2008年4月 3日 (木)

今年の東レ(その2)

結果的に、今シーズンの東レのチームブロック数はセット平均2.74で3位。昨シーズンは2.09で9位であったことを考えると、随分と進歩したと言って良い。が、実はその半数以上を荒木選手とベタニア選手の2人で稼いでいる。単に「2人で」稼いでいる、と言ってしまえば、例えばパイオニアも両センターのユウとアサコで確かにチームブロック総数の半数以上を稼いでいるので、別に珍しいことではないだろうが、(その1)で書いた今シーズンの東レの配列においては、裏センターの荒木選手と表レフトのベタニア選手というのは、実は「隣り合う2人」なのだ。ブロックというのは前衛のプレーヤーのみに許されているプレーであるので、全部で6つあるローテーションのうちで、この「隣り合う2人」がともに前衛である2つのローテーションで、ブロック決定の出現頻度が異常に高いという、ローテーション上の「不均等」が生じているはずだ(もちろん、スタートローテーションの関係で、この2人がともに前衛のローテーションの出現頻度自体が多いという点も考慮すべきだが)。

例えばこの2人とセッターの中道選手の3人が前衛のローテーションでは、ライトブロッカーの中道選手だけがネットから離れて構えて相手チームのレフト攻撃のみにコミットし、荒木・ベタニア両選手が2人だけでバンチ・リードを行っている。3人で行う通常のバンチ・リードシステムに比べて、レフトブロッカーであるベタニア選手は、さらにセンターより構えており、その分だけ直後のトランジションでの攻撃への参加が難しくなるはずなのだが、ベタニア選手の並はずれた攻撃力がそれを十二分に補っている。そのため、このローテーションでは、ブロック決定本数も多いし、たとえブロック決定とならなくても、トランジションでの(ベタニア選手の)決定率も高いために、相当にブレイク率が高いはずだ。159cmのセッターが前衛で本来は苦しいはずのこのローテーションでも、確実に点数を稼ぐことが出来る点が、今シーズンの東レの一番の強みと言って良いだろう。

しかし、リーグ当初の菅野監督の構想としては、上述のようなローテーション上の「不均等」を恐らく避けたかったのだろうと推測する。177cmとそれなりに上背のあるオポジットの芝田選手に、敢えて159cmしかない中道選手と同じようなブロックの跳び方をさせ、表センターとして冨田選手を起用したのは、昨シーズンでスパイク賞を獲得した西脇選手の攻撃力を捨ててまで、冨田選手のブロック能力、はっきり言えばバンチ・リードを行えるだけの能力を選択した、ということだと思う。冨田選手と「隣り合う」木村選手との2人でも、荒木・ベタニア両選手同様に「2人でバンチ・リード」をさせて、ライトブロッカーは中道選手・対角の芝田選手どちらであっても、ゾーン・コミットを採る、、、このブロックシステムに合わせて、守備体型を配置する「ブロックとディグの連携」を図ろうとしていたはずだ。

結果的には恐らく、トランジションでの攻撃での決定力がなかったために、冨田選手よりもライト側へのワンレッグ攻撃での決定力のある西脇選手に代えざるを得なくなったのだろう、、、リーグ序盤はベタニア選手が合流していなかったため、冨田・木村両選手が前衛の場面では、この2人がバンチ・リードブロックで跳んだ直後のトランジションでの攻撃は、表レフトでその場面は後衛に位置する向井選手のパイプ攻撃しか選択肢がなかったはずであるから。だが、結果的には冨田選手を西脇選手に代えて、西脇・木村両選手が前衛の場面ではある意味「開き直って」マンツーマン・コミットに切り替えたことが、木村選手のブロック決定本数の増加(昨シーズンセット平均0.23・今シーズンセット平均0.37)にも繋がったし、何より彼女のトランジションの場面での攻撃という面での負担軽減にも繋がったと言って良いだろう。災い転じて・・・といったところか?


では、今シーズンの東レには死角はないのだろうか? 遂に念願のV・プレミアリーグ初制覇を成し遂げることになるだろうか?

確かに荒木選手のブロック賞は素晴らしいと思う。が、これまでも折に触れて書いているように、彼女は的を絞った場合(即ち、相手チームのトスが上がる場所が明らかな場合)には186cmの高さを活かしたブロック力を発揮する一方で、リードブロックで跳んだ時のネットからの体の離れ方が尋常でない。実際、彼女は有効なワンタッチを取るケースが非常に少ない。バンチ・リードをやっていると言っても、完成度は久光・パイオニアのセンター陣とは比べものにならない。それは今シーズンも何ら変わっていない。

実は、パイオニアのアサコも、昔からしばしば(疲れてくると?)両サイドの攻撃に対するブロックで体がネットから離れ気味になる悪い癖がある。が、しかし彼女が東レのセンター陣と違うところは、ネットから離れ気味になると、手の出し方を「キルブロック」から「ソフトブロック」にきちんと切り替えるところだ。だから、体がネットから離れていてもしばしば有効なワンタッチを取ることが出来る。

要するに、今シーズンの東レでのブロックシステムの要は、middle blockerではなく、実はベタニア選手なのだ。今シーズンで東レが最後に敗戦を喫した2レグの久光戦に、東レの弱点が隠れていると思う、、、ベタニア選手がレフトブロッカーであるために、どうしてもライト側からの攻撃を仕掛けづらいというのが東レと対戦するチームの正直な印象であろうが、敢えてライト側からの攻撃を積極的に仕掛けることで、相手チームとしては道が開けると思う。必ずしも強打は必要なく、軟攻でも構わない。この日の久光の勝因はそこにあった。

結局ブロックシステムを「2人バンチ・リード」の一つに統一できなかった今シーズンの東レは、結局のところは本当の意味での「ブロックとディグの連携」を図ることは難しかったはずだ。だから実際、デンソーやパイオニアが(さらにJTも当初)やろうとしていた、セッターがファーストタッチを行った場面でのトランジションの戦術(リベロを中心とする、後衛ライトを守る選手がトスアップを行う戦術)は、東レでは見受けらない。ライトから軟攻を仕掛けられた直後のトランジションでは、誰がトスを上げるのかが曖昧であり、それをたとえセッターの中道選手が上げることになっても、かなりの高確率でレフトへのハイセットかベタニア選手へのパイプにトスが上がっている。この点を突いていけば、東レの攻撃を非常に単調なパターンに持ち込むことが可能であろう。果たして、ライトにスーパーエースを配するデンソーが、決勝でどのような戦いを挑むであろうか? 注目してみたいと思う。

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2008年4月 1日 (火)

今年の東レ(その1)

さて、お待たせの(誰も待ってないって?)今シーズンの東レの戦術分析に入りたいと思う。

『チームの顔』で菅野監督は、こう語っている。

前回(のリーグは)ブロックの成績が非常に悪かったので、今シーズンは特にブロックとレシーブに力を入れてやってきました。・・・(中略)・・・ブロックを含むディフェンスが鍵を握るという意味では、センター陣の役割は大きいと思います。

確かに、昨シーズンまでの東レのブロックの問題点は、過去に何度か書いてきたとおり「組織化されていない」点に尽きる。これについては『日本女子バレーコンプリートガイド』の中でも「若さ以上の問題点は組織化の遅れだ」と評されている。上述の菅野監督のインタビュー記事からは「ブロックとディグの連携を強化してきた」という風に受け取れるだけに、それならば当然、ブロックの組織化が図られているはずだと考えるのが自然であろう。その意味で、今シーズン東レのブロックシステムがどのように生まれ変わっているのか?・・・この点にリーグ開幕当初から私は注目していた。

ところが蓋を開けてみると、昨シーズンからセッターに転向した大山未希選手に代わって、今シーズンは159cmの中道選手が正セッターの座に着いた。これについては正直、驚きを隠せなかった。「ブロックの組織化」という命題に159cmのセッターはどう考えても障害となると思われるからだ。では実際、今シーズンの東レのブロックシステムは如何なるものだったのか?


ブロックシステムの分析に入る前に、書いておかなければならないことがある。今シーズンの東レは、昨シーズンとは配列を大きく変えてきた。現在の全日本女子の主力でもある木村・荒木の両選手を昨シーズンの表レフト・表センターから、今シーズンは裏レフト・裏センターへと変えたのだ。代わりに表レフトを開幕時は向井選手が、表センターを冨田選手が務めていた。

今シーズンの東レには昨シーズンからの引退選手が一人もいなかった。昨シーズンから戦力が全く変わらないという、ある意味恵まれた状況の中で、サマーリーグや国体といった若手主体で臨むチームが多い大会にあっても、全日本選手の2人(木村・荒木両選手)を除いたベストメンバーで戦っていたところからも伺えるように、今リーグのためのチーム強化を昨シーズン終了後から1年間をかけて、一貫して図っていたという印象が強い。その意味で、スタメンの配列についても、恐らく菅野監督は木村・荒木両選手及び、新外国人助っ人のベタニア選手の合流を見越しつつ、ベストの配列をリーグ開幕より遥か前から構想を練っていたに違いない。結果的に木村・荒木両選手を裏レフト・裏センターに配する配列を選択した根拠に、上述の「ブロックの組織化」「ブロックとディグの連携」があったのだろうと推測する。

結論から言うと、昨シーズン中途半端にやろうとしてバラバラになっていたバンチ・リードブロックシステムは、今シーズンは採っていないと言ってしまって良いだろう。ライトブロッカーとなるセッターの中道選手と対角の芝田選手は、基本的にゾーン・コミットで、2人とも「デンソー方式」でネットから離れ気味に構えて相手チームのレフト攻撃に対抗している。一方、残りのレフトブロッカー・センターブロッカー2枚は、ベタニア選手が前衛にいればバンチ・リード、木村選手が前衛にいればマンツーマン・コミットに切り替わるという複雑な方式となっているように見える。しかし、リーグ開幕当初には表センターとして、昨シーズンのスパイク賞を獲得した西脇選手に代えて冨田選手をスタメンで使おうとしていたことから、レフト・センターの2枚のブロッカーはバンチ・リードを採りたかったのではないかと想像する。

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2008年3月21日 (金)

今年のデンソー

続いて、同じトヨタ系列会社で、かつ同じく今シーズン大躍進を遂げたデンソー。昨シーズンまで伝統的にリベロの櫻井選手を中心に粘り強いディグを展開しながらも、弱点はそのチームスパイク決定率の低さにあった。

『チームの顔』の中で、井上選手もこう述べている。

今シーズンのデンソーは、前回よかったブロックをさらに強化しつつ、チーム成績で最下位だったスパイク決定率を上げようと練習に取り組んでいます。

で、蓋を開けてみれば、チームスパイク決定率は昨シーズンの最下位から3位に跳ね上がり、見事に昨シーズンまでの弱点を克服した形で、予選ラウンドを2位で終えた。その躍進に新外国人助っ人であるロンドン選手の果たした功績は間違いなく大きいと言っていい。上述の通り、もともと「拾って繋ぐ」能力は高かったデンソーであり、その「拾って繋がった」ボールを最終的に決めきってくれるスーパーエースとしての役割を担うことが出来たロンドン選手は、デンソーにとっては最適な選手補強であったと言ってよい。実際、デンソーの代名詞とも言える櫻井選手は、V・プレミア女子にあって、最初に「アタックラインを確認しながらその手前で踏み切って、ジャンプトスを上げる」戦術をマスターしていたリベロプレーヤーであるのは揺るぎのない事実であって、もともと以前から「ファーストタッチをセッターが行った場合にリベロがトスアップを行う」チーム戦術を採っていたチームなのだから、そのリベロが後衛レフトから前衛ライトに向かってあげるハイセットを打ち切ってくれる選手を待ち望んでいたと言っても過言ではないだろう。

しかし、私はロンドン選手の加入もさることながら、今シーズンのデンソーのスパイク決定率が跳ね上がった大事な要因として、ここ数年正セッターを務める横山選手のトスの質に変化があったと感じている・・・開幕2連戦を観戦して、横山選手が「高くて早い」トスを強く意識している印象を受けたのだ。以前の彼女の両サイドへのトスは、試合中に解説の中田久美さんに酷評されてしまうほどのものであったのだが、(実際にはそのあとデンソーの試合を見る機会が、3レグのパイオニア戦のGAORAでの中継しかなかったので、断言は難しいが)今シーズンにおいては、各アタッカーの技術の向上だけでなく、彼女の安定したトスが各アタッカーの持ち味を十二分に発揮させたからこその、この結果ではないかと思うのだ。

そして、ブロック。これについては私はよくわからないと昨シーズンも書いたが、これが、、、本当によくわからないのだ。バンチ・リードでは絶対にない。両サイドのブロッカーはマンツーマン・コミットかゾーン・コミットだが、middle blockerはコミットと言い難い、、、これも「えせリードブロック」と言ってしまえるかもしれない。トヨタ車体との違いは、両サイドブロッカーがコミットでほぼ決まっているので、基本的にはマンツーマン・コミットである点だ。だから、相手チームのアタッカーとの「1対1」の勝負が前提になっていて、middle blockerの「先読み」が正しければ2枚ブロックが揃うというだけで、システム化はされていないと見てよさそうだ。実際、デンソーの試合を見ていると、ブロックシャットは多いが有効なワンタッチが多い印象は乏しい。シーガルズ同様、個人技としてのブロック能力に優れていると解釈して良いだろう。

デンソーが今シーズン苦しんでいる対戦相手といえば、久光製薬と東レと武富士である。この3チームに共通する特徴としては、センタープレーヤーの攻撃が攻撃の重要な柱となっているという点が挙がるだろう(武富士は昨シーズンまではそうとも言えなかったが、今シーズンに関しては原選手(旧姓・鶴田選手)が正セッターを務めることで、石川選手などが相当にラリー中にAクイックを打たされて随分成長した印象がある位だ)。昨シーズン「ネットから離れて構えそこからブロックに跳びにいく」デンソーのブロックの跳び方について指摘をしたが、その特徴とともに、上述のデンソーのブロックの本質からみて、「高くて早い」速攻が打てる選手がいる、あるいはそのような攻撃を仕掛けることの出来るセッターがいるチームが、今シーズンのデンソーに対抗できるチームと言えよう。本来はパイオニアもそうであるべきなのだが、、、来シーズンにはセンター陣とセッターのコンビネーションがあっていることを期待したいところだ。


p.s.: 井上選手を見ると、3代目"おけいはん"(森小路けい子)に見えるのは私だけ!?(関西ローカルネタで、すいません、、、)

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2008年3月20日 (木)

今年のトヨタ車体

今シーズン大躍進を遂げたと言っていいトヨタ車体。昨シーズンこちらで書いたとおり、あまり上背のない下位チーム(失礼)としては珍しくバンチ・リードブロックシステムを採り入れている点が目を惹いたが、昨シーズンでのパイオニア戦を見る限り、両サイドの「高くて早い」トスには翻弄されており、さらにはバックアタックを打てる選手が少ないため、3枚ブロックに跳んだ後のトランジションでの攻撃の選択肢に限界があり、正直言うとバンチ・リードブロックを採り続けるのは限界があるのでは? と個人的に思っていた。

滋賀でのJT戦では、試合前の練習風景もじっくりと見られたので、その点を注目しながら見ていたが、今シーズンにおいてはやはりブロックシステムは少し手直しをしたようで、スプレッド気味で構えるのが基本となっているようだった。これは、Vリーグの各チームに多い高速レフト平行やライト側のワン・レッグ攻撃に対応しやすくするためであろう。ただ、スプレッドの状態からパイプにトスが上がれば、素早く両サイドのブロッカーがセンターブロッカーの横まで寄って3枚ブロックを完成させる(この日はJT戦であったので、ケニー選手のパイプ攻撃を想定していたはず)ことを念入りに練習しており、バンチ・リードの意識を失っていないのは間違いなかった。そして、明らかに強化していたのがトランジションでの攻撃。3枚ブロックの直後も(バックアタックを使わなくても困らないように)果敢に前衛アタッカーが攻撃に参加し、ウイングスパイカー陣はとにかく(低くて)早い両サイドのトスを打とうと努めていた。それは、今シーズンの開幕でのパイオニア戦の公式プロトコル練習を見ているだけで容易に受け取れた。細かいところは違うとしても、イメージ的にはPFUのバレースタイルに少し近く、若干自分たちの技術レベルの限界に近いかそれを超えたプレーをやろうとしている感じだ(PFUの場合はそれがスパイクミスの多さに繋がり、トヨタ車体の場合は被ブロック率の高さに繋がっているように思える)。だが、結果的にその戦術は着実に今シーズンのチームスパイク決定率を上げる(昨シーズン34.9%・今シーズン39.4%)要因となり、チーム成績の躍進にも繋がったと言えよう。

ただ、4強入り争いを終盤までしていながら、リーグ後半で失速してしまった要因として、私は助っ人外国人のジョインズ選手が、結果的に上述のトヨタ車体のバレースタイルに必ずしも合わなかった点があるように思う・・・リーグ序盤、日本人選手だけで首位争いに加わっていたチーム状態にあって、そこにさらに助っ人外国人が加われば、さらにチーム状態は良くなるだろうと予想したファンの方も多かったと思う。ジョインズ選手と言えばそう、昨年のワールドカップでアメリカが何年ぶり(?!)かで上げた対ブラジル戦での勝利の立役者であり、ブロックの名手であるからして、その予想は尤もだったと思う。

しかし、現在のトップレベルのバレー界において、やはりブロックは個人技ではないのだ。上述の通り、バンチ・リードからスプレッドぎみに修正された今シーズンのトヨタ車体のブロックシステムだが、それによって露わになったのは、実は各選手の採っているブロックスタイルが「えせリードブロック」だという事実である。これを私は、滋賀でのJT戦の試合前の練習風景をじっくり見ていて確信した(ブロック練習で、相手コートにいるセッターがセットアップする前にmiddle blockerが動き出して、2枚ブロックを揃えていることが多く、きちんと「リード」で対応すると、動き出しが遅れて2枚ブロックの間が空いてしまう不完全なブロックになっていた)。システム化を狙っている一方で、各ブロッカーが実際の試合の各局面ではバラバラに判断を下しているので、リードブロックを採る本来のメリットである「相手のどのような攻撃に対しても2〜3枚ブロックを揃える着実性」が損なわれている。その中にきっちり組織ブロックが染みついた選手が一人入っても、機能しないのは当然であろう。

各選手が闘志むき出しにプレーし、見ていてある種の爽快感を感じさせるチームカラーは、葛和総監督が監督を務めていた頃の全日本女子と相通じるものがあるし、新人の今西選手はスパイクフォームなどがまるでその頃の大懸選手(現・成田選手)を思い起こさせるものがあるが、せっかく一生懸命ディグを鍛えている割に、ブロックとレシーブ(ディグ)の連携が取れないという、現在の全日本女子にまで脈々と続くある種の「歴史」の原点を見るような気がした、今シーズンのトヨタ車体であった。

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2008年3月16日 (日)

選手・スタッフの皆様、お疲れ様でした

(関西は)ここ1〜2週で急に暖かくなり、感染症患者が減り、ようやく少し時間的余裕が出来ました。
コメントレスも止まったまま、またメール頂いた方にもまだ返信できておりません。大変申し訳ございません m(_ _)m

残念ながら(予想通り)スカパーチューナーは修理不能でした・・・。それにもめげずに何とかe2byスカパー!でビデオに撮っています、何とかビデオは復活したので。

今年の4強含めた、各チームの特徴をアップしようと思いながら、レギュラーラウンドが終了する今日にまで至ってしまいました(苦笑)。残念ながらパイオニアの今シーズンの試合は、今日の日立佐和戦の敗戦で終了しました。これまで吉田監督が思い描いていたであろう戦術を、端から見ていてわかる範囲である程度は書いてきましたが、弱点についてはファン(πヲタ)として書きたくても書けない部分も正直ありました。今日はそこにも触れつつ、今シーズンのパイオニアの戦いぶりをまとめたいと思います。


開幕2連戦で書いたとおり、今シーズンについては、まずレセプションフォーメーションについて、「ドイツ方式」を採ろうとしていたわけだが、それについてやはり誤算だったのはセナが執拗に狙われた点だろう。開幕2戦目のデンソー戦では狙われても狙われても最後まで崩れずにプレーを続け、ヒロインインタビューに選ばれた彼女だったが、その後の試合では彼女がサーブで狙われて、セット終盤の大事な競り合いの中で脆くも崩れてしまうシーンが目立った。この点で私が開幕戦から懸念していたのは、なぜか? 今シーズンは例のセッターが後衛センターでのレセプションフォーメーションにおいて、「女子型(オポジット=ユーティリティープレーヤー型)」のレセプションフォーメーションを敷いていたことだ。開幕戦の第5セット、14-10のマッチポイントの場面から連続失点で逆転負けを喫したのも、実はこのローテーションにおいてであった。昨シーズンの弱点であったレセプション成功率の上昇を狙って、今シーズンは敢えて「男子型(オポジット=スーパーエース型)」を敷かなかったのかもしれないが、結果的に今シーズンのレセプション成功率は高くなった代わりに、スパイク決定率が下がってしまった。このローテーションでのレセプションフォーメーションが、新人セッターであるユミにとっても、(セットアップの位置までの移動距離が物理的に長くなるという以外にも)色々な意味で負担になってしまったかもしれないと思っている。

しかし、その一方で私は、今シーズンの助っ人外国人としてセナを選んだのは、決して間違いではなかったと思う。吉田監督が思い描くバレースタイルを短期間で完成させるのは恐らく難しいだろうと想像する。であれば、当然長期に渡って計画的にチームを固めていく必要があり、出来れば助っ人外国人選手も数年に渡って同じ選手が来てくれることを望んでいると思う。フランシーのように、素晴らしい選手が数年に渡ってプレーし続けてくれるのもいいのだが、その場合にはどうしてもその選手に頼ったチーム作りとなってしまう恐れが高い。ウイングスパイカーとして、レフトもライトもこなせて、レセプションフォーメーションに入れる選手で、かつ数年に渡ってプレーし続けてくれる可能性のある選手としては、決して間違った選択ではなかったと思う。実際、これまでのパイオニアでは考えられなかった、レオを控えに回すということが可能となった。本当なら、やはりセナが不動のオポジットプレーヤーとしてコート上に立ち続けてもらうのが理想だったと思う。191cmの長身選手が常にライトブロッカーとして相手チームのレフトエースと相対する・・・これが、今シーズンの吉田監督の思い描くバレー戦術の基軸にあったはずなのだ。それが上述の経緯で、リーをオポジットとして使わざるを得なくなったことが、今シーズンで一番の誤算だったと推測する。(誤解の無いように言っておくが、個人的には私はリーのプレーが大好きである。彼女が久光製薬でプレーしていた頃、「どうして江口を(スタメンのレフトとして)使わないのか?」と常々思って見ていた。だから彼女がパイオニアで現役復帰することがわかったときは、ものすごく嬉しかった。)もう一つ、開幕2連戦で書いた今シーズンの戦術である、ファーストタッチをセッターが行った場面で、リベロ(ないし後衛レフトを守るセンタープレーヤー)がトスアップを行うという戦術にしても、前衛ライトにハイセットを打ち切れるアタッカーがいるという前提で成り立つ戦術である。その意味でも、スタメンのオポジットをリーに戻さざるを得なくなったのは、吉田監督の当初の目論見を狂わせる最大要因だったと思う。リーグ後半戦に入って、レフト対角をセナ・メグにして、レオをスタメンから外したのも、この3人の中では上背が最もなく、かつライトでプレーするのがあまり得意とは言い難いからこその選択だったと言える。誤算はレオを外さざるを得なくなったことではなく、あくまでリーをオポジットで使わざるを得なくなったことにあるのだ。

そして、ユミ・・・。正直、彼女がリーグ終盤にベンチから外れたことについては大変残念だった。でも、吉田監督にとっても苦渋の選択だっただろうと想像する(彼女に対する吉田監督の想いが、『YAMAGATA SPORTS WEB【Heart Beat】』こちらのインタビュー記事で少し垣間見える)。ユミを育てることだけを思えば、ベテランアタッカー陣が盤石の状態で彼女をスタメンで使ってあげたかったところだが、こればかりは願って叶うものではない。去年に限って、ユウ・アサコのセンター陣が2人揃って全日本に招集されてしまったのも、ユミにとっては不運だった。でも、昨シーズンの3位決定戦終了直後にガッツが見せた涙が、今年の彼女の成長の糧となった(レセプション成功率が佐野・櫻井・成田の3選手に次いでの4位という成績は立派だと思う、、、あとはその数字に反映されていない、エンドラインぎりぎりでのジャッジミスが多いのを次の課題として欲しい)ように、今シーズンの苦い経験を土台に必ずやパイオニアの正セッターとして君臨してくれると信じている。

ファンも悔しいけれども一番悔しい想いをしているのは他でもない、パイオニアの選手達自身なのだから、これ以上は何も言うまい。セリンジャー前監督時代も、レオに続いてトモも加入していよいよ優勝をとファンも選手達も意気込んだ第9回Vリーグで、歯車がかみ合わないまま負けが込み、少し盛り返し始めて4強へ滑り込みそうになったところで、日立佐和相手にまさかの敗戦を喫して4強入りの夢が潰えたことがあった。今日の日立佐和戦での敗戦は、リーグではその時以来の敗戦であり、その直後の黒鷲で初優勝を果たして引き続いて第10回Vリーグでの初優勝があったわけだ。戦術面での強化の方向性は決して間違っていないのだから、(今シーズンのJTのように)結果が出ないからと諦めずに、完成度を高めていってもらいたいと願わずにはいられない。

p.s.: 結果は残念だったが、明日からパイオニアの試合結果を気にして不安になったりイライラしたりする必要が無くなると思うと、すごく気が楽だ(苦笑)。

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2008年2月27日 (水)

同じことを目指してたはずなのに・・・(JT - パイオニア)(その2)

第3セット、1点を争う攻防が続き、このセットは前セットで失敗した2枚替えでも流れが変わることなく、試合はそのままセット終盤へ突入。23-23からメグが決めて、パイオニアがセットポイント。ここでJTは当然ケニー選手のバックアタックに頼るが、そのボールがエンドから見ていた私には完全にアウトに見えたものをセナがワンタッチと思って触ってしまってラリーが続くが、それを繋いでJTコートへ返すと、ここでパイオニアは勝負に出て、ケニー選手のマークを完全に外して前衛の宝来・谷口両選手をマンツーマン・コミットでマークして、結果谷口選手に上がった高速レフト平行にユキ・ユウの2枚ブロックが完成して、ユウがシャット! 25-23で緊迫の展開をパイオニアがものにする。

第4セットは序盤からJTの一方的展開となり、18-25でJTがものにする。

運命の第5セット。何とパイオニアは15点マッチのこのセットで、序盤からトランジションでのトスアップでガッツ・ユウが立て続けてダブルコンタクトのミスを犯して、5-8とJTがリードしてコートチェンジ。直後、セナがパイプを決めて6-8とすると、ケニー選手のレフト攻撃をユウがシャットし7-8。さらに、今度は竹下選手が谷口選手の高速ライト平行を選択するが、メグ・ユウの2枚ブロックが完成してメグがシャットし、遂に8-8の同点に追いつく。ケニー選手が意地で決めて8-9とJTが再び一歩抜けだし、直後は今度はセッター・ユキがダブルコンタクトを取られて、8-10と絶体絶命のピンチ。リーが何とか決めて9-10とすると、ケニー選手の攻撃をユキ・ガッツがファインディグで繋いで、セナが決めて10-10の再び同点。直後、再び竹下選手がケニー選手に連続で頼るも、ガッツが1本目の強打・2本目のフェイントを見事に繋いで、トランジションでセナが決めて、遂に11-10とパイオニアが逆転。11-11と追いつかれても、ケニー選手のライト攻撃にセナ・ユウの2枚ブロックが完成して、ユウが見事にシャット。13-12からリーのサーブがJTのコート中央にポトリと落ちて、14-12のマッチポイント。最後はセナがブロックの上から決めて、15-12。パイオニアが4強をかけた死闘をものにした。


それにしても、勝負のかかった15点マッチの第5セットで、ラリー中のオーバーハンドパスで再三ダブルコンタクトを取られながらも、リーグ当初から監督が目指したバレースタイルにこだわって、決してアンダーハンドパスに逃げようとしなかったパイオニアに対して、リーグ当初は同じ戦術を目指していたはずなのに、すっかりそれを捨ててしまったように見えたJT・・・非常に好対照な光景だった。後日に見たGAORAでの中継でも、タイムアウト中に寺廻監督の口から戦術・戦略に関しての具体的な指示がほとんど出ていないように見えた。江藤選手の後釜と想定していた久保選手が、リーグ開幕直前に故障したようで、それで大きくリーグ開幕当初の目論見が崩れたのであろうが、それでも何も全てを捨てて戦う必要もないだろうに、、、当初目指したバレースタイルを捨てたのが監督自身なのか、それとも主力の選手達なのか? それは私にはわからない。いずれにせよ、今シーズンのJTの「この」戦いぶりを見ている限り、JTが4強に残ってしまうのは日本のバレー界のためにも決して望ましいことではないと思う。

さらに言えば、慣れないポジションで頑張っている坂下選手だが、彼女をセンターとして使うことにしたのならば、「本気で」彼女をセンタープレーヤー(middle blocker)へコンバートすることを考えるべきだと思う。NECの松崎選手もそうだが、チームの苦しい台所事情のために、センターを務めることになるウイングスパイカーが時折見られるが、大抵「その場しのぎ」で終わっていて、結局ウイングスパイカーとしてもセンタープレーヤー(middle blocker)としても中途半端になっている気がする。正直、彼女たちのレシーブ能力を見る限り、ウイングスパイカーとして大成することは難しいと言わざるを得ないのだから、「本気で」センタープレーヤー(middle blocker)として、リードブロックの技術を練習させるべきだと思う。恐らくリードブロックの技術の習得には、早くても2年・遅ければ4〜5年はかかるかもしれないが、坂下選手などは今から本格的に練習すれば、ユウのように20代半ばでmiddle blockerとして花開くことも可能だと思う。申し訳ないが、彼女の何気ないボールの処理を見る限り、ウイングスパイカーとしてはチームでレギュラーを獲得することすら、恐らく何年経っても難しいだろう。

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2008年2月26日 (火)

同じことを目指してたはずなのに・・・(JT - パイオニア)(その1)

これは昨日の3レグの対戦のことではないので悪しからず・・・前週の滋賀での2レグ最終戦についてである。

いつの間にかJTは、またまた配列を変えて、元の配列(ケニー選手をオポジットに配し、谷口・高木選手のレフト対角で、バックオーダー配列)に戻していた。不覚にもその事実に私は試合が始まるまで気づいていなかったのだが、試合前にパイオニアがJTとのローテーションマッチアップを想定して、各レセプションフォーメーションでのレセプション練習の際に、仮想JTのサーバーを立てて練習していた(坂下選手のスパイクサーブを舟越コーチが、竹下・高木両選手のジャンピングフローターサーブをマミが、それぞれ真似して打っていた)ので、それを見ていて、ん?! (例のフロントオーダーの配列と)順番が合わないんやけど・・・と思って、そして試合が始まってみて、そうだったかと気づいた。


・・・それ以前に、そもそもなぜリベロを小酒選手から菅山選手に戻したのか?・・・



1レグでの対戦同様、パイオニアは基本的に相手JTのレフト側へデディケートで構えて、JTの高速レフト平行をマークしつつ、ライト側からのケニー選手の攻撃に対してはレフトブロッカー・センターブロッカーが2枚でそこからリードでブロックを完成させる戦略。しかし第1セット序盤は、そのケニー選手への2枚ブロックがストレート側に少し寄りに過ぎで、彼女に得意のクロスからインナーへのコースへと強打を打ち込まれてしまう。パイオニアのレセプションの乱れもあってJTが主導権を握り、吉田監督はセッターをユミからユキへとチェンジ。単発では坂下選手の速攻をユウ・メグの2枚ブロックがリードで完成してシャットするなど、デディケートの効果は着実に発揮する。中盤で回ってきたメグのサーブの場面で、JTはレフト側にケニー・ライト側に谷口両選手が位置するローテーションで、そこでメグは谷口選手を狙っておいて、レセプションがやや乱れたところで、ブロック陣はすかさず今度はライト側へデディケートし、竹下選手が谷口選手へお得意の高速ライト平行トスを上げるも、セナ・ユウの2枚ブロックがリードで完成してシャットし、追い上げ体制に入る。苦しいハイセットをセナが決めて16-16の同点とすると、坂下選手の速攻に再びデディケートで今度はアサコ・メグの2枚ブロックが完成して、メグがシャットしてついに逆転。レセプションが乱れたところを、竹下選手が倒れ込みながらアンダーハンドパスで谷口選手へ高速レフト平行を上げるも、ユウが完全に見透かしていてきっちり空中で追いついてシャット。これでこの試合、あとはケニー選手さえシャットできれば・・・という体勢を、第1セットで早くもパイオニアは作り上げた。23-22の1点リードで、ケニー選手のライト攻撃にようやく少しクロス寄りにブロック位置を修正してワンタッチを取り、トランジションでメグがパイプを決めて、24-22。最後はリーがサーブで前衛の坂下選手に緩いサーブを狙ったところ、彼女がそれをコート外へ大きく弾いて25-22。坂下選手は慣れないポジションでよく頑張っていると思うが、こういったふとした瞬間の何でもないボールの処理が恐ろしく下手だ。

第2セット、パイオニアはセッター・ユキでスタート。序盤は再びJTがリードするが、前セット終盤でブロック位置を修正したパイオニアがケニー選手のライト攻撃をようやく捕まえ、ユウ・メグの2枚ブロックでメグがシャットして9-9と追いつく。再びJTが引き離しかけるが、ユウのサーブが谷口選手のレセプションを乱し、リベロの菅山選手が上げたアンダーハンドパスでの高木選手へのハイセットを、リーがシャットして13-13と再び同点。リーもJTのような上背のあまりないウイングスパイカー相手だと、ブロックアウトを狙われるカモにはならない。続くラリーでケニー選手のライト攻撃に再びきちんと位置取りできてアサコ・セナの2枚ブロックが完成し、インナーに抜けてきたボールをリーがファインディグで繋いで、それをユウがオーバーハンドパスでメグのパイプへ繋いで、14-13とついに逆転。これでケニー選手も、この試合については恐くなくなった。しかし、16-15の場面で行った2枚替えで流れが変わり、セット終盤で連続失点。17-21と逆転され、結局22-25でこのセットはJTが取り返す。

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2008年2月24日 (日)

ユミ、ファイト!!

(当分のあいだ、この記事をブログのトップに掲示します)

昨シーズンのファイナルの3位決定戦終了後に見たガッツの涙に、思わずもう一匹買ってしまったテディベアー。



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今思えば、もう一匹買っておけば良かった・・・12番をーーーー!




今がチームにとっても、ユミ自身にとっても正念場だけど、何とか頑張って欲しい!!! ユミ、ファイト!



ベンチに下がった後のユミをいっつもフォローしているサキの姿に、思わず涙ぐみそうになる1ファンより。

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2008年2月18日 (月)

今度は去年のJT戦の(悪夢の)再現・・・(東レ - パイオニア)

地元(?)滋賀での初のパイオニアの2連戦だった。

昨シーズン同様、4強争いが熾烈となる中、非常に重要な試合となったJT戦は後回しとして(それは、各チームの今シーズンの特徴と絡めてアップしたいと思う)、先に3レグの初戦となった東レ戦からアップしてみたい。

NHK BS1での中継があったため、ご覧になった方も多いと思うが、結果はパイオニアの惨敗・・・。昨シーズンのセミファイナルラウンド・黒鷲の準決勝と、立て続けて惨敗を喫したJTに対してきっちり借りを返したと思った矢先、同じような惨敗を今度は東レ相手に喫してしまった形だ。

昨シーズンから、なぜこのような惨敗が増えたのか? 端から見ているだけの一介のファンに、その理由が解明できるはずもないが、ただ一つ見ていて思うのは、恐らく吉田監督の思い描くバレースタイルのために、昨シーズンもそうだったが今シーズンは更にいっそう、ゲーム中の約束事が増えており、また相手チームの戦術に対してどう対応するかという戦略も、試合前から相当綿密に練られた上で、それを基にしてコート上の各選手の動きが試合前から綿密に決められているように見える。もちろん、相手もそれを想定して対応してくるはずであり、だからこそ試合が始まればお互いに微調整をしながら、試合の流れがお互いの間を行き来するわけだが、セリンジャー前監督時代よりも更にそういった試合前の約束事が事細かに決められているがために、試合前に立てた戦略が上手く功を奏さなかった場合に、コート上の各選手の頭の中が真っ白になって、まるで思考停止してしまっているように見えるのだ。

この日の東レ戦で言えば、相手のベタニア(デラクルス)選手をはじめとするハイセットに対して3枚ブロックを完成させて、プレッシャーをかけるという戦略であったと想像する。実際、試合開始早々ベタニア選手に上がったレフトオープンに対して、リー・ユウ・セナの3枚ブロックを完成させて、狙い通りにワンタッチを取ったが、トランジションで有効な攻撃を組み立てられず、続くラリーで再び上がったベタニア選手のレフトオープンに対しても3枚ブロックを完成させたが、彼女に決められてしまう。彼女が後衛に下がり、代わって木村選手が前衛に回ってくると、早速彼女のハイセットに対しても同じく今度はユミ・アサコ・セナの3枚ブロックを完成させるが、同じく彼女に決められてしまう。今シーズンのパイオニアにおいては、昨シーズンにも増して組織ブロックを戦略の中心に置いているため、試合前の狙い通りのブロックを完成させていて、それで有効なワンタッチ・シャットが取れずに相手に決められてしまうと、次にどうしていいのか? 答えが見つからないままにゲームが進行していくうちに、バタバタとミスが出てしまう。結局、この日も第1セット4-10と東レに引き離されたところで、ユミがユキに代えられてしまったが、問題はユミ自体にあったわけでは決してないと思う。約束事が事細かであるがゆえに、コート上の各選手の動きに柔軟性というか、臨機応変さがなくなっているのだ。だから、セッターが百戦錬磨のベテランセッターに代わったところで、何ら事態が変わらない。ユウも7-12の場面で、ベタニア選手のレフトオープンに対してブロックに跳びに行くのを諦めてしまうという、らしからぬプレーが見られてしまう。こういう時には、例えば一か八か敢えてマンツーマンコミットに変えてみるとか、そういう大胆さでもなければ流れも変わらないだろう。結局、東レは別に何らの戦略を採るわけでもなく、ただ淡々と試合運びをして、気づけば勝手にパイオニアが自滅して終わった形だった。

目にすることは出来なかったが、前週の2レグの東レ戦では、第1セット序盤からパイオニアペースで試合が進んで先にセットポイントを握りながら、そこから粘られてジュースに持ち込まれて逆転で落とし、第2セットも同じくジュースで落として結局ストレート負け。1レグでも同じように第1セット序盤からパイオニアペースであったものをセット終盤に逆転されるパターンであったし、そう言えば昨シーズンでの東レ戦での敗北(2レグ)も同じような展開だった。東レに対して、昨シーズンのJTのような、イヤな苦手意識が植え付けられていなければいいのだが・・・。

もし、パイオニアが無事に何とか4強入りを果たした場合、恐らくはセミファイナルラウンドで再び相対することになるであろう東レに対して、どういった戦いを挑むべきか?・・・今シーズンについては、戦術はさておき、間違いなく客観的に見て東レの方が強いわけであるから、パイオニアとしてはやはり自チームのバレースタイルを敢えて崩してでも、思い切った戦略を採る必要があるだろう。私ならば、レフト攻撃主体の東レであるだけに、ただ単なる3枚ブロックで対抗できないとするならば、やはりライトブロッカーを高くするしかないと思う。具体的には、シーズン当初の配列(レオ・メグのレフト対角にセナをオポジット)に戻して戦うか、あるいは優勝した第12回Vリーグでの久光相手でセリンジャー前監督が採ったような、メグをオポジットに配する配列も考慮すべきだと思う。


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2008年2月12日 (火)

これこそが2年前の再現!?(パイオニア - 武富士)(その2)

この「如何ともし難い」流れで、ニコリッチ選手に頼らざるを得なくなる状況は、武富士としては最悪である。せめてもの打開策として、石原監督はスタートローテーションを変えてくる。案の定、第2セット序盤もパイオニアに主導権を握られ、いよいよ原選手としてもニコリッチ選手に頼らざるを得ない。パイオニアもそれをわかっていて、3枚ブロックを多用するが、ここでニコリッチ選手が踏ん張る。連続してパイオニアのブロックを弾いて、セット中盤で逆転に成功。さらに、メグ・リーのライト平行を立て続けにシャットする活躍を見せ、ユミのトスミスもあって、11-15と武富士がリードを奪う・・・この場面でいよいよ、ユミに代わって「正セッターとして」ユキが登場。2年前の決勝戦の再現なる!
アサコが気を吐いて、吉澤選手のパイプ・ニコリッチ選手のレフトオープンを相次いでシャットし、追い上げ体制に入ると、15-16からユキとアサコの熟練コンビが見事なタイミングの早いCクイックを披露し、16-16の同点。これを見せられると、それまでバンチ・リードだった武富士のブロック陣も、センターの速攻にコミットせざるを得なくなる。終盤まで競り合いとなって、22-21とパイオニアが1点リードの場面の緊迫の場面で、ユキはこの試合初めてリーの中央からの時間差を使い、武富士ブロック陣は翻弄されて、23-21。直後にナナエのサービスエースで勝負あり。最後はセナがフェイントを決めて、25-22。パイオニアが2セット連取。

第3セット、ユキがそのままスタートから入る。セット序盤、リベロのガッツのオーバーハンドパスでのダブルコンタクトのミスなどで1-4と武富士がリード。しかし、ここで第2セットのアサコのCクイックのビデオを見ているような、ユウの同じくタイミングの早い見事なCクイックが決まる。しかし、今度はリーがまたオーバーハンドパスでのダブルコンタクトのミスが出たりして、3-8と武富士が主導権を握る。しかし、今度は第1セットの再現のように、原選手が石田選手のライトからのバックアタックにトスを振って相手ブロッカーを狙い通りに1枚にしたところで、セナにものの見事にシャットされて、パイオニアが追い上げ体制に入る。第2セットで勢いに乗りかけたニコリッチ選手に対して、セナ・メグをライトブロッカーに回してプレッシャーをかけて、12-12と追いつく。13-15と再び引き離されかけるところで、またまたアサコとの見事なCクイックが決まって、武富士のブロック陣はセンターブロッカーがどうしても速攻にコミット気味になる。一方武富士のセッター・原選手は、ニコリッチ選手が決まらなくなった次は、吉澤選手の高速レフト平行に頼らざるを得ず、その期待に吉澤選手も応えて、何とか1〜2点のリードを保ちながらセット終盤へ。ここで、石田選手がレフトからライトから、苦しいボールを軟打で立て続けて決めて、18-22と武富士がリード。パイオニアのセンターの速攻には武富士はコミットでセンターブロッカーがついてワンタッチを取るが、その分、両サイドの攻撃に徐々にセンターブロッカーはついて行けなくなり始める。一方、パイオニアはデディケートを崩しておらず、武富士のセンターの速攻にも2枚がリードで揃うが、何とか内藤選手がそれをかいくぐって決めて、19-23。さらに石田選手がライト平行を決めて、19-24とセットポイントを奪い、最後はピンチサーバーで出たナナエがサーブミスで、武富士が20-25で1セットを奪い返す。
しかし、セッター対決はユキの勝利。19-24の武富士のセットポイントの場面も、第2セット終盤と同じく、リーの中央からの時間差がノーマークとなって決まり、武富士のブロック陣は翻弄されっぱなし・・・ユウ・アサコの速攻はほとんど決まっている印象はないのだが、武富士のセンターブロッカーをコミットで跳ばせているという点で、ユキとしては狙い通りであったはずだ。

第4セット、今度はパイオニアの吉田監督がスタートローテーションを回して、第1セットと同じマッチアップを作り上げる。前セット終盤に立て続けに決められた石田選手に対して、再び第1セット同様にセナがブロックでプレッシャーをかけてミスを誘い、ライト側からの攻撃を潰してしまう。さらに、攻撃ではこのセットは序盤からリーが中央からの時間差におとりに入っておいて、今度はレフトのセナにトスを回す。これで主導権を握ると、同じく前セット中盤で決められた吉澤選手の高速レフト平行に対して、ユキ・ユウが完全に2枚マンツーマンコミットで対応してプレッシャーをかけて、ユキがシャットして10-7。これで吉澤選手も潰してしまった。調子に乗ったユキがサービスエースを決めて、13-8。原選手の選択肢はもうニコリッチ選手とセンターの速攻しかないが、ニコリッチ選手が前衛の時は、センターの速攻にはリードで2枚が揃うため、ワンタッチを取られてしまい、やはり決まらない。このセットは終始流れが変わらず、最後はニコリッチ選手のパイプに3枚ブロックが完成して、ユウがシャットし、25-17。パイオニアの完勝であった。

ユミとしては、悔しい試合だったであろうが、2年前の優勝決定戦を争った2人のセッター対決を、あの時とはまた別の立場でコート外から見ることが出来たのは、いい経験になっただろう。ユキがスタメンからスタートするようになった第3セット以降、吉田監督は2枚替えではユミではなくサツキを使った。恐らく、ユミにはこの試合をじっくりコート外から見て欲しいという思いと同時に、あくまで「お前は2枚替えで出る選手ではなく、正セッターなんだ!」という思いがあった気がした。

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