« 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(予告編) | トップページ | 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(その2) »

2009年4月16日 (木)

2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(その1)

両チームとも、オポジットに配された選手が前衛センターから始まるスタートローテーションで、共にオポジットに配されている助っ人のボヨビッチ・エンダキ両選手が、まともにマッチアップする戦いとなった。

第1セットスタート早々、両チームのブロックシステムは対照的だった。堺は、ブロック陣がスプレッドで構えており、しかもエンダキ選手が前衛の場面で彼は、レフトブロッカーとしてブロックに跳んでいた。これは、東レのオポジットに配されたボヨビッチ選手のファーストテンポ・ライト攻撃(C1攻撃)をマークしようという意図であっただろう。結果的に堺は、トランジションの場面でレフトに位置したエンダキ選手へのハイセットの攻撃が試合開始早々から連続し、東レはそれに対してブロックを揃えて、まず1点目はその形での東レのブロックシャットであった。そのあと、両チームともにサーブミスが続いて、流れを掴みきれない状況が続いたが、その中で東レのセッター・阿部選手は、冷静に堺のブロックシステムを見極めていた。堺のブロックシステムは、スプレッドで構えつつ、両サイドのブロッカーはマンツーマン・コミットで両サイドのファーストテンポ攻撃をマークしていたが、センターブロッカーはコミットでなく、リードで相手センターの速攻に対応しようとしていた。結果的に堺のレフトブロッカーは速攻には対応できなくなるわけで、セット序盤に阿部選手は4-5・5-6・8-7の場面で立て続けて篠田選手の速攻を選択。堺のセンターブロッカーがコミットで対応していれば、せめて手には当たったかもしれないが、実際は堺のセンターの大道選手は、篠田選手にまさに弄ばれた。それでも、マンツーマン・コミットでボヨビッチ選手のC1攻撃を1枚ブロックで止めることができれば、当初のブロック戦略意図は達成されたと言えたのだろうが、自国ではセンタープレーヤーであるエンダキ選手をしても、そのブロックの上から打たれてしまう程、阿部選手が上げるボヨビッチ選手へのC1攻撃のセットは、高くて早いテンポであった。

一方、東レのブロック陣はスプレッドでなく、デディケートに近い形を敷いていた。つまり、堺のライト側からの攻撃に対するマークを甘くしていたのだが、逆にレフト側の攻撃に対しては容易に3枚ブロックが揃う形を採っていた。となれば、堺のセッター・朝長選手は当然、ライト側からの攻撃を多用するべきなのだが、セット序盤から上述の通り、自チームのブロック戦略のためにレフトに位置することが多くなったエンダキ選手へ、レフト側のハイセットを連続して選択し、東レの3枚ブロックに見舞われた。ブロックをはじいてもエンドライン後方に構えた後衛センターに繋がれ、ブロックを抜いても万全のディグで繋がれ、エンダキ選手はレフト側から攻撃する際に、徐々にプレッシャーがかかっていった。さらに6-6での阿部選手のサーブの場面では、前衛アタッカー2枚であった堺のセッター・朝長選手は、後衛レフトのゴッツ(石島選手)のファーストテンポ・パイプ攻撃を選択したが、デディケートで構えていた東レのブロック陣は、センターの速攻にレフトブロッカーがコミットし、センター・ライトブロッカーがファーストテンポ・パイプ攻撃に2枚揃って、そのプレッシャーにゴッツは負けてネットに引っかけ、これで朝長選手は、パイプ攻撃を使えなくなってしまった。

さらに東レは、朝長選手のセットアップ位置に合わせて、ブロックシステムを柔軟に切り替えるという、ちょうどワールドカップ2007北京オリンピック決勝でアメリカ男子ナショナルチームがブラジル相手に採って成功したのと同じような戦術を、第1セット序盤から採ってきた。すなわち、基本としてはデディケート・リードを採りつつ、セットアップ位置がネット際の理想的な場所になるようにレセプションやディグが入ると、スプレッドへ配置を変えてセンターブロッカーが相手の速攻にコミットで跳んでいた。そのため、レセプション・ディグがきちんとネット際に入って、朝長選手が両サイドの攻撃へセットアップすると、アタッカーとブロッカーの1対1の勝負となったが、16-16の場面で途中出場の越谷選手が北島選手のライト攻撃を1枚で見事にシャットし、エンダキ選手をマンツーマン・コミットで跳ばせながらボヨビッチ選手を止められなかった堺とは対照的であった。

この両チームのブロック戦略の差、及びそれを見極めてセットアップする両セッターの差が、競り合いながらもじりじりと東レに流れが傾く要因となり、20-17と東レがリードして、セット終盤の攻防へ移るが、ここで流れを断ち切ったのは、ゴッツ(石島選手)のブロックだった。今シーズンの堺は、千葉選手がアキレス腱を断裂してゴッツがスタメンとして出場するようになったシーズン半ばから、裏レフトのゴッツをセンターブロッカーとして跳ばせる戦略を採っていた。大道選手はマッチアップする篠田選手に翻弄され、リードでは速攻はもちろん、両サイドのファーストテンポ攻撃に対応できていなかったが、ゴッツはリードでありながら、セット終盤から東レの両サイドの攻撃に間に合い始め、東レのファーストテンポ・レフト攻撃(51攻撃)に着実にワンタッチが取れるようになり、20-19と追い上げた場面で、遅れながらも空中でブロックが完成してボヨビッチ選手のC1攻撃を止めて、20-20の同点。さらに21-21から、伊藤選手とゴッツの2枚ブロックがきれいに揃って再度ボヨビッチ選手のC1バックアタックを止めて、21-22と堺が逆転。直後、阿部選手は今度は51攻撃を選択するも、それに対してもゴッツは間に合って、見事にワンタッチを取り、トランジションでレフトにいた伊藤選手がブロックアウトを決めて、21-23。ボヨビッチ選手が意地を見せて決め返して、22-23。さらに、ラリーの中で前衛センターの伊藤選手が、前衛ライトにいたエンダキ選手へハイセットを託したが、レフト側にデディケートしていたはずの東レのブロック陣が見事にライト側の攻撃に3枚ブロックを揃えて、阿部選手がシャットし、再び23-23の同点。ゴッツが気迫で決めて、23-24と堺が先にセットポイントを掴むも、直後にゴッツがサーブミスを犯して、いよいよジュースの攻防へ。

|

« 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(予告編) | トップページ | 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(その2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105977/44673756

この記事へのトラックバック一覧です: 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(その1):

« 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(予告編) | トップページ | 2008/09 シーズン・男子決勝(東レ - 堺)(その2) »