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2009年1月25日 (日)

"コンビバレー"という言葉は消し去ろう!

日本のバレー界では、よくこの言葉を耳にする。


・・・コンビバレー・・・


これは一体全体、何なのだろう???


確かにわかる、言いたいことはだいたい。センタープレーヤー(middle blocker)のAクイックをおとりにして、ライトにいるプレーヤーがセンタープレーヤーの後ろから回り込んで、近接するスロットで時間差攻撃を決めたりすると、アナウンサーの口から「コンビ(バレー)を使ってきましたね」とか「見事なコンビ(バレー)ですね」とかいう言葉が発せられる。しかし、それが発せられるのは、その攻撃が「決まった(=得点した)」からこそ、である。決まら(=得点し)なければ、「コンビバレー・・・」という言葉は出てこないのだ。当たり前である。コンビとは「コンビネーション "combination"」の略であるから、セッターとアタッカーの両者で作り出される、その決まった(=得点した)攻撃を「ナイス・コンビ(ネーション)!」と褒めているわけであるから。いや違う、「複数のアタッカーがコンビネーションを作り上げる」からこそコンビバレーなのだ、と言うかもしれない。しかし、残念ながらこれも真実ではない。ソフトバレー(ボール)という競技をご存じだろうか? ご存じない方はこちらを参照頂ければと思うが、要は子供から大人まで、生涯にわたってバレーボールを親しめることを意図して考案された競技であり、従って競技者全員が均等にボールに触る機会が与えられるように意図して、1チームの競技人数は「最少人数」に設定されているのだが、3回のボールタッチで相手へ返すバレーという競技において、「最少人数」は当然「3人」と思いがちだが、実は「4人」と設定されている。この意味を最近になって知ったのだが、「レセプション/ディグ」「トス(セット)」の次にくる「アタック」を担う競技者が少なくとも「2人」必要だと考えられているからだそうだ。つまりは、ソフトバレーのようにバレー界において最も「底辺」に位置する競技レベルにおいてすら、攻撃(アタック)は最低「2人」でコンビネーションを組み立てることが当然と見なされているのだ。つまりは、複数のアタッカーがコンビネーションを作り上げるのは、バレーという競技の本質であり、確かに6人制バレーにおいては、どんな状況であれ常に前衛に2人〜3人のアタッカーが存在するわけであるから、複数のアタッカーでコンビネーションが作り上げられない状況自体があり得ないのだ。従って、「複数のアタッカーがコンビネーションを作り上げる」ことをコンビバレーというのなら、すべての攻撃はコンビバレーになってしまい、この言葉自体が意味を為さない。

こうやって突き詰めていくと、「コンビバレーを展開する」とは、要するに「相手チームから攻撃で得点をものにする」という、シンプルな意味でしかないのではないか?! という結論に達する。そこには「華麗な速攻を披露する」とか「アタッカー同士が時間差攻撃を繰り広げる」とか、そういった意味は存在しない。その攻撃が相手チームにとって、いや、さらに厳密に言えば、相手チームのブロックシステムにとって、有効なのかどうか? が一番の鍵なのだ。複数のアタッカー同士がいかに複雑なコンビネーションを構築しても、それが相手チームのブロックシステムにとってカモとなるコンビネーションであれば、それは「コンビバレーを展開した」とは言えなくなってくる。バンチ・リードブロックシステムを敷いてくるチームに対して、中央からの時間差攻撃をいかに複雑に繰り広げても、それをコンビバレーと言えるはずがないのだ。逆に極端な話、ウイングスパイカーのレフトオープン一辺倒の攻撃であっても、相手チームのブロック陣の遙か上から打ち下ろして決め続け(=得点し続け)られるのなら、それは「コンビバレーを展開している」ことになってしまうはずだ。B級レベルならそういうケースが生じ得るだろうが、トップレベルではそれは通常はあり得ない。試合序盤にそのようにレフトオープンを立て続けに決められたら、3枚ブロックを採るなり、ライト側に長身選手をブロッカーとして配するなどの対抗策を採るはずであって、すなわちブロックシステムを試合の局面局面で変えてくるはずだ。従って、最後まで「コンビバレーを展開し続ける」というのは、「試合の各局面で相手チームのブロックシステムを逆手にとって、それに対して最も有効な攻撃システムを選択する」という意味になってくる。要するに、「相手のブロックシステムにあわせて、複数ある攻撃システムを柔軟に使い分けることが出来る」ことこそが、コンビバレーの本質と言えるわけである。これは極めて高度な戦術であるはずだ。B級レベルにおいては「うちのチームの特徴はセッターの○○を中心としたコンビバレー・・・」などということは簡単に口に出来るはずがないし、トップレベルのおいては全てのチームがコンビバレーを目指しているはずなのだ。

結局何が言いたいのかというと・・・上述の内容を理解せずに不用意にコンビバレーなどという言葉は用いるべきではない、ということである。日本のバレー界においては、すぐに「日本のお家芸のコンビバレー」などと言って、あたかも時間差攻撃などで攻めることが「レベルが高い」とでも言わんばかりだが、結局は女子では「単調な」オープントスしかないロシアに全く歯が立たないし、男子では素人目にはこれこそが究極のコンビバレーと映るかもしれないブラジル男子のバレースタイルも、その実は「51・11・C1と31のパイプ攻撃」という「ワンパターン」である。「試合の各局面で相手チームのブロックシステムを逆手にとって、それに対して最も有効な攻撃システムを選択する」ことこそが、本当に「レベルが高い」ことなのであるから、コンビバレーなどという曖昧な言葉を使うのではなく、バンチ・リードブロックシステムを敷いている相手には、両サイドのファーストテンポ攻撃を多用する「スプレッド攻撃」とか、マンツーマン・コミットブロックシステムを敷いている相手には中央で複数のアタッカーが絡む(交差する)「タンデム攻撃」とか、もっと具体的に攻撃のコンビネーションの種類を一つ一つ名付けた方がいいと思う。それが、日本のバレーが世界に追いつくための大事な下準備に繋がると思う。

今後(というか、これまでも出来るだけ使ってこなかったつもりだが)、当ブログではコンビバレーという言葉は一切使わないように心がけたいと思う。

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2009年1月15日 (木)

やっぱWライトでしょ!?(パイオニア - NEC)(その2)

第1セットは、NECのセンター陣の攻撃にある程度プレッシャーをかけることに成功していたパイオニアのブロック陣だったが、代わりに鍵となったフェイント攻撃を含めレフト平行にやられていた。第2セットに入り、パイオニアはライトブロッカーをリリース(release)させ、レフト平行へ対応を始めた。セット序盤、それにより徐々にワンタッチを取り始め、長いラリーが続くようになるが、ハニーフのライトからのバックアタックがフォフィーニャ選手にシャットされ4-6と劣勢になると、直後はユキのトスミスで4-7となって、パイオニアがタイムアウト。ここからハニーフ・メグが連続で決め、6-7と追い上げると、フォフィーニャ選手をユウが遂に捕まえて同点。メグがハイセットを打ち切って、8-7と逆転してファーストテクニカルタイムアウト。ここから一進一退の攻防が続き、10-9から松崎選手のライト攻撃をハニーフがプレッシャーをかけてミスを誘い、11-9とパイオニアに流れが傾きかけるが、直後のラリーでハニーフの強打が僅かにエンドラインを割って、勢いが止まる。再び一進一退の攻防が続くが、NECのレフト攻撃がほとんど一発で決まらなくなり、13-12からハニーフがセカンドテンポ・パイプ攻撃を豪快に決めて14-12と、再びパイオニアに流れが傾きかける。ここで、フォフィーニャ選手のレフトからの攻撃をまたワンタッチを取って繋ぐが、トランジションでユキがトスミスし、またまた流れを逃すパイオニア。結局また一進一退が続いて、16-15でセカンドタイムアウト。お互いにこのセットは流れを掴みきれず、セット終盤の攻防へ。18-17からNECのセッター・秋山選手が、パイオニアのブロック陣がデディケートなのを確認して、ツー攻撃をレフトブロッカーだったハニーフ選手の斜め後方へ見事に落として、18-18。これでNECに一気に流れが傾き、パイオニアに連続でミスが続いて、結局5連続失点で18-22。マミが鮮やかに決めて19-22とし、吉田監督は前衛のユキをレオに代える第1セット同様の戦略に出て、前衛ブロッカーはレフトにレオ・センターにアサコ・ライトにハニーフ。直後に松崎選手のミスで20-22となって、もう1点取ればまた再びチャンスが訪れるかもという場面で、狙い通りに松崎選手のAクイックをワンタッチで繋いだが、この直後のトランジションがこの試合を象徴するプレーで決した。この場面でワンタッチでコート中央付近に上がったボールを、後衛ライトのマミもレフトのガッツもどちらでも取れる位置だったが、結局マミはセットアップに気が取られて足が止まり、ガッツがファーストタッチ。ボールはネット際に上がり、前衛両サイドのレオとハニーフ・後衛センターのメグの3人がスパイク助走に入ったが、前衛センターのアサコとマミがお見合いしてどちらもセットアップにいけずに、ボールはネット際にポトリ、、、。このセットもこれで完全に決まってしまった。

結局、トランジションの戦術において、昨シーズンどおりの後衛レフト or 前衛センターのセットアップを採るのか、今シーズンのようにマミのセットアップを採るのか? この点について、マミ自身はもちろん、周りの選手達も躊躇しているように伺える。マミ自身もまだ自信が持てないし、周りの選手もマミを完全に信用しきれていない。第3セットに入り、2-7の劣勢からマミに代わってコヨミが出場した途端に、ユキはNECのレフトからのフェイントに対して突如として躊躇なく突っ込んでいく姿で、私はそれを確信した。コヨミが入ると、後衛ライトのユキがファーストタッチを行っても、後衛レフトだろうと、前衛ライトにいるコヨミだろうと、はたまた前衛センターだろうと、誰でもが自然とセットアップに向かって身体が動くのだ。それに対して、マミが入っていると、周りの選手みんながプレーをする前に一旦「どこにマミがいるから・・・」と考えてからでないと、身体が動き出さない。マミはよく頑張っていると思うし、愛着も相当にある選手ではあるけれども、今シーズンこれまでの戦術スタイルは、今シーズンが初のスタメン定着となったマミには少し荷が重すぎると思う。マミをスタメンとして育てるのならば、今シーズンは"Wライト"に徹して、トランジションでのセットアップは後衛レフト(及び前衛センター)の選手が行う戦術でいくべきだろう。開幕当初は"Wライト"ではマミが、レフト攻撃及びレフトブロッカーを務める必要の出てくる点を懸念したが、天皇杯・皇后杯の東レ戦の第1セットでは、むしろレフトブロッカーとしての方が、ブロックもよく手が出ているように見えた(実際1セットで2本もブロックシャットを決めていた)し、ハイセットもそつなく打ちこなしていた。吉田監督としては、コヨミを出来ればセッターに育てたい、と考えているがゆえに、マミをユーティリティタイプのオポジットとして独り立ちさせておきたいのだろうが、今の状況ではコヨミがスタメンを奪ってしまう可能性の方が高くなってきたと言えよう。

ただ一つ、この試合で光が見えたのは、久々に公式戦で見られたユミのセットアップだ!
一方のNECは、遂にと言うべきか? フォフィーニャ選手が本格的にレセプションフォーメーションに参加するようになった。もともと久光にいた頃から「フォフィーニャ(選手)って、レセプションやらせたら絶対出来るよな・・・」と思っていたが、案の定だった。内田選手がサーブで狙われる負担が相当にこれで減るであろう。この形ならば、さほど大崩れはないだろうし、それなりに勝ち星は重ねる可能性を感じた。

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2009年1月13日 (火)

やっぱWライトでしょ!?(パイオニア - NEC)(その1)

皆様、明けましておめでとうございます(もう、遅いって!?)。
本年もsuis annex及び、suis annex weBLOGを宜しくお願い申し上げます。

"スピード"ではなく"テンポ"の(その4)を書いている途中でしたが、その間に年が明け、今年シーズン最初の生観戦に大阪まで行って参りました。

ホームゲームではないですが、チームグッズが売っていてちょっと興奮・・・。


Dsc01119_2


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スタメンは、開幕前に予想された配列からセンター(middle blocker)が昨年までと同様に表にアサコ・裏にユウに戻った形。そして何より、ベンチ入りメンバーにユミが返ってきた!

第1セット序盤、一進一退の攻防からNECにサービスエースを取られるなどして、じりじり9-13と4点差をつけられる。フォフィーニャ選手をアサコがシャットして10-13。ここで吉田監督は、前衛のユキに代えてレオを投入。フォフィーニャ選手にフェイントを決められた直後に対角のマミをユミに代えて2枚替えの形。久々公式戦でのユミのセットアップ! それをハニーフがライトから、メグがレフトから、いずれも相手ブロッカーの上を抜く形で見事に決めて、12-15とパイオニアが追い上げ体制に入る。NECがフォフィーニャ・杉山両選手の前衛2枚のローテーションで、パイオニアのブロック陣は、レフトブロッカーにレオ・センターにユウ・ライトにメグの形でデディケートを敷いてプレッシャーをかけ、杉山選手のミスを誘って13-15。さらに、直後は杉山選手がブロードでライト側アンテナ近くまで流れて打つが、レオ・ユウがきちんと2枚揃い、クロスコースに抜けたボールをユミがディグ。ここで「問題のプレー」が生じるがそれは後で説明するとして、結局このラリーも杉山選手のAクイックをレオ・ユウでシャットして、14-15。困ったNECのセッター・秋山選手は、フォフィーニャ選手をレフトからBセミへとコート中央へ切り込ませて、デディケートで構えるユウ・メグの2枚ブロックをかいくぐろうとするが、結果的にスパイクミスとなって15-15の同点。何とかフォフィーニャ選手が決めて、15-16でNECのテクニカルタイムアウト。パイオニアは2枚替えを戻し、ここからというところでユウがスパイクミスで16-19と、再びNECに引き離され始める。今シーズンで久々に(優勝した12V以来)パイオニアの得点源となっているサーブだが、このセットはその得点源であるハニーフやメグのサーブにミスが多く、なかなか試合の流れを取り戻せない。NECの内田選手にフェイントを決められて17-21。結局このままの点差が詰まらずに、20-25。NECが1セットを先取する。

このセットでパイオニアが追い上げ体制に入ったのは、中盤で2枚替えを行った場面。即ち、レオがオポジットに入った場面だが、上述のとおりこの状況では、開幕前に私が予想したとおり、オポジットのレオをレフトブロッカーとして跳ばせ、レフトのメグをライトブロッカーとして跳ばせていた。昨シーズン、パイオニアは何度か解説したとおり、オポジットにセナを配しライトブロッカーを高くした上でブロックシステムを強化し、その上でトランジションにおいては後衛レフトを守る選手(リベロのガッツあるいは両センターのユウ・アサコ)がセットアップを行うという戦術を採ることでチーム強化を図ろうとしていた。この戦術においては、例えば相手チームのフェイント攻撃に対しては、後衛ライトにいる選手がセットアップのことを気にせずに思い切って前へ突っ込んでいくことが可能となる。通常後衛ライトにはセッターが位置していることも多いため、セットアップを気にしてファーストタッチを躊躇しがちなのだが、後衛レフトの選手がセットアップを行う戦術を採れば、そうしたお見合いがなくなる。もちろん、そのためには前衛ライト側にハイセットを打ち切れる選手がいることが大前提となるわけであり、そのためにオポジットにセナを(開幕当初は)配していた。ところが、今シーズンは開幕戦のデンソー戦を見る限り、トランジションにおけるセットアップを行う選手は主に「後衛ライト」を守るマミになっていた。せっかく昨シーズンを通じてチームの形にしてきていたことが、今シーズンになって無に帰してしまうのはもったいない訳で、私としては長身の選手を出来るだけライトブロッカーとして跳ばせることを継続した上で、トランジションでのセットアップは後衛レフトの選手が行うべきと考えていた。だからこそ、今シーズンの開幕前に『我ら、かく戦わん』の【開幕前戦力予想】を見て、これはメグ・ハニーフの2人に"Wライト"の役割をさせるのだろうと予想した。

年末に行われた天皇杯・皇后杯。準決勝での東レ戦では、まさにその、私が予想した"Wライト"の形が見られた。レオがオポジットとして出てくる場面だけでなく、普通にマミや試合途中からマミに変わってスタメン出場したコヨミが出ている場面でも、メグ・ハニーフをライトブロッカーとして跳ばせて、マミ・コヨミをレフトブロッカーとして跳ばせていたのだ。この形ではトランジションでスムーズにガッツやユウが後衛レフトからセットアップを行い、何とも「安心して」試合展開を見ていられたのだった。

それに対して、この日のNEC戦では、「問題のプレー」と書いた13-15の場面、、、杉山選手のブロード攻撃がクロス方向に打たれて、それを後衛ライトを守っていたユミがディグしたのだが、昨シーズンなら何事もなく真上付近のアタックライン上に上げておいて、それを後衛レフトのアサコがセットアップしに行けば問題ないはずなのだが、トランジションでセットアップする選手を「後衛ライト」の選手に変えてしまった今シーズンにおいては、ここでファーストタッチを行うユミ自身が瞬間的に「どこに上げればいいか?」迷ってしまうのだ。結果的に中途半端に真上に上げられたボールを後衛センターにいたハニーフが繋ぐ羽目になり、ただチャンスボール(free ball)を相手コートに返すだけに終わった。同様に第1セットに何度か要所でNECのレフト攻撃から決められたフェイントボールも、後衛ライトを守るセッターがセットアップを気にして思い切りつっこめずに終わったために落ちたものだった。

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