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2008年1月16日 (水)

加古川は変わったか?(JT - パイオニア)

昨年私に「例の」記事を書かせるに至る契機となった、加古川市立総合体育館。覚悟して今年も向かった。

幸いにも、今年は会場入りするなり、会場係員が大声でアリーナへの入場方法を説明していた。また、会場係員も明らかに増員された感があり、途中から来場された観客をきちんと、インプレー中でない然るべきタイミングで、座席まで誘導していた。やれば出来るじゃないの!


さて、試合の方だが、まずJTは前日の武富士戦から配列を変えてきていた。具体的には、本来オポジットのケニー選手を裏レフトに配し、これまで裏レフトだった高木選手をオポジットに配し、そしてフロントオーダーを組んできた。寺廻監督の意図するところは手に取るようにわかる、、、本来ウイングスパイカーである坂下選手を急造センターとして起用せざるを得なくなった状況ゆえに、彼女と裏レフトの高木選手の前衛アタッカー2枚の場面ができ、このローテーションが弱点となる。このローテーションを改善すべくレフトにケニー選手を配する決断をしたため、そうすると本来ライトからの攻撃が得意なケニー選手が「レフトポジションに配されながらライトから攻撃を仕掛けられるよう」に、フロントオーダーを採用したわけだが、、、


・・・これは寺廻監督にとっては、当初に思い描いていたバレースタイルを追求できなくなったために選択した、「逃げ」の姿勢の表れなのだ・・・


前日からの相手チームのこの配列の変化に、吉田監督が気づかなかったはずがない。この日のパイオニアの戦略は、セット終盤でこのJTの「ケニー選手・坂下選手の前衛アタッカー2枚」のレセプションの場面で、自チームのライトブロッカーを高くすること・・・リーに代えてセット終盤でセナをオポジットで投入することだった。だからこそこの日のパイオニアは、スタートローテーションの戦術において「自チームがサーブから始まるセットで1つローテーションを回す」策を採った。

また、この日のパイオニアのブロックシステムは、ライトブロッカーだけがバンチからリリースされた形のデディケートを敷いていた。これは相手チーム、すなわちJTのライトからの攻撃、すなわちケニー選手に対するマークを甘くするシステムであり、「スーパーエース」である彼女のライト攻撃に対して、ライトブロッカーとセンターブロッカーの2枚が「デディケートで構えていても」きちんと揃うことが出来る、という自信が為せる戦略であり、これは昨シーズンを通してバンチ・リードブロックシステムに取り組んだ経験が活きていると言えるだろう。しかも、ケニー選手のライト攻撃に対して、敢えてストレートコースを開けてクロスに2枚ブロックを完成させた上で、抜けてくるコースはディグの能力がチーム1・2を争うであろう、ガッツとリーにに任せる(ストレートをガッツに、超インナーをリーに)という戦略を採った。これが1セット目から見事にハマり、セット中盤でアサコがクロスボールをものの見事にシャット。これで、ケニー選手は精神的に追い込まれた。

そして、セット終盤の競り合いの中で、予定通りに吉田監督は前衛に上がってきたリーをセナに代えた。もともとレフトからの攻撃を得意としないケニー選手にとって、191cmのセナに待ち構えられるのは嫌であろう。まして、アサコに見事にシャットされて追い込まれている状況ではなおさら辛い。案の定、竹下選手はその場面でケニー選手をライト側に走らせて片足で打たせる「逃げ」の攻撃を選択し、それをデディケートで構えていたメグがものの見事にシャット!最後も、追い込まれたケニー選手のライト攻撃が、「逃げすぎて」クロスに切りすぎてサイドラインを割り、25-22でパイオニアが先取する。

第2セットに入り、JTは「お得意の」高速レフト平行に勝負を託すが、デディケートを敷くこの日のパイオニアのブロック陣には通じない、、、。決してJTのレセプションは崩されてはいない(成功率 77.6%)のだが、実質的なセンタープレーヤーが宝来選手一人しかいない今のJTにあって、180cm以上を揃えたレフトとセンターの2枚のブロッカーにバンチで構えられては、速攻が全く通じない。その状況で、たとえ高速レフト平行を繰り出しても、ライトブロッカーにある程度の高さがあって、バンチからリリースされて構えていれば、ストレートに抜かれたり簡単にブロックアウトをされることはない。結果としてパイオニアが昨シーズン(バンチ・リードブロックシステムであったが故に)散々やられた谷口・高木両選手の高速レフト平行も、悉くブロック陣にワンタッチを取られるか、クロスを抜いてもガッツに「待ってました」と拾われる結果となり、JTの選手達に焦りが目立つようになる。このセットも終盤でセナが投入され、ブロック面では貢献はなかったものの、JTはセナをサーブで狙おうとしてミスを連発。セット終盤の競り合いで、トランジションからのハイセットをメグが連続して決めて、このセットも25-23でパイオニアが奪う。

そして第3セット、寺廻監督はローテーションを1つ戻す形で「ずらして」スタート。序盤はケニー選手のパイプ攻撃に頼って一進一退でゲームは進むが、中盤からはパイオニアのライトブロッカーがスプレッドの位置から素早くバンチに戻って、ケニー選手のパイプに3枚ブロックが揃い始める。こうなると竹下選手はどうしていいかわからない、、、まるで、全日本女子が欧米の強豪各国相手にブロックの集中砲火を浴びているが如く、ひたすら両サイドの高速平行を繰り出すもその全てが面白いようにパイオニアのブロック網にかかってしまう。たまらず寺廻監督は竹下選手を遠藤選手へ交代させるが、これはセッター個人の問題ではなく、チーム戦術の問題であるからして、何ら事態は変わらず結局パイオニアは8連続得点を上げて、セナを投入するまでもなく一気に試合を決めてしまった。最後は、この試合からすっかり復調した感が漂ったレオがブロックの上から決めて、25-21。パイオニアの完勝だった。

会場から戻り、職場へいったん顔を出した後で自宅へ帰り、この日に会場で購入した『パイオニアレッドウイングス 2008 オフィシャルガイドDVD』を早速見てみた。昨シーズンのセミファイナルラウンドでのJT戦、さらに黒鷲での準決勝のJT戦の連続しての惨敗は、吉田監督にとっても相当に堪えたものだったのだというのが伺える作りになっていただけに、この日のJT戦での完勝は、選手・スタッフにとっては勿論のこと、ファンにとっても非常に感慨深い勝利となった。


昨年散々文句を言った(書いた)加古川市立総合体育館だが、最初に書いたとおり、きちんと改善が為されていた、というか、「変えようとする」意思がきちんと伺えたので、その点を評価しておきたい。さらに言うと、この体育館での試合で最も嬉しいことは、これは昨年からもそうなのだが、チケットの前売りの段階で、「エンド側の座席」を希望して購入できることだ!チケット発売日にすぐに手に入れないと、アリーナでの観戦が出来なくなる恐れのある現在のV・プレミア女子においては、他の会場ではどうしてもチケットぴあのネット注文やローソンチケットなどを利用せざるを得ず、従って座席を指定できない。この日は久々のエンド側での観戦であり、その意味でも非常に楽しめた一日だった。

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コメント

なるほど、最弱ローテの改善策だったんですね。
苦肉の策とはいえ、同じフォーメーションを維持できないのは全日本と同じですね。
とりあえずケニーの力である程度は勝てたとしても、あれじゃチームは成長できないでしょうね。
これも全日本と同じか・・・

投稿: ブッシュ | 2008年1月23日 (水) 07時14分

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