2012年4月25日 (水)

お待たせしました! 『バレーペディア 改訂版 Ver 1.2』発売です!!!

初版発刊から、約2年の歳月が経ちました。

その間にたくさんの方から、どうすれば手に入るのか? 需要がこれだけあるのに、どうして増刷されないのか?・・・というご意見を色々な形で頂きました。私自身も心苦しい状況でしたが、出版社の中の方々や、日本バレーボール学会会長並びに理事の方々の粘り強いご尽力により、このたびようやく、 「改訂版 Ver 1.2」の出版に至りました。

『Volleypedia(バレーペディア)改訂版 Ver 1.2』が4月28日、日本文化出版より発売されます。

Volleypediaver12_2


当初の予定は、あくまで「初版の明らかな間違い箇所の修正や文字校正と、内容があまりに現状にそぐわなくなった部分のアップデートのみ」で、わずか2ヶ月ほどの作業時間しか私たちには残されていませんでしたが、初版の『バレーペディア』をご愛好頂いた読者の皆さまにも色々な形で、積極的にご協力頂けたお陰で、マイナーヴァージョンアップではありますが、その制約の中で可能な限り完成度やわかりやすさを追求し、皆さまのご期待に添えるものになったのではないかと考えております。


私が担当したアタック編前半(P009-028)戦術に関わる用語について言えば、初版の発刊をきっかけにテンポファースト・テンポという言葉が一般にも浸透した一方で、テンポの概念の正しい理解となると、残念ながら関係者の間でも、理解が浸透したとは言えない現状があります。初版でテンポを「セット・アップからアタック・ヒット(スパイク・ヒット)までの"時間の長さ"」と定義してしまったがために、ナショナルチームレベルも含め、日本のバレー界で蔓延するテンポに関する誤解を、さらに助長させてしまったのではないか・・・という自責の念を日を追う毎に強く感じていましたので、今回の改訂では同じ過ちは二度と繰り返すまいと、気合いを込めました。

それでも、テンポを再定義するにあたっての編集作業は、予想以上に困難な険しい道のりでした。一時は暗礁に乗り上げ、より明確でわかりやすい定義を提示するのは、今回の改訂作業に与えられた時間的制約の中では不可能ではないか・・・と諦めかけた瞬間もありましたが、終わってみれば少なくとも現状では最も納得のいく、しかもプレー経験のない方でもわかりやすい、定義づけができたと考えています。

実際、以前当ブログでも採り上げ、嬉しいことに好評を得て『少年ジャンプ』の連載となった「ハイキュー!!」の内容ともリンクしたものになっており、「ハイキュー!!」を読んでバレーボールに興味を持った小中学生の皆さまにもオススメです♪

個人的には、テンポの概念をきちんと理解していても、周りの方にうまく言葉で伝えることができずに歯がゆい思いをされてきた、全国の底辺指導者の方々にとって、今回の改訂版が突破口になれることを期待しています。


嬉しいことに今回、リブロ池袋本店の方で発売より一足早く(26日夕方頃〜)、店頭に並べて頂けるそうです! 他の人より早く手に入れたい方は、リブロ池袋本店へGO♪

日本バレーボール学会の公式サイトや某サイトでも、人知れずそっとアナウンスされています。
http://jsvr.org/2012/04/post-27.html
http://ameblo.jp/yoichi-kato/


是非とも『Volleypedia(バレーペディア)改訂版 Ver 1.2』の中身を、実際にご覧頂いた上で、率直なご意見をお聞かせ願いたいと存じます。

全てを実現できるわけではありませんが、頂いたご意見は必ず次回の改訂作業で検討課題に挙げて、検討していきたいと思っております。「Ver 2.0」へのメジャーアップデートが実現するためにも、「Ver 1.2」のご購入を宜しくお願いします。

コメントでも結構ですし、ツイッターで「#vabotter」ないしは「#ばれぺで」のハッシュタグをつけて、つぶやいて下さい!





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2011年12月31日 (土)

『チーム力がアップする・バレーボール攻撃戦術&練習メニュー80』

あとわずかで、本当に色々あった2011年も終わります。

もちろん、今年は東日本大震災に尽きるでしょうが、個人的にも震災の影響だけでなく、色々ホントにありました。Vリーグの途中打ち切り・入れ替え戦も中止、4年に1度のワールドカップの日本開催が危ぶまれるなど、バレー界への影響もただならないものでしたね。ただ、暗いニュースだけでなくいい意味でも、色々な変革が起こった年でもありました。

先日のV・プレミア男子のNHK BSでの中継で、下村英士さんが「速いトスと低いトスは違うんです」という発言を、「公共放送の電波を通じて」明確にして下さいました。
『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』77号では、元全日本男子の正セッターを務めた朝長孝介さん(現・長崎県立長崎北高校教諭)が、「アタッカーを活かすトス」というテーマで、こう明記して下さいました。


・・・「速いトス=低いトス」という感覚に陥ってしまいがちです。実は、自分もそうでした。・・・

ようやく少しずつ、でも着実に、関係者の間でも意識の変革が起こりつつあります。





今や定番となりつつある『考える力を身につける・バレーボール練習メニュー200』に続く、現・嘉悦大女子監督の米山一朋さんの指導書が11月15日に出版され、twitterのフォロワーさんにその情報を教えて頂き、早速購入しました。これは・・・恐らく史上初、『バレーペディア』完全準拠のバレーボール技術戦術指導書と言って、過言ではないでしょう。

嬉しい気持ちがこみ上げてくる一方で、身の引き締まる思いを強く感じました。なぜなら、完全準拠だけに『バレーペディア』の編集作業でクリアにできなかった部分、課題が残ったままの記載となってしまった部分が、そっくりそのままこの指導書の「矛盾点」として目の前に浮かび上がってくるからです。ここまでの大きな影響・反響を与えることができたからこそ、まだまだやらなければならないことがたくさん残っているのです。

その点を来年の課題として、引き続き精進していきたいと思います。
ブログの方は放置気味ですが、今年も1年お付き合い頂きありがとうございました。2012も宜しくお願いいたします m(_ _)m
では、みなさまよいお年をお迎えください。

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2011年6月19日 (日)

『月刊バレーボール』(2011年7月号)

15日に発売された『月バレ』7月号。今月の「VBドキュメント」で取り上げられているのは何と(!)、つくばユナイテッド Sun GAIAの加藤陽一選手です!
このドキュメントを読めば、当ブログを以前からご覧頂いている皆さんや、twitterで私をフォロー頂いている皆さんなら、πヲタだった私がどうして? つくばユナイテッド Sun GAIAのサポーター(法人パートナー)になろうと思ったのか、恐らくわかって頂けると思います。

その他にも、布村先生ファン待望(!)の、技術系新連載コーナーもスタートしています。今後恐らく、『深層真相排球塾』とも連係して行けそうな予感もあり、目が離せませんよ〜。






と、ここまでは持ち上げておいて(苦笑)、、、。


今月号は、全日本男女始動に合わせ、全日本特集がメインとなっています。
そういうつもりで読んで、今月号の構成に何も疑問を持たない方は、日本のバレー界の非常識さの横行に、感覚が麻痺している方だと思います。

『月バレ』は「バレーボール専門誌」です。しかも、現状として「業界唯一の」専門誌です。
世間的にも注目度の高い全日本が特集の今月号で、秋に控える世界3大大会の一つのワールドカップ・・・それも震災による風評被害を乗り越えて、無事に日本での開催が決定されたという意義深い今回のワールドカップを控えての、全日本の今シーズンの姿に関して、どうして? 男女の監督が2ページずつ、好き勝手に語って、それで終わりなのでしょうか? そこにどうして? 第三者的な目線がないのでしょうか? 全日本スタッフや選手の意見や理念を掲載するのは当然として、それに対して冷静に批評を行うのが、専門誌の本来の役目ではないでしょうか?


ここまで書いて、どうしてもある1人のライターの方のこと、その方が携わって出版されたこの雑誌のこと、を思い出さずにはいられません・・・。

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2011年5月 8日 (日)

twitterでバレーボールIQを高めよう!

もうかれこれ20年以上も定期購読している『月バレ』とともに、創刊以来ずっと、一応定期購読し続けている『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』。5月1日発刊の最新号(74号)のテーマは「バレーボールIQ」。特に、サッカー中心に活躍されているスポーツジャーナリストの永井 洋一氏の書かれた「賢いアスリートを育成するために」が大変興味深いので、是非ご覧下さい(書店では購入できないので、ご注意を!)

で、その最新号の中程に登場するのが「バレーボールIQ問題集」。高校生の頃、3人セッターシステムとか、結構変則的なことをやったりした経験があるので、チームメイトみんなとの意思統一のためというか、ポジショナル・フォールト取られてパニクらないためというか、そういう意味で試合前に自分で問題を作ってチームメイトにテスト形式でやらせた記憶が甦ったりして、それも面白かったですね。
ただ、特に上級編になると(主にパナの真保コーチが出題)、多分出題者はこれを解答させたいんだろう、という意図はわかるけれど、実際その考え方だけじゃダメじゃん、みたいな領域に入ってくるので、学校の勉強同様、マークシート形式で評価するのはそぐわないな・・・というのは、どの分野でも共通する悩み。

(あっ、余談ですが、解答の解説文に『バレーペディア』の内容がそっくりそのままふんだんに出てくるので、引用元はきちんと明記した方がいいんじゃないの? と余計なおせっかい(苦笑)。)


バレーボールIQを高める方法は、他にもあるということで。
以前も何度か、厳選したtwitterでの議論をご紹介しましたが、最近とみに #vabotter 界隈では、技術・戦術論に関して勉強になるつぶやきが多く、バレーボールを深く知りたいファンはもちろん、指導者や選手の皆さんにとっても有意義と思われる内容が、たくさんあるのでご紹介したいと思います。

vabotterタグから戦術・技術論的なものを抽出してみましたよ(togettered by @tamtam_twtr)

あっ、そう言えば、ライターの市川忍さんもつい最近、#vabotter に参入されました(^^)

荻野サントリーの今シーズンを評価する(togettered by @kotonosamurai)

このあたりで、皆さんも知識を整理して、そして5月16日にNHKで放送される『DEEP PEOPLE - ディープピープル - 』に注目してみましょう! 果たして、『アインシュタインの眼』放送後にNHKの放送スタッフは、幾ばくかでも進化しているのかどうか? 要注目です!

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2011年5月 1日 (日)

ハイキュー!!(少年ジャンプ 2011/20・21合併号)が凄い件

twitter で話題になっていたので、元来は漫画を買って読むような人間じゃないんですが、生まれて初めて購入しました『少年ジャンプ』(2011/20・21合併号)。

決して漫画・アニメが嫌いとかじゃないんですよ。タッチとかYAWARA!とかもちろん、再放送ですが見てましたし。小学生の頃、野球を見始めた時に、ルールとか防御率の計算式とか、向かい風でなぜ? 変化球がよく曲がるのか? とか覚えたのも、漫画で書かれた入門書でした。

でも、バレーボール関連のものは、見たことがありませんでした。いや、見たことはあるな・・・アタック No. 1の再放送・・・深夜にテレビつけていたらたまたま流れ始めて、見た気がします。

そんな私が、ちょっとバレーボール関連の漫画が気になり出したきっかけがこれ。



これも twitter でにわかに話題になって、「少女ファイト」の載っている『イブニング』を買いました。読んでみてビックリ!? そこには『バレーペディア』で書いた "スピードではなくテンポ" の内容が、図を交えて実に簡潔に、登場人物の発言を通じて語られていたのです!!!

聞くところによると、作者の日本橋ヨヲコ先生は『バレーペディア』を愛読して下さっているのだそうで・・・後日、文庫本も全部買ってしまいました。




・・・くつひもをかたくかたく結ぶ・・・

・・・どこまでも走れるように、跳べるように、そして・・・

・・・ボールにこの手が届くように。・・・



この言葉で始まる「ハイキュー!!」ですが、最初この文字を見ても、その意味するところまでは深く意識しませんでしたが、読み進めていくうちに、この言葉の重さがヒシヒシと伝わってきました。

な、なんと!? この「ハイキュー!!」は、『月バレ』での連載コーナー・・・ちまたでは、何だか難しそうなことが書いてあるコーナーだな、などと言われている(苦笑)『深層真相排球塾』を通じて、私が伝えたいと思っていることが漫画化された内容だと言っても、過言じゃないのです!!!

『TORUの海外バレー挑戦日記』より引用

「時間差から位置差へ」

先日から取り組んでいるBick。

まだまだ完成度は低いですが、やっている自分達も、周りで応援してくれる人たちも、そして相手までもがわくわくするようなバレーがしたいですね。





『月バレ4月号』で紹介され、同号での読者アンケートで巻頭の木村沙織選手のインタビューコーナーに僅差の2位に選ばれ話題となっている、神戸市立上野中学校女子バレーボール部。



同校の選手が魅せる、全日本女子よりテンポが短くかつパワフルなファースト・テンポの攻撃がこちら。







底辺からは着実に、変革の動きは起こり始めています。漫画の世界で、当たり前に展開されるようになってきたのですから!

そうです。

トス(セット)に「はやい」も「遅い」もないのです!!!

トス(セット)には「アタッカーが最高打点で打てるか、そうでないか?」の違いしかないのです!!!

自分の最高打点に正確にトス(セット)を送り込んでくれるとセッターを信じ切って、アタッカーがセット・アップ前の早いタイミングで、全力で助走に跳び込めるかどうか?

真実はただ、それだけなのです!!!


今回の「ハイキュー!!」は1回読み切りもののようですが、是非とも連載されることを期待します。読者アンケートにもその希望を書き込んで、投函しました。

p.s.: この真実に、Sun GAIAの和井田と高橋寛記が、早く気づいてくれることを信じて・・・

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2011年2月15日 (火)

#getubare でお待ちしてます(追記あり)

本日発売となります、『月刊バレーボール』の3月号。以前ご報告したとおり「深層真相排球塾」という連載コーナーを、引き続き担当させて頂いております。

Twitter での議論から始まった企画だけに、お陰様で先月の2月号発売に際しても、色々と率直なご意見・ご感想を頂きました。

「げつばれ! 201102」(togettered by @kaz10000)

今月号に関しては、こうして Twitter で頂いたご意見を参考にしながら、図の見栄えや全体のレイアウトなどを改善させたつもりです。引き続き、#getubare でご意見・ご感想・ご質問をお待ちしております!


(2/22 追記)
先月号(2月号)で「見にくい!」と散々(苦笑)ご指摘頂いた図1〜3についても、今月号に準じた図が準備できました! 月刊バレーボールオフィシャルサイト(ゲツバレ.net)よりアクセスください。

さらには、今月号にも既に、これだけ色々とご意見を頂いております、感謝・感謝です!

「月刊バレーボール3月号 #getubare まとめ」(togettered by @tolutteli)

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2011年1月12日 (水)

『月刊バレーボール』1月号を読んで・・・(その2)

随分と遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
本年も、当ブログを宜しくお願いします。


さて、前回の続き。
コメント頂いたS2HARAさん、kaz10000さん、そしてakikomizさん、ありがとうございました!

そう、皆さんお気づきの通り、男子の世界トップレベルにおけるブロック戦術の変遷の中で、リードブロックに有効な真の「はやさ」というのは「ファースト・テンポ」を単に意味するのではない、ということを、前回の動画は雄弁に物語っている。「個人技術」としてのリードブロックに対する有効性を追求して20年以上も前に生まれたファースト・テンポのパイプ攻撃(bic(k))だったが、その後ブロック戦術が「組織化」するにつれ(=バンチ・リードブロックシステム)、「単独の」ファースト・テンポでは残念ながら効果は乏しいといったん判断された。しかし、その誕生から約10年の歳月を経て、組織的リードブロックシステムに対して最も効果を発揮する「はやさ」が実は、ファースト・テンポの攻撃を複数のアタッカーが同時に仕掛けるという「シンクロ性」にこそあるという真実が、導き出されたのだ。





昨年のイタリアで開催された世界選手権男子大会での映像。日本で間違いなく1・2を争うブロック技術を持つ富松選手がゲスブロックに陥り、アルゼンチンのセッター・デセッコに見事なまでに振られている。これを見て、日本のバレー関係者は十中八九、「相手アルゼンチンのセッターの、速いトス回しに振られた」と表現することだろう。しかし、組織的リードブロックシステムを敷く日本のブロック陣が、ゲスブロックに追い込まれた時点すなわち、セットアップよりも前に相手の前衛レフトの選手にトスが上がるとゲスして動き始めた時点で、既に「振られて」いると言えるはずだ。ポイントは、組織的リードブロックシステムを敷くブロッカー陣が「リードブロックでは対応しきれない」となぜ判断したか? にある。セットアップ前にそう判断させられたのだから、「速いトス回し」に振られた訳では決してない。そういう判断に追い込んだのはセッターではなく、セットアップ前に全力で助走し、打つ気満々でセットアップの瞬間に踏み切って空中に飛びあがらんとする、アルゼンチンの前衛レフトのアタッカーなのだ。そしてその前衛レフトのアタッカーとほぼ「シンクロ」して、前衛ライトのアタッカーがセットアップ前に助走を開始し、セットアップの瞬間に踏み切ろうとしている。アタッカーが「シンクロ」して「踏み切って」いるからこそ、ブロッカーがセットアップを確認してから「踏み切った」のでは「二兎を追う者一兎も得ず」状態に陥るのだ。ファーストタッチがアタックライン付近に上がった、いわゆる「Cパス」であるにも関わらず、ブロッカーがこれだけ見事に振られてしまうような攻撃を組み立てられる、これこそが真に「はやい」攻撃と呼ぶべきだろう。更にこの「シンクロ」を、セッターとリベロを除いたコート上の4人のアタッカーで繰り出せば、3人が最大数のブロッカーでは数の上で絶対に対応できなくなる。「どこにトスが上がっても2~3枚ブロックを揃えられる」ことが、最大のメリットであるはずの組織的リードブロックシステムが、その根本から崩れ去ってしまうような「はやい」攻撃・・・それは「4人のアタッカー」が、「同時多発(=シンクロ)」で、ファースト・テンポのタイミングで「助走し」、時間差でなく「位置差で」攻撃を仕掛ける組織的攻撃戦術であり、それを「速いトス回し」と捉えるのは本末転倒なのだ。





こうした本末転倒な認識が、とどのつまり「リベロがラリー中にアンダーハンドでセットアップを行う」という「決めごと」を「日本のオリジナル」戦術として堂々と認めてしまうという、素人でもちょっと考えればわかるような、矛盾した戦術に行き着いてしまうわけだ。そしてそれが地上波中継を通じて軽々しく連呼され、何も知らないにわかファンや世界のトップレベルのバレーボールを見る環境にない中高生プレーヤーにまで、さも「アンダーハンドでのセットアップにメリットがある」かのような誤解を招く、そういう悲劇に繋がってしまいかねない。これは何としても避けなければならない!


既にネット上では、今回の『月バレ』1月号を読んでの感想が、あちらこちらで語られている。まずは、前回のエントリーにトラックバック頂いた『てっぺー's EYE』からご紹介。

『てっぺー's EYE』より引用

リベロは、アンダーでやっていればよい。
アンダーの精度が何よりも重要だ・・・。
そんな間違った情報を子どもたちに植えつけられてしまいそうで、いかがなものかと考えてしまいます。
選手のバレーボール人生の過程においても、戦術の発展においても、「リベロのアンダーでのトスアップ」は、積極的な採用ではなく、やむなしの緊急事態回避の手段であるはずです。

・・・(中略)・・・

末端や底辺・・・ジュニアや中高校生バレーボーラーたちに、リベロはオーバーをやらなくてもよい、という間違ったとらえ方をしてほしくないという願いただひとつです。
全日本には、その影響力の大きさに自覚と、日本のバレーボーラーに果たせる貢献を知ってもらいたいです。


続いてはこちら。

『MAMIANA☆Miracle Memories』より引用


佐野選手のアンダーセット(トス)についても、書こうかと思ったけど・・・
アタックライン後ろから、オーバーよりも、ネットに近いとこから、ネットに平行気味にアンダーのほうが・・・とか、そんな感じのことが書いてあったような感じだったけど・・・とにかく、それ以前の問題ですよね
全くシンクロの概念がないですよね・・・結局、サイドのシングル、せいぜい意味のないレフト時間差のダブル(コンビ)に、なってしまうってことですよね? 

・・・(中略)・・・

一言で表現すれば、シンクロするには、オーバーじゃなきゃ無理では?ということです。


そして最後に、Twitterでの白熱の議論。

リベロのセットの話(togettered by @P206RC)


『月バレ』1月号を読んで、同じ思いを抱いた方々がこうして、声を上げてくれたお陰で白熱した議論は、間違いなく『月バレ』編集部にも届きました。今月15日発売の2月号より、「日本のオリジナル」を科学的に検証する連載コーナー『深層真相排球塾』がスタートします!

最近全くレス出来ていなくて恐縮ですが、、、当ブログに頂いているコメント含め、Twitterでの有意義な議論、先ほどご紹介した『てっぺー's EYE』のような現場からの貴重なご意見などなど、ファンの方々のバレーボールに対する熱い思いを、少しずつですが地道に着実に、還元していくことのお手伝いができたら・・・と思い、編集部からの今回の依頼を引き受けました。




是非ご覧頂き、質問・感想頂ければ嬉しいです。まずは『月刊バレーボール』2月号、ご購入よろしくお願いします!

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2010年12月19日 (日)

『月刊バレーボール』1月号を読んで・・・(その1)

「日本のオリジナル」って何だろう? それを突き詰めるべく、今月号(1月号)の月バレを読み込んでみた・・・p144〜147の眞鍋監督のインタビュー。

世界トップレベルのバレー戦術の変遷の振り返ると、何度か革新的変化をもたらしたチームがある。もちろん(目にしたことはないが)ミュンヘンの日本男子ナショナルチームもそうだろう。一番最近なら言うまでもなく、ブラジル男子ナショナルチーム(=レゼンデバレー)だし、その原点はロサンゼルス・ソウルと五輪2連覇を果たしたアメリカ男子ナショナルチームにあると言っていい。

革新的変化に繋がる戦術はもちろん、その当時はその国「オリジナル」であったはずだ。しかし、それが世界のトップレベルのバレー戦術を進化させるだけの「妥当性」があるからこそ、あっという間にそれは「世界標準」へと切り替わる。同じ戦術で戦えば、残念ながら高さがものをいうのがバレーボールというスポーツ。だからこそ、身長で劣る国がそれぞれの「オリジナル」を模索し、そして新たな革新的変化がもたらされる・・・その繰り返しの歴史なのだ。たくさんの「オリジナル」の中で「妥当性」のないものは、自然淘汰されていく、それが自然の摂理。

そう、だから「オリジナルの戦術を編み出すこと」=「世界で勝てる」ではない。それまでのバレー戦術の変遷から見て「妥当性」がない「オリジナル」は、淘汰されて決して「世界標準」の戦術には発展しない。森田淳悟氏が練習中に「偶然」開発した「一人時間差攻撃」は、直後に「世界標準」のプレーになったが、アトランタオリンピックに向けて日本女子ナショナルチームが開発した「ゼロ・クイック」や、アテネオリンピックに向けて同じく日本女子ナショナルチームが開発した「バック・ブロード」は、その後「世界標準」にはなっていないのだ。

一つ、動画をお見せしたい。(なお、発見して下さったのは吉田清司さんです m(_ _)m)

1988年のソウルオリンピックで、セリンジャー(父)監督時代のオランダ男子ナショナルチームが披露した、ファースト・テンポのパイプ攻撃(bic(k))。打っているのはWSのズベルヘル。テンポは0.67秒。

これが、恐らく世界最初のファースト・テンポのパイプ攻撃だというのは、私の記憶(「オランダ男子ナショナルチームがセリンジャー監督の下、世界で初めてバックアタックの速攻を開発した」というメディアの記載を見た記憶)及び、『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』の中の記載(p91のレゼンデ監督のインタビュー記事)から、恐らく間違いないだろうと思う。ご覧の通り、リードブロックの意識が全く欠如している当時の日本男子ナショナルチームにとっては、驚愕のプレーであったのだろうと容易に推測できるほどに、見事にノーマークで気持ちよくズベルヘルに打たれている。間違いなく、当時オランダ「オリジナル」であり、これほど見事に相手に通用しているのであれば、このあとすぐに「世界標準」となったはずであろう。ところが・・・

その4年後のバルセロナオリンピックで、同じくセリンジャー監督の下でオランダ男子ナショナルチームが見せたパイプ攻撃。打っているのも同じくズベルヘルだが、何とこれは、セカンドテンポ!! であり、テンポは0.90秒。

「オリジナル」を開発した国、それも、開発した監督と選手が同じでありながら、その「オリジナル」戦術を用いなくなったという現実・・・この歴史的事実から、当時のトップレベルのバレー戦術の変遷にあって、ファースト・テンポのパイプ攻撃は「妥当性」がなかった、と解釈できるのだ。では、そのまま消え去ってしまったのか? と言えば、それは違う。世界最初の披露から実に、10年以上もの時間を経て、ブラジル男子ナショナルチームがそれを採用し、今度はそれは「世界標準」へと発展した。


一体、オランダのファースト・テンポのパイプ攻撃と、ブラジルのファースト・テンポのパイプ攻撃の違いは何だったのだろうか?

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2010年6月13日 (日)

スパイク・スイングの分類(p36-37)

久々に更新された! と思ったら、『Volleypedia(バレーペディア)』に関するエントリーでした。本当に本当に有り難いです。

『千酔亭日乗』より引用


もう1つ強く感じたことは「写真が見づらい」ということ。例えば19ページ上の連続写真では、まず写真ごとの境が分かりづらく、かつボールが背景に溶け込んでしまって、よく見ないとわかりません。ボールの描く放物線軌道の頂点位置に関する説明写真で、ボールが見えにくいというのは正直いかがなものかと思います。45ページのリードブロックの連続写真もそう。ブロッカーがどのタイミングで反応しているか確認するには、ボールがはっきり見えていることが重要です。



編集委員があれこれ言うよりも、読者の率直な感想の方が恐らく、出版社には迅速に伝わるだろうということを、今回の編集作業の中で実感しました。何より、私たちが今回の出版で伝えたかった内容を、まず出版社が理解することこそが日本のバレー界に変革が訪れるための、第一歩なのです。


『Volleypedia(バレーペディア)』のp36-37に掲載されているコラム『スパイクスイングの分類』の連続写真ですが、コラム執筆者が書いているように本質は、バック・スイング(テイク・バック)での腕の動き方にあるのではなく、体幹の使い方にあります。ただ、その本質の理解に至るためには、現場に蔓延する様々な誤解や偏見を一つ一つ解いていった、その先にあります。同じように、例えば私が書かせて頂いた『"スピード"ではなく"テンポ"(攻撃における"テンポ"の概念)』も、当ブログで書いてきた『"スピード"ではなく"テンポ"』の内容のうちの、ほんの障りの部分しか説明できていません。日本代表チームが、練習中にストップウォッチを使ってテンポを計測することの愚かさに気づく日がやってくるためには、まずはストップウォッチを使わなくてもセカンド・テンポのパイプ攻撃 "pipe" と、ファースト・テンポのパイプ攻撃 "bick(back-row quick)" とを見分けられるようになる必要があります。それをどうやって見分ければいいか? その一つの観点として今回の『Volleypedia(バレーペディア)』でファースト・テンポを「セット・アップとほぼ同時に踏み切って打つ」と定義しました。『スパイクスイングの分類』の本質を理解するにあたって、編集部にもみられた誤解が解消された結果が、今月号(7月号)の『月バレ』の「一撃必殺奥義傳」のコーナーに繋がったわけです。『月バレ』に掲載される、プレーのテクニックに関するコーナーでの解説を、過去の有名選手や指導者でない人間が担当したことって、果たしてこれまでにあったでしょうか?



『バボちゃんネット』より引用


僕らスタッフやアナウンサーもただ今熟読中!


まあ一気には頭に入りませんけど…



『バボちゃんネット』、情報発信も早いし、幅広い情報(日本代表だけでなく、Vリーグ・・・チャレンジリーグの情報も)が発信されている様子です。
少しずつですが、何かが変わり始めているのかもしれません。
前回のエントリーでも書いたように、諦めることに慣れきってしまっている日本のバレーボールファンも、諦めることを少しずつ止めていくべきでしょう。

その第一歩として、どんどん『Volleypedia(バレーペディア)』に関する意見・異論・反論を、遠慮なくお願いします! 必ず出版者側に伝わります、いや、伝えていきます!

http://www.herikutu.com/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=672&forum=1&post_id=7563

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2010年5月15日 (土)

『Volleypedia(バレーペディア)』正誤表

本日発売となりました、バレーボール百科事典『Volleypedia(バレーペディア)』ですが、昨日発行元の日本文化出版より連絡があり、印刷完了後の冊子にミスが見つかったようです。申し訳ございません。

大きな2箇所のミスに関して、正誤表を提示させて頂きます。

(p102)
(誤)【スコアリング・スキル】・【ノンスコアリング・スキル】
・・・いずれもp100にも掲載されており、p102の当該箇所に記載すべきは下記の用語でした。
(正)こちらをクリック(PDF)

(p117)
(誤)『優れた「組織的戦術」のための「分業システム」という本質がブラジルバレーに受け継がれている』というキャプションのついた右下の写真
・・・本来は本文中にある注釈(※)で参照させる下記の表が入るはずでした。
(正)こちらをクリック(PDF)

私も他に、細かい要修正部分を確認中ですが、大きな上記2箇所につき、ひとまずこちらでもご報告申し上げます。

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