決勝戦〜久光製薬-JT(その2)
このまま4セット目で一気に優勝を決めてしまうか? と思われた久光だったが、JTが意地を見せる。16-15と久光リードでテクニカルタイムアウトとなるも、ケニー選手の頑張りで逆転。しかし21-22の場面で、そのケニー選手を狩野美雪選手が見事にシャットして同点。これで会場全体に久光の優勝ムードが漂ったところで、フェヘイラ選手が痛恨のサーブミスを犯して22-23。この場面で、セッターの橋本選手は、第2セット以降宝来選手に当たらなくなって決定率の高かった狩野美雪選手に頼るも、若さゆえのトスミスで22-24。もう一本狩野美雪選手に頼るも、再びトスが乱れて、ピンチブロッカーで登場していた久保選手にシャットされて22-25。決勝戦はフルセットに突入する。
向かえた第5セット、JTは頼みの谷口選手・ケニー選手に頼る単調なトス回しとなり、久光のバンチ・リードブロックシステムにワンタッチをきっちり取られる。ただ、これまで何度も書いてきたとおり、今シーズンの久光は、ワンタッチを取った後のトランジションの場面での決定力に難があり、その致命的弱点をどう克服できるか? が試される結果となったが、そこで狩野美雪選手が期待に応えてスパイクを決める。さらに、トランジションでの攻撃で決めきれない場面でも粘り強くラリーを続け、谷口選手を成田選手が、ケニー選手を先野選手がシャットして勢いに乗る。最後は実に久光らしく、成田選手のラリー中のトスアップから大村選手の速攻が決まって15-11。5年ぶり2回目の久光製薬の優勝で、2006/07 シーズンは幕を終えた。
フルセットの大熱戦であり、紙一重の勝負であったのは間違いないが、例年と異なりたった1試合で決まってしまう決勝戦の状況で、第2セット序盤での竹下選手のトスミス(敢えて、そう言わせてもらう)は、試合の流れを大きく変える、あまりにも致命的なミスだった。一方、それに対して何のコメントもないNHKの中継って、何とレベルの低いバレー中継なのだろうか! 試合自体は表向き上は白熱の決勝戦だったかもしれないが、戦術面から見れば、昨シーズンの久光対パイオニアに比して、見所は少ない試合だったと言わざるを得ない。第1セットの戦いぶりを見て、第2セットからスタートローテーションを3つ回して結果的に成功した久光に対し、所詮今シーズンのJTは自チームのペースでワンパターンのバレー(谷口選手の早いレフト平行とケニー選手の攻撃)をしているだけであって、相手チームのブロックシステムがどうだからこう攻めるとかいうような、相手チームを見てその弱点をつくなどということが出来るチームではなく、為す術がなかった。久光の選手達に試合開始早々の緊張感がなければ、恐らくは一方的な展開で終わっていただろう。寺廻監督、あなたのことは尊敬していますが、今シーズンのJTのレベルは所詮、V・プレミアリーグを制することが出来るようなレベルではありませんでしたし、逆にこのレベルで制することが出来るようでは、日本の女子バレーに未来はありません。尊敬しているからこそ、敢えて厳しく言わせてもらいます(もちろん、そんなことはご自身が一番感じてらっしゃるはずですよね?)。
久光が優勝を勝ち得た大きな要因としては、今シーズンの久光の致命的弱点であった「トランジションでの決定力の無さ」を、この試合についてはフェヘイラ・狩野美雪両選手が見事にカバーしていた点が挙げられるだろう。そして彼女達のその見事な攻撃力を引き出したのは、ベスト6にも選ばれた久光の新しい正セッターのトスにあることは言うまでもない。そう言えば、この決勝戦は、「低くて早い」トスを信条とするセッターと「高くて早い」トスを信条とするセッターの対決とも呼べる試合であった。結果は、ご存じの通りである。
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