくてパイオニアの試合を見続けているうちに、気づけば私は、あなたのファンになっていました。吉田敏明前監督の下なら、あなたの持っている素質を開花させられるはず、そう確信して迎えた2006/07シーズン・・・助っ人外国人選手の怪我で巡ってきた数少ないチャンスをものにし、全日本にも見事初選出。失礼ながら巷では、誰もあなたが全日本のスタメンに名を連ねるなどと予想していた人はいなかったでしょうが、私はそれを確信していました。あなたが全日本のスタメン・ミドルブロッカーとして君臨しない限り、日本の女子バレーに未来はないと感じ、その通りにブログでも書いていました。そして、本当にあなたはそれを達成した・・・でも、それは考えてみれば、すごいことでも何でもなく、あなたが持つ才能が、そのまま発揮された結果だったと思います。


そして迎えた2007/08シーズン、私だけでなく多くのパイオニアファンは、あなたこそが次期キャプテンを担うべき選手だと感じていたはずです。なぜなら、それがあなたにとって、最も欠けている資質であり、かつもう一段高い次元に達するために絶対に欠かせないものだと、みんなが信じていたからです。そう、あなたに足らないものは「スター性」や「カリスマ性」・・・こういったものは、ごく一部の人間は生まれつき持ち合わせているものでしょうけど、大抵の人間はプレー経験を積んでいく中で徐々に培われていくものでしょう。あなたの偉大なる先輩である、吉原知子さんがそうでした(日立入団当初は地味な選手でした)。その意味では、通常のチームに比べて「スター性」「カリスマ性」を生まれつき持ち合わせている選手が多いチームにあって、その中であなたがキャプテンを務めることこそが、「スター性」「カリスマ性」を手に入れられるチャンスだと、みんなが直感的に感じていたのでしょう。

結果的にそのチャンスは、私たちが感じたタイミングから1年遅れてやってきました。しかもその2008/09シーズンほど、パイオニアファンにとって辛いシーズンはありませんでした。ましてや、初めてキャプテンを務めることになったあなたには、この上ない辛い試練となったことでしょう。私もブログで相当に厳しいことも書きました。でもそれは、時間がかかったとしても必ずや乗り越えてもらえる試練だと思ったからこそ、敢えて書いたことです。

ところが、あなたはその試練を自ら放棄する選択を、結果的にしました・・・。事の真相は1ファンに過ぎない私にはわかりません。勿論あなたにも言い分があるでしょう。ファンのバッシングも容易に想像は出来たはずですから、それを覚悟の上で選択されたことでしょう。何せ、キャプテンを務めるレギュラー選手が、たった1年でチームを離れるなどという事態は、女子バレー界では異例のことでしょうから。それ相当のチーム内の事情があったことは容易に想像できます。

ですが、あなたの決断は、ただ単に「パイオニアのキャプテンを放棄した」という、1つのチーム内の問題だけでは済まないのです。チームの内部事情は知りませんから、どういう経緯であなたがキャプテンに任命されたかはわかりませんが、少なくとも多くのパイオニアファンは、上述の通り、ただ単にパイオニアという1チームを牽引して欲しいという意味だけでなく、日本を代表するプレーヤーになってもらいたという願いを込めて、あなたにパイオニアのキャプテンを任せた気持ちになっていたのです。ですから、あなたがそれを自ら放棄したということは、「庄司夕起」という、全日本を背負って立つミドルブロッカーになり得る資質を持つはずの1選手が、その才能を存分に開花させるチャンスを自ら放棄した、という風に感じ取ったのです。


北京オリンピック最終メンバーからの落選という屈辱を経て、あなたにもう一度全日本の舞台というチャンスが巡ってきたのは当然のことでしょう。ブロックシステムの改革を公言する真鍋監督の下では、再びあなたがレギュラーの座を掴むのは目に見えていました。さらに一段高い次元へ到達するための舞台は準備されました。私たちが期待したとおりに、ロンドンに向けて日本を引っ張るミドルブロッカーとして成長していってもらえるかどうか? その兆しが伺えるかどうかを確認しに、大阪へ毎晩通いました。

あなたの持ち味は、数字に表れにくいプレーです。素人目には大変わかりにくいことでしょう。ですから、テレビ局はじめとする一般のマスコミや、一般のファンの間であなたが評価されていなくても、それは気にする必要はありません。戦術をきちんと見ることが出来るコアなファンは、これまでもきちんと正当にあなたを評価してきました。勿論、昔からあなたをずっと見続けている私をはじめとする多くのパイオニアファンも。ですが、残念ながら今回あなたが下した決断の結果、今後はあなたを評価するファンの目は、間違いなく厳しくなっていくでしょう。実際、私もこれからは「ユウヲタとして」あなたのプレーを見たりブログで評価することは、恐らくはなくなると思います。どこのブログよりも先駆けて『庄司夕起(ユウ)』というカテゴリを立ち上げてサポートしてきたつもりですが、このカテゴリに新たなエントリーを設けることは、少なくとも当分はないでしょう。ですが、あなたのことは1バレーファンとして、変わらずずっと見続けます。これまでよりも、より冷静に、より厳しい目で、見続けていきます。


本来ならあなたの持ち味を発揮するには、パイオニアでそうであるように裏センターに配されるのがベストなのでしょうが、今年の全日本ではどうやら表センターで固定されているようですね。勿論、好意的な見方をすれば、低身長のセッターと隣り合うポジションでブロック面での期待をされているとか、前衛アタッカーの枚数が少ないローテーションで、あなたが堅実に速攻の囮に入ることで時間差攻撃の決定率を高めることを期待されているとか、そういう見方も出来るでしょうが、ずっとあなたのプレーを見続けてきた1ファンから言わせていただくと、今の全日本で最もブレイク率が高く見込まれる栗原選手のサーブの場面で、あなたが前衛にいると、せっかく相手のレセプションを乱してダイレクトボールが返ってきても、それを相手コートにブロックなりダイレクトスパイクなりで決めきれずに、結果的に相手にチャンスボールをみすみす与えてしまう、、、そういうあなたの姿が脳裏に浮かんでしまうのです。そう、あなたの「スター性」「カリスマ性」のなさが最もプレーに表れるのが、こういった「ネット際での弱さ」です。今回のワールドグランプリ・大阪ラウンドでも、韓国戦での第3セットでは、坂下選手のサーブの場面で同じようなプレーがあってその直後に、あなたは井上選手と代えられてしまいましたね。


「ネット際での弱さ」を見せる選手に、名選手は決していません。ひいてはそれは「勝負弱さ」にも繋がりますから。あなたが自ら選んだ新しいプレー環境が、「ネット際での弱さ」ひいては「勝負弱さ」を克服させるに適した環境なのか? 私にはわかりません。が、あなたがそうだと信じて決断したのなら、それは尊重したいと思います。ただ、そうであるなら、きちんと結果は出して下さい。その意味で、ここ最近日本でほとんど勝った記憶のないロシア相手に、ワールドグランプリながらも勝てたというのは、一つのいい兆しと受け取りたいと思います。

ただの1ファンの分際で、偉そうなことを言って(書いて)申し訳ありませんでした。
上尾メディックスを応援することはないと思いますが、あなたのプレーは今後もずっと、陰ながら見続けていきます。今回のあなたの決断に対して、今後一切、何かを言うつもりはありません。日本国内ではなく、世界相手のプレー及び結果で応えてください。


あなたが「プロ意識」を持ったプレーヤーだと信じてきた1ファンより。

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2009年3月29日 (日)

パイオニア - JT via "GAORA"("トス" or "セット")

GAORAでディレイ中継されたこの日の試合。後日ビデオで確認して驚かされたのが、実況を務めた金山泉アナウンサーの言葉遣いだ。

GAORAと言えば、関西ローカルのMBS毎日放送(TBS系列)の関連会社による、スポーツ中継がメインのCS放送であり、V・プレミアリーグの中継については、長年黒鷲旗の実況を務めてきた馬野雅行・森本栄浩の2人のMBSのアナウンサー(馬野アナは因みに、MBSの夕方のニュース番組のメインキャスターも務めている)が主に実況を務めていて、中でも馬野アナのバレー通は関西のバレヲタならご存じのはず。ミーハー路線炸裂で、協会と談合しているフジテレビとは違い、玄人好みのマニアック路線での中継で、協会とも明らかに一線を画している(その点は、番組として加藤陽一選手贔屓である点からも明らかだ)。

そのGAORAのV・プレミアリーグ中継ではあまり聞いたことのない実況の声で、第1セット序盤に「番平守さんの解説でお送りしている『パナソニック』対JT」という言葉を聞いた時には、「このアナウンサー、バレーの中継は素人なのか? 随分GAORAもレベルが落ちたもんだ」と一瞬思ったのだが(一応すぐに気づいて訂正していたので、純粋に言い間違えただけのようだったが)しばらくして、、、



(第1セット、17-12とJTがリードしている場面でのラリーで、セッターの竹下選手がバックライトのタチアーナ選手へのバックアタックのトスを上げた瞬間)


・・・竹下のバックセット。(タチアーナの)バックアタック・・・


この時はまだ、私の聞き間違い?! と半信半疑だったのだが、、、


(同じく第1セット、21-15の場面でのラリーで、竹下選手が前衛ライトにいた坂下選手にハイセットを上げた瞬間)

・・・バックセット。坂下が・・・


(さらに、同じく第1セット22-19の場面でのラリーで、リベロの井上琴絵選手が、真骨頂とも言える、アタックラインを確認しつつその手前で踏み切ってジャンプトスを上げた瞬間)

・・・ランニングセット!・・・


(さらにさらに、第1セット終盤、JTのセットポイントの場面でパイオニアのレセプションが乱れた瞬間)

・・・ちょっとここはランニングセット、アンダーで(ユキが)上げた、ハニーフ・・・



もうわかって頂けたと思うが、そう、日本で「トス」と言われるプレーについて、金山泉アナはセット "set"という言葉を躊躇なく使って実況していたのだ。3月31日に再放送もあるので、見逃した方は是非ご覧あれ!


海外(英語圏)では確かに「トス」のことはセット "set"と言われる。考えてみれば、セット "set"を専門に行うポジションだからこそ、セッター "setter"なのだ。日本でもかつて、トサー "tosser"という用語が用いられていた頃があったようだが、それがいつの頃からかセッター "setter"とポジションの用語は変わったのに、プレーそのものは「トス」という用語が残ったままという、不可思議な状況なのである。


最初に書いたとおり、GAORAのV・プレミアリーグ中継は、馬野雅行・森本栄浩の2人のMBSのアナウンサーがメインだが、この2人に以前はMBSを定年退職した水谷勝海アナウンサーなどが加わっていた。しかし最近はスポーツ実況専門のフリーアナウンサーなどが加わっているようなので、金山泉アナもてっきり、CS専門のフリーアナウンサーなのかと思いきや、放送終了時に「実況担当『MBS』金山泉でお伝えしました」という言葉が聞こえてきた。

気になって、この金山泉アナウンサーをネットで調べてみると・・・もともとは中京テレビのアナウンサーで、2009年2月に確かに毎日放送に入社しているようだ。Wikipediaによる解説では「中京テレビを退社して毎日放送に入社した理由は『野球中継を担当したいから』(中京テレビでは中日ドラゴンズのホームゲーム中継権を持っていない)」とのこと。要するに、野球が一番にしろ、スポーツ中継がしたいという志が強いのだろう。バレーボール中継の経験がどれ程あるのか? そもそもバレーというスポーツが好きなのか? まではわからないが、最初に入社した中京テレビを退社してまで入社したのがあの"GAORA"である以上、バレーに全く興味がない、ということは考えにくい。経験や興味もあまりなかったとしても、恐らくかなり勉強しているはずだ。

では果たして、彼はどこでバックセット・ランニングセットという用語を覚えたのだろう? という興味が湧いてくると同時に、テレビの中継でセット "set"という用語が聞こえてきても、別に決して思ったほど変な違和感は感じないということが確認できた。


試合終了直後に、ユウのヒロインインタビューを担当したのは、満を持して登場の馬野アナ。多分、ユウにインタビューしたかったのは、彼自身じゃないかと思う。「最後にファンの皆さんに(一言)お願いします」という言葉にユウが応えて、それでインタビューが終わるのが普通だと思うが、その後に馬野アナ自身がユウへ叱咤激励のエールを送ってインタビューを終えたのを見て、「あぁ、馬野アナ、それをユウに直接伝えたかったから、彼女を(ヒロインインタビューに)選んだのね」と妙に納得してしまった(笑)。そう、GAORAは、ユウがスタメンに定着した頃からずっと、試合終了後にずーーっとユウをカメラが追い続けるなど、フジテレビでは考えられないカメラワークを平気でするような、実はユウ贔屓のテレビ局であって、だからこそ「玄人好みのマニアック路線での中継」と言えるのだ(笑)。

その"GAORA"だからこそ、今年から新規採用したスポーツアナウンサーが、セット "set"という用語を使い始めたことは、注目に値すると言っていい。あぁ、『バボCHANNEL』はここ数年すっかり、見る価値のない番組に堕落してしまったし、新たにGAORAでバレーボール専門番組やってくれないかなぁ・・・。バレー番組のソフトを売り込みたいと思ってらっしゃる制作会社の方々、どうですか? GAORAなら買ってくれるかもしれませんよ〜、特に馬野アナに直接売り込んでみては(笑)。

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2009年1月13日 (火)

やっぱWライトでしょ!?(パイオニア - NEC)(その1)

皆様、明けましておめでとうございます(もう、遅いって!?)。
本年もsuis annex及び、suis annex weBLOGを宜しくお願い申し上げます。

"スピード"ではなく"テンポ"の(その4)を書いている途中でしたが、その間に年が明け、今年シーズン最初の生観戦に大阪まで行って参りました。

ホームゲームではないですが、チームグッズが売っていてちょっと興奮・・・。


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スタメンは、開幕前に予想された配列からセンター(middle blocker)が昨年までと同様に表にアサコ・裏にユウに戻った形。そして何より、ベンチ入りメンバーにユミが返ってきた!

第1セット序盤、一進一退の攻防からNECにサービスエースを取られるなどして、じりじり9-13と4点差をつけられる。フォフィーニャ選手をアサコがシャットして10-13。ここで吉田監督は、前衛のユキに代えてレオを投入。フォフィーニャ選手にフェイントを決められた直後に対角のマミをユミに代えて2枚替えの形。久々公式戦でのユミのセットアップ! それをハニーフがライトから、メグがレフトから、いずれも相手ブロッカーの上を抜く形で見事に決めて、12-15とパイオニアが追い上げ体制に入る。NECがフォフィーニャ・杉山両選手の前衛2枚のローテーションで、パイオニアのブロック陣は、レフトブロッカーにレオ・センターにユウ・ライトにメグの形でデディケートを敷いてプレッシャーをかけ、杉山選手のミスを誘って13-15。さらに、直後は杉山選手がブロードでライト側アンテナ近くまで流れて打つが、レオ・ユウがきちんと2枚揃い、クロスコースに抜けたボールをユミがディグ。ここで「問題のプレー」が生じるがそれは後で説明するとして、結局このラリーも杉山選手のAクイックをレオ・ユウでシャットして、14-15。困ったNECのセッター・秋山選手は、フォフィーニャ選手をレフトからBセミへとコート中央へ切り込ませて、デディケートで構えるユウ・メグの2枚ブロックをかいくぐろうとするが、結果的にスパイクミスとなって15-15の同点。何とかフォフィーニャ選手が決めて、15-16でNECのテクニカルタイムアウト。パイオニアは2枚替えを戻し、ここからというところでユウがスパイクミスで16-19と、再びNECに引き離され始める。今シーズンで久々に(優勝した12V以来)パイオニアの得点源となっているサーブだが、このセットはその得点源であるハニーフやメグのサーブにミスが多く、なかなか試合の流れを取り戻せない。NECの内田選手にフェイントを決められて17-21。結局このままの点差が詰まらずに、20-25。NECが1セットを先取する。

このセットでパイオニアが追い上げ体制に入ったのは、中盤で2枚替えを行った場面。即ち、レオがオポジットに入った場面だが、上述のとおりこの状況では、開幕前に私が予想したとおり、オポジットのレオをレフトブロッカーとして跳ばせ、レフトのメグをライトブロッカーとして跳ばせていた。昨シーズン、パイオニアは何度か解説したとおり、オポジットにセナを配しライトブロッカーを高くした上でブロックシステムを強化し、その上でトランジションにおいては後衛レフトを守る選手(リベロのガッツあるいは両センターのユウ・アサコ)がセットアップを行うという戦術を採ることでチーム強化を図ろうとしていた。この戦術においては、例えば相手チームのフェイント攻撃に対しては、後衛ライトにいる選手がセットアップのことを気にせずに思い切って前へ突っ込んでいくことが可能となる。通常後衛ライトにはセッターが位置していることも多いため、セットアップを気にしてファーストタッチを躊躇しがちなのだが、後衛レフトの選手がセットアップを行う戦術を採れば、そうしたお見合いがなくなる。もちろん、そのためには前衛ライト側にハイセットを打ち切れる選手がいることが大前提となるわけであり、そのためにオポジットにセナを(開幕当初は)配していた。ところが、今シーズンは開幕戦のデンソー戦を見る限り、トランジションにおけるセットアップを行う選手は主に「後衛ライト」を守るマミになっていた。せっかく昨シーズンを通じてチームの形にしてきていたことが、今シーズンになって無に帰してしまうのはもったいない訳で、私としては長身の選手を出来るだけライトブロッカーとして跳ばせることを継続した上で、トランジションでのセットアップは後衛レフトの選手が行うべきと考えていた。だからこそ、今シーズンの開幕前に『我ら、かく戦わん』の【開幕前戦力予想】を見て、これはメグ・ハニーフの2人に"Wライト"の役割をさせるのだろうと予想した。

年末に行われた天皇杯・皇后杯。準決勝での東レ戦では、まさにその、私が予想した"Wライト"の形が見られた。レオがオポジットとして出てくる場面だけでなく、普通にマミや試合途中からマミに変わってスタメン出場したコヨミが出ている場面でも、メグ・ハニーフをライトブロッカーとして跳ばせて、マミ・コヨミをレフトブロッカーとして跳ばせていたのだ。この形ではトランジションでスムーズにガッツやユウが後衛レフトからセットアップを行い、何とも「安心して」試合展開を見ていられたのだった。

それに対して、この日のNEC戦では、「問題のプレー」と書いた13-15の場面、、、杉山選手のブロード攻撃がクロス方向に打たれて、それを後衛ライトを守っていたユミがディグしたのだが、昨シーズンなら何事もなく真上付近のアタックライン上に上げておいて、それを後衛レフトのアサコがセットアップしに行けば問題ないはずなのだが、トランジションでセットアップする選手を「後衛ライト」の選手に変えてしまった今シーズンにおいては、ここでファーストタッチを行うユミ自身が瞬間的に「どこに上げればいいか?」迷ってしまうのだ。結果的に中途半端に真上に上げられたボールを後衛センターにいたハニーフが繋ぐ羽目になり、ただチャンスボール(free ball)を相手コートに返すだけに終わった。同様に第1セットに何度か要所でNECのレフト攻撃から決められたフェイントボールも、後衛ライトを守るセッターがセットアップを気にして思い切りつっこめずに終わったために落ちたものだった。

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2008年1月 9日 (水)

の・だぁめちゃーん!

皆様、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
本年もsuis annex・suis annex weBLOGをよろしくお願い申し上げます。


さてさて、昨年末は暗ーい話題で締めてしまいましたので、新年最初は明るく行きましょうか(笑)

実は今、『のだめカンタービレ 新春スペシャル in ヨーロッパ』のビデオを見ています。

クラシックはもちろん、音楽の世界のことは全くわかりませんが、そんな私でも音楽の世界がすこしばかり垣間見えるようにわかりやすく構成されていて、非常に面白いですね。

そんな中でも一番印象的だったのが、「アナリーゼ」です。のだめがコンセルヴァトワール(フランスの音楽学校)に入学して最初に受ける授業がこの「アナリーゼ」・・・日本語で言うと「楽曲分析」ですか? Wikipediaによる解説を引用すれば「その音楽がどう組み立てられているか調べる」「楽曲がどう作られているか知る学問」ということなのですが、ただ単に楽曲の構造を理解する「方法論」というだけではなく、その楽譜を書いた作曲家自身の精神性や、その作曲家が生きた時代背景なども踏まえた上で理解しようとする学問、ということのようです。「楽譜通りに演奏する」いや、「楽譜と正面から向き合う」ということは、その楽譜を書いた作曲家が「その時何を感じ、何を音符にしたためたかったのか?」を「本能的・感覚的・右脳的」ではなく、あくまで「分析的・論理的・左脳的」に「感じ」取って、そしてそれを表現するということなのですね。音楽や芸術といった、本来右脳で感じる最たる分野であっても、その道を極めるためにはまず分析 "analyse" から始まるというところに、非常に新鮮な驚きを覚えました。

それにもう一つ、新たな発見が!

「の・だめちゃーん」をじっくり見てると、ユウを見てるような気分になってきました・・・。うつむきかげんの顔がか・な・り似てませんか?


で、「アナリーゼ」ですけど、要するに英語の "analyse" です。"analyse" する人が「アナリスト」です。 チームの戦術を理解する「方法論」というだけではなく、その戦術を最初に生み出した監督の精神性やプレーヤーの資質、さらにはそれが生まれる歴史的背景を踏まえた上で理解すること・・・言い換えれば「戦術の変遷」を踏まえた上で理解することが、バレーでいうところの「アナリーゼ」ではないでしょうか?

各パートの「演奏者」が「楽譜」を「アナリーゼ」して、その結果として最高の音色を奏でる。さらに、各パートをまとめた「総譜(スコア)」を「アナリーゼ」した「指揮者」の存在があって初めて、オーケストラの演奏が出来上がるのです。ここで、Wikipediaによる「指揮者」の解説を引用します。

指揮者の作業のうち、もっとも時間と労力を要するのは、練習前の予習と言われる。指揮をする楽曲のスコア、関連する音楽史上の文献などを読んで構造などを把握し、表情づけの方法などを検討し、練習の手順を計画する。練習に際しては、音楽的表現全体を考えて音程・音量・音色・奏法や歌唱法・パートの音量バランス・テンポ等を指導し、ミスやずれを修正して、演奏の完成度を上げていく。そして演奏会本番でそれをまとめ上げるのが指揮者である。その他にも選曲や人間関係の問題解決等をおこなうなど、非常に重要な役割である。

バレーで言えば、各パートの「演奏者」が各プレーヤーであって、「指揮者」が監督やアナリスト含めたスタッフ陣でしょう。「アナリーゼ」は決して、「アナリスト」だけの仕事ではないはずです。今の日本のバレー界を見渡して、本当の意味での戦術の「アナリーゼ」が出来るプレーヤー・スタッフ陣がどれだけいるのでしょう?

さらには、演奏を聴く観衆も、クラシックが好きだからこそ知識を高め、その楽曲の「アナリーゼ」が出来るようになるからこそ、オーケストラの演奏から指揮者の伝えたい音楽性を「感じ」取れるのです。

今年も、戦術を「アナリーゼ」出来るファンが少しでも増えることを祈って、当ブログの更新を行っていきたいと思います。

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2007年12月10日 (月)

吉田敏明監督の描く新しいバレースタイル(パイオニア - トヨタ車体・パイオニア - デンソー(その2))

8753さんに頂いたコメントに対するレスで書いたが、やはり今年のパイオニアは、昨年までとは大きくバレースタイルを変えようとしているのが伺えた。

まず、レセプションフォーメーション。これは一言で言えば「ドイツ方式」。即ち、昨年の世界バレーで書いたとおり、リベロに加えて両レフトとオポジットの4人全員がレセプションをこなせる選手であって、試合の各局面において、両レフト・オポジットの3人のうちの誰か1人がレセプションフォーメーションから外れて、バックアタックに備える形である。昨年まではオポジットにはリーが配されており、彼女もレセプションフォーメーションには参加するものの、両レフトのレオ・メグと攻撃面で同じ役割を果たすわけではなかった。しかし、今年の基本となるスタメンでは両レフトにレオ・メグ、オポジットに新外国人のセナが配され、両レフトとオポジットのセナとは、攻撃面では何ら変わらない役割を果たす形であり、だからこそ初戦のトヨタ車体戦では、試合途中でセナがレオと変わってレフトに入ったり、という場面も当たり前のように出てくる。控えにリーがいて、スタメンの誰かが崩れるとレフトであろうとオポジットであろうと彼女が交代で出る(今日のデンソー戦では、途中レオに代わってレフトに配されたため、昨年まででは見られなかった、彼女のパイプ攻撃も見られた)。さらにいざとなれば、同じく控えとしてスーが登場する。彼女だけはレセプションの能力が劣ると見込まれるが、「両レフト・オポジットの3人のうちの誰か1人がレセプションフォーメーションからその都度外れる」方式ならば、彼女がたとえ出ても、バレースタイルは全く変える必要がない(彼女がレセプションフォーメーションから常に外れればいいだけである)。ある意味、レオ・メグ・セナ・リー・スーが「ただのコマ」として扱われる形だ。これこそが、吉田敏明監督が今年のテーマとして掲げた「ある個人に頼ったバレーではなく、全員が勝利に貢献するチーム」の本質の一つであるはずだ。だからこそ、トヨタ車体戦での勝負のかかった第5セットの最後の場面で、監督はレオをスーに代えるという、これまでのパイオニアでは考えられない戦略ですら、採って見せたのだ。

さらにはブロックシステム、及びその後のトランジションの展開。これも劇的なスタイル変更を見せている。ファーストタッチをセッターが行った場面で、今年のパイオニアは、リベロのガッツがトスアップを行うシステムを遂に導入しようとしている。イヤ、実はもっと正確に言えば、「リベロが」ではなく「後衛レフトのポジションを守っている選手が」トスアップを行うシステム、というのが正しいだろう。「後衛レフトのポジション」を守るのが、リベロのガッツであるケースが多いだけで、リベロがコート上にいないケースでは、センターの選手がそのポジションを守っているので、センターの選手がトスアップを行う形となる。トヨタ車体戦を見ていても、それは充分に伺えたのだが、如何せんセッターのユミがテンパりすぎで、上手くシステムが機能していなかった。しかし、ユミに落ち着きが戻ったデンソー戦では、この形が何度となく機能した。もちろん、ガッツはアタックラインを確認しつつ、オーバーハンドパスを用いてトスを上げていた! 基本はライトへの攻撃へトスアップすることが多いものの、時にはパイプ攻撃へ、さらにデンソー戦の第4セットでは(これはアンダーハンドパスだったが)体をトスアップの瞬間に回転させて、レオへ向かってレフトオープンのトスを上げる場面があり、これには私も見ていて不意をつかれた。このシステムがきちんと機能するならば、ラリー中に後衛ライトにいるセッターは、思い切って相手のフェイント攻撃や、ブロックのワンタッチのこぼれ球に飛び込んでいける。第4セット序盤、デンソーにフェイントを散々決められていた場面で、ユミは思いきり飛び込んでいくのを躊躇していたが、監督の指示通りにセット終盤にはトスアップのことは気にせず、思い切り飛び込み、そしてそれをガッツ・ユウ・アサコが見事にトスアップへと繋げた。

もちろん、このトランジションの展開を機能させるためには、ブロックシステムが機能していなければ意味がない。そのために、吉田敏明監督が今年こだわったのは、「両サイドのブロッカーの高さを上げる」ことだったはずだ。パイオニアの場合は、両レフトは高さがあるので問題はライトブロッカーだけ。だからこそ、新外国人選手は上背があって、(レセプションはもちろん)ライトブロッカーをこなせる選手である必要があり、セッターは171cmのユミである必要があったのだ。彼女たちを前にすれば、日本のアタッカーでそうそうストレートを打ち抜く高さがある選手はいないはず。実際、開幕2試合で、相手チームにストレートを打ち抜かれたり、ストレート側にブロックアウトを取られた場面は、悉くライトブロッカーがリーの場面であった(デンソーの細田選手だけには、巧く打ち抜かれていたが・・・どこを抜けていたのか? エンド側で観戦できなかったので、確認できなかった)。その結果が、客観的な数字にも如実に表れた! 開幕2試合で、チーム総ブロック数45本! セット平均5本! しかもセンターブロッカーのアサコ・ユウがそれぞれ12本と15本! 如何に相手チームのウイングスパイカー陣が、ストレートへ打ちあぐねていたかを示すデータと言える。

あぁ・・・ビデオでもう一度見たかったなぁ・・・(涙)
ユウ、この日8本もブロックシャット見せてるのに・・・(大涙)

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2007年11月 4日 (日)

(ワールドカップ2007女子)日本 - 韓国

ざぁーっとビデオで昨日・今日の日本戦を見た。

アジア選手権以来、貝塚での合宿までは杉山・荒木両選手がスタメン組であったのに、直前になってユウをスタメンとして使おうとしたのはなぜだったのか?

まぁ、「非国民宣言」した人間としては、別にどうだっていいというのが本音ではあるのだが、悲しいかな? 人間の習性は変えられず、ついつい考えてしまう。

韓国戦で顕著だったが、ワールドグランプリの時と比べ、竹下選手が前衛の場面でのブロックの弱点を、ブロックチェンジを行うことで繕おうとしている点が伺えた。具体的には、本来ライトブロッカーとなる彼女をレフトブロッカーに配して、栗原選手をセンターブロッカー・センター陣をライトブロッカーとして構えさせる戦略だ。特に現在の韓国はライト側からの攻撃が少なく、レフト側のキムヨンギョン選手にトスが集まっている。従って、韓国と相対する場合には、相手のライト側からの攻撃に対するマークが多少甘くなっても、相手のレフト側すなわち自チームのライト側にデディケートするのが理には適う。その意味で竹下選手をレフトブロッカーに配したと考えられ、実際それがある程度機能していた。ただ、問題はそこでワンタッチを取ったり、抜けてきたボールをディグで繋いだ直後のトランジションでの攻撃だ。一般的にレフトの選手が相手のレフト攻撃に対してブロック参加を行った直後のトランジションで、レフト攻撃を行うのは相当の技術と修練を要する。その点、栗原選手はパイオニアで実は盛んに同様の戦略を経験しているため、問題なくトランジションでレフトからの攻撃を繰り出して見せた。但し、そこ(レフトの栗原選手)にしかトスが上がらないとわかったのでは、相手ブロッカー陣にとっては「思うつぼ」となる。そこで、ライトブロッカーとして跳ぶセンター陣にも、トランジションでライトからの攻撃を繰り出してもらう必要があるし、さらには後衛にいるレフト・オポジットの両選手にバックアタックを繰り出してもらう必要があるのだ。

現在の全日本女子の配列で考えると、その場面で後衛にいるレフトプレーヤーと言えば高橋みゆき選手であり、オポジットプレーヤーと言えば木村沙織選手だが、そのうち高橋みゆき選手は残念ながらバックアタックは打てず、木村沙織選手はラリー中にトスを上げるというチーム内の「約束事」がアジア選手権以来出来たはずなので、結局トランジションでトスを上げられる場所は、レフトの栗原選手かライトのセンター陣しかないのだ。となると、センター陣がライト側からハイセットを打ちこなせる能力が不可欠となり・・・という論理展開だろうか?

で、結局のところ実際には、その場面で栗原選手のレフト攻撃一本槍となっているわけだが・・・果たして、明日のセルビア相手にもブロックチェンジを行うのだろうか?? ヨーロッパ型のバレーを相手にして、ライト側からの攻撃に対するマークを甘くするデディケートが得策と果たして言えるのだろうか??
さらには、この戦略を採ることで、表レフトの役割を果たせるのが、栗原選手以外には(現在の全日本女子のベンチ入り12名の中では)考えられなくなっており、柳本監督は「テン・シン・メグ」と心中すると言っているようなものである。

ま、やはり考えるだけ時間の無駄だったような気がしてきた・・・。

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2007年10月14日 (日)

お陰で久しぶりに読みましたよ・・・

仕事から帰宅して、郵便ポストを覗くと届いていた『月刊バレーボール2007年11月号』。

早速手にとってパラパラめくり、「道産子シンデレラ」のインタビューが載っているのを確認して、さぁじっくり読もうかとパソコンの前で腰を下ろしてじっくりと読んでいたところ、『ばれにゅ☆どっとねっと』のRSS配信で、新しいエントリーがついていることに気づいて、クリックしてみると・・・何ともタイムリーに、『月刊バレーボール2007年11月号』の記事についてのエントリーが・・・

年間購読している月刊バレーボールの最新号、2007年11月号が手元に届きました。

私と少しの時間差で、同じ状況だったんですね。

パラパラと流して読んでみたのですが、非常に引っかかるというか、あまりのばかばかしさにあんぐりと開いた口が塞がらないほどあきれ果ててしまった記事があったので、引用しながら文句を垂れ流したいと思います。その記事とは、毎号、松平康隆(財)日本バレーボール協会名誉会長が旬なバレーボール関係者と対談する、「松平康隆と語るバレーボール・パッション 連載第55回」という対談記事です。

そう言えば、そんなコーナーありましたね・・・え!? 私? そんなコーナー読むわけないでしょ、いつも素通りです。だけど、折角こうやって巨大サイトに大々的に取り上げられたのなら、読まないわけにはいきませんよねぇ。先日随分話題になった、ゴルフの上田桃子プロのブログと同じ様なもので。お陰で久しぶり(これでも約20年近く『月バレ』は定期購読していますが、常にこのお偉いお方のコーナーはタイトルを変えながらもずっと続いているように思いますけど、数えるくらいしか読んだ記憶はありません)に読みました。





ま、所詮こんなレベルでしょ。日本バレーボール狂会ですから。どなたとは申しませんが、黒鷲旗の大会期間途中に会場すぐ近くの高級ホテルでウン十万円もする豪華中華レストランで会食を楽しまれている人達とか・・・選手はみんな次の日の試合のためにコンディションをを整えているだろうに、お偉いさん方はそんなことを毎日毎日やってるんですよね・・・そういう場で決まるんでしょうねぇ、世界バレーのMVPが誰とか、グループ組み合わせとか対戦順とか・・・ひょっとして日本のオリンピック出場の内定とかも(爆)


p.s.: こんどのワールドカップのスペシャルサポーターですけど、その中に藪クンっていう子がいますが、遠目で見るとユウに似てませんか!?

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2007年10月 8日 (月)

広報あかびら

そう、ユウは北海道の赤平市出身。

と知ったかぶりをしつつ、実は「赤平」を「あかびら」と読むことを知ったのは、今さっきの話。
なぜ知ったか?・・・それは、これを見つけたからである!

http://www.city.akabira.hokkaido.jp/sidemenu/kouhou/pdf/19-09-02.pdf

Numberの"シンデレラ"記事はあちこちで紹介されているが、これはあんまり知られていないのではないだろうか?


あぁすっかり、aikoまでが気になる今日この頃・・・

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2007年8月 7日 (火)

ワールドグランプリ2007 日本-キューバ

ユウヲタ的には、「ひょっとして勝てば、ユウが遂に初ヒロインインタビューか?!」などと思える程の大活躍ぶりだっただけに、残念な結果だった。しかし、キューバを追いつめるチャンスが生まれたのは第3セット序盤の連続7得点の場面だったが、そのセット途中でカルデロンを潰すことが出来た大きな要因は、日本のお家芸とされる「拾って繋いで」の「奇跡的な」ディグではなく、ユウとメグの2人を含めた前衛3枚のバンチ・リードブロックにあった。木村沙織選手のサーブの場面で連続得点が多かったのは、確かに彼女のサーブの狙いが良かったこともあるが、それ以上に今年のレギュラー陣の中で最もバンチ・リードブロックシステムに順応しているパイオニア勢の2人が前衛に揃っているからなのだ(第3セット終盤には、その木村沙織選手のサーブの場面で、高橋みゆき選手に代えてアサコが投入され、キューバのパイプ攻撃に対して見事にパイオニア勢の3枚ブロックが完成した!)。


この試合後の各選手及び柳本監督のコメントが美雁さんのところで紹介されている。


柳本監督が言う「もっと上位のチームに勝つために、詰めていかなければならない」という「チームの約束事や細かいコンビ」とは、組織的バンチ・リードブロックによる3枚ブロックの後のトランジションでの場面で、例えばファーストタッチを竹下選手が行った場合に「誰がトスを上げるのか」という約束事だったり、3枚ブロックに跳んだ前衛のアタッカー陣がトランジションで見せるべき「アタックコンビネーション」のことを指すはずだ。昨年までであれば、ファーストタッチを竹下選手が行った場合には、(オポジットに配された)高橋みゆき選手がトスアップを行うという「約束事」が、ワールドグランプリの頃には既に徹底されていた(その「約束事」に慣れていなかった石川友紀選手が、試合中高橋みゆき選手と交錯した、ということを昨年のワールドグランプリの頃に指摘した)。ところが、今年はこのワールドグランプリの時期になっても、まだそういった「約束事」が徹底されている様子が感じられない。確かに高橋みゆき選手がトスアップしている場面が多いが、昨年までとは違って非常にぎこちない。明らかに練習不足のようで、竹下選手も迷いながらディグを行っている。これは、昨年までとは違い、組織的バンチ・リードブロックを導入し始めたからに他ならない。新しいバレー戦術を採り入れようとしたために、昨年までならば疑問を挟む余地の無かった「約束事」を、一度白紙に戻さなければならなくなっているのだ。さらに、木村沙織・高橋みゆき両選手のスパイクの調子が昨年までに比して上がらないように見えるのは、(確かに体調不良もあるかもしれないが)昨年までならば、ラリー中にブロックに「参加せず」(悪い言い方をすれば「サボって」)トランジションでの攻撃のための助走に入ることが出来たはずなのに、今年はそれが許されないから、という側面もあるはずだ。


開幕3戦を見る限り、昨年までの全日本女子の勝ち方とは明らかに違ってきている。カザフスタン・ドミニカ戦については、「相手チームがのミスに助けられた」という見方をしているファンが多いようだが、同じ「相手のミス」でも昨年までは「奇跡的」ディグで「拾って繋いで」、それで相手が焦れてミスを出すというものだったが、今年は違う。開幕3戦を見て、いかにも日本らしい「奇跡的」ディグなどあっただろうか? ラリーすら余り続いている印象はない。なのに相手がミスを出すのは、組織的ブロックでプレッシャーを与えているからだ。


前回の投稿でリンクさせてもらった『千酔亭日乗』に、前衛3人が「バンチ」で構える姿が写真で紹介されている。
また、いつもおなじみの『女子バレー三昧』には、昨年までの全日本女子ではほとんど見ることの無かった木村沙織・高橋みゆき両選手の参加した3枚ブロックの写真が紹介されている。


勿論、まだ3試合を見ただけであり、うがった見方をし過ぎているのかもしれないが、今週末以降の試合でも同じ方向性が見えるのであれば、今年は久々に非国民で居ずに済むかもしれない、と思い始めている。


p.s.: バレーの国際大会のテーマソングには、どうして必ずと言っていいほど「奇跡」という言葉が歌詞に含まれてのだろうか??

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2007年8月 5日 (日)

ユ〜ウ! チャ・チャ(ワールドグランプリ2007開幕2戦)

ビデオでワールドグランプリの開幕2戦(カザフスタン・ドミニカ戦)を見終わった。世間の大方の予想を覆し、ユウは見事にレギュラーポジションを掴んだ! 大友ユウでも菅山ユウでもない、庄司ユウが「ユ〜ウ! チャ・チャ」と会場でコールされるのはユウヲタとしては何とも感慨深い・・・ヲタとしてだけでなく、全日本女子の未来を本気で考えた場合にも、以前の投稿でも書いたとおり、彼女には全日本のレギュラーセンタープレーヤー(middle blocker)として定着しなければならない責務があると言ってよい。実際、彼女がこの2戦で見せてくれたプレーは「世界標準」のセンタープレーヤー(middle blocker)のプレーと言ってよいものだ。例えば、相手コートからチャンスボールがアタックラインよりも前に返ってきた場合に、そのディグを後衛のプレーヤーに任せるのではなく、自分で行ってから速攻に切り込む・・・これが「当たり前のように」出来る選手がいなかったことを象徴するかのように、カザフスタン戦では後衛だった高橋選手がチャンスボールを取りに行こうとしてユウと交錯し、倒れ込んだ(一方のユウは、何事もなかったようにチャンスボールを繋いで速攻を打って見せた)。ユウのようなプレーが「当たり前」となれば、当然のことながら後衛のオポジットの選手はバックアタックの助走に入る準備が出来るはずであり、それは攻撃システムの「男子バレー化」を進めるための必要条件になるはずである。

こちらに、ドミニカ戦でのユウの本領発揮ぶりが「客観的なデータを挙げて」取り上げられていた。one of No.33さん、どうやらあなたの読みの方が正しいようです。"Rebounds"には、少なくとも「ワンタッチを取った数」が含まれているはずだと推測されます。)


さて、肝心の今大会の全日本女子の戦術そのものに話を移すが、、、
開幕2戦をみて、去年までのそれとははっきり違うと言える部分が見られた。

それは、「ブロックシステム」である。


Coaching & Playing Volleyball(CPV)の49号(2007年7月号)は、特集が『低身長で勝つ』であり、その中に竹下選手の書いた『低身長者のブロック』という記事があった。低身長の中高生・一般プレーヤーへの「アドバイスとしての」内容はともかくとして、締めくくりに彼女はこう書いていた。

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)49号』より引用

私はクイックのヘルプに行きませんし、パイプにも跳びに行きません。ブロックのセオリーにはもちろん反していますが、私がブロックに参加するよりもフェイントカバーした方が、チームとして得点が多く取れるのです。

「クイックの(ブロックの)ヘルプに行かない」し「パイプ(に対するブロック)にも跳びに行かない」というのは、「バンチ」でブロックに構えないし「リード」ブロックもしない、という意味だ。それが、現在の世界トップレベルのバレー戦術に反していることを認識していながら、敢えてそれに「自分一人(個人)が」逆らうことが、むしろチームの勝利に繋がると確信しているかのように思えた。これを「全日本女子の不動のレギュラーセッター兼キャプテン」が語っているのだという意識で読んだ私は、「やはり今年も非国民でいなければいけないのか・・・」という暗澹たる気持ちにさせられたのだった。現在の全日本女子が、「特定の個人」の「特殊性」に依存するバレースタイルを貫いていることに、何の疑問も持っていないと思えたからだ。

しかし、つ、遂に、今大会の全日本女子は、そのスタイルを改めようとしているのが伺えたのだ! これまで全日本女子が、組織的バンチ・リードブロックシステムを採り入れようとしてこなかったことを正当化する根拠は、チームの要に低身長の竹下・高橋両選手がいるということ、であったはずだ。ところが、今大会の開幕2戦を見て、その竹下・高橋両選手が「バンチ」で構えて相手の速攻に対して「リード」でブロックに跳びに行っている姿を目の当たりにして、これまで長年全日本女子のバレースタイルに深く根ざしていた「特定の個人の、特殊性に依存する」バレースタイルを、遂に柳本監督は捨て去ろうとしているのだという確信を持った。優れた「個人技の結集」よりも「組織プレー」を重視する・・・それは、JVAの公式サイトに載っている柳本監督の、「現時点での『チームのバランスを考えて』この12名を選んだ」というコメントの裏にも込められている気がする。バンチ・リードブロックを行うためにハードルの高い竹下・高橋両選手すらもが積極的に相手の速攻に跳びに行き、特にドミニカ戦では「3枚ブロック」となるシーンがしばしば見られた。メグもパイオニアでは今や当たり前となった、相手のレフト攻撃に対するブロック参加を、遂に全日本でのプレーでも見せるようになり、同じプレーを木村選手までもが見せ始めた。どうやら今年の全日本女子のスタッフ陣は、「本当に」本気のようだ!

p.s.: 全日本女子のスタッフ陣がようやく本気で、世界標準の戦術であるバンチ・リードブロックシステムを導入しようとしているのに対し、そのことに対して何の指摘も出来ないどころか、「バンチ」で構えていた木村選手に対して「ブロックに構える位置がまずい」などと的はずれなコメントをする解説者達は、バレー中継から追放すべきではないだろうか?!

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