2007年4月22日 (日)

決勝戦〜久光製薬-JT(その2)

このまま4セット目で一気に優勝を決めてしまうか? と思われた久光だったが、JTが意地を見せる。16-15と久光リードでテクニカルタイムアウトとなるも、ケニー選手の頑張りで逆転。しかし21-22の場面で、そのケニー選手を狩野美雪選手が見事にシャットして同点。これで会場全体に久光の優勝ムードが漂ったところで、フェヘイラ選手が痛恨のサーブミスを犯して22-23。この場面で、セッターの橋本選手は、第2セット以降宝来選手に当たらなくなって決定率の高かった狩野美雪選手に頼るも、若さゆえのトスミスで22-24。もう一本狩野美雪選手に頼るも、再びトスが乱れて、ピンチブロッカーで登場していた久保選手にシャットされて22-25。決勝戦はフルセットに突入する。

向かえた第5セット、JTは頼みの谷口選手・ケニー選手に頼る単調なトス回しとなり、久光のバンチ・リードブロックシステムにワンタッチをきっちり取られる。ただ、これまで何度も書いてきたとおり、今シーズンの久光は、ワンタッチを取った後のトランジションの場面での決定力に難があり、その致命的弱点をどう克服できるか? が試される結果となったが、そこで狩野美雪選手が期待に応えてスパイクを決める。さらに、トランジションでの攻撃で決めきれない場面でも粘り強くラリーを続け、谷口選手を成田選手が、ケニー選手を先野選手がシャットして勢いに乗る。最後は実に久光らしく、成田選手のラリー中のトスアップから大村選手の速攻が決まって15-11。5年ぶり2回目の久光製薬の優勝で、2006/07 シーズンは幕を終えた。

フルセットの大熱戦であり、紙一重の勝負であったのは間違いないが、例年と異なりたった1試合で決まってしまう決勝戦の状況で、第2セット序盤での竹下選手のトスミス(敢えて、そう言わせてもらう)は、試合の流れを大きく変える、あまりにも致命的なミスだった。一方、それに対して何のコメントもないNHKの中継って、何とレベルの低いバレー中継なのだろうか! 試合自体は表向き上は白熱の決勝戦だったかもしれないが、戦術面から見れば、昨シーズンの久光対パイオニアに比して、見所は少ない試合だったと言わざるを得ない。第1セットの戦いぶりを見て、第2セットからスタートローテーションを3つ回して結果的に成功した久光に対し、所詮今シーズンのJTは自チームのペースでワンパターンのバレー(谷口選手の早いレフト平行とケニー選手の攻撃)をしているだけであって、相手チームのブロックシステムがどうだからこう攻めるとかいうような、相手チームを見てその弱点をつくなどということが出来るチームではなく、為す術がなかった。久光の選手達に試合開始早々の緊張感がなければ、恐らくは一方的な展開で終わっていただろう。寺廻監督、あなたのことは尊敬していますが、今シーズンのJTのレベルは所詮、V・プレミアリーグを制することが出来るようなレベルではありませんでしたし、逆にこのレベルで制することが出来るようでは、日本の女子バレーに未来はありません。尊敬しているからこそ、敢えて厳しく言わせてもらいます(もちろん、そんなことはご自身が一番感じてらっしゃるはずですよね?)。

久光が優勝を勝ち得た大きな要因としては、今シーズンの久光の致命的弱点であった「トランジションでの決定力の無さ」を、この試合についてはフェヘイラ・狩野美雪両選手が見事にカバーしていた点が挙げられるだろう。そして彼女達のその見事な攻撃力を引き出したのは、ベスト6にも選ばれた久光の新しい正セッターのトスにあることは言うまでもない。そう言えば、この決勝戦は、「低くて早い」トスを信条とするセッターと「高くて早い」トスを信条とするセッターの対決とも呼べる試合であった。結果は、ご存じの通りである。

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決勝戦〜久光製薬-JT(その1)

セミファイナルラウンドで久光は、レギュラーラウンドで負け越したJT・パイオニアの両チームから勝利をものにして決勝進出を決めた。試合内容は見ていないので断言できないが、公式記録を見る限り、レギュラーラウンドと違って、スタートローテーションを相当綿密に計算して決めていたようだ。それは、セミファイナルラウンドのパイオニア戦の試合後の真鍋監督の記者会見コメントからも伺える。

「中西美雁の日々是排球」より引用


真鍋監督「前半、橋本が緊張のせいかトスのバラつきがあったが、2セット目以降はサーブで崩し、拾うという自分たちのパターンができた。途中、相手のローテーションが変更になったのは想定していた。・・・(以下略)」

決勝のJT戦も、真鍋監督は恐らく色々なことを想定して、敢えて完勝したセミファイナルラウンドともスタートローテーションを変えて、狩野美雪選手が前衛レフトからスタート。しかしながら、肝心のコート上の選手達の方はと言うと、試合開始早々はベテラン揃いの久光には似つかわしくない程、全員の動きが余りにも堅く、それは真鍋監督も想定外だったかもしれない。1-2の場面から、宝来選手のサーブに対して狩野美雪・成田・佐野各選手の「鉄壁のレセプション」が立て続けに乱され、いきなり1-6の劣勢。フェヘイラ選手のバックアタックで何とか切るも、2-8で最初のテクニカルタイムアウトをJTに奪われる。しかし、そのタイムアウトで少し冷静さを取り戻したようで、徐々に本来の動きが戻り始め、セット中盤は一進一退の展開。そうすると今度は途端にJTにいつものボロ(トランジションでの両センター陣のトスミスをはじめとする、繋ぎの不安定さ)が顔を出し始め、徐々に点差が縮まり、遂に20-19と一旦は逆転に成功する。しかし、セット終盤に狩野美雪選手を宝来選手が立て続けにシャットして、JTが再逆転。最後は今シーズンの久光における「鉄壁のレセプション」の要である佐野選手が、サービスエースを献上してしまうという、このセットを象徴する形で22-25。JTが1セットを先取する。

第2セット、久光はスタートローテーションを3つ回してフェヘイラ選手が前衛レフトからのスタート。第1セットのように序盤でJTにリードを奪われないためという意図と、セット終盤に狩野美雪選手が宝来選手に連続でシャットされたため、この2人がマッチアップしないためという意図であろう。しかし、それでも序盤は1セットを先取したJTの勢いに押され、0-2とリードを許す。さらに、竹下選手のサーブでレセプションを乱され、3連続失点を誰もが覚悟したこの場面で、この試合最大のターニングポイントが訪れる。アンテナ外を通ってJTコート外まで飛んでいったボールをフェヘイラ選手が必死に繋いで、何とかJTコート内へチャンスボールを返し・・・前衛レフトであったフェヘイラ選手は、JTコート外まで飛んでいったボールを繋ぐため、ブロックにつく余裕がない状況であったにもかかわらず、JTセッターの竹下選手はこの場面で、ライトのケニー選手にトスを上げずにレフトの谷口選手のレフト平行を選択したのだ・・・結果、それを成田選手が見事にシャット。真鍋監督がスタートローテーションを回したことで、結果的に谷口選手のレフト平行に対して、成田選手がライトブロッカーとして当たることになったのが功を奏したとも言えるのだが、これが試合の流れを完全に変えてしまった。たとえ、成田選手がブロックを決められず、谷口選手のスパイクが決まっていたとしても、全日本女子の正セッターたるものに、決して許されざる初歩的ミスだったと言わざるを得ない。このプレーで冷静さを完全に取り戻した久光が、セット中盤15-16の競り合いで再び谷口選手を成田選手がシャットして勢いに乗る。25-21で久光が取り返す。

第3セットに入ると、気持ちの面でも押され始めたJTが、久光のサーブでレセプションを乱されて一方的な展開となり、25-21。久光が王手をかける。

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2007年4月20日 (金)

3位決定戦〜パイオニア-武富士

第1セット、一進一退のサイドアウトの応酬で17-17。ここで吉田監督がまず動く。メグのスパイクサーブで武富士のレセプションを乱して、エステス選手に上がるであろう2段トスをブロックで仕留めようとユウをウィズに代える。しかし、その目論見はメグのサーブミスであっさりと崩れ去った。直後、ユウが前衛にいないことで、パイオニアはせっかくの前衛アタッカー3枚の状況にもかかわらず、武富士にウィズへのマークを完全に外されて両サイドの攻撃に対して確実にワンタッチを取られ、このセットでの唯一と言える連続失点を献上して17-22。ユウをウィズに代える戦略は完全に裏目に出てしまった。結局この連続失点が響いて、20-25でパイオニアは第1セットを落とす。

セミファイナルラウンド、もちろん目にすることは出来なかったので断言は出来ないが、吉田監督が今シーズンのレギュラーラウンドを通して、ずっと戦術として使い続けてきた「2枚替え」を、セミファイナルラウンドではなぜか封印してしまったこと、さらには(贔屓目があるのは認めるが)パイオニアが今シーズン4強入りを果たせた一番の立役者と言っても過言でない、現在のパイオニアの組織的バンチ・リードブロックシステムの要でもあるユウを、セミファイナルラウンドではセット序盤早々にウィズと交代させていたり、スタメンから外れるセットも多かったのが一要因になってしまったのではないか? と思っていただけに、1セット目が終わった直後には「また同じようなパターンか・・・」と思わされたが、ただユウをウィズに代えた場面での連続失点以外は、問題なく本来のパイオニアのバレーが展開されていたため、さほど胸騒ぎはしなかった。

私の気持ちが吉田監督に伝わったのか? 第2セットからは、吉田監督はユウを信頼して使い続け、そしてユキとマミ・リーとユミの2枚替えを見せてくれた。交代早々ユミはサーブで武富士のレセプションを見事に乱し、以降3〜4点のリードを常に保ちながらセット終盤22-18の場面で、メグのスパイクサーブが回ってくる。そこで見事に連続で武富士のレセプションを乱して24-18。第2セットはあっさりとパイオニアが取り返す。

迎えた第3セット、第1セット終盤以来再び、武富士に連続得点を許して1-5。武富士に試合の流れが傾きかけたところで、この試合最初の重大な局面が訪れる。(フジテレビ739の放送では残念ながらわからないのだが)レオのパイプ攻撃で何とか連続失点を止めた直後、ユキがサーブを打ちに行こうとして、彼女がまさにサーブを打とうとした瞬間に「(サーブ順が違う)コウだよ、コウ!」という声が聞こえてきて、パイオニアの選手達はサーブ順の間違いに気づく。慌ててメグがとりあえずのフローターサーブを打ったのだが、そのドタバタの場面でユウが見事にブロックを決めて、試合の流れが大きく変わった。気づけば8点目のテクニカルタイムアウトはパイオニアが奪う結果となり、以降一進一退の展開。17-17の場面で吉田監督はユキとマミ・リーとユミの2枚替えを使い、ユミはこのセットでもサーブで武富士のレセプションを乱し、返ってきたチャンスボールをレオに見事な「高くて早い」トスを上げて得点に繋げる。しかしそのあとは逆に武富士にレセプションを乱されて、パイオニアは試合の流れを完全には掴みきれない。セット終盤まで一進一退のサイドアウトの攻防が続き、23-23。その場面で武富士は連続で見事なディグを見せて、繋いだ2段トスをエステス選手が渾身のスパイクで決めて、武富士が先にセットポイント。その苦しい場面をレオがきっちり決め返して24-24のジュースへ突入。そこで次の重大な局面が訪れる。吉田監督はその場面でウィズを、アサコに代えて投入。25-25のジュースで武富士のサーブとなり、ここで逆に石原監督が動いて、ピンチサーバーとして足立選手を投入し、同時に前衛のセッター井村選手に代えてピンチブロッカーとして五十川選手を投入。足立選手は見事にパイオニアのレセプションを乱し、武富士の思惑通りにチャンスボールが返って来たが、その場面で武富士は後衛レフトの吉澤選手がトスアップを行った・・・結果的には、それが武富士にとっての最大の致命傷となった・・・彼女がトスアップを行おうとする時点で、トランジションの攻撃パターンは前衛レフトのエステス選手へのレフト攻撃しかないことが誰の目にもわかる状況となってしまい、パイオニアはウィズを中心とした3枚ブロックが完成、リーが見事にシャットしてパイオニアのセットポイント。こうなると井村選手がコート上に戻ってきても、その危機一髪の場面ではエステス選手にトスが上がるのは明らか。直後もパイオニアはウィズを中心とした3枚ブロックが完成、今度はレオが見事にシャットして、27-25。試合の流れをパイオニアはがっちり掴んだ。

第4セットは流れを掴んだパイオニアが序盤から主導権を握り、前セット最後に連続シャットされて意気消沈したエステス選手に対してユウが見事なシャット・ワンタッチを連発。トランジションでレオ・メグが着実にスパイクを決め、さらには2枚替えで登場したマミが長いラリーを制する見事なスパイクを武富士コートに突き刺す。23-19の場面で前セット同様に吉田監督は、アサコに代えてウィズを投入。23-20の場面で再びエステス選手のレフトオープンにパイオニアの3枚ブロックが揃って、遂にウィズ自身がシャット。これで勝負は決まった。最後はレオが決めて25-21。

勝敗を分けたのはもちろん、第3セットのジュースの場面だったわけだが、パイオニアの連続ブロックシャットを産む結果を呼び込んだのは、せっかく思惑通りに足立選手のサーブでチャンスボールを呼び込んでおきながら、トランジションで後衛レフトの吉澤選手がトスアップを行ってしまった武富士の戦術ミスにあった。後衛レフトは本来、パイプ攻撃に参加しなければならない立場であり、当然あの場面でトスアップを行うべきは前衛センターであった石川選手(あるいはリベロの和久山選手)であった。ライト側にはピンチブロッカーとして五十川選手もいたわけで、両サイドおよびバックセンターへトスを上げられる状況を作れたはずなのに、、、。結局、良くも悪くもエステス選手一人に頼らざるを得ない状況だったことが、この場面に石原監督が選択した戦術で露呈した。昨シーズンの武富士ならば絶対このような戦術ミスは犯さなかったはずだ。エステス選手はよく頑張ったと思うが、来シーズンの武富士が出来れば彼女を助っ人として呼ばないことを(パイオニアファンとしてではなく)バレーファンとして願うばかりだ。

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2007年4月16日 (月)

ファイナルラウンド(女子)こぼれ話

残念ながら、今シーズンのパイオニアの2連覇達成の夢はセミファイナルラウンドで潰えてしまったが、気を取り直してさいたまスーパーアリーナへ向かった(3位決定戦・決勝戦の模様は、後日詳しくアップ予定)。この際、思いっきりミーハー路線で、会場限定販売のパイオニアグッズでも手に入れて、パイオニアレッドのスティックバルーンをガンガン叩きまくって応援してやろうかと思い、その通り実行してきた(苦笑)。

で、会場入りして、座席を確保するや否や、すぐにパイオニアブースへ。大画面プラズマ(もちろんパイオニア製)にレッドウイングスのPR映像が流されているのがまず目に入り、その映ってる映像DVDにして売ってくれればいいのに・・・とちょっとガッカリした次に目に入ったのが、レッドウイングスのチームロゴ入りのウェアを着た(これも恐らくパイオニア製の)オルゴールテディベアー。他のトートバックやキーホルダーは以前から売っていたものばかりだったので、多分今回の「会場限定品」はこれだろうと思い、買うことに決めた。

少し恥ずかしいと思いつつ、テディベアーを指さして「これ、下さい」と伝えたところ、「えっと、誰のサインのやつ(が御希望)ですか?」と言われて、えっ!?

確かによく見てみると、レッドウイングスのチームロゴの辺りに選手のサインがしてあった。「じゃぁ、誰のがあるんですか?」と聞くと、「#0(レオ)と#1(メグ)以外はあります(売り切れてません)」とのこと。まぁ、当然だろう。
一瞬考えたが、気持ちはすぐに決まった。


・・・「#4を下さい!」・・・


手渡された箱のてっぺんには、こんな文字が、、、。


Dsc00779
誰が書いたの??


で、中身はこんな感じ、、、。


Dsc00780
なかなかいい感じ!

最近すっかりユウヲタな私ですが、それが何か?

満足して座席に戻り、そしてパイオニアの勝利の瞬間をしっかり目に焼き付けた。
試合後に応援団の前に整列する中、ガッツが一人泣き崩れている姿に目を奪われ、思わずもう一匹、、、


Dsc00783

ガッツの箱はシンプルに『#20 Gattsu』って書いてあるのみ。ベアーの方にもおんなじ筆跡で『Gattsu』って書いてあるってことは、ひょっとしてユウ、自分で書いたの?? 『ゆうさぁまぁ〜〜』って?

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2007年4月 6日 (金)

今シーズンの4強

昨年に続いて、4強に残ったチームについてまとめてみたいと思う。

結局、何だかんだ言ってもシーズン開幕当初から注目して、細かくこの場でコメントしてきたチーム(久光製薬・JT・武富士)が残る結果となったわけだが、まず久光製薬から、シーズン当初の戦いぶりと終盤の戦いぶりに変化が出て来ているのか? を中心にまとめてみたい。

今シーズンの久光はリベロの佐野選手・オポジットの成田選手・レフトの狩野選手を軸として、昨シーズン以上の堅いレセプションを展開する一方で、ケニア選手よりミスが少なく早い攻撃の出来るフェヘイラ選手・そして久光「本来の」センター線(先野・大村両選手)を中心とする攻撃を繰り出し、攻守とも一見「死角のない」ように見える程の堅実なバレーを展開できるという点が、何よりもの強みであった。
しかし、これまで何度も書いてきたとおり、一見無いように見えた「死角」として、昨シーズンあれほど決定力のあったトランジションでの攻撃が、今シーズンは明らかに低下している点が挙げられた。シーズン中盤までは、大黒柱の先野選手のずば抜けた個人能力により、何度も苦しいトランジションの場面を凌いで勝利を重ねてきたが、その「死角」を克服する打開策のないまま第3レグに入り、大黒柱の彼女にアクシデントが生じると、助っ人のフェヘイラ選手一人に頼らざるを得なくなった。第2レグから狩野選手に代わって落合選手がスタメンで出る試合が増え始め、真鍋監督としてもバンチ・リードブロックシステムとそれに連動するトランジションでの攻撃システムに難があることを悟ったのか? と思いきや、先野選手の故障が影響してか? リーグ終盤には結局また狩野選手をスタメンに戻してしまった、、、。先野選手が復帰してからの久光の戦いぶりは目にすることが出来なかったわけだが、昨シーズンの決勝戦を見ていても、失礼ながら真鍋監督に短期間での修正能力が高いという印象はないだけに(それは本格的な監督業を始めてまだ2年目故、仕方がないことであろう)、これだけの大きな致命的欠陥の打開策が果たして決勝ラウンドまでに見いだせるだろうか? それが最大の鍵であろう。

続いてJT。このチームについても何度も書いてきたとおり、寺廻体制2シーズン目となりようやく、寺廻監督が目指すバレースタイルが選手達に浸透したらしく、特にバンチ・リードブロックシステムとそれに連動するトランジションでの攻撃システムを重点的に練習してきたのが手に取るようにわかり、従来からあるこのチームの欠点としての、トランジションでの繋ぎの不安定さ(=両センターのセットアップ能力)が目立たなくなった。更なる欠点として挙げられるレセプションの不安定さを繕うために、本来センタープレーヤーながらも器用でレセプションをこなせる高木選手をチームの軸に据えるというチーム方針が、彼女をキャプテンに指名したことからも明確に見られた。シーズン当初は試合によっての波が激しく、チームの軸に据えられた高木選手が「いっぱいいっぱい」といった印象だったが、第2レグのシーガルズ戦で完敗した次の試合から寺廻監督は両レフトの表裏を入れ替え、谷口選手を表レフト・高木選手を裏レフトに据えると、結果的にはその後パイオニアに1敗した以外は全勝でリーグを駆け抜けた。波が激しく4強入りが微妙な頃は、ケニー選手の卓越した身体能力に頼り切るトス回しであったものが、連勝で勢いづいて一気に4強入りを現実のものに近づけた後は、トス回しにも余裕が出てセンターの打数が増えて、戦いぶりに安定感が出た。勢いからみれば、10連勝のままファイナルラウンドに突入出来るJTは、他のチームよりも優位な立場にあると言えるだろう。
しかし、昨シーズン7連勝でファイナルラウンドに突入した久光製薬は優勝を逃している。勢いだけでは勝てないのが、決勝の舞台というものだろう。同じ土俵に戻って戦う今シーズンのファイナルラウンドでは、やはりそのチームの「本質」が如実に露呈する。今シーズンのJTの「本質」は上述の通り、高木選手を軸にしつつケニー選手の個人技に頼る、というものだ。それで果たして勝ちきれるのか? それが鍵であろう。

さらには武富士。このチームについてもこれまで何回も書いてきたように、シーズン開幕当初から最適な「配列」を決めかねている印象だったわけだが、最終的にはやはり昨シーズンの4強入りの原動力となった吉澤選手の高速レフト平行に頼るべく、彼女を当初のオポジットからレフトに戻し、(記憶する限り)何年もずっとスタメンから外れることがなかった(と思われる)足立選手がピンチサーバーに回る形で落ち着いたようだ。第3レグに入ってこの「配列」にして以来、それまで「上位チーム相手でも下位チーム相手でも」フルセットの戦いばかりだったものが、少なくとも下位チーム相手には「完勝」できるようになった。
しかし昨シーズン、ハニーフ選手をセンターブロッカーに据えることで機能したバンチ・リードブロックシステムは、今シーズンはリーグを通じてみても今ひとつの印象だったと言わざるを得ないだろう。やはりエステス選手に往年のプレーを求めるのは酷だったようで、レセプション・スパイク・ブロック全てを100%の力で行うのは無理なようだ。そのためどうしても、ブロックに関しては疎かにならざるを得ず、結果的には石原監督の目指す組織的なバレーは、昨シーズンと比しても完成度は低いまま決勝ラウンドを向かえることとなりそうだ。しかしそれでもここまで勝ち星を重ねてこられたのは、幾度のフルセットを悉くものにしたことが如実に表している通り、ベンチワーク・采配の巧さの賜物と言えるだろう。特にサーブ戦術は、昨シーズン同様に武富士に勝利を呼び込むために欠かせない要素であり(昨シーズン勝ち越した久光製薬相手に今シーズンは全く歯が立たなかったのは、今シーズンの堅い久光のレセプションを崩しきれずにラリーに持ち込めなかったためではないか? と想像する)武富士としてはそれに賭けるしかないかもしれない。

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2007年3月21日 (水)

それは無謀じゃないですか?(パイオニア-日立佐和)

試合開始時間が前日より早いことを計算しつつ、ただ距離的には前日より近いことを考慮して、前日より少し早い程度に出発したが、到着してみてビックリ! 何と準備された駐車場がすでに全て満車だというのだ! 前売りチケットの売れ行きから考えれば、どの程度駐車場を準備しなければならないかぐらい、容易にわかるだろうに。駐車場を仕切っているガードマンのおじさんは、ただ「満車です」といって体育館へ入ろうとするのを制止するだけで、「代わりにどこそこの駐車場に行って下さい」とかいうようなことは一切しない。地元のただの通りすがりの人に「バレーか? どこが来てるんや? えらい人(の多さ)やなぁ」と聞かれて、「えーと、JTとSHARPと・・・」


・・・しゃ、シャープ?!・・・


まぁ、チーム名など知らなくても仕方あるまい、と思いつつ、気持ちを切り替えて近くの大型スーパーマーケットの駐車場へ(目立たないよう)停めて(勿論、そこで昼食や飲み物もちゃんと買ったうえで)、すでに会場前の空間を埋め尽くしていた観客の長蛇の列に並んで、(ほぼ定刻どおりの)開場とともにアリーナエンドの(最前列でない)席を何とか確保したが、ひな壇のない座席並びのため、あまり見やすい席とは言い難かった。


2レグでの日立佐和戦で苦戦を強いられたことは、以前に書いたとおりだが、その流れから考えて、この日のパイオニアが試合開始早々、ユキがリーのBセミへトスを上げたのは、至極自然なことであろう(NHK BS1の中継をビデオ録画されてらっしゃる方は、ご確認下さい)。その直後、メグのサーブが回ってきて、そこで目にした光景に私は一瞬自分の目を疑った。


・・・ち、ちょっと待てよ、、、え?! ホントに山城(選手)レセプションフォーメーションに入るの?? それもよりにもよってメグのサーブの場面で!?・・・


結果は言うまでもなく、見るも無惨な結果だった、、、。それは無謀というものじゃありませんか? 他のローテーションでは彼女はレセプションフォーメーションに参加しないのに、、、。

前日より山城選手はスタメンで出場していたようで(松尾選手が故障とのこと)、恐らくパイオニアは、前日のスカウティング(偵察)により、そのことをわかったうえでスタートローテーションを決めていたのだろう。前回の対戦で見られた、松尾選手がサーブを打ち終わった直後のお粗末なレセプションフォーメーションは今回は見られなかったが、あの時のレセプションフォーメーションに対してマミのサーブが炸裂した場面と、今回のメグのサーブの場面が重なって見えた。そして前回同様、やはりそれでも日立佐和はスタートローテーションを回すことが出来なかった、、、。第1セットは相手のレフト陣(井西・山城両選手)を止めきれず、セット終盤の21-22の大事な競り合いの場面でアンラッキーなプレー(アサコのペネトレーション・フォルト)で流れを失い、22-25で落としたパイオニアだったが、そのイヤな流れを断ち切ったのが第2セット早々のメグのスパイクサーブだった。山城選手を庇おうとするリベロの井野選手を、いきなりのサービスエースで崩して試合の流れを取り戻し、セット中盤でユウの一人時間差などで日立佐和のマンツーマン・コミットブロックを翻弄、25-19でこのセットを取り返すと、勝負の第3セットでもレオがレセプションで狙われて崩され、点数的に競り合っていたセット中盤で、メグのスパイクサーブが山城選手を容赦なく襲って流れを掴んだ。このセットからは(恐らくは吉田敏明監督の指示で)相手のレフト陣を止めるために、パイオニアもリードブロックを崩して(第1セットから厳密な「バンチ」は採らずに、ライトブロッカーはリリース "release" して(=バンチから外れて)マンツーマンで相手レフトをマークしていたが、ブロックアウトを取られていた)、マンツーマン・コミットブロックに要所で切り替えを図り、それが成功した。レフト陣を止めきれずにいた試合途中には、ウィズの出場があるか? と思いながら見ていたが、この切り替えが功を奏し、前日に続いて彼女を使う必要性がなくなった。

第4セット、日立佐和がスタートローテーションを回す代わりに、山城選手に代えて菅原選手をスタメンで使ってきたのは理由は手に取るようにわかる。勿論、パイオニアのファーストサーバーとなるメグのサーブに対するレセプション固めのためである。その代わり当然、攻撃力は山城選手が出ているよりは低下するわけで、その時点で私はパイオニアの勝利を確信した。

それは良いのだが、第4セット途中から、私は試合に集中できなくなった。なぜなら(テレビの中継でもよく聞けば聞こえます)場内放送で「スギ薬局とMAX VALUE(体育館近くの大型スーパーマーケット)に駐車してらっしゃる方は、今すぐに車を移動して下さい、レッカー移動されます」と何度も連呼されたからである!


・・・それはないやろ、、、 ホントにもしレッカー移動されたらあんた達の責任やろ!・・・


と心の中で思いつつ、結局試合が終わると同時に(インタビューも聞かずに、イヤ聞けずに)すぐに車の移動のために会場外へ出た。そして、再びガードマンのおじさんとの対決。「満車です」の一点張りのガードマンに対して、「チケット持ってるんですよ! それなのに駐車場がないからって見られないのはおかしいでしょ! じゃぁ、チケット代返して下さいよ!」と嗾けたら「じゃぁ、周りのMAX VALUEとかの駐車場に、、、」って、だからそうしてたら注意されて戻ってきたんだってばっ!
結局、こっちが一歩も引かなかったら、諦めたらしく中へ入れてくれた、やれやれ。


会場運営も酷かったが、この日のNHK BS1の中継も、解説を聞くのが苦痛だった、、、。いつもこの方の解説はそうなのだが、その直前にあったGAORAの放送(グリーンアリーナでの久光戦)の解説が番平さんだっただけに、それを見た後では、あまりにも解説のレベルに差が激しいからだ(久光戦の第4セット、ユウが速攻を決めた後の解説などは、バレーの中継でそうそう聞ける解説ではない、、、あの試合は番平さんの解説があったので、私も何も投稿することがないと感じたくらいの素晴らしい解説だった)。第4セットのスタメンで菅原選手が出てきたことに対する理由をアナウンサーに聞かれて、あんな答えしかできないなんて、、、この方最近ホントによく解説されてますけど、普段(解説しない時に)ホントにバレーの試合見てるんでしょうか??


最近すっかり辛口ですが、それが何か?

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ウィズが戻ってきた!(パイオニア-トヨタ車体)

関市総合体育館は、車で行く分には思ったより近かった。

全ての席が自由席のため、エンド側の見やすい席を確保するためには当然、開場時間よりも遥かに早い時間に到着する必要があり、並んで開場時間を待っていたが、如何せん外で長時間待つにはこの日の岐阜は寒かった、、、。

それより何より、当日券を販売するためのスペースがなくて、外にパイプ椅子とテーブル一つを設置して、岐阜県バレー協会の方々が直に販売していたのにビックリした。そんな体育館でVリーグの試合やってもいいんだろうか?

どうやら当日券を販売する関係者の方自身が、外の寒さに耐えられなかったらしく、列をなして並んでいた私たちに向かって「今、予定より早う開けてもらえるように、中の偉いさん方に一生懸命ゴマすってるからよぅ、もうちょっと待ってなー。オマエら(中の偉いさん方のこと)外に出てこの寒さ実際に味わってみろ、ってんだ。」と言ってくれたのが、少し微笑ましい光景だった。そのゴマすりが通じたらしく、予定より30分程前に開場され、無事にエンドの最前列を確保した。小野でもエンドの最前列で観戦したが、小野よりもコートに近い感じがして、パイオニアの各選手達の姿にちょっとドキドキ感を覚えてしまった(苦笑)。

その中に、右手の負傷のためにベンチから外れていたウィズが久々にプレーする姿があった。この時期に彼女が間に合ってくれたのは、パイオニアにとっては心強い限りだろう。残り5試合のうち、下位の上背のあまりない4チームと連戦が続くパイオニアとしては、相手を圧倒する高さを持つ彼女のブロックは重要な武器となるはずだからだ。スパイク練習でも、ようやくセッター陣とコンビネーションが合ってきた印象で、頼もしい限りだった。


一方対戦相手のトヨタ車体。このチームを生で見るのは、ほとんど初めてに近い状態であり、興味深く試合前の練習風景も見ていたが、恐らくは葛和総監督の指導であろう、NEC同様のバンチ・リードブロックシステムを徹底して採り入れ、念入りにパイオニア対策としての、トランジションでのパイプ攻撃やライトからのバックアタックに対するブロック練習を繰り返していた。当然のことながら、その「仮想」パイオニアとして、バックアタックを打ち込むのは男子のコーチ陣だったが、失礼ながら、、、


・・・貴方たちより、レオ・メグが実際に打ってる打点の方が高く見えるけど・・・


と思ってしまった(爆)。

で、実際に試合が始まってみると、、、案の定の展開だった。トヨタ車体の「バンチ」をあざ笑うかのように、ユキは両サイドのアンテナぎりぎりの「高くて早い」*1トスを繰り出し、1セット目序盤から一方的な展開となった。中盤からはレオのパイプが炸裂、トヨタ車体のブロッカー陣は試合前の練習通りに3枚ブロックを敷くも、その上や遅れてきたサイドのブロッカーとセンターブロッカーとの間を見事に抜いて見せた。トヨタ車体も何とか渾身のディグで粘りを見せるが、如何せんトランジションでの攻撃、特に前衛アタッカーが2枚の場面で、パイオニアのバンチ・リードブロックシステムの餌食にあい、あっさり25-16で終了。仕方なく第2セットでは、トヨタ車体がローテーションを3つ回して表裏を完全に入れ替えてくるが、それでもスタートから4−1・10-4とパイオニアの一方的展開は変わらず。終盤でピンチサーバーとして出場した西選手のサーブに崩されて連続失点した以外は、終始一方的展開で25-18。第3セットこそ競った展開となったが、「逆転されても負ける気がしない」といった感じで26-24。1レグでの東レ戦以来の完勝であった。

何より、ウィズを使う必要性を全く感じさせない完勝であったことが大きかった。


*1「高くて早い」トスとは何ぞや? これについては、後日詳しく投稿予定。因みに、加古川での武富士戦でレオの決定率が低かったのは、彼女の不調だったのではなく、ユキのトスがこの「高くて早い」トスに程遠いトスだったことが原因である。

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2007年3月13日 (火)

兵庫県バレー協会は酷すぎる!

予定通り、加古川・神戸と観戦してきた。

昨シーズンも確か第3レグに姫路(加古川の近く)・神戸で連戦があり、どちらの会場とも大盛況だったが、それは尤もなことだ。兵庫県と言えば、現在の全日本女子の主力メンバーが所属する、JT・久光製薬の2チームがホームとしている都道府県であるからだ。2年続けてGAORAの中継もあり、全国的にもその盛況ぶりは充分に伝わったことであろう。

しかし、会場運営がいかなるものなのか? は伝わるものではないであろう、、、。兵庫県バレー協会が運営する大会は、あまりにも会場運営が酷い! のだ。

まず、会場に入るための入り口がわかりにくい。これは今シーズンの開幕戦の尼崎の会場でのこと。尼崎ももちろん、兵庫県だ。そして、会場に入った後、アリーナ席へ辿り着くためにどう進めばいいのか? それを会場係員が全く説明しようともしないし、大きくわかるように書いてある張り紙もない。これは尼崎・加古川・神戸に共通する(神戸については、昨シーズンの観戦時に苦労を経験して以来、アリーナ席への辿り着き方は鮮明に覚えているので、個人的には迷うことはないのだが)。

そして極めつけ、、、それは加古川だ! 朝6時に起きて、9時半には会場入りし、上述の通り、またまたアリーナ席へ辿り着くのに会場内を右往左往した後、ようやくエンド側のアリーナ席に辿り着いた時点では、まだ朝早いこともあって、観客の入りは疎ら状態だった。まったりと見られるのかと思いきや、試合が始まり、徐々にセット終盤の佳境が近づくにつれて、普段ならば気持ちが高まっていくはずなのに、全く試合に集中できない、、、。なぜかって? それは、次々とセット途中に観客がアリーナへ入ってきて、自分の席を探して右往左往するわ、ドンドンと架設の観客席全体を揺らしながら、階段を上がってくるからだ! 確かに、皆さんのお目当ては第2試合のJT(の竹下・宝来・菅山選手)なのかもしれない。それは仕方のないことだが、観戦する上での最低限のマナーとして、試合のインプレー中に観客が客席を動いてはいけない。そんなこともわからない観客も観客だが、それを仕切れない、いや全く仕切ろうとしない会場係員も係員だ! 普通は、途中からアリーナ席に来場する観客に対しては、係員がチケットの座席番号を確認して、しかるべきタイミングで座席に直接誘導するものだ! さらに輪をかけて酷いのが、アリーナの架設観客席の設置の仕方だ。本来は、架設観客席の最後方(即ち一番高いところ)から出入りができるように設置すべきであるのに、出入りが最前列からしか出入りできないようになっているから、途中から自分の席に向かってくる観客と、セット途中で(恐らくトイレに)出ていこうとする観客とが交錯する。その都度、視界は遮られるうえに、座席は激しく揺れる、、、結局最後まで、試合には集中できなかった。もちろん、パイオニアの不甲斐ない試合ぶりも影響しているのだが、試合が終わった瞬間、第2・第3試合を見ることなく、会場をそそくさと後にした。長年バレー観戦をしていて、こんなことはそうそう経験することではない!

もちろん、兵庫県での大会には、想定以上の観客が訪れているために人員のcapacityを超えている、という側面もあるのかもしれない。確かに、同じ兵庫県でも唯一、小野だけは別にこのようなことはなく、非常に快適に観戦できた。小野の観客数は887人に対し、加古川は3,000人を超えていた。しかし、例えばお隣の大阪府も、兵庫県同様にV・プレミア男子の8チームのうち、実に3チームもがホームとする都道府県であるが、このようなお粗末な会場運営は見受けられない。今シーズン、V・プレミア男子のパナソニックのホームゲームも観戦した(ニコロフのサーブは凄かった!)が、実に洗練された会場運営だった。会場内のトイレは全て女性専用とし(男子の場合の観客の男女比率や、相対的にトイレに行く頻度の男女差を考えれば、尤もな運営スタイルだ)、アリーナ内にクロークサービスまで設けられていた(勿論、「パナソニック」という企業のイメージアップ戦略の一環であることは明らかだが)。当然のことながら、加古川のようなマナーをわきまえない観客もいない。現在、男子バレーファンは少なくなっているが、今も男子を見続けているファンは、間違いなく「真の」バレーファンである。一方の女子バレーファンは、完全な「にわか」ファンが多数を占める。単に、観客数だけを見ての「大盛況」という状況にあぐらをかいて、真のファンサービスを疎かにする会場運営では、「真の」バレーファンは会場から確実に足が遠のく。昨年秋の世界バレーの入場料収入が大幅減に終わったのも、頷ける結果である。日本バレー狂会だけの問題でなく、各都道府県のバレー協会も真剣に考えるべきである!

「兵庫県」と括ってしまったが(こう見えても、実家は兵庫県にある、元兵庫県人なのだが、、、)、ひょっとすると、私が足を運ぶ近畿圏内で大阪と兵庫の差が激しいだけで、全国的に見れば実は兵庫レベルが「当たり前」で、大阪だけがレベルが違うのかもしれない。大阪は大昔から、黒鷲旗という極めて特殊な大会を毎年運営している実績・経験があるからこそ、なのかもしれない。このあたりは、是非近畿圏以外の方に教えて頂きたい。

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2007年2月28日 (水)

京都府立体育館観戦三昧(その3・日立佐和-パイオニア)

日立佐和もシーガルズ同様、基本的にマンツーマンコミットブロックシステムを敷くチームである。従って、基本的にアタッカーとブロッカーの「1対1」の戦いとなる。

第1セット、日立佐和のセンター飯田選手にユウの攻撃が封じられる。レオ・リーの両サイドの攻撃でサイドアウトを取って、セット序盤は一進一退の攻防となるが、中盤に入るとレセプション後のパイオニアの両サイドからの攻撃に対してコミットブロックでコースを抜かれたボールに対して、日立佐和の見事なディグが炸裂して長いラリーに持ち込まれ、しびれを切らしたパイオニアのスパイカー陣にミスが目立ち始め、じりじりと点差が広がる。一方、日立佐和のレセプションは終始完璧で、パイオニアは一発でサイドアウトを取られてしまい、ユキとマミ・リーとユミの2枚替えも機能せず、なかなか点差が縮まらない。終盤に少し追い上げるも25-20で日立佐和が先取。

第2セットも同様の展開。吉田敏明監督は、サーブで狙われてレセプションを崩され、ライト攻撃で相手レシーブ陣に拾われまいと「きれいに」決めようと意識し過ぎてサイドラインを割ったリーをマミに交代させ、第1セットからほとんど決まっていなかったメグもマイに交代させるが、日立佐和に傾いた流れは変えられず、25-21で日立佐和が連取。

このパターンはどこかで見たパターン、、、そう、去年の黒鷲旗の準々決勝で日立佐和にストレート負けしたときと同じパターンだ。前日シーガルズにやられた久光とも同じパターンである。しかし、このままの試合の流れで最後までいってしまうような雰囲気は感じられなかった。なぜならこの第2セットに見せた吉田敏明監督の采配の中に、試合の流れが変わりうる要素が見られたからである。

第2セット途中、メグに代えて投入されたマイが、レフト平行ではなくBセミを見せて、日立佐和の2枚ブロックの間を見事に抜いて見せた。実は彼女の出場は、第3セットの序盤までの僅かな間だけであったのだが、その僅かな時間も、吉田敏明監督にとってみれば、日立佐和のブロックシステムを切り崩す攻撃システムが、両サイドのアンテナいっぱいの平行ではなく、センター付近での時間差攻撃にあることを確信するに充分な時間であったと思われる。第3セットに入り、ユキはレフト平行よりもBセミを多用し始める。吉田敏明監督はさらに、第3セットからスタートローテーションも回してきた。その意図はセット序盤にはわからなかったのだが、セット中盤になり、マミのサーブに崩され始める日立佐和の姿を見て、日立佐和のローテーション上の「致命的欠陥」が露呈した! 日立佐和を生で見るのは、今シーズン初めてであったために初めてここで気づいたが、今シーズンの日立佐和で攻撃面での大黒柱となっている松尾選手がどうやらレセプションを苦手にしているらしく、彼女はサーブを打ち終わった直後のレセプションの場面では、彼女がリベロと交代している。このローテーションで前衛はアタッカー2枚(この日のスタメンではレフトの菅原選手とセンターの嶋田選手)であり、後衛が飯田・斎藤・松尾の3選手なのだが、そこで松尾選手とリベロが交代するため、後衛にレセプションを行わないセンターの飯田選手がコート上に残らざるを得ないのだ。だからと言って飯田選手はバックアタックを打つわけでもなく、一方の前衛アタッカーは上述の2枚であり、正直このローテーションでレセプションが乱れると、ローテーションが回らない可能性が高いのだ! このローテーションに、今シーズンこれまでの試合でもピンチサーバーとして活躍してきたマミのサーブが当たれば、、、吉田敏明監督がスタートローテーションを回した意図は、どうやらここにあったらしい。途端にパイオニアのブロックシステムが機能し始め、アサコ・ユウのブロックシャットが炸裂する。日立佐和のコート上の選手達の顔から、余裕の笑顔があっという間に消え、一気に形勢は逆転し、25-18でパイオニアが取り返す。

第4セットに入り、レオが徹底してBセミを打つと、日立佐和のブロックシステムは全く機能しなくなる。試合序盤は完全に封じ込まれていたパイオニアのセンター陣の攻撃も機能するようになり、さらにこの日の「ヒロイン」であるマミが連続してスパイクを決めて、パイオニアの一方的ペースとなり、全くスパイクが決まらずに途中マイに代えられていたメグまでもがスパイクを決め始める。25-18でパイオニアが連取して、2日連続のフルセットへ。

第5セットが始まる前、勝負は日立佐和のスタートローテーションでほぼ決まる、と言ってよい状況だった。3・4セット目はマミのサーブが回って来さえすれば、大量得点が確実にパイオニアに入ると誰もが思える程の日立佐和の崩れようだったのだ。それにもかかわらず、日立佐和のスタートローテーションが、1〜4セット目と全く変わっていないのを見て、私はパイオニアの勝利を確信した。結果は皆さんご存じの通り、15-5でパイオニアの圧勝であった。

もちろん、途中出場となったマミのサーブ・スパイクでの活躍が勝利を呼び込んだのは間違いない。しかし、前日の久光の戦いぶりとは全く異なり、コミットブロックシステムを敷く相手チームに対して、自チームの攻撃システムが機能していないことが判明した場合に、冷静に攻撃システムを切り替えることに成功したパイオニアの「調整能力」こそが、この日の勝利の最も重要なポイントだったと言える。それがなければ、たとえマミが同じ活躍を見せたとしても、ここまで一方的な展開にはならなかったであろう。さらに言えば、マミはリーとは異なり、レセプションには参加しない、いわば「スーパーエース」である。彼女をスタメンで使っても特に支障とならないパイオニアのレセプションシステム、、、これは、男子バレーの戦術で当たり前の「世界標準」システムである、リベロと両レフトの3枚でレセプションを行う「3枚レセプションシステム」を採用して、チーム強化を図っていることの表れである。一方、あれだけ特定のレセプションフォーメーションで連続失点を繰り返していながら、スタートローテーションを回せない日立佐和の現状は、ここ最近の日本の女子バレー界が抱え続ける問題点が集約された「縮図」のようにも映った、、、レシーブを信条としてチームを強化していながら、結局はチームで一番攻撃力のある大型のレフトの選手を前衛レフトからスタートしなければ勝てない現実があり、そしてその選手は大抵レセプションが出来ない選手なのである、、、。日立佐和がスタートローテーションを回せなかった理由は、これ以外に考えられない。

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2007年2月26日 (月)

京都府立体育館観戦三昧(その2・シーガルズ-久光製薬)

シーガルズは、基本的にマンツーマンコミットブロックシステムを採るチームであり、相手チームの前衛アタッカーが3枚の場面では、それぞれのブロッカーが相手チームのアタッカー3枚に対して「1対1」の勝負を挑む。しかし、相手チームのレセプションやディグが多少乱れて、トスが上がる場所がある程度絞られた場合には、センターブロッカーはそのトスが上がる可能性が高い場所に対して「デディケート」を行うし、相手チームの前衛アタッカーが2枚の場面では、当然ブロッカー3枚で「デディケート」を行う。「デディケート」というと、"レゼンデバレー"としてまとめたブラジル男子ナショナルチームのブロックシステムを思い浮かべる方も多いかもしれないが(そんなの、ここを真面目に覗いている人だけか?!(爆))、この「デディケート」はあくまで「コミット」ブロックシステムを「デディケート」して行うだけであり、ブラジル男子ナショナルチームのブロックシステムとは全く異なる。

この日のシーガルズは、久光の前衛アタッカーが3枚の場面で、敢えてオポジットの成田選手へのマークを甘くして、先野選手の速攻に2枚ブロックをコミットでつけた。セット前半は地力に勝る久光にリードされるも、フェヘイラ選手のレフトからの強打を見事なディグで繋いでラリーに持ち込むと、トランジションでの決定力に問題のある今シーズンの久光は、当然先野選手の速攻に頼らざるを得ないわけだが、そこで上述の戦略が見事に功を奏し、彼女の速攻をも封じ込めて、一発で決めさせない。すると真鍋監督は、シーガルズに拾い負けてはいけないと考えたのか? スタメンの落合選手を第1セット早々から狩野選手へと交代させる。しかし、これが裏目。トランジションでオポジットの成田選手がトスを上げるシステムを採る久光としては、落合選手がいなくなるとラリー中の攻撃がさらに単調になるだけ。結局フェヘイラ選手のレフト攻撃に頼らざるを得なくなり、それを見越したシーガルズレシーブ陣の思うつぼ。打っても打ってもレシーブされ、トランジションでシーガルズ「お家芸」の両センター(森・山口両選手)の早いライト攻撃を見せられて、フェヘイラ選手は精神的にキレてしまう。セット終盤で逆転されるパターンが続いて、久光は2セットを落とす。

第3セット途中で、真鍋監督はピンチサーバーとして先野選手に代えた徳川選手を、そのまま前衛でもプレーさせ、リズムを変えようとする。シーガルズのレセプションの乱れもあって、何とか久光が第3セットを取り返す。

第4セット、真鍋監督はそのまま徳川選手でスタート。しかし、彼女の攻撃で何かが変わるはずもなく、セット序盤から第1・第2セットと同じパターンで完全にシーガルズの一方的ペースとなり、25-12。久光は遂に首位陥落となった。

シーガルズの組織的ブロックと、それに連動するレシーブシステム、そこでの正確なディグからのトランジションで見せた「お家芸」の攻撃・・・シーガルズが目指すバレーシステムが見事にはまった試合だったと言えるが、勝敗の決め手となったのは、久光の攻撃システムの組み立てがあまりにもワンパターンすぎたことにあると言ってよい。シーガルズのマンツーマンコミットブロックシステムに対して自チームの攻撃システムが通用していないのが明らかであったにもかかわらず、なぜセンター付近での時間差攻撃を中心とした攻撃システムに組み立てを変えなかったのか?? 新セッターの橋本選手の経験のなさは仕方ないにしても、ベンチからそういった指示を出すなり、セッターを渡辺選手に代えるなりするチャンスは、4セットの間に何回もあったはずだ。もちろん、シーズン当初から指摘しているように、オポジットの成田選手がトランジションでセッターの役割をするシステムを敷いていること、落合選手に代わって狩野選手がコート上にいることが多いことが、攻撃システムの組み立てのワンパターン化、惹いてはトランジションでの決定力のなさに拍車をかけているのも間違いない。

やはり、今シーズンの久光には致命的弱点があると確信を持ったが、一方でこの試合の展開が、翌日の同じ場所での第1試合の伏線となることまでは、この時点では予想も出来なかった、、、。

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