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2008年3月23日 (日)

"キルブロック"と"ソフトブロック"

キルブロック "kill block"とは?・・・ブロックを行う際の手の構え方の一つで、ブロックシャットを狙って手のひらを下に向けて、手をネットから相手コートエリア内に出すブロックの手法のこと。一方、ブロックシャットを敢えて狙わずに、有効なワンタッチを取ることを狙って手のひらを上に向けて、手をネットから相手コートエリア内に出さないブロック手法をソフトブロック "soft block"と呼ぶ。通常ソフトブロック "soft block"は、B級レベルなどで低身長の選手が多いチームなどで活用されるブロック技術であり、トップレベルのバレーにおいてはブロックといえば、キルブロック "kill block"を用いるのが通常だが、トップレベルでも例えばリードブロックを採っていて、ブロックに跳ぶのが遅れた場合に、ブロックシャットは諦めて、ワンタッチ狙いでソフトブロック "soft block"に手の出し方を切り替える、という場面がある。

(追記)トラックバック頂いた、area71さんのブログをご覧頂ければ、具体的にソフトブロック "soft block"の手の出し方がわかりますので、是非ご覧下さい。

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2008年3月21日 (金)

今年のデンソー

続いて、同じトヨタ系列会社で、かつ同じく今シーズン大躍進を遂げたデンソー。昨シーズンまで伝統的にリベロの櫻井選手を中心に粘り強いディグを展開しながらも、弱点はそのチームスパイク決定率の低さにあった。

『チームの顔』の中で、井上選手もこう述べている。

今シーズンのデンソーは、前回よかったブロックをさらに強化しつつ、チーム成績で最下位だったスパイク決定率を上げようと練習に取り組んでいます。

で、蓋を開けてみれば、チームスパイク決定率は昨シーズンの最下位から3位に跳ね上がり、見事に昨シーズンまでの弱点を克服した形で、予選ラウンドを2位で終えた。その躍進に新外国人助っ人であるロンドン選手の果たした功績は間違いなく大きいと言っていい。上述の通り、もともと「拾って繋ぐ」能力は高かったデンソーであり、その「拾って繋がった」ボールを最終的に決めきってくれるスーパーエースとしての役割を担うことが出来たロンドン選手は、デンソーにとっては最適な選手補強であったと言ってよい。実際、デンソーの代名詞とも言える櫻井選手は、V・プレミア女子にあって、最初に「アタックラインを確認しながらその手前で踏み切って、ジャンプトスを上げる」戦術をマスターしていたリベロプレーヤーであるのは揺るぎのない事実であって、もともと以前から「ファーストタッチをセッターが行った場合にリベロがトスアップを行う」チーム戦術を採っていたチームなのだから、そのリベロが後衛レフトから前衛ライトに向かってあげるハイセットを打ち切ってくれる選手を待ち望んでいたと言っても過言ではないだろう。

しかし、私はロンドン選手の加入もさることながら、今シーズンのデンソーのスパイク決定率が跳ね上がった大事な要因として、ここ数年正セッターを務める横山選手のトスの質に変化があったと感じている・・・開幕2連戦を観戦して、横山選手が「高くて早い」トスを強く意識している印象を受けたのだ。以前の彼女の両サイドへのトスは、試合中に解説の中田久美さんに酷評されてしまうほどのものであったのだが、(実際にはそのあとデンソーの試合を見る機会が、3レグのパイオニア戦のGAORAでの中継しかなかったので、断言は難しいが)今シーズンにおいては、各アタッカーの技術の向上だけでなく、彼女の安定したトスが各アタッカーの持ち味を十二分に発揮させたからこその、この結果ではないかと思うのだ。

そして、ブロック。これについては私はよくわからないと昨シーズンも書いたが、これが、、、本当によくわからないのだ。バンチ・リードでは絶対にない。両サイドのブロッカーはマンツーマン・コミットかゾーン・コミットだが、middle blockerはコミットと言い難い、、、これも「えせリードブロック」と言ってしまえるかもしれない。トヨタ車体との違いは、両サイドブロッカーがコミットでほぼ決まっているので、基本的にはマンツーマン・コミットである点だ。だから、相手チームのアタッカーとの「1対1」の勝負が前提になっていて、middle blockerの「先読み」が正しければ2枚ブロックが揃うというだけで、システム化はされていないと見てよさそうだ。実際、デンソーの試合を見ていると、ブロックシャットは多いが有効なワンタッチが多い印象は乏しい。シーガルズ同様、個人技としてのブロック能力に優れていると解釈して良いだろう。

デンソーが今シーズン苦しんでいる対戦相手といえば、久光製薬と東レと武富士である。この3チームに共通する特徴としては、センタープレーヤーの攻撃が攻撃の重要な柱となっているという点が挙がるだろう(武富士は昨シーズンまではそうとも言えなかったが、今シーズンに関しては原選手(旧姓・鶴田選手)が正セッターを務めることで、石川選手などが相当にラリー中にAクイックを打たされて随分成長した印象がある位だ)。昨シーズン「ネットから離れて構えそこからブロックに跳びにいく」デンソーのブロックの跳び方について指摘をしたが、その特徴とともに、上述のデンソーのブロックの本質からみて、「高くて早い」速攻が打てる選手がいる、あるいはそのような攻撃を仕掛けることの出来るセッターがいるチームが、今シーズンのデンソーに対抗できるチームと言えよう。本来はパイオニアもそうであるべきなのだが、、、来シーズンにはセンター陣とセッターのコンビネーションがあっていることを期待したいところだ。


p.s.: 井上選手を見ると、3代目"おけいはん"(森小路けい子)に見えるのは私だけ!?(関西ローカルネタで、すいません、、、)

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2008年3月20日 (木)

今年のトヨタ車体

今シーズン大躍進を遂げたと言っていいトヨタ車体。昨シーズンこちらで書いたとおり、あまり上背のない下位チーム(失礼)としては珍しくバンチ・リードブロックシステムを採り入れている点が目を惹いたが、昨シーズンでのパイオニア戦を見る限り、両サイドの「高くて早い」トスには翻弄されており、さらにはバックアタックを打てる選手が少ないため、3枚ブロックに跳んだ後のトランジションでの攻撃の選択肢に限界があり、正直言うとバンチ・リードブロックを採り続けるのは限界があるのでは? と個人的に思っていた。

滋賀でのJT戦では、試合前の練習風景もじっくりと見られたので、その点を注目しながら見ていたが、今シーズンにおいてはやはりブロックシステムは少し手直しをしたようで、スプレッド気味で構えるのが基本となっているようだった。これは、Vリーグの各チームに多い高速レフト平行やライト側のワン・レッグ攻撃に対応しやすくするためであろう。ただ、スプレッドの状態からパイプにトスが上がれば、素早く両サイドのブロッカーがセンターブロッカーの横まで寄って3枚ブロックを完成させる(この日はJT戦であったので、ケニー選手のパイプ攻撃を想定していたはず)ことを念入りに練習しており、バンチ・リードの意識を失っていないのは間違いなかった。そして、明らかに強化していたのがトランジションでの攻撃。3枚ブロックの直後も(バックアタックを使わなくても困らないように)果敢に前衛アタッカーが攻撃に参加し、ウイングスパイカー陣はとにかく(低くて)早い両サイドのトスを打とうと努めていた。それは、今シーズンの開幕でのパイオニア戦の公式プロトコル練習を見ているだけで容易に受け取れた。細かいところは違うとしても、イメージ的にはPFUのバレースタイルに少し近く、若干自分たちの技術レベルの限界に近いかそれを超えたプレーをやろうとしている感じだ(PFUの場合はそれがスパイクミスの多さに繋がり、トヨタ車体の場合は被ブロック率の高さに繋がっているように思える)。だが、結果的にその戦術は着実に今シーズンのチームスパイク決定率を上げる(昨シーズン34.9%・今シーズン39.4%)要因となり、チーム成績の躍進にも繋がったと言えよう。

ただ、4強入り争いを終盤までしていながら、リーグ後半で失速してしまった要因として、私は助っ人外国人のジョインズ選手が、結果的に上述のトヨタ車体のバレースタイルに必ずしも合わなかった点があるように思う・・・リーグ序盤、日本人選手だけで首位争いに加わっていたチーム状態にあって、そこにさらに助っ人外国人が加われば、さらにチーム状態は良くなるだろうと予想したファンの方も多かったと思う。ジョインズ選手と言えばそう、昨年のワールドカップでアメリカが何年ぶり(?!)かで上げた対ブラジル戦での勝利の立役者であり、ブロックの名手であるからして、その予想は尤もだったと思う。

しかし、現在のトップレベルのバレー界において、やはりブロックは個人技ではないのだ。上述の通り、バンチ・リードからスプレッドぎみに修正された今シーズンのトヨタ車体のブロックシステムだが、それによって露わになったのは、実は各選手の採っているブロックスタイルが「えせリードブロック」だという事実である。これを私は、滋賀でのJT戦の試合前の練習風景をじっくり見ていて確信した(ブロック練習で、相手コートにいるセッターがセットアップする前にmiddle blockerが動き出して、2枚ブロックを揃えていることが多く、きちんと「リード」で対応すると、動き出しが遅れて2枚ブロックの間が空いてしまう不完全なブロックになっていた)。システム化を狙っている一方で、各ブロッカーが実際の試合の各局面ではバラバラに判断を下しているので、リードブロックを採る本来のメリットである「相手のどのような攻撃に対しても2〜3枚ブロックを揃える着実性」が損なわれている。その中にきっちり組織ブロックが染みついた選手が一人入っても、機能しないのは当然であろう。

各選手が闘志むき出しにプレーし、見ていてある種の爽快感を感じさせるチームカラーは、葛和総監督が監督を務めていた頃の全日本女子と相通じるものがあるし、新人の今西選手はスパイクフォームなどがまるでその頃の大懸選手(現・成田選手)を思い起こさせるものがあるが、せっかく一生懸命ディグを鍛えている割に、ブロックとレシーブ(ディグ)の連携が取れないという、現在の全日本女子にまで脈々と続くある種の「歴史」の原点を見るような気がした、今シーズンのトヨタ車体であった。

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2008年3月16日 (日)

選手・スタッフの皆様、お疲れ様でした

(関西は)ここ1〜2週で急に暖かくなり、感染症患者が減り、ようやく少し時間的余裕が出来ました。
コメントレスも止まったまま、またメール頂いた方にもまだ返信できておりません。大変申し訳ございません m(_ _)m

残念ながら(予想通り)スカパーチューナーは修理不能でした・・・。それにもめげずに何とかe2byスカパー!でビデオに撮っています、何とかビデオは復活したので。

今年の4強含めた、各チームの特徴をアップしようと思いながら、レギュラーラウンドが終了する今日にまで至ってしまいました(苦笑)。残念ながらパイオニアの今シーズンの試合は、今日の日立佐和戦の敗戦で終了しました。これまで吉田監督が思い描いていたであろう戦術を、端から見ていてわかる範囲である程度は書いてきましたが、弱点についてはファン(πヲタ)として書きたくても書けない部分も正直ありました。今日はそこにも触れつつ、今シーズンのパイオニアの戦いぶりをまとめたいと思います。


開幕2連戦で書いたとおり、今シーズンについては、まずレセプションフォーメーションについて、「ドイツ方式」を採ろうとしていたわけだが、それについてやはり誤算だったのはセナが執拗に狙われた点だろう。開幕2戦目のデンソー戦では狙われても狙われても最後まで崩れずにプレーを続け、ヒロインインタビューに選ばれた彼女だったが、その後の試合では彼女がサーブで狙われて、セット終盤の大事な競り合いの中で脆くも崩れてしまうシーンが目立った。この点で私が開幕戦から懸念していたのは、なぜか? 今シーズンは例のセッターが後衛センターでのレセプションフォーメーションにおいて、「女子型(オポジット=ユーティリティープレーヤー型)」のレセプションフォーメーションを敷いていたことだ。開幕戦の第5セット、14-10のマッチポイントの場面から連続失点で逆転負けを喫したのも、実はこのローテーションにおいてであった。昨シーズンの弱点であったレセプション成功率の上昇を狙って、今シーズンは敢えて「男子型(オポジット=スーパーエース型)」を敷かなかったのかもしれないが、結果的に今シーズンのレセプション成功率は高くなった代わりに、スパイク決定率が下がってしまった。このローテーションでのレセプションフォーメーションが、新人セッターであるユミにとっても、(セットアップの位置までの移動距離が物理的に長くなるという以外にも)色々な意味で負担になってしまったかもしれないと思っている。

しかし、その一方で私は、今シーズンの助っ人外国人としてセナを選んだのは、決して間違いではなかったと思う。吉田監督が思い描くバレースタイルを短期間で完成させるのは恐らく難しいだろうと想像する。であれば、当然長期に渡って計画的にチームを固めていく必要があり、出来れば助っ人外国人選手も数年に渡って同じ選手が来てくれることを望んでいると思う。フランシーのように、素晴らしい選手が数年に渡ってプレーし続けてくれるのもいいのだが、その場合にはどうしてもその選手に頼ったチーム作りとなってしまう恐れが高い。ウイングスパイカーとして、レフトもライトもこなせて、レセプションフォーメーションに入れる選手で、かつ数年に渡ってプレーし続けてくれる可能性のある選手としては、決して間違った選択ではなかったと思う。実際、これまでのパイオニアでは考えられなかった、レオを控えに回すということが可能となった。本当なら、やはりセナが不動のオポジットプレーヤーとしてコート上に立ち続けてもらうのが理想だったと思う。191cmの長身選手が常にライトブロッカーとして相手チームのレフトエースと相対する・・・これが、今シーズンの吉田監督の思い描くバレー戦術の基軸にあったはずなのだ。それが上述の経緯で、リーをオポジットとして使わざるを得なくなったことが、今シーズンで一番の誤算だったと推測する。(誤解の無いように言っておくが、個人的には私はリーのプレーが大好きである。彼女が久光製薬でプレーしていた頃、「どうして江口を(スタメンのレフトとして)使わないのか?」と常々思って見ていた。だから彼女がパイオニアで現役復帰することがわかったときは、ものすごく嬉しかった。)もう一つ、開幕2連戦で書いた今シーズンの戦術である、ファーストタッチをセッターが行った場面で、リベロ(ないし後衛レフトを守るセンタープレーヤー)がトスアップを行うという戦術にしても、前衛ライトにハイセットを打ち切れるアタッカーがいるという前提で成り立つ戦術である。その意味でも、スタメンのオポジットをリーに戻さざるを得なくなったのは、吉田監督の当初の目論見を狂わせる最大要因だったと思う。リーグ後半戦に入って、レフト対角をセナ・メグにして、レオをスタメンから外したのも、この3人の中では上背が最もなく、かつライトでプレーするのがあまり得意とは言い難いからこその選択だったと言える。誤算はレオを外さざるを得なくなったことではなく、あくまでリーをオポジットで使わざるを得なくなったことにあるのだ。

そして、ユミ・・・。正直、彼女がリーグ終盤にベンチから外れたことについては大変残念だった。でも、吉田監督にとっても苦渋の選択だっただろうと想像する(彼女に対する吉田監督の想いが、『YAMAGATA SPORTS WEB【Heart Beat】』こちらのインタビュー記事で少し垣間見える)。ユミを育てることだけを思えば、ベテランアタッカー陣が盤石の状態で彼女をスタメンで使ってあげたかったところだが、こればかりは願って叶うものではない。去年に限って、ユウ・アサコのセンター陣が2人揃って全日本に招集されてしまったのも、ユミにとっては不運だった。でも、昨シーズンの3位決定戦終了直後にガッツが見せた涙が、今年の彼女の成長の糧となった(レセプション成功率が佐野・櫻井・成田の3選手に次いでの4位という成績は立派だと思う、、、あとはその数字に反映されていない、エンドラインぎりぎりでのジャッジミスが多いのを次の課題として欲しい)ように、今シーズンの苦い経験を土台に必ずやパイオニアの正セッターとして君臨してくれると信じている。

ファンも悔しいけれども一番悔しい想いをしているのは他でもない、パイオニアの選手達自身なのだから、これ以上は何も言うまい。セリンジャー前監督時代も、レオに続いてトモも加入していよいよ優勝をとファンも選手達も意気込んだ第9回Vリーグで、歯車がかみ合わないまま負けが込み、少し盛り返し始めて4強へ滑り込みそうになったところで、日立佐和相手にまさかの敗戦を喫して4強入りの夢が潰えたことがあった。今日の日立佐和戦での敗戦は、リーグではその時以来の敗戦であり、その直後の黒鷲で初優勝を果たして引き続いて第10回Vリーグでの初優勝があったわけだ。戦術面での強化の方向性は決して間違っていないのだから、(今シーズンのJTのように)結果が出ないからと諦めずに、完成度を高めていってもらいたいと願わずにはいられない。

p.s.: 結果は残念だったが、明日からパイオニアの試合結果を気にして不安になったりイライラしたりする必要が無くなると思うと、すごく気が楽だ(苦笑)。

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