2007年12月 2日 (日)

ワールドカップ2007(女子)最終総括(その3)

2大会連続での銅メダルを獲得したアメリカ。男子同様にオリンピック本番が近づくときちんと帳尻を合わせてくる印象が強いが、今大会のアメリカについては、何と言ってもローガン・トムとシコラの復帰によるところが大きかっただろう。何か気がつけば、結局は世界ランク1位であった吉田敏明前監督(現・パイオニアレッドウイングス監督)時代のスタメンにほぼ戻った形であり、要するに当時のレフトのフィップスの「代わりの駒」だけをまだ決めかねている状態、と言ってよい状況だ。その「代わりの駒」を今大会では、ナマニとグラスが入れ替わり立ち替わり務めていたが、2人ともまだまだ好不調の波が大きく見えた。特に2人ともレセプションが不安定で、そこを相手チームには徹底して狙われ、レセプションをするのに精一杯で、そのあとの攻撃参加が難しい様子だった。吉田敏明監督から郎平監督へと代わり、昨年の世界バレーに引き続いてオポジットに配された選手(昨年はメトカフ・今年はハニーフ)をレセプションに参加させる「4人(枚)レセプションシステム」を敷くことで、アジア的なバレースタイルへを持ち込もうとしているのは伺えるが、そのためにはオポジットの選手がレセプションに参加する弊害を克服するだけの攻撃システムを、きちんと構築していなければ意味がない。残念ながら、レセプション直後の場面およびトランジションで安定してパイプ攻撃に参加できるのは、ローガン・トムただ一人しかいない。きちんと帳尻を合わせてきたことは評価に値するが、正直まだまだ吉田敏明監督時代の「遺産」で戦っているにすぎないと言っていい、今大会のアメリカだった。一応の目標であった五輪切符を手にして、本番にどのようなバレースタイルを確立することができるか? ここからが郎平監督にとって本当の意味での真価が問われることになるだろう。

4位以下のチーム・・・キューバ・セルビア・ポーランドについては、いずれも「相変わらず」だった。ミスが多く、力と力の真っ向勝負で終盤の競り合いまで持ち込んでも、その状況で渾身のスパイクサーブを打ち込めずに弱気にミスを犯してしまうキューバ。個々には力を発揮し、攻撃システムは男子のそれを踏襲していても、ブロックシステムが稚拙なセルビア。日本での大きな国際大会では、会場の異様な雰囲気にいつまでも慣れることが出来ずに、日本に負け続けるポーランド・・・但し、いずれのチームにとっても、今大会の最終結果は最悪の事態は避けられたと言ってよい結果だっただろう。なぜなら、メダル獲得はほぼ間違いないと考えられたブラジルを除いて、残り2チームが北京の切符を今大会で獲得するわけだが、その2チームを「ヨーロッパのチーム」と「北中米のチーム」が「仲良く」1チームずつで分け合った形に終わったからである。これがもしもどちらか一方で2チームとも占められていたなら、例えば、アメリカとキューバの「北中米の2チーム」が占めてしまっていたなら、ヨーロッパに属する各国で今後争われる北京の切符「ヨーロッパ代表枠」は熾烈極まりない争いになる恐れがあったわけである。その意味では、各国ともある意味あっさりと頭を切り換えて、今後行われる各大陸予選に集中してくるはずだ。その各大陸予選でどこが勝ち上がってくるのか? 言い換えれば、どこが最終予選(0QT)に回ってくるのか? 目が離せないところだ。

そして、日本・・・ていうか、もうこれ以上私が今の全日本女子に対して書く必要などないだろう。お陰様で(?)ネット上ではすっかり当たり前のように「バックオーダー」とか「フロントオーダー」とかファンの方々が書くようになり、プレー経験があろうとなかろうと戦術についてあれこれうんちくを語り合う雰囲気が色々なブログで見られるようになってきた。ほんの数年前までは考えられなかったことだ! あとは、前々から何度も書いているように、むしろプレー経験のある方ほど世界のバレーを見ようとしないこと、が日本のバレー界が抱える大きな問題だろう。

あと、もう一つ・・・以前からずっと気になっていることだが、「アナリスト」が日本では本当の意味で機能しているのだろうか?

今大会のコートサイドでのとある光景として、このような記事が紹介されている。

以前にも書いたことだが、「データバレー」といっても世界中でデータ解析に用いられているソフトはたった一つ、『DATA VOLLEY』しかないと言ってよい。データの元となるゲーム自体も世界各国共通であるし、データ入力に使用するソフトも同じなら入力する方法自体も同じ。実は、FIVBのサイトには以下のようなコーナーがあるのをご存じだろうか?

2006世界バレー(男子)
2006世界バレー(女子)

かなり重い動画データなので、全てをダウンロードするのは大変だが・・・ご覧戴ければわかるとおり、これは昨年の世界バレー男女それぞれベスト8入りを果たした各国の、各レセプションフォーメーション毎の攻撃パターンなどのビデオ映像が公開されているのだ。つまり、「データ」自体は世界各国「誰に対しても」共有されている状況なのだ! そんな中で「アナリスト」という肩書きを課せられた人間に要求される能力は、果たしてどのような能力なのだろうか?
上述の「コートサイドでのとある光景」の記事やこちらをご覧になって、皆さん是非考えて頂きたいと思う。(この件については、いずれ改めてアップしたいと思う。)


さぁ、これでやっと男子に頭を切り換えてっ・・・て、もう今日で終わっちゃうやん!?
(男子ファンの方々、もう少しお待ち下さい・・・)

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2007年12月 1日 (土)

ワールドカップ2007(女子)最終総括(その2)

(当直業務の合間に・・・な、なんと! 当直室が停電してるやないか!? という思わぬトラブルにも負けず、アップします)

続いてブラジル。銀メダルを獲得してなお、ギマラエス監督の更迭という話が沸き起こっているとのことだが、それもわからなくもない。自他共に実力世界No.1と認めていながら3大大会の優勝を未だに達成できないことに、それだけブラジル国内での苛立ちも大きいのであろう。しかも、ロシア・中国が参加しない今大会では、優勝は間違いないと思われていたはずだし、それだけをブラジルチームスタッフ・選手ともに狙って来日したであろうから。

今大会でブラジルが喫した2敗については、既にレポしたとおり、いずれも両センター(ファビアナ・バレウスカ)の速攻が相手ブロッカー陣に潰されて、お家芸である高速立体的3Dバレーが展開できずに両サイド一辺倒のトス回しとなって、ウイングスパイカー陣が相手チームのブロックのプレッシャーに負けて、悉くスパイクミスを連発した形だった。これに関しては、今大会のブラジルが昨年の世界バレーとは違って、スタメンを固定して戦っていたことが災いしたかもしれない。

昨年の世界バレーでロシアに決勝で敗れた要因として、私は当時のブラジルが「サッサのチームになってしまっていること」を挙げた。

世界バレー(女子)最終総括(その1)

今大会のブラジルは、サッサよりも上背のあるパウラが完全復帰を果たし、しかも現在の女子バレー界で恐らくは最高レベルの「高くて早い」レフト平行をマスターしており、遂にサッサが「スーパーサブに回れる」状況を作り上げることが出来ており、序盤戦を見て私はブラジルの優勝は間違いないだろうと思った。ギマラエス監督自身も「サッサをスーパーサブに回せる」ことで、これが現状でのベストのスタメンだと強く確信を持ったからこそ、昨年の世界バレーとはうってかわって、スタメンを固定して戦ったのだろう。しかし結果的には、こぞって20歳代前半の今大会のブラジルのウイングスパイカー陣(パウラ・ジャケリネ・シェイラ)には、百戦錬磨のイタリア・アメリカのベテラン選手達に敵うだけの「キャリア」が絶対的に不足していたようだ。ジャケリネについてはサッサが「スーパーサブ」として度々登場したが、シェイラに代われる選手が今大会はブラジルのメンバー12人にはいなかった・・・。これまでならレナタやマリがいたはずだし、フォフォンに代われるカロウもいたはずだが、今大会のブラジルの12人からはそろって外れていた。彼女たちの体調の問題なのか、それともギマラエス監督の北京本番を見据えた戦略なのか? はたまたただ単なる「余裕」だったのか?! そこまでは私にはわからない。イタリアが大事な最終3連戦を前に正セッターのロビアンコが故障し、代わって出場したフェレッティが(何度かトスミスはあったものの)卒なくプレーして全勝優勝に貢献した様子や、アメリカが今大会直前に正セッターのオーモーサントスがやはり故障して、前半戦特に控えセッターのバーグがずっとトスを上げ続けて、全勝街道を走り続けた様子と、今大会のブラジルは対照的であった。

しかし、またまた優勝を逃したブラジルではあったが、やはり着実に進化を見せていた。初戦のポーランド戦で書いたとおり、パウラのレフト平行は男子のそれにほぼ近づいており、恐らく来年の北京本番では、ジャケリネは当然、ひょっとすればマリあたりも同じくらいに「早い」平行をマスターしてくるに違いない。サーブも進化しており、今大会の勝ちゲームは大抵、試合序盤からシェイラ・ファビアナ・パウラ・ジャケリネのサーブで相手のレセプションを崩しまくっているケースがほとんどだったし、ピンチサーバーで出場することも多かったサッサも、これまで通りの強力なスパイクサーブを見せてくれていた。やはり総合的に見ると、現在の女子バレー界の勢力地図において、ロシア・ブラジルが頭一つ抜けていることを状況はまだ変わっていないと私は思う。

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2007年11月30日 (金)

ワールドカップ2007(女子)最終総括(その1)

まず、全勝優勝を達成したイタリア。アメリカ戦の最後に書いたように、期待通りの巻き返しを見事に果たしてくれて、うれしい限りだ。ボニッタ監督からバルボリーニ監督へと変わって、一体何が変わったのか?・・・明らかに変わったのはブロックシステムだった。

ボニッタ時代は、基本的にはバンチ・リードブロックシステムを主体にしつつ、上背のない(172cm)セッター・ロビアンコのだけが場合によってバンチからリリース(release)される、という形であった。今大会のイタリアにおけるメンバーでの大きな変化としては勿論、アゲロが加わったことが挙げられるわけだが、これまでずっとキューバのナショナルチームでプレーしてきた彼女が、果たしてイタリアの組織的ブロックシステムにどう順応できるのか? というのが私の中での大きな興味としてあった。もちろん彼女はキューバの黄金時代を担った主力メンバーだったわけであり、イタリアにとっては「キャリア」という意味では申し分のない戦力補強だったわけだが、キューバのチームカラーを考えればお世辞にも「組織的」とは言えないスタイルの中で長年戦ってきた彼女だけに、彼女がイタリアに加わることが逆に「組織プレー」にとって足を引っ張る形になりかねないという危惧も感じたからだ。

で、蓋を開けてみると、今大会のイタリアのブロックシステムは、比較的「スプレッド・リード」システムを敷いていることが多かった。最初はアゲロだけが「バンチ・リード」に加わっていないのか? と思ったが、そうではなかった。対角の長身セッター・フェレッティも基本的には「スプレッド」で構えつつ、そこから相手の例えばBクイックなどに対しては素早くセンターブロッカー横へ移動して、ブロックに参加していた。相手チームのパイプ攻撃には、両レフト(ピッチニーニ・デルコーレ・セーコロ各選手)が素早くセンターブロッカー横へ移動して、2枚ブロックを完成させていた。

このブロックシステムの意図するところは、相手のウイングスパイカー陣に「ストレートに打たせない」ことを徹底させたかったのではなかったか? と思う。そうやって、相手チームの両サイドの高速平行トスを徹底してクロスに打たせて、そのコースには鉄壁のレシーブ陣を配する・・・レフト平行に対してはリベロのカルドゥロが、ライト平行に対してはセッターとオポジットのアゲロが担当する・・・男子バレーの世界では、相手チームのブロックシステムをこのようにさせておいて、センターの「高くて早い」速攻で勝負するのが「現在の」セオリーである。男子バレーの高さでは、センターの速攻を1枚ブロックで「リード」でワンタッチを取ることは至難の業だからだ。しかし、現在の女子バレーの世界では、「コミット」でなければ手も足も出ないというような「高くて早い」速攻を打てる選手は数えるほどしかいないと言ってよい・・・そのような選手の大半を占めるロシア・中国が参加していない今大会にあって、この戦略は見事に機能した。もちろん、その戦略の下で各チームの主力センター陣を次から次へと粉砕していったイタリアのセンター陣(ジョーリ・バラッザ)が素晴らしかったことは間違いない。今大会のMVPはジョーリだったが(確か、ワールドカップのMVPはベストスコアラーが獲得する、という決まりじゃなかったっけ? これって昨年の世界バレーのMVPの一件の反省?!)、これは「納得の」MVPだ。

さらには、アゲロの加入・・・上述したとおり、決して彼女の加入がブロックシステムで欠点となることなく、逆に苦しい場面で322cmの打点から相手の3枚ブロックをものともせずに、ハイセットを打ちこなせるスーパーエースでありながら、ラリー中のディグもトスも難なくこなせるユーティリティープレーヤーでもあり、そして時には相手の強力なスパイクサーブに対してはレセプションフォーメーションにも参加できる(但しセッターがセンター後衛、即ち自身がセンター前衛のローテーションでは「絶対に」レセプションには参加しない)彼女の加入は、ヨーロッパバレーの象徴であったはずのイタリアのバレースタイルを、実に「アジア的な」バレースタイルへと変身させた。今大会のイタリアを見ていると、まるでシドニーオリンピックの時の韓国女子ナショナルチームを彷彿とさせるものがある・・・リベロを除いたスタメンの平均身長だけを見ると、わずかに2cmしか変わらない日本が今大会のイタリアに全く歯が立たなかったことも、当時の日本が韓国にまるで歯が立たなかった姿にダブって見える。

但し、今大会のイタリアが現在の世界一の実力かと言われると、正直疑問である。今大会のブラジル戦、私には理解不能だったスタートローテーションを含めて、バルボリーニ監督の戦略勝ちだと思うが、次に対戦した場合にも同じようにストレートでイタリアが勝てるかというと、それは難しいと思う。レポしたとおり、第1セット・第2セットとも、序盤はどう見てもブラジルの方が試合内容では勝っていた。スプレッドであったイタリアのブロック陣は、ブラジルの高速パイプ攻撃には全く対応できていなかった。「アジア的な」バレースタイルへと変身し、堅実なバレーを展開しても、昨年の世界バレーでのドイツがそうであったように、ロシアのような絶対的な高さを前には為す術がないという可能性もある。今回のワールドカップ・・・「3大大会」の一つであり、他の大会と違って「総当たり戦」であるが故に全チーム同士の対決が見られる醍醐味があった一方で、世界ランク1位・2位(当時)チームが出場しないという、前代未聞の中で行われた、ただ単なる「オリンピック出場権争いのためだけの」大会に成り下がってしまった感が強く残った、今大会だった。

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2007年11月25日 (日)

(ワールドカップ2007女子)イタリア - アメリカ

前日に日本をあっさりと一蹴して2大会連続でのメダル獲得を決め、アテネ行きの切符という今大会の最大の目標を達成したアメリカは、この日ハニーフに代えてオポジットに若いブースを入れてスタートしてきた。このあたりは、海外勢はしたたか。今大会男子のオーストラリアが、大黒柱のハワード抜きでやってきたのと相通じるところがある・・・やはり各大会毎に「明確」かつ「現実的な(=身の丈にあった)」目標を設定して戦うべきだ。全日本男女、いや日本バレー狂会は、そういうところをよくよく考え直すべきだ。

第1セット、序盤は一進一退の攻防。中盤からイタリアは徹底してグラスにサーブを集める。この日は上述の通りにオポジットがハニーフでないため、アメリカは4枚レセプションを敷いておらず、グラスが後衛の場面では彼女はレセプションで精一杯・・・勿論パイプ攻撃には参加できず、ブースのバックアタックもまだチーム内での信用が薄いのか、全く使おうという様子が見られず、結果的にアメリカの攻撃パターンは前衛レフトの平行とセンタープレーヤーのブロードというワンパターンへ追い込まれる。その状況でイタリアは日本戦同様のブロックシステムを敷き、バウンがそのプレッシャーに負けて彼女にしては珍しい連続スパイクミスを犯して、16-14とイタリアがリードしてセカンドテクニカルタイムアウト。セッターのバーグがツーアタックを決めて、イヤな流れを断ち切り16-15。17-16からフェレッティはアゲロのレフトへのハイセットに頼り、それを彼女が超インナーへたたき込んで、18-16。ローガン・トムが珍しい繋ぎのミスを犯して、19-16。バーグはスコットの速攻に頼るも、それをイタリアに拾われてラリーに持ち込まれ、次はローガン・トムのパイプに頼るもトスが合わず、20-16。終盤バルボリーニ監督はいつも通りにフェレッティにピンチブロッカーのグイッジを投入、それがまたまたバウンのスパイクミスを誘って、24-19とイタリアがセットポイント。最後は、ジョーリがフェイントを決めて25-20。イタリアが1セットを先取。セット中盤以降、イタリアの戦略に追い込まれて、アメリカがミスで自滅した形。

第2セット、アメリカはブロックマークに潰されたバウンを、ブラジル戦で活躍したジョインズに代えてスタート。このセットも序盤から徹底してサーブでグラスが狙われ、ジョインズもデルコーレにシャットされて4-2とイタリアがリード。頼みのローガン・トムのパイプもバラッザ・ピッチニーニ2枚がきっちり揃って、バラッザがシャットし、8-5。ブースのライトからのバックアタックがほとんど見られないことで、このセットはイタリアのブロック陣はデディケート気味。カルドゥロのスーパーレシーブで繋いだボールに、アメリカがしびれを切らしてスパイクミスで、13-7。ここでアメリカは開き直ったのか、若いブース・グラスにトスを集めて、この試合初めてグラスがパイプを見せ、イタリアブロック陣は1枚にされて、13-10。アゲロをローガン・トムが止めて、13-11とアメリカが追い上げるも、続くラリーではきっちりアゲロが決め返して、14-11。ここで郎平監督はブースをオーモーサントスに、バーグをナマニへ代える2枚替えを見せて、何とか流れを変えようとするが、ジョインズの速攻にジョーリが1枚でリードでつかれて、彼女が弱気にミス。結局アメリカはセンター線が決まらない。こうなると中央からの攻撃はローガン・トムのパイプしかなく、連続でオーモーサントスが使うも、イタリアもわかっていてきっちりディグで繋がれてしまう。ラリーになれば、若いフェレッティはアゲロに頼るトス回しとなるも、アゲロはきっちり2枚ブロックをはじき飛ばして、21-15。このセットはこれで勝負あり。バラッザが2枚きっちりブロックを跳ばれたのをあざ笑うかのようにフェイントで決めて、24-18。最後もジョインズの速攻をジョーリがきっちり1枚でワンタッチを取り、トランジションでデルコーレがフェイントを決めて、25-18。

第3セット、アメリカは再びバウンを戻し、セッターはオーモーサントスでスタート。1-1からジョーリのブロード2連続で、3-1。アゲロのサービスエースで4-1と、このセットもイタリアペース。しかし、ローガン・トムがジョーリをシャットし、さらにブースのサービスエースで、4-4の同点。セット中盤からは、前セットでイタリアのブロック陣がデディケート気味となっていたのをオーモーサントスはきちんとコート外から確認していたのか、これまでほとんどなかったブースのライトからのバックアタックを多用して、7-8とアメリカがリードしてファーストテクニカルタイムアウト。これで、アメリカの攻撃システムが機能し始めるが、アメリカはサーブミスを連発して流れを掴みきれずにイタリアに逆転を許してしまう。アゲロのライトからのバックアタックを連続でシャットして15-14と追い上げて、ようやくアメリカに流れが来る。バラッザの速攻をリベロのデービスがきっちりコースに入ってファインディグを上げ、ラリーからブースが決めて17-17と追いつき、デルコーレにブロックでプレッシャーをかけてミスを誘い、17-18と逆転する。直後またグラスがサーブミスで同点とされると、郎平監督はそのグラスをシコラに代えて守備固め。ローガン・トムが技ありの軟打を決めて、19-20。ブースに連続してライトからのバックアタックを使うも、デディケートでもきっちりイタリアの2枚ブロックが空中で間に合い、コースを抜いてきたところをカルドゥロがファインディグを連発。ジョーリが決めて一進一退。21-21からバルボリーニ監督はフェレッティをグイッジに代えるいつもの戦略にでて、そこでまたまたバウンがプレッシャーに負けてスパイクミス(この試合何回目?)で、22-21。ジョーリがサービスエースで23-21と、イタリアが王手をかけるが、アメリカはスコットが頑張り、23-23と同点。ここでアゲロがライトからのバックアタックを決めて、24-23とイタリアがマッチポイントを握ると、アメリカはローガン・トムのパイプに頼り、それがイタリアのタッチネットを誘って、24-24とジュースへ突入。フェレッティはアゲロのレフトのハイセットに頼り、勿論アメリカもわかっていて3枚ブロックが揃い、アゲロのスパイクミスを誘って、24-25とアメリカがセットポイント。フェレッティは3本連続でアゲロのレフトへのハイセットに託すも決まらず、トランジションでローガン・トムのパイプを使って、イタリアのブロック陣はノーマークとなるも、気負ったローガン・トムがスパイクミスで、25-25。この1本が大きかった・・・グラスとスコットが交錯して26-25とイタリアにセットポイントが来て、最後はブースをバラッザがシャットして、27-25。

イタリアの見事な全勝優勝! に終わった今大会だった。昨年の世界バレーでは予選ラウンドでの戦いぶりは(レベルの高いPool B/C・Pool Fにイタリアが入らなかったので)ほとんど見ておらず、準決勝でのロシア戦で不甲斐ない戦いぶりを見せた印象ばかりが強く、かなりのダメ出しを書いたが(個人的にはカッチャトーリに始まり、現在はロビアンコとイタリアの歴代セッターのヴィジュアルに陶酔しているのだが(爆))、期待通りに巻き返して来てくれてうれしい限りだ。日本も含めて各チームについては、このあと総括で述べる。

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(ワールドカップ2007女子)イタリア - キューバ

試合前の予想としては、私は今大会のイタリアに土を付けるとすれば、キューバしかないだろうと思っていた。イタリアは肝心な大会で、悉くキューバに負けている印象が強いのだ(前回のワールドカップ・アテネオリンピックの準々決勝など・・・昨年の世界バレーでは勝っているのだが・・・)。しかも、今大会のイタリアの大黒柱と言っていいアゲロにとっては、亡命して以来初めて元チームメイトと対戦する試合・・・それが両チームにどう影響するのか?

イタリアは、ブラジル戦と同じスタメン。この日もセッターは若いフェレッティ。キューバもここ数試合、バロスが体調不良で出場しておらず、この日も若いサンチェスがスタメン。

第1セット序盤、上述のとおりの両チームの微妙な関係が各選手の動きに影響してか? どちらもやや堅さが見られるスタート。その中で、まずカリーヨのサービスエースでまずキューバが主導権を握る。「私は昔のことなんか知らないわ」と言わんばかりに、若いサンチェスが「高くて早い」速攻を決めて、9-6とリード。直後にサントスがサービスエースで、10-6。このイヤな流れを断ち切ったのは、やはりアゲロだった。苦しいセンターからのバックアタックを、キューバの高い3枚ブロックをものともせずに決めて、イタリアが追い上げ開始。カリーヨがスパイクミスで10-8。ラミレスがセンターの時間差に回ってきたところを、ピッチニーニとバラッザがきっちりバンチで構えていて2枚揃い、バラッザがシャットして10-9。11-11から若いサンチェスの速攻をバラッザが1枚でシャットして、11-12とイタリアが逆転すると、キューバはここからミスを連発。12-16とイタリアリードで、2回目のテクニカルタイムアウト。サントスのライト攻撃にブロックを1枚にされるも、その1枚のデルコーレが見事にシャットして、13-17。キューバの速攻に執拗にジョーリがワンタッチを取って、長いラリーを最後はピッチニーニがブロックアウトを取って、14-19。ルイザをバラッザがシャットして16-21。逆にピッチニーニをサンチェスが止め返して、17-21。直後サントスの強烈なスパイクサーブでイタリアのレセプションが乱されるが、アゲロがキューバの3枚ブロックをあざ笑うかのようなフェイントをサイドライン付近に落として、17-22。アゲロのライト攻撃をカリーヨがシャットして、キューバも21-23と追い上げる意地を見せ、ケニアが決めて遂に23-24と1点差。フェレッティはアゲロのライト攻撃に頼るが、またまたカリーヨが見事にシャットして、24-24とジュースに突入。連続ブロックで勢いに乗ったカリーヨが速攻を決めて、25-24とキューバがセットポイントを握るが、ジョーリが速攻を決め返して、25-25。ジョーリがケニアを止めて、逆に25-26とイタリアがセットポイントを握り、最後はカリーヨのBクイックに、ジョーリとライトブロッカーのフェレッティの2枚が揃って、ジョーリがシャット! 25-27とイタリアが先取する。序盤の両チームの堅さがウソのように、セット終盤は白熱の接戦となった第1セットだった。

第2セットに入っても白熱の一進一退の攻防。アゲロがフェイントを決めて8-7として、ファーストテクニカルタイムアウト。ピッチニーニのサービスエースで、9-7。デルコーレが技ありのブロックアウトを取って、10-7とイタリアが抜け出し始める。ルイザをフェレッティが止めて(彼女は180cmの上背がある)15-12。ピッチニーニが誰もいないコート角に軟打を決めて、16-12でセカンドテクニカルタイムアウト。イタリアはキューバの強力なスパイクサーブにもレセプションが崩されない・・・要所でオポジットのアゲロがレセプションフォーメーションに参加して、そして見事なレセプションをやってのける! ケニアがタッチネットで19-14となったところで、流れを変えたいキューバは、ケニアに代えてカルデロンを投入。しかし、彼女は膝あたりに故障を抱えるのか? 彼女本来のジャンプが見られない。デルコーレの老獪なフェイントで21-15。イライラし始めたキューバはサーブミスを連発。23-18で、バルボリーニ監督は180cmのフェレッティに代えてグイッジをピンチブロッカーとして投入。するとブラジル戦で書いたとおり、トランジションではオポジットのアゲロが見事に「高くて早い」トスをピッチニーニに上げて、24-18。最後はアゲロ自身が、またまたキューバの3枚ブロックをものともせずにバックアタックを決めて、25-19。イタリアが2セットを連取。

第3セット、2-2から珍しくイタリアのレセプションが乱れるが、苦しいアンダーパスでのハイセットでアゲロがきっちりライトから決める。サントスのセンターからの時間差にイタリアはきっちり2枚ブロックが揃って、ジョーリがシャットし6-3。キューバはブラジル戦同様に弱気なサーブミスを連発。ルイザの高速レフト平行に対して、スプレッドで構えていたフェレッティが1枚でシャット! 8-4でファーストテクニカルタイムアウト。後はこのセットはキューバがミスで勝手に自滅。アゲロがパイプを決めて16-10。イタリアの各選手には余裕の表情が見られ、一方のキューバは途中出場のカルデロンが気を吐いて連続で決めるも、ジョーリがそのカルデロンをシャットして、22-14で勝負あり。カリーヨのサーブミスで、イタリアのマッチポイント。フェレッティがツーアタックを決めて、25-16。イタリアがストレートで「因縁の」対決をものにした。

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(ワールドカップ2007女子)ブラジル - セルビア

何度も書くが、昨年の世界バレーで大躍進を遂げたセルビア(当時セルビア・モンテネグロ)は、ブロックシステムが稚拙だった。それが今年どう進化しているか? にずっと注目していたが、ポーランド戦・アメリカ戦でレポしたとおり、さほど目立った進化は見受けられなかった。当然、ブラジルのような高速立体的3Dバレーを相手には、昨年同様に子供扱いされるだろうと予想したが、案の定だった・・・。

第1セット、いきなりブラコチェビッチのサービスエースでリードするが、バレウスカのBクイックに全く対応できずに3-3とされ、直後はベリコビッチの速攻は逆にブラジルブロック陣にきっちりワンタッチを取られて、トランジションでシェイラの高速パイプを決められ、3-4と逆転。ブラコチェビッチが連続でシャットされて7-10となると、早くもセルビアの選手達は完全に意気消沈・・・やはり昨年の世界バレーでの惨敗がよほど堪えているのか・・・直後もバレウスカのサーブにニコリッチが崩され、7-11。ブラコチェビッチのライト攻撃に頼るもまたまたファビアナにシャットされて、7-12。ここからはもう一方的な展開。フォフォンは右から左から中央からバックからとトスを振り分け、それに対してセルビアのブロック陣は全くついて行けず。こうなるとブラジルのサーブが走り出す・・・ファビアナのサーブに崩されまくって、気づけば10-21。ブロック陣は当然、速攻に対してコミットに「させられ」て、それを見逃さないフォフォンがすかさずパウラの時間差攻撃を使って、11-22。最後はジャケリネが決めて、13-25。

第2セットに入っても、ニコリッチの渾身の強打をリベロのファビがファインディグを見せて、それをトランジションでフォフォンはファビアナの縦のBクイックを使って、セルビアのブロックはほぼノーマーク状態にされて、4-1。ベリコビッチがこの試合初めて、バレウスカのBクイックを見事にシャットして、その勢いで6-6とセルビアが一旦追いつくが、そこからはブラジルのファインディグが連発して勢いに乗り、またまた一方的な展開へ・・・それだけ相手ブロック陣を翻弄できれば楽しいでしょうねぇ、フォフォンは。一方セルビアは何を使ってもきっちり2枚〜3枚ブロックがつかれて最後もモルナルが押さえ込まれて、25-14。

第3セットも、序盤こそ競り合うが、ファビアナの速攻にはこのセットになっても対応できず。ジャケリネの高速レフト平行が決まって、16-13とブラジルリードで2回目のテクニカルタイムアウト。長いラリーからファビアナの縦のBクイックで、17-13。セルビアのブロック陣は、マンツーマンコミットに近い状態になっているのに、それでもブラジルの両レフトにストレートを抜かれてしまう始末。23-19からギマラエス監督は、「トドメを刺しに」パウラに代えてピンチサーバーでサッサを投入。それは何とかブラコチェビッチが決めて、23-20とするが、続くラリーでシェイラが高速パイプを決めてブラジルのマッチポイント。最後はブラコチェビッチのスパイクサーブでレセプションが崩されるも、アンダーパスでのハイセットをジャケリネが豪快に決めて、25-21。前日のイタリア戦での鬱憤を晴らすような、ブラジルの完勝だった。

やはり、セルビアはセルビアだった・・・。

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2007年11月23日 (金)

(ワールドカップ2007女子)セルビア - アメリカ(その2)

第3セット、なぜか? アメリカはレセプションから始まるセットなのにローテーションを一つ回してスタートしてくる。さらに、なぜか? オーモーサントスはセンターの速攻を使わずにブロード一辺倒のトス回しを見せ、結果的にセルビアの高いブロックにナマニが餌食になる。郎平監督はたまらず2枚替えを行い、セッターをバーグにスイッチ。そのバーグはすぐにスコットのAクイックを使い、スコットがターン打ちで見事に決める。それでアメリカが流れを取り戻しかけるが、一旦タイミングが合い始めてしまった高いブロックは如何ともし難く、ナマニがまたまた捕まって、郎平監督は2枚替えを元へ戻す・・・このセットはほぼ一方的展開で、最後はツェタコビッチがブロードを鮮やかに決めて、25-20とセルビアがものにする。

第4セット、やはり郎平監督はバーグをセッターとして起用。そして、ローテーションも元に戻してスタート。ハニーフがスパイクミスで0-2とセルビアが先行するが、バーグがきちんとスコットの中央からの速攻を使って、2-3。ハニーフのサーブミスで3-5。ニコリッチが苦しいハイセットを決めて、3-6。ナマニがアタックラインを踏むペネトレーションで、3-7。バウンがブラコチェビッチを止めて、4-7としたが、直後ローガン・トムがサーブミスで、4-8。アメリカはミスが多く、自滅傾向。ナマニが第3セット同様にまともにブラコチェビッチにシャットされて、4-9。スコットがツェタコビッチの速攻に見事にワンタッチを取るも、その後のファーストタッチをナマニが雑に処理して、6-10。ニコリッチがパイプを決めて、6-11。郎平監督はようやくここで、ナマニをグラスへ代える。が、流れは変わらず、ハニーフがサーブミスを犯し、直後に郎平監督は彼女をシコラへ代えるも、さらにその直後にオグニェノビッチのジャンピングフローターにシコラが潰され、勝負あったかと思われたが、ここからローガン・トムが一人気を吐いて、レフト攻撃にサービスエースにパイプ攻撃にと大車輪の活躍。勝ちを意識したセルビアの選手達が途端に弱気になってサーブミスを連発。アメリカが23-24まで詰め寄るが、最後はニコリッチがライトから強打を決めて、23-25。遂にアメリカが、初黒星を喫した。

この試合については、どう考えても第3セットの序盤が勝敗を分けたと思う・・・郎平監督のスタートローテーションの作戦ミスと、セッターのオーモーサントスが中央からの速攻を全く使わないというトス回しのミス・・・これがなければ、大黒柱のローガン・トムの負傷という不測の事態があったとは言え、セルビアが見せた、第1セット序盤のように中央から「高くて早い」速攻を見せられると全くブロック陣がついて行けない様子や、勝ちを意識した途端にサーブが弱気になる姿(この辺は昨年の世界バレーから全く進化が見られない・・・)を見る限り、勝負はどちらへ転んでいたかわからなかっただろう。セルビアとしては、全勝のアメリカに土を付け、メダル即ち北京への切符獲得へ望みを繋いだ形だが、果たして翌日のブラジル戦でどのような戦いを見せられるか? で真価が問われるだろう。

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2007年11月21日 (水)

(ワールドカップ2007女子)セルビア - アメリカ(その1)

目標の3位以内はほぼ手中に収めたが、最終日のイタリアとの全勝対決をあわよくば狙いたいアメリカと、3位以内には1つの負けも許されないセルビアとの対決。
アメリカはこの日はセッターがオーモーサントス・表レフトはグラスでスタート。一方のセルビアは相変わらず不動のスタメン。

セルビアの攻撃パターンは昨年の世界バレーで紹介したとおり、非常にオーソドックスな男子バレーのそれを踏襲しており、即ち「両サイドの平行(もしくはバックライトからのバックアタック)と前衛センターの速攻に、後衛レフトプレーヤーのパイプ攻撃を絡める」という基本スタイルの一辺倒である。今大会オポジットに配されているブラコチェビッチは「古典的な」スーパーエースであり、基本的に高いトスしか打ってこない。従って、組織ブロックの完成度の高いアメリカは、当然のことながらセルビアのライト側の攻撃に対するマークを甘くするデディケートで構える。

第1セット、いつも通りセルビアは、バウンの高くて早い速攻、ローガン・トムの高速レフト平行にブロック陣がついて行けず、3-0とアメリカのリード。一方、アメリカは相手のレフト側へデディケートするブロックシステムを敷いているため、モルナルのレフト平行に2枚ブロックがきっちり揃う。そこを彼女が何とか個人技でブロックアウトを取り、4-2。しかし、直後に自身がサーブミスで5-2。スコットのブロードに何とかニコリッチが1枚でついていってシャット、と思ったらタッチネットで6-3。ブラコチェビッチが強烈なバックアタックで6-4と食らいつくも、グラスの高速レフト平行にもブロック陣がガタガタにされて、7-4。ベリコビッチの速攻がアウトとなって、8-4。ブラコチェビッチのハイセットにアメリカは3枚ブロックが揃うが、それをスーパーエースらしく打ち抜いて、8-5。頼みのブラコチェビッチへのトスがミスとなって、10-5。セルビアとしては、何とかアメリカのレセプションを乱して、ブロックマークをマークを絞るしかない・・・その狙い通り、ベリコビッチが連続してアメリカのレセプションを乱し、ハニーフへのハイセットをブラコチェビッチがシャットして、10-9。直後もレセプションが乱れ、オーモーサントスは無理にグラスのライト攻撃を使うも、スパイクミスで10-10と遂に同点。ここからはお互いにレセプションが不安定で、どちらも流れを掴みきれないが、要所でローガン・トムが決めて16-14とアメリカがリードして、2回目のテクニカルタイムアウト。18-17からベリコビッチの速攻にアメリカは2枚バンチでブロックが揃うも、その上をベリコビッチが抜いて18-18。直後、彼女のサーブでレセプションがライト側へ乱れ、オーモーサントスは逆サイドのレフトへ高速平行を上げるも、それをツェタコビッチが読み切ってついていき、見事にシャットして18-19とセルビアが逆転。苦しくなった郎平監督はレセプション固め及び、流れを変えるために後衛に回ったグラスをシコラに代えて、それがバウンのサービスエースを呼び込み、再び21-20と再逆転。直後もセルビアはレセプションを崩されるも、ブラコチェビッチがライトからのバックアタックを決めて、21-21。ここから、両ベンチとも目まぐるしく選手交代を行って執念を見せる。スコットがブロードを決めて23-22。セルビアは当然、ブラコチェビッチに頼り、見事にライトからのバックアタックを決めて、23-23。直後、モルナルのジャンピングフローターでレセプションを乱して、ブラコチェビッチがダイレクトで押し込んで、23-24とセルビアがセットポイント。長いラリーから、前衛センターのスコットがトランジションでローガン・トムにパイプのトスを上げて、それをローガン・トムがフェイントで決めて24-24とジュースに突入。ブラコチェビッチが決めて26-27とセルビアのセットポイントとなり、最後はハニーフがスパイクミスで26-28。セルビアが逆転で第1セットをものにする。
このセットは、デディケートで構えるアメリカのブロックシステムに対して、セルビアのセッターのオグニェノビッチが執拗にブラコチェビッチのライト攻撃を繰り出し、そして見事に彼女が2枚揃ってくるアメリカのブロックをものともせずに決めきったことが大きかった。

第2セット、スタート前にローガン・トムがベンチで左足首にテーピングを巻かれていた。後で見直してわかったが、第1セットの最後の場面で、彼女とデービスが交錯して倒れ、その時に捻挫をしてしまったようだ。それがどうアメリカに影響するか?・・・しかし、セルビアの選手達はそれに気づいていなかったのか? セット序盤からオグニェノビッチはローガン・トムが前衛レフトブロッカーとして上がってきても、彼女の方から責め立てることをせずにレフト攻撃に頼り、アメリカのブロックが炸裂して、6-1と第1セット同様にアメリカペース。テルジッチ監督がタイムアウトを取り、そこから途端にセルビアはライト攻撃を多用。10-8と追い上げ体勢に入りかけるも、4枚レセプションを敷くアメリカの弱点でもある、オポジットのハニーフをサーブで狙わた苦しい場面を救ったのは、負傷をおったローガン・トム。技ありの軟打をセルビアのコート奥、誰もいないところへ決めて11-8。後衛に下がれば、必死にボールを追いかけて回転レシーブ。前衛に上がってくれば、怪我のためにジャンプがあまり出来ない状況で冷静にリバウンドを取って、もう一度ハイセットを呼び込み、それを対角線コート奥へ決め、16-12。途中、ツェタコビッチのブロードについていってブロックに跳び、ツェタコビッチの着地した足の上に怪我をした左足が乗ってしまうという、一瞬ヒヤッとするシーンもあったが、それをもものともせずコートに立ち続ける彼女。一方のセルビアはこのセットは大黒柱のニコリッチに頼る。彼女が連続して決め、20-17。スコットのブロードがサイドラインを割って、20-18。ローガン・トムをベリコビッチがシャットして、20-19とセルビアが息を吹き返す。ニコリッチがパイプを決めて、遂に23-23の同点。しかし、バウンがブロードを決めて24-23とアメリカがセットポイント。最後は、ブラコチェビッチのライト攻撃をこのセット途中でミスを連発したグラスに代わったナマニが止めて、25-23。アメリカが取り返す。

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2007年11月20日 (火)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - イタリア(その2)

第3セット、ブラジルはジャケリネを戻して第1セットと同じメンバーでスタート。0-1からフォフォンはファビアナのAクイックを早々使うも、ジョーリとデルコーレの2枚が揃ってものの見事にジョーリがシャット! 0-2とイタリアがリードし、1-2からは逆にジョーリのAクイックに対してブラジルはファビアナが1枚にされて、ジョーリが見事に決めて1-3。ギマラエス監督はファビアナを下げてしまう。パウラの高速レフト平行をピッチニーニがファインディグで繋いで、デルコーレが決めて1-4。アゲロがライトからのバックアタックを決めて1-5。ファビアナに代わったブラジルチーム最長身(196cm)のタイーザの速攻も、ジョーリが1枚でリードでワンタッチを取り、フェレッティのハイセットのトスが乱れたものの、デルコーレが苦し紛れで打ったボールがブラジルのブロックに当たってネット上をスルスルと這ってブロックアウトになる幸運も味方して、1-6。これでほぼ勝負あった。バレウスカが前衛に上がってきても、彼女のブロードはジョーリとピッチニーニの2枚ブロックにワンタッチを取られて、トランジションで同じブロードをジョーリがやると決まってしまう・・・2-8とイタリアがリードしてテクニカルタイムアウト。中盤にパウラ一人が気を吐いて、11-15とブラジルも遅ればせながら追い上げ体制に入り、シェイラが高速ライトバックアタックを決め12-15。ピッチニーニのレフト攻撃に久しぶりにブラジルのブロックがきっちり2枚揃って、バレウスカがシャットして13-15。すかさず、バルボリーニ監督はピッチニーニをセーコロへ代え、代わった彼女が連続で決めて13-17と、イタリアは流れを持って行かせない。アゲロがジャケリネをシャットして、14-19。ギマラエス監督はジャケリネを再びサッサへ。17-21からそのサッサのサーブが回ってくるが、彼女の強烈なスパイクサーブがネットにかかり、17-22。最後は、ジョーリが決めて19-25。まさかのイタリアのストレート勝ち!

この試合の勝負を分けたポイントは、両チームのセンター陣にあった。第1セット序盤、決してトス回しも上手と言えず、トスも早くないイタリアの控えセッターのフェレッティに対して、システムブロックが機能していたのはブラジルの方だったが、両チームのセンター同士の「1対1」の勝負で悉くイタリアのセンター陣に軍配が上がった・・・まず、ファビアナがバラッツァに潰され、バレウスカがジョーリに潰され、そしてまたまたファビアナが今度はジョーリに潰された。センターからの速攻が通用しなくなったブラジルでは、いくら両サイドの平行が高速であっても、高さには限界があり、ブロックシステムがきっちりしているチームには通用しない。アメリカに逆転負けを喫した時と同じである。

もう一つ、この試合のポイントとして実は、この日のイタリアは、全てのセットでスタートローテーションを変えてきていた。相手とのマッチアップを考えて「レセプションから始まるセットに対してサーブから始まるセットでローテーションを1つ回す」という変え方ではなく、第1セットのレセプションからのスタートでは、ピッチニーニが前衛レフトのローテーションからスタートし、第2セットのサーブからのスタートでは、2つ回してスタート。そして2セットを連取した状況で、第3セットのレセプションからのスタートで、またさらに1つ回して、結局第1セットからは表裏を入れ替えた形でのスタートを取っていた。このスタートローテーションに関する戦略については正直、バルボリーニ監督の意図は私にはよく理解できなかったのだが、後から見直せば、第1セットと第3セットで表裏が入れ替わった結果、ファビアナを第1セットでバラッツァが潰し、第3セットでは同じくファビアナを今度は対角のジョーリが潰して、ブラジルの高速立体的3Dバレーの基軸となる「高くて早い」速攻を打てるファビアナを、コートから引きずりおろすことに成功したことが、イタリアの一方的なストレート勝ちという結果に繋がったとも言える。

そう言えば、バルボリーニ(・マッシモ)監督は昨年の世界バレーでも準決勝のロシア戦で私にはよく理解できないスタートローテーション戦略を見せていた。ひょっとするとバルボリーニ監督は、どこの国でも同じように取っているであろうデータから、私のような素人にはとても想像もつかないような戦略を編み出す頭脳をもっているのかもしれない・・・。恐るべし、バルボリーニ。

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2007年11月19日 (月)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - イタリア(その1)

ブラジルはこの大会の不動のスタメン。一方のイタリアは試合毎にレフトを使い分けている(デルコーレ・ピッチニーニ・セーコロ)が、この日は表レフトにピッチニーニ・裏レフトにデルコーレの対角で、センターはジョーリ・バラッツァ、オポジットにアゲロ、リベロはカルドゥロ、セッターはフェレッティ・・・どうやらキャプテンの正セッター・ロビアンコが、体調不良の様子。優勝のかかった大一番で、セッターが代わるという一大事・・・これがどうこの試合に影響するかの?

第1セット序盤、お互いに少し緊張からの堅さが見られる中、7-7の同点からシェイラのサーブでイタリアのレセプションが崩されたが、それをデルコーレがハイセットを決めきって、8-7とイタリアが最初のテクニカルタイムアウトをものにする。しかし、直後はパウラが今大会屈指の高速レフト平行を決めて同点。ジョーリのブロードにきっちり2枚ついて見事ワンタッチ、と思ったらタッチネットで、9-8。今度はバレウスカの速攻にイタリアのブロック陣がついて行けず、9-9。ピッチニーニのレフト平行には、ブラジルのブロック陣が2枚綺麗に揃うが、何とかピッチニーニがブロックを弾いて10-9。今度はシェイラが高速ライトバックアタックを見せ、これもイタリアブロック陣は翻弄され、10-10。アゲロのレフトオープンに、またブラジルのブロック陣が2枚綺麗に揃うが、アゲロがインナーへ強打を決めて、11-10。中盤は堅さが取れて、両チームともに相手のサーブを一発でサイドアウトを取り合う展開となったが、ブラジルの多彩な攻撃にイタリアブロック陣はついて行けず、一方のイタリアの攻撃にはブラジルブロック陣はきっちりついて行くも、イタリアの各アタッカーの個人技で「何とか凌ぐ」形で、ブラジルに流れが来そうで来ない展開。15-15の同点から、シェイラのパイプにやはりイタリアブロック陣が1枚にさせられるも、そこでシェイラが痛恨のスパイクミスで16-15と、2回目のテクニカルタイムアウトもイタリアがものにする。シェイラのそのスパイクミスが響いて、タイムアウト直後にレセプションを乱され、ジャケリネのレフト攻撃が遂にイタリアブロック陣にシャットされ、17-15。ギマラエス監督はここが勝負所と見て、すかさずジャケリネをサッサにチェンジ。そのサッサが高速レフト平行を決めて、流れをイタリアに掴ませない。バラッツァの速攻に2枚ついてワンタッチを取り、トランジションでシェイラがパイプを決めて、また17-17の同点へ追いつく。バラッツァがファビアナの1枚ブロックをかいくぐって速攻を決めて、19-18。直後ブラジルはファビアナの速攻を見せ、イタリアはバラッツァ1枚しかつけなかったが、ファビアナが先ほどのシェイラ同様にスパイクミスで、20-18と2点差がつく。この攻防がこのセットの勝負を分けた・・・互いのセンターの速攻に1枚ブロックしかつけない状況の攻防で、きちんと決めたバラッツァに対して、ミスを犯したファビアナ・・・これがこの後、それまでイタリアのサイドからの攻撃にきちんと2枚ブロックを揃えられていたブラジルのブロックが、センターの速攻に気を取られて両サイドの攻撃について行けなくなる伏線になった。デルコーレのレフト平行に1枚ブロックにされて、21-19と2点差のまま終盤へ。22-20から、アゲロのジャンピングフローターにレセプションが崩されて、23-20。ここで、チャンスボールがブラジルコートへ返ってきて、フォフォンはバレウスカのBクイックを選択し、またまたイタリアのセンターブロッカー1枚との勝負になったが、バレウスカがミスして24-20。最後はピッチニーニが豪快にバックアタックをブラジルコートへ突き刺し、25-20。イタリアが1セットを先取。

第2セット、ブラジルはジャケリネに代えてサッサでスタート。フェレッティのサーブミス・ピッチニーニのスパイクミスで、2-0とブラジルが先行。シェイラのスパイクサーブで波に乗りたいところだったが、サーブミスで4-3。逆にアゲロのジャンピングフローターにレセプションを崩され、トランジションでアゲロにバックアタックを決められて4-4の同点となる。直後アゲロが今度はサーブミスで5-4。バレウスカがダイレクトスパイクを決めて6-4。フォフォンがツーを決めて7-4と、再びブラジルが走りかけるが、イタリアはアゲロが苦しいボールを決めて、第1セット同様に「凌ぐ」展開。8-6とブラジルリードで最初のテクニカルタイムアウトとなるが、ブラジルはバレウスカの速攻が1枚ブロックでもイタリアのレシーブ陣に拾われ、センターの速攻が決まらない。こうなると段々と両サイドの攻撃にイタリアのブロック陣が揃い始める。サッサ・シェイラと連続スパイクミスで11-10と追い上げられ、長いラリーからアゲロがライトのハイセットを決めて、遂に11-11の同点。ここから一進一退の攻防となり、16-15とブラジル1点リードで2回目のテクニカルタイムアウト。しかし、ブラジルは中央からの速攻が全く見られず、両サイドに頼ったトス回しで、センターもブロードばかり。これではブラジル本来の高速立体的3Dバレーではない。パウラのスパイクサーブでイタリアのレセプションを乱して、19-15とリードを取るも、苦しい場面でアゲロが決めてイタリアが流れを断ち切り、19-16。バルボリーニ監督は勝負所と見て、セッターのフェレッティにピンチブロッカー・グイッジを投入。案の定、両サイドに頼ったトス回しのフォフォンに対して、イタリアブロック陣はきっちり対応してバレウスカのブロードをジョーリがシャット。続くラリーで、イタリアはアゲロがトランジションでトスアップを行い(そうそう、彼女はキューバ時代はツーセッターの一角だったのだ!)ピッチニーニが決めて、19-18。バレウスカが久しぶりにCクイックを見せるとそれに対してジョーリが1枚で「リード」で見事にシャットし、19-19。フォフォンは連続してバレウスカの速攻を使うも、またジョーリが1枚で「リード」で跳び、バレウスカが第1セットのファビアナのようにスパイクミス。たまらずギマラエス監督はバレウスカをカロリネへ代える。サッサがタッチネットを犯して21-22。直後にサッサがサーブで崩され、アゲロがフェイントを決めて21-23。ギマラエス監督はサッサからジャケリネへと戻す。ファビアナが久々に速攻を決めて、22-23。ここの勝負所で、若いフェレッティはアゲロに頼り、ブラジルも3枚ブロックで対抗するも、最後はアゲロが超インナーへ決めて、22-24とイタリアのセットポイント。パウラが執念で決めて23-24とするが、最後もアゲロがライト攻撃を決めて23-25。

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