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2011年7月14日 (木)

コヨミちゃん養成講座(1限目):ファーストタッチはとにかく「高くゆっくり」

先日、笠岡で開催されたサマーリーグ。本当に『バレーペディア』の効果かどうか? はさておき、相変わらずコヨミのセット軌道は、試合前のプロトコルでは素晴らしく、新人のアカリとの差は歴然としていたが、試合中の特にトランジションになると、残念ながらそれを活かすことが十分できていない状況は、昨シーズンのV・プレミアと同様だった。

最近、パイオニアのことを話題にするのがご無沙汰だったが、思い返せば、シドニーオリンピックの出場権を寺廻JAPANが逃して、一度はバレーボールから離れかけた私を、こうしてもう一度、この世界に引き戻してくれたのは他でもないパイオニアレッドウイングスなのだから、1人の「サポーターとして」、今度は私がチームに何か? できることなら何でもしてあげたいと、真剣に思っている。

ちょうど運良く、サマーリーグの様子がYouTubeに上がっていた(同じくパイオニアレッドウイングスのサポーターと言っていい hatsuharuya24543さん の撮影)ので、この映像を基にしながら、不定期に始めてみることにしたこのコーナー(笑)。

まずはざっと通して、パイオニアの戦いぶりをご覧あれ。

通常の映像とは趣が異なり、ボールの場所に関わらず常に(ほぼ)パイオニアコートだけを映している映像なので、一般の「見るだけ」のファンの方にとっても恐らく、ボールに触っていない選手の動きを見る目を養うには絶好の素材になると思う。




これを見てみなさんは、どういう感想を抱かれるだろう・・・?

一生懸命頑張ってるけど、拾い負けしてるなー、とか?

レセプションがもうちょっと安定したらなー、とか?

アタッカーにもうちょっと決定力があったらなー、とか?


確かに、一見そういう風に見えなくもないが、果たしてそれは本当だろうか?


動画の序盤にあるラリーを、2つほど抜き出してみた。どちらも、コヨミがファーストタッチを行い、ガッツがセットするシーン。



恐らくどちらも、コヨミは必死にディグをしているだけで、「自分がファーストタッチをしたら、リベロ(のガッツ)にセットさせる」という戦術意図はあるにせよ、多分それ以上にはあまり意識してプレーしていないと思う。もちろん、どちらも一生懸命やっているのだが、結果が180°違う。前者でなぜ、良い結果(ショウのライトからのスパイク決定)が得られたのか? 後者でなぜ、悪い結果(スーのレフトからのスパイクが決まらず)につながったのか? 単なる偶然で済ませていては、いくら個々人が一生懸命練習しても、チーム力のアップに効率よくつながらないはずだ。

前者はガッツがオーバーハンドでセッティング、後者はアンダーハンドでセッティングしているわけだが、その違い(オーバーハンドかアンダーハンドか?)そのものが問題なのではない。一番のカギは、コヨミがファーストタッチを、どう返球したか? であり、前者はネット際に落ちそうなボールをすくい上げようとディグしたため、「結果的に」高くゆっくりとした返球となっており、一方後者は、顔のあたりに飛んで来たボールに慌てて触れたため、「結果的に」低い返球となっているのだ。

高くゆっくりとした返球となった前者では、ガッツがオーバーハンドでセッティングできる時間的余裕が生まれているだけではなく、前衛両サイドのアタッカーのスーとショウが、十分なスパイク助走を取るための時間的余裕も生まれている。極めつけは、ガッツがセットアップするギリギリまで前衛レフトに正対して、当然レフトのスーにセットするのだろうと思わせておいて、セットアップの瞬間に体を回転させてライトのショウにセットした点である。相手のブロッカー陣が見事にゲスしてしまっているだけでなく、味方であるコヨミさえも「欺いて」いる(コヨミは、前衛レフトからの攻撃を想定して、スパイクカバーに入ろうとしている)。こうした素晴らしい連係プレーが何と、レセプションが相手コートに直接返ってしまうという危機一髪の状況から生み出せているという点は、絶対に見逃してはならない事実である。

これを、間違っても「ガッツのセットがはやかったから、相手のブロックが完成する前に打てた」などと表現しては、決してならない!!!




ということは・・・後者のラリーにおいて、何を反省すべきなのか? どこを改善すれば、前者と同じような結果を高い確率でたぐり寄せることができるのか? その答えは、決して難しいことではないだろうし、それを実現させるのも、比較的容易なのは理解してもらえるだろう。
決して、スーはじめとする、アタッカー陣の決定力の問題だけではないはずで、V・プレミアの昨シーズン終盤に、スタイレンスが失速した理由もここにあるはずなのだ。


もう一つ、別の場面。




コヨミはこのラリーで、アキにBクイックのセットを上げた直後、相手のブロックに当たって跳ね返ってきたボールをファーストタッチし、直後のトランジションで自身が前衛ライトから攻撃を仕掛けている。自身がディグを行ったら、その直後から自身の役割はアタッカーに切り替わる・・・この意識は、相手の組織的リードブロック戦術に現状として最も効果的な戦術である、同時多発位置差攻撃を仕掛ける上で欠かすことのできない戦術意識である。

セッターでありながら、前衛でファーストタッチを行ったら、直後のトランジションでアタッカーの役割をあたりまえのように果たすというのを戦術化すると、自然と無意識に、ファーストタッチを高くゆっくり返球しようとするのがわかる。

『TORUの海外バレー挑戦日記』より引用


佛大では、First ballをリベロ以外の後衛の選手が触った時に、その選手がその後のTransition attackでBack row attackに入らないケースが多いと感じます。


・・・(中略)・・・

相手が攻撃してくる時点では、ブロックに飛ぶ選手以外は皆Diggerになりますが、味方の誰かがDigした時点でリベロ以外の選手はattackerに変わります。

言葉にすると簡単なことなのですが、これを選手に理解してもらい実際にTransition attackの中でリベロ以外の選手全てがattackerとしての意識を持ち他のattackerと同調性を保って組織的に攻撃することを個人的には目指していますが、残念ながらチームとしてはまだまだそれが浸透していません。



コヨミの攻撃力を最大限に活かそうと、前衛で彼女がファーストタッチを行った場合に、彼女が直後に攻撃参加するという戦術をせっかく採用しているのなら、自分自身が万全の体勢で全力助走するための大事なカギが何なのか? 無意識でなく、意識してプレーしてみて欲しい。そうすれば逆に、自分自身が「セッターとして」アタッカーにプロトコルで上げるような理想に近い「高くて早い」攻撃をさせるために、他の選手たちに何を要求するべきか? も、自ずと見えてくるはず。

コヨミちゃん、がんばって!

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コメント

コヨミ& アカリ のセッターコンビの完成に期待します。いろいろな意味でショウ選手と林選手の存在が鍵になりそうな次期リーグとなりそうですね。
バレーボールのナデシコジャパンのプロトタイプがレッドウイングスとなることを祈っています。

投稿: 初春や初春や | 2011年7月19日 (火) 09時36分

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