« 拝啓:庄司夕起選手 | トップページ | 「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その2) »

2009年8月27日 (木)

「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その1)

これまでも決して更新頻度が高いブログではなかったが、最近ことに更新頻度が落ちているのには色々と要因はあるにせよ、一番大きい要因は実は・・・。


当ブログを立ち上げた頃に比して、何とも喜ばしいことに、バレー戦術を高度に語ることが出来るブログが激増している。そのお陰で、何か書こうかなと思って記事を書き始めても、その直後に、書こうと思っている内容とほぼ同じ内容が、どこかのブログのエントリーやコメント欄に上ってしまうのだ(苦笑)。


『ちょっと一言言わせていただきます!』より引用

上記に加え、竹下のトス回しと長身セッターを育成しないこと、佐野のアンダーしか使わない問題、サーブレシーブに異様に執着することなどなど、色々問題点を洗っていって気付きませんか?
そう、柳本体制でも極めて似たような問題、或いは全く同じ問題を抱えていたわけだ。

・・・(中略)・・・

だからこうも言える。真鍋氏は日本が抱えていた問題も見えていなかった(見えていない)のではないか。つまり、前政権の反省をせず、根本的な欠点を探したり、なんで世界の強豪に勝てないのかを、分析・研究しつくしていないのではないか。
と言う事は、「世界を知る」以前に、「己を知ることが出来ていない」のではないか。


『gaban』より引用

バンチ“リード”と騒いでいるあとに、クイックはマークしないでいいからとか。

・・・(中略)・・・

川合さんの言っていることは、ブロックの基本だし、間違いじゃないけれど、組織としてやるブロックと個人技としてのブロックをごっちゃに話しているからややこしい。


『ベリーロールな日々』のコメント欄より引用

オープン攻撃への3枚ブロックに「バンチリード炸裂!!!」とも叫んでましたね。少年少女に誤解が広まらないか心配です。
by rio

フジテレビは3枚で飛びに行く事をバンチリードブロックシステムだと思ってますよね、絶対に。
きちんと説明しない解説も酷いですけどね。
中田氏が川合氏に「オランダはバンチリードですか?」って聞いたのも驚きましたが・・・(以下略)
by BON

>BONさん、3枚ブロック、わたしもそう思います。しかも彼らは、「バンチリード」というひとつの単語だと思ってますよね。絶対に。(以下略)
by rio



特に「バンチ・リード」に関しては、こちらのブログこの記事(バンチリードブロックって便利だなって^^;身延の電波でバレーの専門用語を斬りつける?!)で色々と考えさせられた。

ワールドグランプリが始まってから、当ブログの検索キーワードランキングで一気に増えたのが「バンチ・リード」ならぬ「バンチリード」。やはり地上波の中継の中でアナウンサーが連呼すると、短期間でこれだけ世間に浸透するのだというのをまざまざと見せつけられた感じがする。ただ問題なのは、『ベリーロールな日々』のコメント欄にあったように、悲しいかな解説陣の元全日本「名」プレーヤーの方々が、その用語の意味を正確に理解していないために、間違った認識が世間の「見るファン」だけでなく「やるファン」にも広がってしまいかねない点だ。


さらに、フジテレビの中継では「『世界最先端の』バンチ・リードブロックシステム」などとほざいているが、勿論のことながらそんなことは大嘘である。歴史的に紐解けば(詳しくは『バレーボール用語集』のカテゴリの中にある「ブロックシステム変遷(その1)(その2)」を参照のこと)そもそもリードブロックをチーム戦術として採り入れたのはロサンゼルス・ソウルとオリンピック2連覇を成し遂げたアメリカ男子ナショナルチームであり、それを洗練されたバンチ・リードブロックシステムという組織的な戦術に完成させたのは'90年代前半に黄金時代を築いたイタリア男子ナショナルチームである。つまり、バンチ・リードブロックシステムが男子バレーの世界で「世界最先端」だったのは、今からもう20年近くも前の話である。女子バレーは男子バレーよりも戦術的にだいたい10年ぐらい遅れてついて行っているというのも、当ブログ開設以来これまで何度も書いてきたとおりであり、実際女子バレーの世界でバンチ・リードブロックシステムを最初に本格的に採り入れたのは、前ブラジル男子ナショナルチーム監督である、あのレゼンデ氏が監督を務めていた頃のブラジル女子ナショナルチームであって、'99年ワールドカップのことであるからして、やはり10年も前の話だ。当時のブラジルがどのような戦いぶりを見せるのかを、毎日血眼になってスカパーの映像を通して見ていた頃が懐かしい・・・。それが'99年ワールドカップ観戦レポを私に書かせるモチベーションとなった。つまりは女子バレーの世界でさえ、既に10年前からバンチ・リードブロックシステムが採り入れられる時代が到来していたわけである。そして、その4年後、'03年ワールドカップの頃には吉田敏明監督(当時)が率いたアメリカ女子ナショナルチームは、3枚ブロックを徹底して多用するバンチ・リードブロックシステムをほぼ完成させていた。

従って、歴史的に「世界最先端」でないことは明らかであるが、あまりこのように批判的に書きすぎると、逆にかえって「時代遅れ」なのか? という誤解も招きかねない。より正確に言えば「世界標準」、当ブログでこれまで用いてきた(レゼンデバレー(最終章)など)表現を使えば、「現代バレー戦術の根幹」と言うべきであろう。つまりは、バンチ・リードブロックシステムを採り入れ始めた全日本女子というのは、'80年代以降の世界のトップレベルのバレー戦術の「いろは」を採り入れ始めた段階ということであり、ようやく「当たり前のこと(戦術)をやるようになった『だけ』」のことであって、それ以上でもそれ以下でもない。ようやく海外勢と戦う上で「同じ土俵に上がった」というだけのことであって、つまりは、「バンチ・リード」を徹底しようと思えばいつでも出来るが、相手チームとの駆け引きで、試合の局面ごとにブロックシステムを切り替える(「バンチ・リード」は数あるブロック戦略のうちの一つ「カード」に過ぎないと考える)海外勢と、そもそもブロックシステムの概念がこれまでなかったため、初めての組織的ブロック戦術として「バンチ・リード」を練習し始めた段階で、試合の局面ごとにブロックシステムを切り替えるような、そんな「カード」がそもそも他にない日本という、厳然とした格差がそこには存在するのだ。

|

« 拝啓:庄司夕起選手 | トップページ | 「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その2) »

コメント

ああ老舗が動いてくれて良かった。
戦術的な用語に関心を持ってくれたバレーファンにもわかりやすい言葉でお願いします。

投稿: kaz10000 | 2009年8月28日 (金) 07時00分

 いや本当に、プレーの内容を語ろうとするブログ等は増えました。いろいろ読ませてもらって、なるほどと思うことも、そこはどうかな?と思うこともありますけれど、それがいいんですよね。
 学生など現役プレーヤーや指導者の方々が語るHPは以前からあり、もちろん私のような見るだけファンにも勉強になりますけれど、もともとが玄人向けの場所ですし、そういうところの方々は「他人のプレーには興味が無い」という意識もおありの様子で、たとえばVリーグは日本のトップリーグであるはずですけれど、それに関する批評はあまりありません。
 そこへsuis annexさんが実に興味深い内容を、わかりやすく解説してくださるようになり、ここのおかげで日本バレーの一般ファンのレベルが格段に上がったことは間違いありません。
 今回の本文に引用されたお話の中にあるように、テレビのおかしな解説によって誤解が広がる懸念もあります。しかし、川合・中田・アナウンサー各氏の迷言に(それがおかしいということがわかるようになって)ズッコケた一般ファンも大勢いらっしゃったことでしょう。
 次世代のプレーヤーは我々のような一般ファンの群集の中から現れるんですからね。表現は悪いですが、はっきり言っちゃいますと、古い指導者の中には気をつけないといけない人もいるんじゃないですか。もうそろそろナマイキな(しかし正しい)口をきいてくる生徒も現れるでしょう。

投稿: one of No.33 | 2009年8月30日 (日) 15時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105977/46010059

この記事へのトラックバック一覧です: 「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その1):

» ブロック用語を覚えよう [強行突破 SPORA別館]
中央の狭い範囲に前衛3人のブロッカーが並んで、3枚が右に左に動いて3枚ブロックをするのがバンチリードブロック。 こんな風に理解していませんか?みなさん。 これまでモントルー数戦を見た後はポーランドラウンドからワールドグランプリを地上派で見てきましたが...... [続きを読む]

受信: 2009年8月27日 (木) 19時37分

» ちっともリードブロックじゃないじゃないか! 東京体育館に行って... [強行突破 SPORA別館]
ワールドグランプリ決勝ラウンド最終日。東京体育館に行ってきました。 本当はいつものようにだらだらといろいろ思ったことを書いていきたいのですが、 今週末は今年の全日本男子の本番の試合! 男子は世界選手権の出場をかけてガチンコで戦わなくてはいけないので、...... [続きを読む]

受信: 2009年8月27日 (木) 19時38分

« 拝啓:庄司夕起選手 | トップページ | 「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その2) »