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2009年8月30日 (日)

「バンチリード」・・・言葉だけが一人歩き・・・(その2)

(その1)をアップしている尻から案の定、(その2)以降で書こうとしていた内容を先にこちらで書かれてしまった・・・(苦笑)。

『強行突破 SPORA別館』より引用


この日のセンターには「日本一ブロックがいい」とアナウンサーに言われるキラが起用されていました。
キラというのは井上香織。デンソーの8番で全日本の4番の人妻です。

・・・中略・・・

まぁ確かにキラのサイドへのチャージは速いのですが、速いがゆえにゲス(guess)であることが見ていてわかりやすい。

あらかじめ「予測を元にしたブロック」をいけないとは自分は思っていないことをあらためてここに書いておきます。
その予測がデータに基づいたものだったり、何らかの狙いがあった上ならば、状況によってそれを上手く使おうとすることが『戦術』です。

いけないのはそうしたプレイを実況ばかりか解説者までも全て「バンチリード」と括ってしまっている事。
これが間違った形で浸透してしまったら、10年後シニアに出てくる選手の多くが間違ったリードの解釈を持つようになってしまい、修正に余計時間がかかることになります。


キラこと、"おけいはん"こと(関西人じゃない方、ごめんなさい、、、)、井上香織選手の、全日本でのプレーぶりについては、別エントリーで後日アップしたいと思う。

ここから本題へ入る。


世界トップレベルから約10年も遅れて、ようやくバンチ・リードブロックシステムを採り入れ始めた全日本女子であるが、フジテレビの大きな間違いは、日本の3枚ブロックでのブロックシャット(kill block)が出た場面で「バンチ・リード(ブロック)炸裂!!!」という絶叫していたことだ。ブロッカー3枚がセンター中央に束のように集まって構え(=バンチ)、セットが上がった場所を見届けてブロックに跳ぶ(=リード "see and respond")ブロックシステムが、きちんと機能しているかどうかを見極めるポイントは、相手のハイセットの攻撃に対して3枚ブロックが完成させられるかどうか? ではなく、センターからのファーストテンポの攻撃(即ち速攻)に対して2枚ないし3枚のブロックを揃えて、ワンタッチを確実に取れるかどうか? である。そう、狙うところは決してブロックシャット(kill block)にはなく、ワンタッチを確実にとる(soft block)ことであって、その直後のトランジションで得点を狙いに行くのである。「バンチ・リード」ブロックシステムを採ることは即ち、その狙うところである「ワンタッチ後のトランジションでの攻撃」に重きを置くことを意味しており、従って、ファーストタッチを後衛にいるセッターが行った場面で、誰がセットアップを行いどのような攻撃パターンを組み立てるか? というシステム作りが不可欠となってくるはずなのだ。

これまで日本の女子バレー界にあっては、「サーブレシーブ(レセプション)が日本の生命線」というフレーズを、散々飽きるほど、聞かされてきた。しかし、そもそもバレーボールというスポーツは、従来のサイドアウト制の下では、レセプションをきっちりセッターへ返してサイドアウトを取ったところで、点数は入らなかったスポーツなのである。ルールがラリーポイント制に変わったは言え、サイドアウトのみでは勝てないのは何も変わっていない。相手チームのレセプションからの攻撃を凌いで、ブレイクする回数が相手を上回らない限り、そのセットを奪うことは出来ない。そう、「サイドアウト」よりも「ブレイク」がより重要なのだ(「サイドアウト」と「ブレイク」の用語説明は、こちらを参照のこと)。

「バンチ・リード」ブロックシステムという組織的ブロック戦術を「きちんと」採用すれば、自動的に「トランジションでの攻撃のシステム化」という道を避けて通れなくなり、必然的にセッター以外にセットアップの役割を果たすポジションが必要となる。「バンチ・リード」ブロックシステムが「世界最先端」の戦術だった約20年前に、その役割を任されたのは前衛のmiddle blockerであった。その後「バンチ・リード」ブロックシステムが「世界標準」へと移り変わってきたこの5〜10年の間に、新たにリベロという新しいルールが導入されたことも相俟って、その役割は前衛のmiddle blockerから後衛にいるリベロへとシフトしつつある。「バンチ・リード」ブロックシステムの登場によって、トランジションでの攻撃でいかに「ブレイク」を稼ぐか? に対する意識づけが行われる結果になり、そのために必要な「システム化」の上で、各ポジションに要求されるプレーが大きく変わった・・・middle blockerの役割は「ブロックの要」から「トランジションでのセットアップの要」へ、リベロのそれは「レセプションとディグの要」から「5−2システムにおけるセカンドセッター」へ、そしてセッターのそれも「セットアップの要」から「ブロックの穴にならない」ということへ変わった。

全日本女子も「バンチ・リード」ブロックシステムを採用することで、必然的にセッターがファーストタッチを行った場面でのセットアップを前衛のmiddle blockerが果たすというシステムを採用するように、ようやくなった。前監督時代は、特殊な能力を持った特定の選手に依存したチーム戦術に拘り過ぎたために、そういったシステムを採用できないジレンマに陥っていたが、その呪縛から逃れることがようやく出来たと言えるわけである。上述の「バンチ・リード」ブロックシステムの本質を理解しているファンならば、自ずと現在の全日本女子が改善していくべき課題が見えてくるはず・・・そう、「バンチ・リード」ブロックシステム、ひいては「レセプション」ではなく「トランジション」に重きを置くからこそ、そのチームのセッターに求められるのは何であり、リベロに求められるのは何であるか・・・。

ようやく「当たり前のこと(戦術)をやるようになり」、海外の強豪国と戦う上で「同じ土俵に上がった」全日本女子が更に進化していくために、私たち1バレーファンに出来ることは何であろうか? と考えた時、やはりいつもいつも言い(書き)続けてきたことだが、戦術を語ることの出来るファンを1人ずつでも地道に増やしていって、バレー界の底辺を広くかつ、レベルを高くしていく努力を怠らないことだと思う。そんなことは、底辺に位置する1ファンがすることではないと言われるかもしれない。しかし、では誰がやってくれるのだろう? JVAが当てにならないことなど、今更言うまでもない。何せ「富士山方式」などとほざいているのだから。同じくJVAと同じ穴の狢である、フジテレビを代表とするテレビ局も頼りにはならない、、、テレビ局と同じく、ファンに情報を伝える側のライターの方ですらも、現在のテレビ放映のあり方について苦言を呈しているくらいである。

『バレーボール日和』より引用


その人自身は非常に真摯にスポーツを見る目を持っていて
しかも、自分なりのスポーツ報道に対する意見もお持ちでした。
試合展開が速いバレーボールという競技の性質を考えると、
そのインターバルに入りきるように、紹介文は短くなければいけない。
そして初めてバレーを見る視聴者の目線に合わせると、どうしても
一言で選手の個性を集約するようなコピーが欲しいなどと、
付けるに至った経緯、必要な理由などもお話しいただき
とても納得した覚えがあります。

しかし、今思えば当時のキャッチコピーは、
その選手の特徴や、ファンに覚えてもらいやすいフレーズなど
一人一人、丁寧に考えて、作られた感があったなぁと思います。
何を伝えたいかというコンセプトと、作る人の心意気のようなものは感じました。

・・・(中略)・・・

ここ数年は何を表現したいのかさっぱりわからないものや
他局で使用した表現を、少しだけ変えてまた使ったものや…。

・・・(中略)・・・

「煮詰まっている」感や「とりあえず」感を感じてしまうのは否めません。
何より、競技や選手への愛情を感じないのはわたしだけでしょうか?


しかしながら、底辺に位置するファンへの影響力という点では、テレビには絶大な力があるのは否定のしようがない。(その1)で書いたとおりに、「バンチリード」という言葉自体の、短期間での浸透率には圧倒させられた。逆に、特に前監督時代に「レセプション(サーブレシーブ)」の意味として「キャッチ(ボール)」という、審判用語で反則(いわゆる"ホールディング"のことを意味する)を意味する用語の誤用と言うべきNGワードが、テレビを通してすっかり拡がってしまったケースもある。その意味で、せっかく「バンチ・リード」ならぬ「バンチリード」という、本来かなり難しい領域である戦術用語が、世間一般にも拡がったこのタイミングこそ、逆に上手く利用すれば、戦術を語ることの出来るファンを一気に増やす絶好のチャンスとも言えるのではないか? と思うのだ。

『排球参謀』より引用


数日間ではありますが、アメリカ男子の練習風景やゲームを観戦して感じたことは、やはり日本がただの真似事をしても太刀打ちできないという事です。
これから日本が世界の舞台に立つためには、強豪国が行っているスタンダードをしりつつ、そのスタンダードを凌駕するような、オリジナリティー、日本人らしさをクローズアップした方法論を模索していくべきだと感じます。

その答えを見つけるためのヒントをつかみ取るために、毎日修行の日々が続きます。


小林敦さんには、是非ともその「ヒント」をつかみ取ってもらいたいと思いつつも、彼のような協会側の中の一部の有能な方々が日本のバレー界を変革してくれるのを待っているだけでは、私たちファンの方が、違う意味で「富士山方式」を期待していることにもなってしまうと思う。

そこで・・・

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コメント

こんにちハ

>そう、狙うところは決してブロックシャット(kill block)にはなく、ワンタッチを確実にとる(soft block)ことであって、その直後のトランジションで得点を狙いに行くのである。

そうなんですか?
もちろん発展型としてはそうなのでしょうが、「リードブロック」の純粋な狙いはやはりキルブロックだと思います。
結果としてワンタッチを取ってトランジションで得点する光景をよく見ますが(もっぱら男子)、サイドの速い攻撃や時間差に対して少なくとも2枚以上(1.5枚以上?)のブロックで対応しようというのがリードブロック本来の意図ではないでしょうか?
もちろん大学レベルやVリーグレベルになるとセンターのテンポもトスの占有率も変わるでしょうが、たとえクイックのシャットアウトは減ってしまったとしても、それまで1枚で対応していた速いサイド攻撃や時間差に対するキルブロックは増えるように思います。

このあたりは中学や高校のような若い世代を指導していく上で決してブレたくない重要ポイントなんです。
急ぎませんのでレスをよろしくお願い致します。

投稿: 456 | 2009年9月 2日 (水) 12時36分

>456さん
横レス失礼します。

「リードブロック」の純粋な狙いは発生の歴史を見ていけば明らかです。

相手アタッカーが3枚までならマンツーマンコミットで全ての攻撃に最低1枚のブロッカーが付くことができます。
しかしバックアタックが出てきて、しかもその攻撃が前衛の攻撃に時間差や攻撃ポイントで連動してくるとなってくると、マンツーマンコミットではフリーにしてしまう攻撃が出てくる。
それをさせないために最低でも全ての攻撃に対してなんとかワンチを取ってカウンターにもっていこうっていうのがリードの基本的な目的です。

「最低でも」ってところがポイントで、キルブロックを目的とするのであれば、相手攻撃を限定できるような仕掛けをした上でコミットするってのが手っ取り早くて効果的だと思います。
状況や相手に合わせて策を使い分けるのが「戦術」ってものですよね。

投稿: kaz10000 | 2009年9月 5日 (土) 07時08分

>456さん

コメント(質問)ありがとうございます。

kaz10000さんがすでに回答してくれているので、補足説明とさせて頂きます。

kaz10000さんが仰るとおり、戦術の歴史的変遷から見たとき、「リードブロック」という戦術が生まれた'80年代当時の攻撃パターンは、ファーストテンポとセカンドテンポの攻撃の組み合わせによる時間差攻撃が主体で、そこにサードテンポのオープンやバックアタックが加わって「4人」で攻撃を行うという形でした。その攻撃パターンに対していかに「3人」で対抗するか? 「リードブロック」を採ったアメリカに対して対照的なのが、「スタックブロック」を採ったソ連です。スタックブロックについては、『へりくつバレーボール』の旧ページに投稿したものがまだ残っています(こちら)が、簡単に説明すると、「スタック配列」という、ブロッカーが重なり合って(ミドルのブロッカーの斜め一歩後ろに両サイドのブロッカーが構え構える)ブロックシステムで、しかも「スタック」というのは「バンチ」や「スプレッド」と違って、ブロッカーの配置だけの意味に止まらず、ブロックの跳び方もその言葉の中に含まれた概念です。具体的には、ミドルのブロッカーが相手の速攻(ファーストテンポ攻撃)にマンツーマン・コミットで対応し、両サイドのブロッカーは、セカンドテンポの攻撃がレフト側で繰り出されようがライト側から繰り出されようが、それに対して2人でリードブロックで対応するというものです。イメージとしては、速攻に対しては「マンツーマン・コミット」でセカンドテンポ・サードテンポの攻撃に対しては「バンチ・リード」という形を組み合わせていて、「コミット」と「リード」の両者の良いとこ取りをしたようなシステムだと思います。これこそが、マンツーマン・コミットのみでは限界が来ていた当時において、kill blockを狙うことを主眼に考え出されたシステムと言えるでしょう。456さんが仰る「たとえクイックのシャットアウトは減ってしまったとしても」という弱点が解消されますから。

それに対して「リードブロック」にこだわったのがアメリカであって、その後'90年代に入ってどちらが世界の主流となったかと言えば・・・言わずもがなですよね。「スタックブロック」システムは、kill blockを狙える点では最強かもしれませんが、その代わりに両サイドのブロッカーが逆サイドの攻撃にまでブロック参加に加わることを強要されますので、狙い通りにkill blockとなればいいですが、それが叶わなかった場合にトランジションの攻撃を組み立てるのが至難の業です(少なくとも両サイドから攻撃を仕掛けるのは難しいでしょう)。ですから「スタックブロック」は「ワンタッチを取った後のトランジション」に対する意識が働いていないはずの戦術と言えます。その点が、「スタックブロック」というシステムが世界で普及しなかった一番の要因だと考えています。当時の世界のバレー界でkill blockを狙うことよりも、ワンタッチ(rebound)を確実にとってトランジションでの攻撃をシステム化することの方が優先された結果が、世界に一気にリードブロックが浸透するに至った理由だと思います。

さらに、(その1)で書いたとおり、'99年ワールドカップでブラジル女子ナショナルチームが、バンチ・リードブロックシステムを女子バレー界で初めて本格的に取り組み始めた時のことを、まざまざと覚えています。バンチ・リードブロックシステムを採用すると同時に、レゼンデ監督(当時)は当時の女子バレーで初めて、トランジションで前衛のMBにセットアップの役割を与えています。「バンチ・リードブロック」システムと「トランジションでのセットアップ」の戦術は、不可分の関係にあるのです。その歴史的事実が「リードブロックの狙うところがkill blockにはない」ことを、何より雄弁に物語っています。


今回のワールドグランプリの大阪大会でのロシア戦・・・地上波の中継で散々「バンチ・リードブロック炸裂!」と騒いでいたあの試合ですが、3ー1での勝利の直後、真鍋監督はインタビューでこう答えています。

(今日の勝因は? というアナウンサーの振りに対して)
「今まで練習してきたブロックが、今大会一番良かったことですね」
(確かに、今日のブロックポイントは9本もありましたからね! と振られて)
「えー、その前に、ワンタッチを結構取ってるんですよー」

投稿: T.w | 2009年9月 5日 (土) 16時33分

こんにちハ、456です。

>kaz10000さま、回答ありがとうございました。

>それをさせないために最低でも全ての攻撃に対してなんとかワンチを取ってカウンターにもっていこうっていうのがリードの基本的な目的です。

わかります。
大前提として(後衛からも攻撃してくる相手に対して)前衛しかブロックに参加できないのですからそういう対応はわかります。
「それをさせないためにできれば全ての攻撃に対してシャットアウトしてやろう」となってしまうと、結局は逆にすべての攻撃を決められてしまうということですよね。
でも、ブロックの最高の結果はキルブロックであることに違いはないでしょう?
だからブロックする以上は最初っからシャットアウトをあきらめないでほしいのです。

>「最低でも」ってところがポイントで、キルブロックを目的とするのであれば、相手攻撃を限定できるような仕掛けをした上でコミットするってのが手っ取り早くて効果的だと思います。

ごめんなさい、これはワタシの質問の意図とはズレています。
ワタシはキルブロックするためにリードブロックを選択しようぜ!などと言いたいのではありません。
むしろ逆です。
リードブロックの狙いをハナっからトランジションからの攻撃だけに絞ってしまうと、シャットアウトしたときの評価(というか判断)が行き場をなくします。
いまの現実的なゲーム、特に高いレベルでのゲームの局面ではリードブロックでシャットアウトがバンバン出ないことは知っています。
枚数を増やすためにはリードブロックを選択するし、ここぞという場面ではコミットに切り替えるってのがいわゆるセオリーなんですかね。
そのために(?)ワタシの友人は某チームでアナリストしてます。

そもそもリードとコミットは、それだけでは「戦術のちがい」ではないですよね。
あえてゆうなら個人技術レベルを指す言葉でしょうか。
中学生や高校生にブロックを指導するときにはどちらも必要ですし、それはおもに飛ぶまでの違いでしかないと思っているのです。
それを

>状況や相手に合わせて策を使い分ける

ことによってはじめて

>「戦術」

になるわけですよね。
ですから、どちらのブロックであったとしても、それは「飛ぶまで」「飛ぶキッカケ」のちがいでしかなく、まだ相手の攻撃もそれほど複雑でなくテンポも遅い中学・高校のうちはゲスブロックをさせない意味でも、シャットアウト狙いのリードブロックを教えたいのです。


*****

>管理人さま、回答ありがとうございました。

スタックブロックを媒介にして俯瞰すると確かにわかりやすいですね。

>「スタックブロック」システムは、kill blockを狙える点では最強かもしれませんが、その代わりに両サイドのブロッカーが逆サイドの攻撃にまでブロック参加に加わることを強要されますので、狙い通りにkill blockとなればいいですが、それが叶わなかった場合にトランジションの攻撃を組み立てるのが至難の業です(少なくとも両サイドから攻撃を仕掛けるのは難しいでしょう)。

典型的な「矛&盾」だったんですね。

>当時の世界のバレー界でkill blockを狙うことよりも、ワンタッチ(rebound)を確実にとってトランジションでの攻撃をシステム化することの方が優先された結果が、世界に一気にリードブロックが浸透するに至った理由だと思います。

ワタシも上のレベルではそういう理由でリードブロックが浸透したと思います。
ただ「当時の」と「結果が」のタイムラグが少し気になります。
その間にある程度の日数をかけて「トランジション」の「システム化」という努力がなされてきているのではないでしょうか?
純粋なコミットでもトランジションになる場面は少なくないのですから。
調べずに書きますが、ブロックがワンタッチにカウントされなくなったことにも影響されたりしつつ。

しつこく上のレベルと下のレベルをあえて分けて書いているのは、ここにワタシの疑問の本質があるからです。
荒木エリカ選手がキャプテンでありながらゲームに出たり出なかったりするのは、コミットでは猛烈に力を発揮するのにリードブロックを非常に苦手にしているからですよね(それが原因のすべてではないしても)。
だとすればそれは明らかにジュニア時代のツケでしょう?
これまでの指導がバランスを欠いていたからと思います。

>(今日の勝因は? というアナウンサーの振りに対して)
>「今まで練習してきたブロックが、今大会一番良かったことですね」
>(確かに、今日のブロックポイントは9本もありましたからね! と振られて)
>「えー、その前に、ワンタッチを結構取ってるんですよー」

という眞鍋さんのコメントを聞いて思い出すのは、彼が久光の監督に就任した当時、荒木選手よりもひと世代上の(つまりブロックに対する理解もモッサリしているであろう)大村カナコ選手が「あれ?ワンタッチしただけで眞鍋さんに褒められる。こんなんでええんや!」と発言していたことです。
そこで大村選手のバレー観は大きく変化したようです(そういうことが全日本でも起こっていると信じたい)。
ですからリードブロックとトランジションが深い関係にあることは十分わかっているつもりです。
ただ、「最低でもブロックを1枚以下にしない」ためのブロックが「ワンタッチを取るためのブロック」だとは言い切りたくないということです。
少なくとも動きそのものを体得する途上にある世代には、特に。
そこまで妥協するのは、多くの実戦(現状の戦術が通用しない場面)を経験してからでいいのではないかと思っているのです。
それに、もし仮に若い世代にリードブロックで止める意識を持たせたとしても、「ワンタッチしただけで」褒めてあげることはとても大事なことだと思いますしね。

*****

(その3)の投稿の邪魔をしてしまっていますね。
申し訳ありません。

投稿: 456 | 2009年9月 9日 (水) 09時10分

>456さん

率直なご意見をありがとうございます。
最初に書きますが、「(その3)の投稿のじゃまをしてしまって」ということは全くありませんので、ご安心ください。(その3)のアップが遅いのは、別に理由があってのことで(単に時間がないのと、書く内容の吟味に時間を要しているだけです)。むしろ、お陰ですごく有意義な議論が出来ている気がします。ありがとうございます。


>そもそもリードとコミットは、それだけでは「戦術のちがい」ではないですよね。


そうですね、その通りだと思います。
私が「リードブロック」という単なる「個人技術」の一つを、「トランジションでの攻撃に繋げるため」という「戦術」レベルに話を飛躍させているところに違和感を感じられたという解釈で間違いないでしょうか?


>「最低でもブロックを1枚以下にしない」ためのブロックが「ワンタッチを取るためのブロック」だとは言い切りたくないということです。

ブロックという「個人技術」としては、確かに最高の結果はブロックシャットで、ワンタッチを取るのは最低限の結果という解釈でいいですか? ブロックが1枚になってもブロックシャットは可能ですものね。

では逆に、456さんの教え子が「コミットブロック」で跳んで、それでワンタッチを取った場合、どのようにその子に言ってあげますか? あるいはブロックには擦りもしなかったけれど、相手のアタッカーのコースを制限して抜けてきたコースに構えたディガーが楽々ディグを上げたとしたら・・・。


確かに「リードブロック」「コミットブロック」というのは、ブロックに跳ぶ際の「跳び方」という「個人技術」に過ぎません。ですが、バレーボールという競技において、「個人技術」一つで完結できるプレーはないと思います(よくサーブだけは・・・と言われますが、サーブも違うと思います)。「個人技術」として見た場合にはどうしても「ブロックの目的はブロックシャットだ」という意識が働きがちなので、「ワンタッチを取る」あるいは「相手アタッカーの打つコースを制限する」というだけだと、そのブロッカーの技術として価値が低く見えてしまう気がします。


本音ではっきり言いますと、私自身は「リードブロック」であろうが「コミットブロック」であろうが、「ブロック」は「個人技術」として捉えるのではなく、ディグとの連携を前提に「守備の最前線」として捉えて欲しいと思うのです。「コミットブロック」であっても、ブロックシャットを取ることが主眼とは思っていません。そういう意識で自分はプレーしてきました。ブロックシャットが出れば出たで、喜んだり褒めたりしますが、そうならずにブロックに当たらなくても、ディガーが楽々ディグ出来ればそれはディガーの手柄ではなく、ブロッカーとディガー両者の手柄だと思って、常にプレーしたり指導してきたつもりです。別に「『リードブロック』だから」ということではないと思うのです。

かつて、ワンタッチがファーストタッチと数えられていた頃、私自身は残念ながら目の当たりにしたことはないんですけど、父親の話などを聞いていても、恐らくは日本のバレーというのは、トランジションの意識がすごく高かったのだろうと推測します。何せワンタッチ後のボールはすべてセットにしなければならないのですから。恐らく海外勢はそういった「ワンタッチ後のボールはすべてセットにする」といった能力では日本に勝てず、代わりにブロックの「個人技」としての技術を高めようとしたと思います。その流れの中でのルール改正(ブロックのオーバーネット許可・ワンタッチを数えない)を経て、ブロックが「個人技」としてレベルアップしていったと思います。その後、例のブロック戦術の歴史変遷を経て、「個人技」としてのブロックの捉え方が廃れ、「守備の最前線」としてのブロックの捉え方が基本となって、バンチ・リードブロックの時代が訪れ、、、要は、かつて日本の「トランジションのシステム」に勝てずにいったんは「個人技」としてのブロック技術を高めて日本を追い抜いた海外勢が、再び「トランジションのシステム」の重要性を再認識して、それを自身のディグ能力に見合った形で合理的に行えるように編み出した方法論が、バンチ・リードブロックだと思うのです。ところが、海外勢が「トランジションのシステム」の重要性を再認識し始めた頃に、海外に追い抜かれて置いて行かれそうになっていた日本は、かつて自身が持っていた「トランジション」の意識をどこかに忘れ、ブロックを「個人技のみ」として捉えるようになっていったのではないかと思います。

例えば、川合俊一は相変わらず『Coaching & Playing Volleyball(CPV)』の中で、「ブロックは相手アタッカーとの駆け引きだ」という持論を展開しています。テレビでいくら「バンチ・リード」について知ったかぶりして語っていても、自身はブロックを「システム」として捉えようという気はないようで、ひたすら「個人技」としてしか捉えていません。


「コミット」でも「リード」でも何でも良いんです、別に。ブロックを「個人技」として捉えさえしなければ。ですが、日本の現在のバレー界では川合俊一に代表されるように、まだまだブロックを「個人技」として捉える意識が強いように思えます。それが「見るだけのファン」にも影響し、従ってブロッカーの善し悪しを「ブロック決定本数のみ」で判断したがる傾向にあると思うのです。area71さんも書いてらっしゃいますが、例えば荒木選手は北京オリンピックでベストブロッカーに輝きましたが、確かにkill blockが多かった一方で、faults(ブロックに当たってアウトになったり吸い込みになったりして、結果的に相手アタッカーの攻撃が決定した本数)が大変多い印象でした。しかし、イタリアリーグを経験して、彼女のブロックはずいぶん成長したように私には思えます。見ていてfaultsが減った気がするのです(具体的には、ネットから離れて跳ぶシーンが減りました)。しかし、世の中の評価は「荒木選手はイタリアに行って衰えた」というものが大半を占めているようです。見た目上のプレーの派手さが消えたためにそういう印象を与えていると思います。


今回の記事の中で私が訴えたかった点は、普段私の頭の中に常々、日本のバレー界において如何に「トランジション」の意識を高めてもらうか? という問題があって、その問題の答えの一つのきっかけに今回の「バンチリード」という言葉の浸透が、ひょっとすればなりえるかも? ということです。上手く利用すれば、一気に世の中のバレーの見方を変えられるきっかけになるのではないか? ということなのです。本質的には456さんが仰るように、決して「リード」だからトランジションで「コミット」ならそうでない、ということではないんです。

456さんは指導者でらっしゃるんですよね?
「リード」でも「コミット」であっても、ラリーが続いたら是非、そのブロッカーの子を褒めてあげてもらえませんか? あるいは、相手のアタッカーがスパイクミスをした時にも、ラッキーと喜ぶだけでなく、教え子のブロッカー達に「上手く相手アタッカーにプレッシャーを与えられたね!」と褒めてあげてもらえませんか?

投稿: T.w | 2009年9月19日 (土) 23時59分

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