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2008年4月 1日 (火)

今年の東レ(その1)

さて、お待たせの(誰も待ってないって?)今シーズンの東レの戦術分析に入りたいと思う。

『チームの顔』で菅野監督は、こう語っている。

前回(のリーグは)ブロックの成績が非常に悪かったので、今シーズンは特にブロックとレシーブに力を入れてやってきました。・・・(中略)・・・ブロックを含むディフェンスが鍵を握るという意味では、センター陣の役割は大きいと思います。

確かに、昨シーズンまでの東レのブロックの問題点は、過去に何度か書いてきたとおり「組織化されていない」点に尽きる。これについては『日本女子バレーコンプリートガイド』の中でも「若さ以上の問題点は組織化の遅れだ」と評されている。上述の菅野監督のインタビュー記事からは「ブロックとディグの連携を強化してきた」という風に受け取れるだけに、それならば当然、ブロックの組織化が図られているはずだと考えるのが自然であろう。その意味で、今シーズン東レのブロックシステムがどのように生まれ変わっているのか?・・・この点にリーグ開幕当初から私は注目していた。

ところが蓋を開けてみると、昨シーズンからセッターに転向した大山未希選手に代わって、今シーズンは159cmの中道選手が正セッターの座に着いた。これについては正直、驚きを隠せなかった。「ブロックの組織化」という命題に159cmのセッターはどう考えても障害となると思われるからだ。では実際、今シーズンの東レのブロックシステムは如何なるものだったのか?


ブロックシステムの分析に入る前に、書いておかなければならないことがある。今シーズンの東レは、昨シーズンとは配列を大きく変えてきた。現在の全日本女子の主力でもある木村・荒木の両選手を昨シーズンの表レフト・表センターから、今シーズンは裏レフト・裏センターへと変えたのだ。代わりに表レフトを開幕時は向井選手が、表センターを冨田選手が務めていた。

今シーズンの東レには昨シーズンからの引退選手が一人もいなかった。昨シーズンから戦力が全く変わらないという、ある意味恵まれた状況の中で、サマーリーグや国体といった若手主体で臨むチームが多い大会にあっても、全日本選手の2人(木村・荒木両選手)を除いたベストメンバーで戦っていたところからも伺えるように、今リーグのためのチーム強化を昨シーズン終了後から1年間をかけて、一貫して図っていたという印象が強い。その意味で、スタメンの配列についても、恐らく菅野監督は木村・荒木両選手及び、新外国人助っ人のベタニア選手の合流を見越しつつ、ベストの配列をリーグ開幕より遥か前から構想を練っていたに違いない。結果的に木村・荒木両選手を裏レフト・裏センターに配する配列を選択した根拠に、上述の「ブロックの組織化」「ブロックとディグの連携」があったのだろうと推測する。

結論から言うと、昨シーズン中途半端にやろうとしてバラバラになっていたバンチ・リードブロックシステムは、今シーズンは採っていないと言ってしまって良いだろう。ライトブロッカーとなるセッターの中道選手と対角の芝田選手は、基本的にゾーン・コミットで、2人とも「デンソー方式」でネットから離れ気味に構えて相手チームのレフト攻撃に対抗している。一方、残りのレフトブロッカー・センターブロッカー2枚は、ベタニア選手が前衛にいればバンチ・リード、木村選手が前衛にいればマンツーマン・コミットに切り替わるという複雑な方式となっているように見える。しかし、リーグ開幕当初には表センターとして、昨シーズンのスパイク賞を獲得した西脇選手に代えて冨田選手をスタメンで使おうとしていたことから、レフト・センターの2枚のブロッカーはバンチ・リードを採りたかったのではないかと想像する。

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コメント

こんにちは。
ご無沙汰してます。

待ってましたよ!東レ特集・・・

先日決勝戦を観戦してきました。東レファンになって4年。やっと念願かなったという感じです。

 実は4年前も決勝戦を観戦したのですが、4年前は2戦してセット率でパイオニアが優勝したんですよね。その第1戦を見に行ったことを思い出しました。月日の経つのは早いものです。
 そういえば、4年前はまだ斉藤が現役で、佐々木が全盛を誇った年でではなかったでしょうか。

当事は大山が腰痛で途中出場を余儀なくされていました。第2戦での敗戦の後、荒木と大山が号泣していたのを覚えています。

 今回の優勝は個人的にはベタニアの働きが大きかったように思います。他のWSの決定力が今一つなので余計に目立ちますよね。まだ20才なのに精神的にとても安定していて、ミスが少ない・・・。強い選手に必要な要素を備えた素晴らしいプレーヤーだと思いました。今後、レセプションをマスターしたら、世界的な選手になっちゃいますね。 

 ベタニアの活躍を見ながら、大山加奈があのようなプレーヤーになってくれたらと感じました。

投稿: ディーラー | 2008年4月10日 (木) 00時21分

>ディーラーさん

お待たせしていました(笑)。

まず、初優勝おめでとうございます!

決勝戦についても後日アップするつもりはしていますので、期待していて下さい。


最新号の月バレに荒木選手のインタビュー記事が載っていますが、それを読むとやはり今シーズンはブロックシステムを何でもかんでもリードにするのではなく、使い分けていたという風に答えていますね。私が見ている限りでは、横にベタニア選手がいるか木村選手がいるかで使い分けていたという風に見えます。それだけベタニア選手はブロック面でも働きが大きかったと思います。

大山加奈選手・・・本当にそうですよね・・・そうなってくれると4年前は信じていましたよね。。。

投稿: T.w | 2008年4月22日 (火) 00時12分

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