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2011年1月12日 (水)

『月刊バレーボール』1月号を読んで・・・(その2)

随分と遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
本年も、当ブログを宜しくお願いします。


さて、前回の続き。
コメント頂いたS2HARAさん、kaz10000さん、そしてakikomizさん、ありがとうございました!

そう、皆さんお気づきの通り、男子の世界トップレベルにおけるブロック戦術の変遷の中で、リードブロックに有効な真の「はやさ」というのは「ファースト・テンポ」を単に意味するのではない、ということを、前回の動画は雄弁に物語っている。「個人技術」としてのリードブロックに対する有効性を追求して20年以上も前に生まれたファースト・テンポのパイプ攻撃(bic(k))だったが、その後ブロック戦術が「組織化」するにつれ(=バンチ・リードブロックシステム)、「単独の」ファースト・テンポでは残念ながら効果は乏しいといったん判断された。しかし、その誕生から約10年の歳月を経て、組織的リードブロックシステムに対して最も効果を発揮する「はやさ」が実は、ファースト・テンポの攻撃を複数のアタッカーが同時に仕掛けるという「シンクロ性」にこそあるという真実が、導き出されたのだ。





昨年のイタリアで開催された世界選手権男子大会での映像。日本で間違いなく1・2を争うブロック技術を持つ富松選手がゲスブロックに陥り、アルゼンチンのセッター・デセッコに見事なまでに振られている。これを見て、日本のバレー関係者は十中八九、「相手アルゼンチンのセッターの、速いトス回しに振られた」と表現することだろう。しかし、組織的リードブロックシステムを敷く日本のブロック陣が、ゲスブロックに追い込まれた時点すなわち、セットアップよりも前に相手の前衛レフトの選手にトスが上がるとゲスして動き始めた時点で、既に「振られて」いると言えるはずだ。ポイントは、組織的リードブロックシステムを敷くブロッカー陣が「リードブロックでは対応しきれない」となぜ判断したか? にある。セットアップ前にそう判断させられたのだから、「速いトス回し」に振られた訳では決してない。そういう判断に追い込んだのはセッターではなく、セットアップ前に全力で助走し、打つ気満々でセットアップの瞬間に踏み切って空中に飛びあがらんとする、アルゼンチンの前衛レフトのアタッカーなのだ。そしてその前衛レフトのアタッカーとほぼ「シンクロ」して、前衛ライトのアタッカーがセットアップ前に助走を開始し、セットアップの瞬間に踏み切ろうとしている。アタッカーが「シンクロ」して「踏み切って」いるからこそ、ブロッカーがセットアップを確認してから「踏み切った」のでは「二兎を追う者一兎も得ず」状態に陥るのだ。ファーストタッチがアタックライン付近に上がった、いわゆる「Cパス」であるにも関わらず、ブロッカーがこれだけ見事に振られてしまうような攻撃を組み立てられる、これこそが真に「はやい」攻撃と呼ぶべきだろう。更にこの「シンクロ」を、セッターとリベロを除いたコート上の4人のアタッカーで繰り出せば、3人が最大数のブロッカーでは数の上で絶対に対応できなくなる。「どこにトスが上がっても2~3枚ブロックを揃えられる」ことが、最大のメリットであるはずの組織的リードブロックシステムが、その根本から崩れ去ってしまうような「はやい」攻撃・・・それは「4人のアタッカー」が、「同時多発(=シンクロ)」で、ファースト・テンポのタイミングで「助走し」、時間差でなく「位置差で」攻撃を仕掛ける組織的攻撃戦術であり、それを「速いトス回し」と捉えるのは本末転倒なのだ。





こうした本末転倒な認識が、とどのつまり「リベロがラリー中にアンダーハンドでセットアップを行う」という「決めごと」を「日本のオリジナル」戦術として堂々と認めてしまうという、素人でもちょっと考えればわかるような、矛盾した戦術に行き着いてしまうわけだ。そしてそれが地上波中継を通じて軽々しく連呼され、何も知らないにわかファンや世界のトップレベルのバレーボールを見る環境にない中高生プレーヤーにまで、さも「アンダーハンドでのセットアップにメリットがある」かのような誤解を招く、そういう悲劇に繋がってしまいかねない。これは何としても避けなければならない!


既にネット上では、今回の『月バレ』1月号を読んでの感想が、あちらこちらで語られている。まずは、前回のエントリーにトラックバック頂いた『てっぺー's EYE』からご紹介。

『てっぺー's EYE』より引用

リベロは、アンダーでやっていればよい。
アンダーの精度が何よりも重要だ・・・。
そんな間違った情報を子どもたちに植えつけられてしまいそうで、いかがなものかと考えてしまいます。
選手のバレーボール人生の過程においても、戦術の発展においても、「リベロのアンダーでのトスアップ」は、積極的な採用ではなく、やむなしの緊急事態回避の手段であるはずです。

・・・(中略)・・・

末端や底辺・・・ジュニアや中高校生バレーボーラーたちに、リベロはオーバーをやらなくてもよい、という間違ったとらえ方をしてほしくないという願いただひとつです。
全日本には、その影響力の大きさに自覚と、日本のバレーボーラーに果たせる貢献を知ってもらいたいです。


続いてはこちら。

『MAMIANA☆Miracle Memories』より引用


佐野選手のアンダーセット(トス)についても、書こうかと思ったけど・・・
アタックライン後ろから、オーバーよりも、ネットに近いとこから、ネットに平行気味にアンダーのほうが・・・とか、そんな感じのことが書いてあったような感じだったけど・・・とにかく、それ以前の問題ですよね
全くシンクロの概念がないですよね・・・結局、サイドのシングル、せいぜい意味のないレフト時間差のダブル(コンビ)に、なってしまうってことですよね? 

・・・(中略)・・・

一言で表現すれば、シンクロするには、オーバーじゃなきゃ無理では?ということです。


そして最後に、Twitterでの白熱の議論。

リベロのセットの話(togettered by @P206RC)


『月バレ』1月号を読んで、同じ思いを抱いた方々がこうして、声を上げてくれたお陰で白熱した議論は、間違いなく『月バレ』編集部にも届きました。今月15日発売の2月号より、「日本のオリジナル」を科学的に検証する連載コーナー『深層真相排球塾』がスタートします!

最近全くレス出来ていなくて恐縮ですが、、、当ブログに頂いているコメント含め、Twitterでの有意義な議論、先ほどご紹介した『てっぺー's EYE』のような現場からの貴重なご意見などなど、ファンの方々のバレーボールに対する熱い思いを、少しずつですが地道に着実に、還元していくことのお手伝いができたら・・・と思い、編集部からの今回の依頼を引き受けました。




是非ご覧頂き、質問・感想頂ければ嬉しいです。まずは『月刊バレーボール』2月号、ご購入よろしくお願いします!

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コメント

今年もよろしくお願いいたします。
今月の月バレも楽しみに読ませていただきます。
依頼をお受けになったとのこと、
ぜひがんばってください。

投稿: てつ | 2011年1月13日 (木) 13時42分

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