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2010年12月19日 (日)

『月刊バレーボール』1月号を読んで・・・(その1)

「日本のオリジナル」って何だろう? それを突き詰めるべく、今月号(1月号)の月バレを読み込んでみた・・・p144〜147の眞鍋監督のインタビュー。

世界トップレベルのバレー戦術の変遷の振り返ると、何度か革新的変化をもたらしたチームがある。もちろん(目にしたことはないが)ミュンヘンの日本男子ナショナルチームもそうだろう。一番最近なら言うまでもなく、ブラジル男子ナショナルチーム(=レゼンデバレー)だし、その原点はロサンゼルス・ソウルと五輪2連覇を果たしたアメリカ男子ナショナルチームにあると言っていい。

革新的変化に繋がる戦術はもちろん、その当時はその国「オリジナル」であったはずだ。しかし、それが世界のトップレベルのバレー戦術を進化させるだけの「妥当性」があるからこそ、あっという間にそれは「世界標準」へと切り替わる。同じ戦術で戦えば、残念ながら高さがものをいうのがバレーボールというスポーツ。だからこそ、身長で劣る国がそれぞれの「オリジナル」を模索し、そして新たな革新的変化がもたらされる・・・その繰り返しの歴史なのだ。たくさんの「オリジナル」の中で「妥当性」のないものは、自然淘汰されていく、それが自然の摂理。

そう、だから「オリジナルの戦術を編み出すこと」=「世界で勝てる」ではない。それまでのバレー戦術の変遷から見て「妥当性」がない「オリジナル」は、淘汰されて決して「世界標準」の戦術には発展しない。森田淳悟氏が練習中に「偶然」開発した「一人時間差攻撃」は、直後に「世界標準」のプレーになったが、アトランタオリンピックに向けて日本女子ナショナルチームが開発した「ゼロ・クイック」や、アテネオリンピックに向けて同じく日本女子ナショナルチームが開発した「バック・ブロード」は、その後「世界標準」にはなっていないのだ。

一つ、動画をお見せしたい。(なお、発見して下さったのは吉田清司さんです m(_ _)m)

1988年のソウルオリンピックで、セリンジャー(父)監督時代のオランダ男子ナショナルチームが披露した、ファースト・テンポのパイプ攻撃(bic(k))。打っているのはWSのズベルヘル。テンポは0.67秒。

これが、恐らく世界最初のファースト・テンポのパイプ攻撃だというのは、私の記憶(「オランダ男子ナショナルチームがセリンジャー監督の下、世界で初めてバックアタックの速攻を開発した」というメディアの記載を見た記憶)及び、『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』の中の記載(p91のレゼンデ監督のインタビュー記事)から、恐らく間違いないだろうと思う。ご覧の通り、リードブロックの意識が全く欠如している当時の日本男子ナショナルチームにとっては、驚愕のプレーであったのだろうと容易に推測できるほどに、見事にノーマークで気持ちよくズベルヘルに打たれている。間違いなく、当時オランダ「オリジナル」であり、これほど見事に相手に通用しているのであれば、このあとすぐに「世界標準」となったはずであろう。ところが・・・

その4年後のバルセロナオリンピックで、同じくセリンジャー監督の下でオランダ男子ナショナルチームが見せたパイプ攻撃。打っているのも同じくズベルヘルだが、何とこれは、セカンドテンポ!! であり、テンポは0.90秒。

「オリジナル」を開発した国、それも、開発した監督と選手が同じでありながら、その「オリジナル」戦術を用いなくなったという現実・・・この歴史的事実から、当時のトップレベルのバレー戦術の変遷にあって、ファースト・テンポのパイプ攻撃は「妥当性」がなかった、と解釈できるのだ。では、そのまま消え去ってしまったのか? と言えば、それは違う。世界最初の披露から実に、10年以上もの時間を経て、ブラジル男子ナショナルチームがそれを採用し、今度はそれは「世界標準」へと発展した。


一体、オランダのファースト・テンポのパイプ攻撃と、ブラジルのファースト・テンポのパイプ攻撃の違いは何だったのだろうか?

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2010年12月 6日 (月)

NHKにだまされるな!

久々の更新です。
更新をサボっていた間に、世界選手権は終わってしまい、ご存じの通り見事に日本女子代表チームは、32年振りのメダルを獲得しました! 「奇跡でも大金星でもなく」というのは、真実でしたね。

息つく間もなく、Vリーグもチャレンジ男子を除いて、早くも開幕。あっ、忘れてはいけません。広州アジア大会で日本男子代表チームの16年振りの優勝もありました。

ブログだけをご覧頂いてる方は、前回の更新からこんなに色々なニュースがあったのに、一体何をしていたのだ?! と思ってらっしゃるかもしれませんが、その間私はtwitterで #vabotter の皆さんと、実に有意義な議論をさせて頂きました。せっかくですので、その有意義な議論のいくつかを、ここでご紹介したいと存じます。とぅぎゃって下さった方々に感謝感謝です。

TBS・新タ悦男アナによるバレーボール世界選手権(男子)総括(togettered by @dhalmel)
「アインシュタインの眼」で放送された、竹下から栗原への"セカンド・テンポ"のパイプ攻撃。を考える(togettered by @619decibel)
バレーボールとメディア(togettered by @dhalmel
平日の代々木がガラガラだったんです・・・ (togettered by @619decibel)
アンダーで上げるトスって、打ちやすいの?はやいの?(togetterd by @taknuno55)
バレーの放送について、ばぼったーはこんなにも熱い思いを持っている(togetterd by @taknuno55)
「また来たくなったよ」と思うバレーボール会場とは?(togettered by @kotonosamurai)


明日(12/7)の午後7時から、NHK BSハイビジョンでバレーボール日本女子代表チームを特集した『アインシュタインの眼』が、32年振りのメダル獲得という結果を受けて、アンコール放送(本放送は10月10日)されるようです。ええ、そうです。ここ数回のエントリーで繰り返し書いてきたとおり、「奇跡でも大金星でもない」メダル獲得という素晴らしい結果を目の前にした今こそ、それをもたらした科学的根拠及び、更なる飛躍のための課題が果たして何なのか? きちんと議論していくことが必須です。安易な国営放送公共放送の煽りに決して騙されることなく、是非上述の『「アインシュタインの眼」で放送された、竹下から栗原への"セカンド・テンポ"のパイプ攻撃。を考える』を同時に見て、大きな声を上げていきましょう! 真にバレーボールを愛する皆さん!


p.s.: 今月15日に発売される『月バレ』、必ず買って、じーーっくり内容を読み込んで下さいね〜〜〜

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