ワールドカップ2007(女子)最終総括(その3)
2大会連続での銅メダルを獲得したアメリカ。男子同様にオリンピック本番が近づくときちんと帳尻を合わせてくる印象が強いが、今大会のアメリカについては、何と言ってもローガン・トムとシコラの復帰によるところが大きかっただろう。何か気がつけば、結局は世界ランク1位であった吉田敏明前監督(現・パイオニアレッドウイングス監督)時代のスタメンにほぼ戻った形であり、要するに当時のレフトのフィップスの「代わりの駒」だけをまだ決めかねている状態、と言ってよい状況だ。その「代わりの駒」を今大会では、ナマニとグラスが入れ替わり立ち替わり務めていたが、2人ともまだまだ好不調の波が大きく見えた。特に2人ともレセプションが不安定で、そこを相手チームには徹底して狙われ、レセプションをするのに精一杯で、そのあとの攻撃参加が難しい様子だった。吉田敏明監督から郎平監督へと代わり、昨年の世界バレーに引き続いてオポジットに配された選手(昨年はメトカフ・今年はハニーフ)をレセプションに参加させる「4人(枚)レセプションシステム」を敷くことで、アジア的なバレースタイルへを持ち込もうとしているのは伺えるが、そのためにはオポジットの選手がレセプションに参加する弊害を克服するだけの攻撃システムを、きちんと構築していなければ意味がない。残念ながら、レセプション直後の場面およびトランジションで安定してパイプ攻撃に参加できるのは、ローガン・トムただ一人しかいない。きちんと帳尻を合わせてきたことは評価に値するが、正直まだまだ吉田敏明監督時代の「遺産」で戦っているにすぎないと言っていい、今大会のアメリカだった。一応の目標であった五輪切符を手にして、本番にどのようなバレースタイルを確立することができるか? ここからが郎平監督にとって本当の意味での真価が問われることになるだろう。
4位以下のチーム・・・キューバ・セルビア・ポーランドについては、いずれも「相変わらず」だった。ミスが多く、力と力の真っ向勝負で終盤の競り合いまで持ち込んでも、その状況で渾身のスパイクサーブを打ち込めずに弱気にミスを犯してしまうキューバ。個々には力を発揮し、攻撃システムは男子のそれを踏襲していても、ブロックシステムが稚拙なセルビア。日本での大きな国際大会では、会場の異様な雰囲気にいつまでも慣れることが出来ずに、日本に負け続けるポーランド・・・但し、いずれのチームにとっても、今大会の最終結果は最悪の事態は避けられたと言ってよい結果だっただろう。なぜなら、メダル獲得はほぼ間違いないと考えられたブラジルを除いて、残り2チームが北京の切符を今大会で獲得するわけだが、その2チームを「ヨーロッパのチーム」と「北中米のチーム」が「仲良く」1チームずつで分け合った形に終わったからである。これがもしもどちらか一方で2チームとも占められていたなら、例えば、アメリカとキューバの「北中米の2チーム」が占めてしまっていたなら、ヨーロッパに属する各国で今後争われる北京の切符「ヨーロッパ代表枠」は熾烈極まりない争いになる恐れがあったわけである。その意味では、各国ともある意味あっさりと頭を切り換えて、今後行われる各大陸予選に集中してくるはずだ。その各大陸予選でどこが勝ち上がってくるのか? 言い換えれば、どこが最終予選(0QT)に回ってくるのか? 目が離せないところだ。
そして、日本・・・ていうか、もうこれ以上私が今の全日本女子に対して書く必要などないだろう。お陰様で(?)ネット上ではすっかり当たり前のように「バックオーダー」とか「フロントオーダー」とかファンの方々が書くようになり、プレー経験があろうとなかろうと戦術についてあれこれうんちくを語り合う雰囲気が色々なブログで見られるようになってきた。ほんの数年前までは考えられなかったことだ! あとは、前々から何度も書いているように、むしろプレー経験のある方ほど世界のバレーを見ようとしないこと、が日本のバレー界が抱える大きな問題だろう。
あと、もう一つ・・・以前からずっと気になっていることだが、「アナリスト」が日本では本当の意味で機能しているのだろうか?
今大会のコートサイドでのとある光景として、このような記事が紹介されている。
以前にも書いたことだが、「データバレー」といっても世界中でデータ解析に用いられているソフトはたった一つ、『DATA VOLLEY』しかないと言ってよい。データの元となるゲーム自体も世界各国共通であるし、データ入力に使用するソフトも同じなら入力する方法自体も同じ。実は、FIVBのサイトには以下のようなコーナーがあるのをご存じだろうか?
かなり重い動画データなので、全てをダウンロードするのは大変だが・・・ご覧戴ければわかるとおり、これは昨年の世界バレー男女それぞれベスト8入りを果たした各国の、各レセプションフォーメーション毎の攻撃パターンなどのビデオ映像が公開されているのだ。つまり、「データ」自体は世界各国「誰に対しても」共有されている状況なのだ! そんな中で「アナリスト」という肩書きを課せられた人間に要求される能力は、果たしてどのような能力なのだろうか?
上述の「コートサイドでのとある光景」の記事やこちらをご覧になって、皆さん是非考えて頂きたいと思う。(この件については、いずれ改めてアップしたいと思う。)
さぁ、これでやっと男子に頭を切り換えてっ・・・て、もう今日で終わっちゃうやん!?
(男子ファンの方々、もう少しお待ち下さい・・・)
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