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2007年11月30日 (金)

ワールドカップ2007(女子)最終総括(その1)

まず、全勝優勝を達成したイタリア。アメリカ戦の最後に書いたように、期待通りの巻き返しを見事に果たしてくれて、うれしい限りだ。ボニッタ監督からバルボリーニ監督へと変わって、一体何が変わったのか?・・・明らかに変わったのはブロックシステムだった。

ボニッタ時代は、基本的にはバンチ・リードブロックシステムを主体にしつつ、上背のない(172cm)セッター・ロビアンコのだけが場合によってバンチからリリース(release)される、という形であった。今大会のイタリアにおけるメンバーでの大きな変化としては勿論、アゲロが加わったことが挙げられるわけだが、これまでずっとキューバのナショナルチームでプレーしてきた彼女が、果たしてイタリアの組織的ブロックシステムにどう順応できるのか? というのが私の中での大きな興味としてあった。もちろん彼女はキューバの黄金時代を担った主力メンバーだったわけであり、イタリアにとっては「キャリア」という意味では申し分のない戦力補強だったわけだが、キューバのチームカラーを考えればお世辞にも「組織的」とは言えないスタイルの中で長年戦ってきた彼女だけに、彼女がイタリアに加わることが逆に「組織プレー」にとって足を引っ張る形になりかねないという危惧も感じたからだ。

で、蓋を開けてみると、今大会のイタリアのブロックシステムは、比較的「スプレッド・リード」システムを敷いていることが多かった。最初はアゲロだけが「バンチ・リード」に加わっていないのか? と思ったが、そうではなかった。対角の長身セッター・フェレッティも基本的には「スプレッド」で構えつつ、そこから相手の例えばBクイックなどに対しては素早くセンターブロッカー横へ移動して、ブロックに参加していた。相手チームのパイプ攻撃には、両レフト(ピッチニーニ・デルコーレ・セーコロ各選手)が素早くセンターブロッカー横へ移動して、2枚ブロックを完成させていた。

このブロックシステムの意図するところは、相手のウイングスパイカー陣に「ストレートに打たせない」ことを徹底させたかったのではなかったか? と思う。そうやって、相手チームの両サイドの高速平行トスを徹底してクロスに打たせて、そのコースには鉄壁のレシーブ陣を配する・・・レフト平行に対してはリベロのカルドゥロが、ライト平行に対してはセッターとオポジットのアゲロが担当する・・・男子バレーの世界では、相手チームのブロックシステムをこのようにさせておいて、センターの「高くて早い」速攻で勝負するのが「現在の」セオリーである。男子バレーの高さでは、センターの速攻を1枚ブロックで「リード」でワンタッチを取ることは至難の業だからだ。しかし、現在の女子バレーの世界では、「コミット」でなければ手も足も出ないというような「高くて早い」速攻を打てる選手は数えるほどしかいないと言ってよい・・・そのような選手の大半を占めるロシア・中国が参加していない今大会にあって、この戦略は見事に機能した。もちろん、その戦略の下で各チームの主力センター陣を次から次へと粉砕していったイタリアのセンター陣(ジョーリ・バラッザ)が素晴らしかったことは間違いない。今大会のMVPはジョーリだったが(確か、ワールドカップのMVPはベストスコアラーが獲得する、という決まりじゃなかったっけ? これって昨年の世界バレーのMVPの一件の反省?!)、これは「納得の」MVPだ。

さらには、アゲロの加入・・・上述したとおり、決して彼女の加入がブロックシステムで欠点となることなく、逆に苦しい場面で322cmの打点から相手の3枚ブロックをものともせずに、ハイセットを打ちこなせるスーパーエースでありながら、ラリー中のディグもトスも難なくこなせるユーティリティープレーヤーでもあり、そして時には相手の強力なスパイクサーブに対してはレセプションフォーメーションにも参加できる(但しセッターがセンター後衛、即ち自身がセンター前衛のローテーションでは「絶対に」レセプションには参加しない)彼女の加入は、ヨーロッパバレーの象徴であったはずのイタリアのバレースタイルを、実に「アジア的な」バレースタイルへと変身させた。今大会のイタリアを見ていると、まるでシドニーオリンピックの時の韓国女子ナショナルチームを彷彿とさせるものがある・・・リベロを除いたスタメンの平均身長だけを見ると、わずかに2cmしか変わらない日本が今大会のイタリアに全く歯が立たなかったことも、当時の日本が韓国にまるで歯が立たなかった姿にダブって見える。

但し、今大会のイタリアが現在の世界一の実力かと言われると、正直疑問である。今大会のブラジル戦、私には理解不能だったスタートローテーションを含めて、バルボリーニ監督の戦略勝ちだと思うが、次に対戦した場合にも同じようにストレートでイタリアが勝てるかというと、それは難しいと思う。レポしたとおり、第1セット・第2セットとも、序盤はどう見てもブラジルの方が試合内容では勝っていた。スプレッドであったイタリアのブロック陣は、ブラジルの高速パイプ攻撃には全く対応できていなかった。「アジア的な」バレースタイルへと変身し、堅実なバレーを展開しても、昨年の世界バレーでのドイツがそうであったように、ロシアのような絶対的な高さを前には為す術がないという可能性もある。今回のワールドカップ・・・「3大大会」の一つであり、他の大会と違って「総当たり戦」であるが故に全チーム同士の対決が見られる醍醐味があった一方で、世界ランク1位・2位(当時)チームが出場しないという、前代未聞の中で行われた、ただ単なる「オリンピック出場権争いのためだけの」大会に成り下がってしまった感が強く残った、今大会だった。

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2007年11月25日 (日)

(ワールドカップ2007女子)イタリア - アメリカ

前日に日本をあっさりと一蹴して2大会連続でのメダル獲得を決め、アテネ行きの切符という今大会の最大の目標を達成したアメリカは、この日ハニーフに代えてオポジットに若いブースを入れてスタートしてきた。このあたりは、海外勢はしたたか。今大会男子のオーストラリアが、大黒柱のハワード抜きでやってきたのと相通じるところがある・・・やはり各大会毎に「明確」かつ「現実的な(=身の丈にあった)」目標を設定して戦うべきだ。全日本男女、いや日本バレー狂会は、そういうところをよくよく考え直すべきだ。

第1セット、序盤は一進一退の攻防。中盤からイタリアは徹底してグラスにサーブを集める。この日は上述の通りにオポジットがハニーフでないため、アメリカは4枚レセプションを敷いておらず、グラスが後衛の場面では彼女はレセプションで精一杯・・・勿論パイプ攻撃には参加できず、ブースのバックアタックもまだチーム内での信用が薄いのか、全く使おうという様子が見られず、結果的にアメリカの攻撃パターンは前衛レフトの平行とセンタープレーヤーのブロードというワンパターンへ追い込まれる。その状況でイタリアは日本戦同様のブロックシステムを敷き、バウンがそのプレッシャーに負けて彼女にしては珍しい連続スパイクミスを犯して、16-14とイタリアがリードしてセカンドテクニカルタイムアウト。セッターのバーグがツーアタックを決めて、イヤな流れを断ち切り16-15。17-16からフェレッティはアゲロのレフトへのハイセットに頼り、それを彼女が超インナーへたたき込んで、18-16。ローガン・トムが珍しい繋ぎのミスを犯して、19-16。バーグはスコットの速攻に頼るも、それをイタリアに拾われてラリーに持ち込まれ、次はローガン・トムのパイプに頼るもトスが合わず、20-16。終盤バルボリーニ監督はいつも通りにフェレッティにピンチブロッカーのグイッジを投入、それがまたまたバウンのスパイクミスを誘って、24-19とイタリアがセットポイント。最後は、ジョーリがフェイントを決めて25-20。イタリアが1セットを先取。セット中盤以降、イタリアの戦略に追い込まれて、アメリカがミスで自滅した形。

第2セット、アメリカはブロックマークに潰されたバウンを、ブラジル戦で活躍したジョインズに代えてスタート。このセットも序盤から徹底してサーブでグラスが狙われ、ジョインズもデルコーレにシャットされて4-2とイタリアがリード。頼みのローガン・トムのパイプもバラッザ・ピッチニーニ2枚がきっちり揃って、バラッザがシャットし、8-5。ブースのライトからのバックアタックがほとんど見られないことで、このセットはイタリアのブロック陣はデディケート気味。カルドゥロのスーパーレシーブで繋いだボールに、アメリカがしびれを切らしてスパイクミスで、13-7。ここでアメリカは開き直ったのか、若いブース・グラスにトスを集めて、この試合初めてグラスがパイプを見せ、イタリアブロック陣は1枚にされて、13-10。アゲロをローガン・トムが止めて、13-11とアメリカが追い上げるも、続くラリーではきっちりアゲロが決め返して、14-11。ここで郎平監督はブースをオーモーサントスに、バーグをナマニへ代える2枚替えを見せて、何とか流れを変えようとするが、ジョインズの速攻にジョーリが1枚でリードでつかれて、彼女が弱気にミス。結局アメリカはセンター線が決まらない。こうなると中央からの攻撃はローガン・トムのパイプしかなく、連続でオーモーサントスが使うも、イタリアもわかっていてきっちりディグで繋がれてしまう。ラリーになれば、若いフェレッティはアゲロに頼るトス回しとなるも、アゲロはきっちり2枚ブロックをはじき飛ばして、21-15。このセットはこれで勝負あり。バラッザが2枚きっちりブロックを跳ばれたのをあざ笑うかのようにフェイントで決めて、24-18。最後もジョインズの速攻をジョーリがきっちり1枚でワンタッチを取り、トランジションでデルコーレがフェイントを決めて、25-18。

第3セット、アメリカは再びバウンを戻し、セッターはオーモーサントスでスタート。1-1からジョーリのブロード2連続で、3-1。アゲロのサービスエースで4-1と、このセットもイタリアペース。しかし、ローガン・トムがジョーリをシャットし、さらにブースのサービスエースで、4-4の同点。セット中盤からは、前セットでイタリアのブロック陣がデディケート気味となっていたのをオーモーサントスはきちんとコート外から確認していたのか、これまでほとんどなかったブースのライトからのバックアタックを多用して、7-8とアメリカがリードしてファーストテクニカルタイムアウト。これで、アメリカの攻撃システムが機能し始めるが、アメリカはサーブミスを連発して流れを掴みきれずにイタリアに逆転を許してしまう。アゲロのライトからのバックアタックを連続でシャットして15-14と追い上げて、ようやくアメリカに流れが来る。バラッザの速攻をリベロのデービスがきっちりコースに入ってファインディグを上げ、ラリーからブースが決めて17-17と追いつき、デルコーレにブロックでプレッシャーをかけてミスを誘い、17-18と逆転する。直後またグラスがサーブミスで同点とされると、郎平監督はそのグラスをシコラに代えて守備固め。ローガン・トムが技ありの軟打を決めて、19-20。ブースに連続してライトからのバックアタックを使うも、デディケートでもきっちりイタリアの2枚ブロックが空中で間に合い、コースを抜いてきたところをカルドゥロがファインディグを連発。ジョーリが決めて一進一退。21-21からバルボリーニ監督はフェレッティをグイッジに代えるいつもの戦略にでて、そこでまたまたバウンがプレッシャーに負けてスパイクミス(この試合何回目?)で、22-21。ジョーリがサービスエースで23-21と、イタリアが王手をかけるが、アメリカはスコットが頑張り、23-23と同点。ここでアゲロがライトからのバックアタックを決めて、24-23とイタリアがマッチポイントを握ると、アメリカはローガン・トムのパイプに頼り、それがイタリアのタッチネットを誘って、24-24とジュースへ突入。フェレッティはアゲロのレフトのハイセットに頼り、勿論アメリカもわかっていて3枚ブロックが揃い、アゲロのスパイクミスを誘って、24-25とアメリカがセットポイント。フェレッティは3本連続でアゲロのレフトへのハイセットに託すも決まらず、トランジションでローガン・トムのパイプを使って、イタリアのブロック陣はノーマークとなるも、気負ったローガン・トムがスパイクミスで、25-25。この1本が大きかった・・・グラスとスコットが交錯して26-25とイタリアにセットポイントが来て、最後はブースをバラッザがシャットして、27-25。

イタリアの見事な全勝優勝! に終わった今大会だった。昨年の世界バレーでは予選ラウンドでの戦いぶりは(レベルの高いPool B/C・Pool Fにイタリアが入らなかったので)ほとんど見ておらず、準決勝でのロシア戦で不甲斐ない戦いぶりを見せた印象ばかりが強く、かなりのダメ出しを書いたが(個人的にはカッチャトーリに始まり、現在はロビアンコとイタリアの歴代セッターのヴィジュアルに陶酔しているのだが(爆))、期待通りに巻き返して来てくれてうれしい限りだ。日本も含めて各チームについては、このあと総括で述べる。

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(ワールドカップ2007女子)イタリア - キューバ

試合前の予想としては、私は今大会のイタリアに土を付けるとすれば、キューバしかないだろうと思っていた。イタリアは肝心な大会で、悉くキューバに負けている印象が強いのだ(前回のワールドカップ・アテネオリンピックの準々決勝など・・・昨年の世界バレーでは勝っているのだが・・・)。しかも、今大会のイタリアの大黒柱と言っていいアゲロにとっては、亡命して以来初めて元チームメイトと対戦する試合・・・それが両チームにどう影響するのか?

イタリアは、ブラジル戦と同じスタメン。この日もセッターは若いフェレッティ。キューバもここ数試合、バロスが体調不良で出場しておらず、この日も若いサンチェスがスタメン。

第1セット序盤、上述のとおりの両チームの微妙な関係が各選手の動きに影響してか? どちらもやや堅さが見られるスタート。その中で、まずカリーヨのサービスエースでまずキューバが主導権を握る。「私は昔のことなんか知らないわ」と言わんばかりに、若いサンチェスが「高くて早い」速攻を決めて、9-6とリード。直後にサントスがサービスエースで、10-6。このイヤな流れを断ち切ったのは、やはりアゲロだった。苦しいセンターからのバックアタックを、キューバの高い3枚ブロックをものともせずに決めて、イタリアが追い上げ開始。カリーヨがスパイクミスで10-8。ラミレスがセンターの時間差に回ってきたところを、ピッチニーニとバラッザがきっちりバンチで構えていて2枚揃い、バラッザがシャットして10-9。11-11から若いサンチェスの速攻をバラッザが1枚でシャットして、11-12とイタリアが逆転すると、キューバはここからミスを連発。12-16とイタリアリードで、2回目のテクニカルタイムアウト。サントスのライト攻撃にブロックを1枚にされるも、その1枚のデルコーレが見事にシャットして、13-17。キューバの速攻に執拗にジョーリがワンタッチを取って、長いラリーを最後はピッチニーニがブロックアウトを取って、14-19。ルイザをバラッザがシャットして16-21。逆にピッチニーニをサンチェスが止め返して、17-21。直後サントスの強烈なスパイクサーブでイタリアのレセプションが乱されるが、アゲロがキューバの3枚ブロックをあざ笑うかのようなフェイントをサイドライン付近に落として、17-22。アゲロのライト攻撃をカリーヨがシャットして、キューバも21-23と追い上げる意地を見せ、ケニアが決めて遂に23-24と1点差。フェレッティはアゲロのライト攻撃に頼るが、またまたカリーヨが見事にシャットして、24-24とジュースに突入。連続ブロックで勢いに乗ったカリーヨが速攻を決めて、25-24とキューバがセットポイントを握るが、ジョーリが速攻を決め返して、25-25。ジョーリがケニアを止めて、逆に25-26とイタリアがセットポイントを握り、最後はカリーヨのBクイックに、ジョーリとライトブロッカーのフェレッティの2枚が揃って、ジョーリがシャット! 25-27とイタリアが先取する。序盤の両チームの堅さがウソのように、セット終盤は白熱の接戦となった第1セットだった。

第2セットに入っても白熱の一進一退の攻防。アゲロがフェイントを決めて8-7として、ファーストテクニカルタイムアウト。ピッチニーニのサービスエースで、9-7。デルコーレが技ありのブロックアウトを取って、10-7とイタリアが抜け出し始める。ルイザをフェレッティが止めて(彼女は180cmの上背がある)15-12。ピッチニーニが誰もいないコート角に軟打を決めて、16-12でセカンドテクニカルタイムアウト。イタリアはキューバの強力なスパイクサーブにもレセプションが崩されない・・・要所でオポジットのアゲロがレセプションフォーメーションに参加して、そして見事なレセプションをやってのける! ケニアがタッチネットで19-14となったところで、流れを変えたいキューバは、ケニアに代えてカルデロンを投入。しかし、彼女は膝あたりに故障を抱えるのか? 彼女本来のジャンプが見られない。デルコーレの老獪なフェイントで21-15。イライラし始めたキューバはサーブミスを連発。23-18で、バルボリーニ監督は180cmのフェレッティに代えてグイッジをピンチブロッカーとして投入。するとブラジル戦で書いたとおり、トランジションではオポジットのアゲロが見事に「高くて早い」トスをピッチニーニに上げて、24-18。最後はアゲロ自身が、またまたキューバの3枚ブロックをものともせずにバックアタックを決めて、25-19。イタリアが2セットを連取。

第3セット、2-2から珍しくイタリアのレセプションが乱れるが、苦しいアンダーパスでのハイセットでアゲロがきっちりライトから決める。サントスのセンターからの時間差にイタリアはきっちり2枚ブロックが揃って、ジョーリがシャットし6-3。キューバはブラジル戦同様に弱気なサーブミスを連発。ルイザの高速レフト平行に対して、スプレッドで構えていたフェレッティが1枚でシャット! 8-4でファーストテクニカルタイムアウト。後はこのセットはキューバがミスで勝手に自滅。アゲロがパイプを決めて16-10。イタリアの各選手には余裕の表情が見られ、一方のキューバは途中出場のカルデロンが気を吐いて連続で決めるも、ジョーリがそのカルデロンをシャットして、22-14で勝負あり。カリーヨのサーブミスで、イタリアのマッチポイント。フェレッティがツーアタックを決めて、25-16。イタリアがストレートで「因縁の」対決をものにした。

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(ワールドカップ2007女子)ブラジル - セルビア

何度も書くが、昨年の世界バレーで大躍進を遂げたセルビア(当時セルビア・モンテネグロ)は、ブロックシステムが稚拙だった。それが今年どう進化しているか? にずっと注目していたが、ポーランド戦・アメリカ戦でレポしたとおり、さほど目立った進化は見受けられなかった。当然、ブラジルのような高速立体的3Dバレーを相手には、昨年同様に子供扱いされるだろうと予想したが、案の定だった・・・。

第1セット、いきなりブラコチェビッチのサービスエースでリードするが、バレウスカのBクイックに全く対応できずに3-3とされ、直後はベリコビッチの速攻は逆にブラジルブロック陣にきっちりワンタッチを取られて、トランジションでシェイラの高速パイプを決められ、3-4と逆転。ブラコチェビッチが連続でシャットされて7-10となると、早くもセルビアの選手達は完全に意気消沈・・・やはり昨年の世界バレーでの惨敗がよほど堪えているのか・・・直後もバレウスカのサーブにニコリッチが崩され、7-11。ブラコチェビッチのライト攻撃に頼るもまたまたファビアナにシャットされて、7-12。ここからはもう一方的な展開。フォフォンは右から左から中央からバックからとトスを振り分け、それに対してセルビアのブロック陣は全くついて行けず。こうなるとブラジルのサーブが走り出す・・・ファビアナのサーブに崩されまくって、気づけば10-21。ブロック陣は当然、速攻に対してコミットに「させられ」て、それを見逃さないフォフォンがすかさずパウラの時間差攻撃を使って、11-22。最後はジャケリネが決めて、13-25。

第2セットに入っても、ニコリッチの渾身の強打をリベロのファビがファインディグを見せて、それをトランジションでフォフォンはファビアナの縦のBクイックを使って、セルビアのブロックはほぼノーマーク状態にされて、4-1。ベリコビッチがこの試合初めて、バレウスカのBクイックを見事にシャットして、その勢いで6-6とセルビアが一旦追いつくが、そこからはブラジルのファインディグが連発して勢いに乗り、またまた一方的な展開へ・・・それだけ相手ブロック陣を翻弄できれば楽しいでしょうねぇ、フォフォンは。一方セルビアは何を使ってもきっちり2枚〜3枚ブロックがつかれて最後もモルナルが押さえ込まれて、25-14。

第3セットも、序盤こそ競り合うが、ファビアナの速攻にはこのセットになっても対応できず。ジャケリネの高速レフト平行が決まって、16-13とブラジルリードで2回目のテクニカルタイムアウト。長いラリーからファビアナの縦のBクイックで、17-13。セルビアのブロック陣は、マンツーマンコミットに近い状態になっているのに、それでもブラジルの両レフトにストレートを抜かれてしまう始末。23-19からギマラエス監督は、「トドメを刺しに」パウラに代えてピンチサーバーでサッサを投入。それは何とかブラコチェビッチが決めて、23-20とするが、続くラリーでシェイラが高速パイプを決めてブラジルのマッチポイント。最後はブラコチェビッチのスパイクサーブでレセプションが崩されるも、アンダーパスでのハイセットをジャケリネが豪快に決めて、25-21。前日のイタリア戦での鬱憤を晴らすような、ブラジルの完勝だった。

やはり、セルビアはセルビアだった・・・。

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2007年11月23日 (金)

(ワールドカップ2007女子)セルビア - アメリカ(その2)

第3セット、なぜか? アメリカはレセプションから始まるセットなのにローテーションを一つ回してスタートしてくる。さらに、なぜか? オーモーサントスはセンターの速攻を使わずにブロード一辺倒のトス回しを見せ、結果的にセルビアの高いブロックにナマニが餌食になる。郎平監督はたまらず2枚替えを行い、セッターをバーグにスイッチ。そのバーグはすぐにスコットのAクイックを使い、スコットがターン打ちで見事に決める。それでアメリカが流れを取り戻しかけるが、一旦タイミングが合い始めてしまった高いブロックは如何ともし難く、ナマニがまたまた捕まって、郎平監督は2枚替えを元へ戻す・・・このセットはほぼ一方的展開で、最後はツェタコビッチがブロードを鮮やかに決めて、25-20とセルビアがものにする。

第4セット、やはり郎平監督はバーグをセッターとして起用。そして、ローテーションも元に戻してスタート。ハニーフがスパイクミスで0-2とセルビアが先行するが、バーグがきちんとスコットの中央からの速攻を使って、2-3。ハニーフのサーブミスで3-5。ニコリッチが苦しいハイセットを決めて、3-6。ナマニがアタックラインを踏むペネトレーションで、3-7。バウンがブラコチェビッチを止めて、4-7としたが、直後ローガン・トムがサーブミスで、4-8。アメリカはミスが多く、自滅傾向。ナマニが第3セット同様にまともにブラコチェビッチにシャットされて、4-9。スコットがツェタコビッチの速攻に見事にワンタッチを取るも、その後のファーストタッチをナマニが雑に処理して、6-10。ニコリッチがパイプを決めて、6-11。郎平監督はようやくここで、ナマニをグラスへ代える。が、流れは変わらず、ハニーフがサーブミスを犯し、直後に郎平監督は彼女をシコラへ代えるも、さらにその直後にオグニェノビッチのジャンピングフローターにシコラが潰され、勝負あったかと思われたが、ここからローガン・トムが一人気を吐いて、レフト攻撃にサービスエースにパイプ攻撃にと大車輪の活躍。勝ちを意識したセルビアの選手達が途端に弱気になってサーブミスを連発。アメリカが23-24まで詰め寄るが、最後はニコリッチがライトから強打を決めて、23-25。遂にアメリカが、初黒星を喫した。

この試合については、どう考えても第3セットの序盤が勝敗を分けたと思う・・・郎平監督のスタートローテーションの作戦ミスと、セッターのオーモーサントスが中央からの速攻を全く使わないというトス回しのミス・・・これがなければ、大黒柱のローガン・トムの負傷という不測の事態があったとは言え、セルビアが見せた、第1セット序盤のように中央から「高くて早い」速攻を見せられると全くブロック陣がついて行けない様子や、勝ちを意識した途端にサーブが弱気になる姿(この辺は昨年の世界バレーから全く進化が見られない・・・)を見る限り、勝負はどちらへ転んでいたかわからなかっただろう。セルビアとしては、全勝のアメリカに土を付け、メダル即ち北京への切符獲得へ望みを繋いだ形だが、果たして翌日のブラジル戦でどのような戦いを見せられるか? で真価が問われるだろう。

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2007年11月21日 (水)

(ワールドカップ2007女子)セルビア - アメリカ(その1)

目標の3位以内はほぼ手中に収めたが、最終日のイタリアとの全勝対決をあわよくば狙いたいアメリカと、3位以内には1つの負けも許されないセルビアとの対決。
アメリカはこの日はセッターがオーモーサントス・表レフトはグラスでスタート。一方のセルビアは相変わらず不動のスタメン。

セルビアの攻撃パターンは昨年の世界バレーで紹介したとおり、非常にオーソドックスな男子バレーのそれを踏襲しており、即ち「両サイドの平行(もしくはバックライトからのバックアタック)と前衛センターの速攻に、後衛レフトプレーヤーのパイプ攻撃を絡める」という基本スタイルの一辺倒である。今大会オポジットに配されているブラコチェビッチは「古典的な」スーパーエースであり、基本的に高いトスしか打ってこない。従って、組織ブロックの完成度の高いアメリカは、当然のことながらセルビアのライト側の攻撃に対するマークを甘くするデディケートで構える。

第1セット、いつも通りセルビアは、バウンの高くて早い速攻、ローガン・トムの高速レフト平行にブロック陣がついて行けず、3-0とアメリカのリード。一方、アメリカは相手のレフト側へデディケートするブロックシステムを敷いているため、モルナルのレフト平行に2枚ブロックがきっちり揃う。そこを彼女が何とか個人技でブロックアウトを取り、4-2。しかし、直後に自身がサーブミスで5-2。スコットのブロードに何とかニコリッチが1枚でついていってシャット、と思ったらタッチネットで6-3。ブラコチェビッチが強烈なバックアタックで6-4と食らいつくも、グラスの高速レフト平行にもブロック陣がガタガタにされて、7-4。ベリコビッチの速攻がアウトとなって、8-4。ブラコチェビッチのハイセットにアメリカは3枚ブロックが揃うが、それをスーパーエースらしく打ち抜いて、8-5。頼みのブラコチェビッチへのトスがミスとなって、10-5。セルビアとしては、何とかアメリカのレセプションを乱して、ブロックマークをマークを絞るしかない・・・その狙い通り、ベリコビッチが連続してアメリカのレセプションを乱し、ハニーフへのハイセットをブラコチェビッチがシャットして、10-9。直後もレセプションが乱れ、オーモーサントスは無理にグラスのライト攻撃を使うも、スパイクミスで10-10と遂に同点。ここからはお互いにレセプションが不安定で、どちらも流れを掴みきれないが、要所でローガン・トムが決めて16-14とアメリカがリードして、2回目のテクニカルタイムアウト。18-17からベリコビッチの速攻にアメリカは2枚バンチでブロックが揃うも、その上をベリコビッチが抜いて18-18。直後、彼女のサーブでレセプションがライト側へ乱れ、オーモーサントスは逆サイドのレフトへ高速平行を上げるも、それをツェタコビッチが読み切ってついていき、見事にシャットして18-19とセルビアが逆転。苦しくなった郎平監督はレセプション固め及び、流れを変えるために後衛に回ったグラスをシコラに代えて、それがバウンのサービスエースを呼び込み、再び21-20と再逆転。直後もセルビアはレセプションを崩されるも、ブラコチェビッチがライトからのバックアタックを決めて、21-21。ここから、両ベンチとも目まぐるしく選手交代を行って執念を見せる。スコットがブロードを決めて23-22。セルビアは当然、ブラコチェビッチに頼り、見事にライトからのバックアタックを決めて、23-23。直後、モルナルのジャンピングフローターでレセプションを乱して、ブラコチェビッチがダイレクトで押し込んで、23-24とセルビアがセットポイント。長いラリーから、前衛センターのスコットがトランジションでローガン・トムにパイプのトスを上げて、それをローガン・トムがフェイントで決めて24-24とジュースに突入。ブラコチェビッチが決めて26-27とセルビアのセットポイントとなり、最後はハニーフがスパイクミスで26-28。セルビアが逆転で第1セットをものにする。
このセットは、デディケートで構えるアメリカのブロックシステムに対して、セルビアのセッターのオグニェノビッチが執拗にブラコチェビッチのライト攻撃を繰り出し、そして見事に彼女が2枚揃ってくるアメリカのブロックをものともせずに決めきったことが大きかった。

第2セット、スタート前にローガン・トムがベンチで左足首にテーピングを巻かれていた。後で見直してわかったが、第1セットの最後の場面で、彼女とデービスが交錯して倒れ、その時に捻挫をしてしまったようだ。それがどうアメリカに影響するか?・・・しかし、セルビアの選手達はそれに気づいていなかったのか? セット序盤からオグニェノビッチはローガン・トムが前衛レフトブロッカーとして上がってきても、彼女の方から責め立てることをせずにレフト攻撃に頼り、アメリカのブロックが炸裂して、6-1と第1セット同様にアメリカペース。テルジッチ監督がタイムアウトを取り、そこから途端にセルビアはライト攻撃を多用。10-8と追い上げ体勢に入りかけるも、4枚レセプションを敷くアメリカの弱点でもある、オポジットのハニーフをサーブで狙わた苦しい場面を救ったのは、負傷をおったローガン・トム。技ありの軟打をセルビアのコート奥、誰もいないところへ決めて11-8。後衛に下がれば、必死にボールを追いかけて回転レシーブ。前衛に上がってくれば、怪我のためにジャンプがあまり出来ない状況で冷静にリバウンドを取って、もう一度ハイセットを呼び込み、それを対角線コート奥へ決め、16-12。途中、ツェタコビッチのブロードについていってブロックに跳び、ツェタコビッチの着地した足の上に怪我をした左足が乗ってしまうという、一瞬ヒヤッとするシーンもあったが、それをもものともせずコートに立ち続ける彼女。一方のセルビアはこのセットは大黒柱のニコリッチに頼る。彼女が連続して決め、20-17。スコットのブロードがサイドラインを割って、20-18。ローガン・トムをベリコビッチがシャットして、20-19とセルビアが息を吹き返す。ニコリッチがパイプを決めて、遂に23-23の同点。しかし、バウンがブロードを決めて24-23とアメリカがセットポイント。最後は、ブラコチェビッチのライト攻撃をこのセット途中でミスを連発したグラスに代わったナマニが止めて、25-23。アメリカが取り返す。

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2007年11月20日 (火)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - イタリア(その2)

第3セット、ブラジルはジャケリネを戻して第1セットと同じメンバーでスタート。0-1からフォフォンはファビアナのAクイックを早々使うも、ジョーリとデルコーレの2枚が揃ってものの見事にジョーリがシャット! 0-2とイタリアがリードし、1-2からは逆にジョーリのAクイックに対してブラジルはファビアナが1枚にされて、ジョーリが見事に決めて1-3。ギマラエス監督はファビアナを下げてしまう。パウラの高速レフト平行をピッチニーニがファインディグで繋いで、デルコーレが決めて1-4。アゲロがライトからのバックアタックを決めて1-5。ファビアナに代わったブラジルチーム最長身(196cm)のタイーザの速攻も、ジョーリが1枚でリードでワンタッチを取り、フェレッティのハイセットのトスが乱れたものの、デルコーレが苦し紛れで打ったボールがブラジルのブロックに当たってネット上をスルスルと這ってブロックアウトになる幸運も味方して、1-6。これでほぼ勝負あった。バレウスカが前衛に上がってきても、彼女のブロードはジョーリとピッチニーニの2枚ブロックにワンタッチを取られて、トランジションで同じブロードをジョーリがやると決まってしまう・・・2-8とイタリアがリードしてテクニカルタイムアウト。中盤にパウラ一人が気を吐いて、11-15とブラジルも遅ればせながら追い上げ体制に入り、シェイラが高速ライトバックアタックを決め12-15。ピッチニーニのレフト攻撃に久しぶりにブラジルのブロックがきっちり2枚揃って、バレウスカがシャットして13-15。すかさず、バルボリーニ監督はピッチニーニをセーコロへ代え、代わった彼女が連続で決めて13-17と、イタリアは流れを持って行かせない。アゲロがジャケリネをシャットして、14-19。ギマラエス監督はジャケリネを再びサッサへ。17-21からそのサッサのサーブが回ってくるが、彼女の強烈なスパイクサーブがネットにかかり、17-22。最後は、ジョーリが決めて19-25。まさかのイタリアのストレート勝ち!

この試合の勝負を分けたポイントは、両チームのセンター陣にあった。第1セット序盤、決してトス回しも上手と言えず、トスも早くないイタリアの控えセッターのフェレッティに対して、システムブロックが機能していたのはブラジルの方だったが、両チームのセンター同士の「1対1」の勝負で悉くイタリアのセンター陣に軍配が上がった・・・まず、ファビアナがバラッツァに潰され、バレウスカがジョーリに潰され、そしてまたまたファビアナが今度はジョーリに潰された。センターからの速攻が通用しなくなったブラジルでは、いくら両サイドの平行が高速であっても、高さには限界があり、ブロックシステムがきっちりしているチームには通用しない。アメリカに逆転負けを喫した時と同じである。

もう一つ、この試合のポイントとして実は、この日のイタリアは、全てのセットでスタートローテーションを変えてきていた。相手とのマッチアップを考えて「レセプションから始まるセットに対してサーブから始まるセットでローテーションを1つ回す」という変え方ではなく、第1セットのレセプションからのスタートでは、ピッチニーニが前衛レフトのローテーションからスタートし、第2セットのサーブからのスタートでは、2つ回してスタート。そして2セットを連取した状況で、第3セットのレセプションからのスタートで、またさらに1つ回して、結局第1セットからは表裏を入れ替えた形でのスタートを取っていた。このスタートローテーションに関する戦略については正直、バルボリーニ監督の意図は私にはよく理解できなかったのだが、後から見直せば、第1セットと第3セットで表裏が入れ替わった結果、ファビアナを第1セットでバラッツァが潰し、第3セットでは同じくファビアナを今度は対角のジョーリが潰して、ブラジルの高速立体的3Dバレーの基軸となる「高くて早い」速攻を打てるファビアナを、コートから引きずりおろすことに成功したことが、イタリアの一方的なストレート勝ちという結果に繋がったとも言える。

そう言えば、バルボリーニ(・マッシモ)監督は昨年の世界バレーでも準決勝のロシア戦で私にはよく理解できないスタートローテーション戦略を見せていた。ひょっとするとバルボリーニ監督は、どこの国でも同じように取っているであろうデータから、私のような素人にはとても想像もつかないような戦略を編み出す頭脳をもっているのかもしれない・・・。恐るべし、バルボリーニ。

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2007年11月19日 (月)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - イタリア(その1)

ブラジルはこの大会の不動のスタメン。一方のイタリアは試合毎にレフトを使い分けている(デルコーレ・ピッチニーニ・セーコロ)が、この日は表レフトにピッチニーニ・裏レフトにデルコーレの対角で、センターはジョーリ・バラッツァ、オポジットにアゲロ、リベロはカルドゥロ、セッターはフェレッティ・・・どうやらキャプテンの正セッター・ロビアンコが、体調不良の様子。優勝のかかった大一番で、セッターが代わるという一大事・・・これがどうこの試合に影響するかの?

第1セット序盤、お互いに少し緊張からの堅さが見られる中、7-7の同点からシェイラのサーブでイタリアのレセプションが崩されたが、それをデルコーレがハイセットを決めきって、8-7とイタリアが最初のテクニカルタイムアウトをものにする。しかし、直後はパウラが今大会屈指の高速レフト平行を決めて同点。ジョーリのブロードにきっちり2枚ついて見事ワンタッチ、と思ったらタッチネットで、9-8。今度はバレウスカの速攻にイタリアのブロック陣がついて行けず、9-9。ピッチニーニのレフト平行には、ブラジルのブロック陣が2枚綺麗に揃うが、何とかピッチニーニがブロックを弾いて10-9。今度はシェイラが高速ライトバックアタックを見せ、これもイタリアブロック陣は翻弄され、10-10。アゲロのレフトオープンに、またブラジルのブロック陣が2枚綺麗に揃うが、アゲロがインナーへ強打を決めて、11-10。中盤は堅さが取れて、両チームともに相手のサーブを一発でサイドアウトを取り合う展開となったが、ブラジルの多彩な攻撃にイタリアブロック陣はついて行けず、一方のイタリアの攻撃にはブラジルブロック陣はきっちりついて行くも、イタリアの各アタッカーの個人技で「何とか凌ぐ」形で、ブラジルに流れが来そうで来ない展開。15-15の同点から、シェイラのパイプにやはりイタリアブロック陣が1枚にさせられるも、そこでシェイラが痛恨のスパイクミスで16-15と、2回目のテクニカルタイムアウトもイタリアがものにする。シェイラのそのスパイクミスが響いて、タイムアウト直後にレセプションを乱され、ジャケリネのレフト攻撃が遂にイタリアブロック陣にシャットされ、17-15。ギマラエス監督はここが勝負所と見て、すかさずジャケリネをサッサにチェンジ。そのサッサが高速レフト平行を決めて、流れをイタリアに掴ませない。バラッツァの速攻に2枚ついてワンタッチを取り、トランジションでシェイラがパイプを決めて、また17-17の同点へ追いつく。バラッツァがファビアナの1枚ブロックをかいくぐって速攻を決めて、19-18。直後ブラジルはファビアナの速攻を見せ、イタリアはバラッツァ1枚しかつけなかったが、ファビアナが先ほどのシェイラ同様にスパイクミスで、20-18と2点差がつく。この攻防がこのセットの勝負を分けた・・・互いのセンターの速攻に1枚ブロックしかつけない状況の攻防で、きちんと決めたバラッツァに対して、ミスを犯したファビアナ・・・これがこの後、それまでイタリアのサイドからの攻撃にきちんと2枚ブロックを揃えられていたブラジルのブロックが、センターの速攻に気を取られて両サイドの攻撃について行けなくなる伏線になった。デルコーレのレフト平行に1枚ブロックにされて、21-19と2点差のまま終盤へ。22-20から、アゲロのジャンピングフローターにレセプションが崩されて、23-20。ここで、チャンスボールがブラジルコートへ返ってきて、フォフォンはバレウスカのBクイックを選択し、またまたイタリアのセンターブロッカー1枚との勝負になったが、バレウスカがミスして24-20。最後はピッチニーニが豪快にバックアタックをブラジルコートへ突き刺し、25-20。イタリアが1セットを先取。

第2セット、ブラジルはジャケリネに代えてサッサでスタート。フェレッティのサーブミス・ピッチニーニのスパイクミスで、2-0とブラジルが先行。シェイラのスパイクサーブで波に乗りたいところだったが、サーブミスで4-3。逆にアゲロのジャンピングフローターにレセプションを崩され、トランジションでアゲロにバックアタックを決められて4-4の同点となる。直後アゲロが今度はサーブミスで5-4。バレウスカがダイレクトスパイクを決めて6-4。フォフォンがツーを決めて7-4と、再びブラジルが走りかけるが、イタリアはアゲロが苦しいボールを決めて、第1セット同様に「凌ぐ」展開。8-6とブラジルリードで最初のテクニカルタイムアウトとなるが、ブラジルはバレウスカの速攻が1枚ブロックでもイタリアのレシーブ陣に拾われ、センターの速攻が決まらない。こうなると段々と両サイドの攻撃にイタリアのブロック陣が揃い始める。サッサ・シェイラと連続スパイクミスで11-10と追い上げられ、長いラリーからアゲロがライトのハイセットを決めて、遂に11-11の同点。ここから一進一退の攻防となり、16-15とブラジル1点リードで2回目のテクニカルタイムアウト。しかし、ブラジルは中央からの速攻が全く見られず、両サイドに頼ったトス回しで、センターもブロードばかり。これではブラジル本来の高速立体的3Dバレーではない。パウラのスパイクサーブでイタリアのレセプションを乱して、19-15とリードを取るも、苦しい場面でアゲロが決めてイタリアが流れを断ち切り、19-16。バルボリーニ監督は勝負所と見て、セッターのフェレッティにピンチブロッカー・グイッジを投入。案の定、両サイドに頼ったトス回しのフォフォンに対して、イタリアブロック陣はきっちり対応してバレウスカのブロードをジョーリがシャット。続くラリーで、イタリアはアゲロがトランジションでトスアップを行い(そうそう、彼女はキューバ時代はツーセッターの一角だったのだ!)ピッチニーニが決めて、19-18。バレウスカが久しぶりにCクイックを見せるとそれに対してジョーリが1枚で「リード」で見事にシャットし、19-19。フォフォンは連続してバレウスカの速攻を使うも、またジョーリが1枚で「リード」で跳び、バレウスカが第1セットのファビアナのようにスパイクミス。たまらずギマラエス監督はバレウスカをカロリネへ代える。サッサがタッチネットを犯して21-22。直後にサッサがサーブで崩され、アゲロがフェイントを決めて21-23。ギマラエス監督はサッサからジャケリネへと戻す。ファビアナが久々に速攻を決めて、22-23。ここの勝負所で、若いフェレッティはアゲロに頼り、ブラジルも3枚ブロックで対抗するも、最後はアゲロが超インナーへ決めて、22-24とイタリアのセットポイント。パウラが執念で決めて23-24とするが、最後もアゲロがライト攻撃を決めて23-25。

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2007年11月18日 (日)

今後のアップ予定

ワールドカップも早いもので、女子は終了。今日から男子が始まりますが、レポのアップが遅れております。申し訳ございませんm(_ _)m

終わってしまった女子はもういいから、男子を早く! と思われる方にはすいませんが、まずは昨年の世界バレーでの「レゼンデバレー」の復習をお願いします。

レゼンデバレー(その1〜6)

今後の予定ですが・・・

・ブラジル - イタリア
・セルビア - アメリカ
・ブラジル - セルビア
・キューバ - イタリア
・イタリア - アメリカ

の予定・・・あくまで「予定」です。

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2007年11月17日 (土)

(ワールドカップ2007女子)ポーランド - セルビア(その2)

第1セット序盤、ポーランドの両サイドの「高くて早い」高速平行に対して、セルビアのブロック陣は案の定ついていけず、常に追いかける形で14-17と3点のビハインド。さらに、ここでロスネルのライト攻撃にやはりブロックが1枚にされてしまって、強打が決まったかと思った瞬間、ブラコチェビッチがファインディグで何とかエンドラインコート外へ上げ、それをモルナルが諦めずに追いかけて繋ぐ粘りを見せ、最後はニコリッチがストレート側へのブロックアウトを取って、セルビアに流れが来る。直後にモルナルがサービスエースで16-17と1点差。ニコリッチのスパイクサーブでレセプションを乱し、ポドレッツがネットにかけて遂に20-20の同点。ここから一進一退の攻防で、ジェケビッチの速攻で先にポーランドがセットポイントを握るも、ニコリッチがまた冷静にストレート側へのブロックアウトを取って24-24のジュース。ポーランドはスコボロニスカのライト平行に頼り、案の定セルビアのブロックはバラバラになったが、スコボロニスカがコースを切りすぎてスパイクアウトで、25-24。最後はニコリッチがまたまた冷静に今度はエンドライン奥へのワンタッチを取って、26-24。セルビアが1セットを逆転で先取。ニコリッチのセット終盤に見せた冷静なプレーが光った。すっかり、世界選手権(世界バレー)銅メダルの風格が漂ってきた。

勢いに乗ったセルビア。一方、メダル争いからは完全に脱落し、前日は日本に不甲斐なく逆転負けを喫して、モチベーションを保てないポーランドが第2セットのスタート早々にミスを連発し、いきなりの5-0でポーランドのタイムアウト。直後もニコリッチが決めて6-0。スコボロニスカは完全に集中力が切れ、高速ライト平行について来れていないセルビアのバラバラな1枚ブロックにまともにぶつけて9-3。13-7とリードされて、ポーランドベンチは前衛に上がってきたロスネルに代えてグリンカを投入。14-10から彼女がニコリッチのハイセットに対してブロック参加して3枚ブロックが完成し、ジェケビッチが見事にシャット。逆に彼女自身は相手の3枚ブロックを打ち抜いて、ポーランドが追い上げ体勢に入る。しかし、スコボロニスカが高速ライト平行・ライトバックアタックと立て続けに相手のレフトブロッカーに止められ、追いつけそうで追いつけない。が、グリンカがブロックを決めて遂に20-20の同点へ。さらに、第1セットにはほとんど決まっていたニコリッチをジェケビッチが見事にシャットして、21-23。これでポーランドの選手達にスコボロニスカ1人を除いて気力・集中力が戻ってきた。最後はポドレッツがフェイントを決めて、23-25。第1セット同様、逆転で今度はポーランドが取り返す。

第3セットは第2セットの全く逆で、勢いに乗ったポーランドが走る。いきなり5-0のリードを取り、そのまま25-12で連取。スタメンは、第2セットの流れを呼ぶきっかけとなったグリンカがロスネルに代わって入っている。第2セットで集中力がキレてしまっていたスコボロニスカには、全くトスも上がらず、何もしていないかの如くだったが、このセットに関しては、両チームのシステムブロック力の差がもろに出た形だった。

この流れで、一気に走れないのがポーランドの勝負弱さか? 第4セット、4-3からセルビアが久々のブロックをグリンカに見舞って、5-3とセルビアが主導権を握り、モルナルのスパイクサーブでポーランドのレセプションを乱して、ツィタコビッチがジェケビッチの速攻をシャットし、10-5。さらにモルナルのサービスエースで、11-5。スコボロニスカが久々に豪快にパイプを決めるが、直後にまた弱気なスパイクをツィタコビッチに止められ、13-6。ブラコチェビッチの強烈なスパイクサーブが前衛レフトのポドレッツを襲って、スコボロニスカに頼れないサドレクとしては残り選択肢はグリンカのバックアタックしかなく、そうなればセルビアのブロック陣でも間に合う・・・ツェタコビッチが遅れながらに空中で間に合ってシャット、19-12。最後はニコリッチが豪快に決めて、25-19。
ポーランドのセッターのサドレクに、センターの速攻を使う余裕が気持ちの余裕があれば・・・何回も書いている気がするが、サドレクはトスアップの技術は上手だが、トス回しが下手だ。第3セットの完勝の流れを考えれば、センターの速攻を序盤から使えば、セルビアのブロック陣はガタガタになったはずなのに。少しレセプションを乱されると途端に両サイド一辺倒となるトス回しが、システムブロック力に難のあるセルビアに付け入る隙を与えてしまった。

そして第5セット、ツェタコビッチのブロードをポドレッツがまともにシャットし、ポーランドが主導権を握る。機嫌を良くしたポドレッツが連続してスパイクを決め、4-1。大黒柱のニコリッチがスパイクミスを犯し、6-2。ブラコチェビッチがスコボロニスカにシャットされて7-2と、ほぼ勝負あった。終盤セルビアは必死の3枚ブロックを多用するが、スコボロニスカ・ポドレッツが連続して3枚ブロックを打ち破り、最後はニコリッチへのライト平行トスがトスミスとなって15-10。やはり、最後はブロック力の差で、ヨーロッパ勢対決はポーランドに軍配が上がった。

セルビアのブロックシステムの稚拙さは、昨年と比してもさほど修正されてはいなかった。今年もブラジルに子供扱いされるだろう姿が、目の前に浮かんだ。

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2007年11月15日 (木)

(ワールドカップ2007女子)ポーランド - セルビア(その1)

日本バレー狂会の今大会での戦略は、「強豪勢の中では直接対決で日本が勝つ可能性があって、かつ最終順位的にも日本と競る可能性が高いチームを、如何に陥れるか?」であったはずだ。これは実はワールドカップにおいてはほとんど「常套手段」であって、例えば8年前の1999年のワールドカップでは、当時の日本にとって「目の上のこぶ」であった韓国を陥れるため、初戦にイタリア・2戦目にロシアを当てて、その2戦に死力を尽くして負けてもらった直後の3戦目に日本と当たれば、日本にも勝機があるだろう、と企んだのだが、初戦のイタリア戦をストレートで見事に下してみせた韓国に、その企みはもろくも崩れ去った。

そして、今大会でその戦略の「餌食」として選ばれたのはポーランドだった。と言うか、その「餌食」にするべく、「FIVB推薦国として」選ばれたのだ。ポーランドの今大会の対戦順を見てみると・・・

・第1戦:ブラジル
・第2戦:ペルー
・第3戦:アメリカ
・第4戦:キューバ
・第5戦:ケニア
・第6戦:イタリア

と来て、そして日本と当たるように組まれている・・・。恐らく間違いなく5強に入るであろうブラジル・アメリカ・キューバ・イタリアと立て続けに試合をさせて、試合をやり慣れているセルビアとは試合をさせない。さらには、日本とタイプが似ているアジア勢とも試合をさせない。最終ラウンドはポーランドはBサイト・・・Aサイトにポーランドを除いた今大会の5強+日本・・・ポーランドには7位以下に沈んでもらおうという意図が見え見えで、実にわかりやすい! そしてその戦略通りにはまってしまうポーランドもポーランドだが、、、。アメリカ・キューバと実力伯仲している2チームとの戦いをいずれもフルセットで落としてしまい、大会序盤でメダル争いから脱落して、モチベーションが完全に下がったところで日本と当たり、会場の異様な雰囲気に呑まれて逆転負け。狂会・フジテレビのシナリオ通り。

でも、明日日本が順当にブラジルに負けて、ポーランドが順当にタイに勝てば、結局6勝5敗同士で並んで、得点率での争いで日本が下になるかもね(爆)。

前置きが随分長くなったが、、、本題のレポに入る。

ポーランドはセッターがサドレク、表レフトにロスネル・裏レフトにポドレッツでスタート。一方のセルビアは不動のスタメン、レフトにモルナル・ニコリッチ、センターにツィタコビッチ・ベリコビッチ、オポジットにブラコチェビッチ、セッターにオグニェノビッチ、リベロにチェービッチ。

この試合で注目したかったのは、昨年の世界バレーで大躍進を遂げたものの、ブロックシステムがお粗末だったセルビア(当時はセルビア・モンテネグロ)・・・そのブロックシステムが1年でどう進化しているか? それを評価するのに、今大会のポーランドはいい判断材料になるはず。なぜなら、ブラジル戦でチェックしたように、今大会のポーランドは現在の全日本よりも遥かに「はやい」両サイドの平行を繰り出してくるからだ。

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(ワールドカップ2007女子)日本 - イタリア

イタリアのIDバレーは、当然のことながら日本の弱点を容赦なく突いてくる・・・。それは、試合早々スタートローテーションを見た瞬間に感じられた。

日本の弱点と言えばそう、随分以前説明したとおり、レセプションの要である木村沙織選手がオポジットに配されている現在の全日本では、セッターが後衛センターのローテーションにおいて「女子型」のレセプションフォーメーションを敷くことになり、そのローテーションが盲点となる。「女子型」とは何か? それは下記の過去の記事を参照のこと。

バックオーダーにおけるレセプションフォーメーション

当然のことながら、イタリアは日本のこのローテーションに、アゲロのスパイクサーブが当たるようにスタートローテーションを決めてきたのだ! (だからこそ、レセプションから始まった第1セットに対して、第2セットではイタリアは1つローテーションを回してスタートしている。)象徴的なのが、アゲロのサーブ。他国との試合では実はジャンピングフローターを打っていることが多いのだが、この日本戦では強烈なスパイクサーブをコート中央付近を目がけて打ち込んできた。理由は勿論、オポジットの木村沙織選手をレセプションで釘付けにして彼女の攻撃をなくしつつ、セッターの竹下選手がセットアップ位置へ向かうまでの時間的余裕をなくさせるためである。これにより日本の攻撃は、前衛アタッカーが3枚の場面でも、実質ほとんど2枚の状況に追い込まれた。

そうやって攻撃を「実質2枚」に追い込んだ上で、この日のイタリアはブロックシステムを普段のバンチ・リードブロックシステムではなく、マンツーマン・コミットを多用する形を採った。象徴的だったのが高橋みゆき選手が前衛の場面。彼女にはバンチからリリース(release)されて構えるライトブロッカーがマンツーマン・コミットでマークにつき、ストレートコースを完全に押さえ込んで、彼女にブロックアウトをさせないようにした。彼女と杉山選手のアタッカー2枚が前衛の場面では、杉山選手の動きに合わせてレフト・センターブロッカー2枚がコミットで対応してプレッシャーをかけ、困った竹下選手が高橋みゆき選手の高速レフト平行に頼れば、上述のとおりにストレートコースは押さえ込んだ上でブロックアウトを防いで、クロスに打たざるを得なくしておいてそのコースにきっちりレシーバーを配置するというフォーメーションを敷いた。1セット目で荒木選手の速攻が1枚ブロックで潰され、2セット目には2-4の劣勢から杉山選手のBクイックも1枚ブロックで潰されて、そこで勝負あった。あとは両サイドの攻撃しかなくなるのは誰の目にも明らかであり、マンツーマン・コミットで1枚ブロックとの勝負故にある程度栗原選手は決められても、現在の全日本の「真の」大黒柱の高橋みゆき選手は決まらない。11-17から回ってきた高橋みゆき選手のサーブで一気に18-17と逆転する見せ場を「会場全体を巻き込んで」作り上げただけ(この場面で、会場の「異様な雰囲気」に呑み込まれかけたイタリアを立ち直らせたのが、バルボリーニ監督の冷静で的確な指示にあったことは、『ベリーロールな日々』こちらの記事を参照のこと)で、結局そこからは1点しか奪えず。

そして第3セット、序盤から栗原選手が孤軍奮闘でスパイクを打ち込むも、打ち込んだコースには悉くレシーバーが配置されており、難なくディグで繋がれてしまう。徐々に彼女に疲れが見え始め、ネットにかけるスパイクミスで2-6。以降は連続でブロックシャットを食らって、5-14で勝負あり。

柳本監督は試合後に「コンビも研究されていて、逆に(日本がしなければならないはずの)繋いで取るという展開を相手にされてしまったので、毎セット苦しい展開になってしまった」とコメントしている。この「繋いで」という言葉に、恐らく日本のバレー界と世界のバレー界の間に解釈の大きな違いがあると思う。現在の全日本女子が目指そうとしている「拾って繋いでバレー」というのは、ブロックシステムの概念もないまま、相手がどこへスパイクを打ち込んでくるかもわからない状況の中で、素人受けのする「奇跡的な」ディグを期待し、そして期待通りに「奇跡的に」繋がったボールを「ただ相手コートに返している」だけのバレーである。「奇跡的な」ディグはいつどのように誰の手で起こるか想定も出来ないから、そのあと誰がどのようにシステマティックに動いて、どのような攻撃システムを組み立てるかまで考えられない。要するに、守備から攻撃へと連続的に展開する「トランジション」の概念がどこかへ消え去っているのだ。一方、世界のバレーでは、そのような「奇跡的な」ディグなど最初から期待されていない。守備の最前線は「ブロックシステム」であり、それをきちんと構築した上で、ボールが必ず飛んでくる場所にレシーバーを配置し、そしてその想定通りに飛んでくるボールを「当たり前のように」ディグする・・・それこそが本当のファインディグなのだ。「当たり前のように」ディグを行うから、そのあとトランジションで誰がトスアップを行い、誰がどのように動いて攻撃システムを作り上げるかは簡単なことだ。

『Number PLUS〜全日本女子バレー完全読本〜』に書かれている、佐野選手の記事の中に次のような内容があった。

フランス南東部、地中海に臨む映画と観光の街・カンヌ。そこで出会った中国人監督ヤン・ファン(現フランス代表監督)の言葉が、ぼやけていた佐野のリベロ像に光を当てた。

「日本人は、すぐそうやってファインプレーに見せたがる。そんなファインプレーはいらないんだ」

佐野がボールに飛び込むのを見て、軽くあしらうように発せられた一言。佐野にも理解できるよう、簡単な単語を並べただけのフランス語だったが、そこに皮肉がこめられていることは感じ取れた。



同じアジアの中国人監督がわかっているのに・・・どうして日本のバレー界は、いつまでも同じ過ちを犯し続けるのだろうか?
佐野選手は今、どういう想いで全日本のコートに立っているのだろうか?



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2007年11月13日 (火)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - アメリカ(その2)

第3セット、スタート早々にグラスがジャケリネのライト攻撃をシャット。さらに6-5から、ジャケリネのレフト平行に2枚ブロックがきっちり揃って、オーモーサントスがシャット。第3セットにスタメンとして起用された2人がブロックで気を吐いて、アメリカに流れが来る。両チームともに素晴らしいディグの応酬で続いた長い長いラリーも、最後はアメリカが拾い勝って8-5。しかし、ブラジルも負けていない。ローガン・トムのパイプに3枚ブロックが揃ってシャット。直後はアメリカがタッチネットで1点差。さらに、ファビアナの速攻で11-11と同点。ローガン・トムがスパイクミスを犯して、遂に11-12と逆転される。このままブラジルに持って行かれるか? と思われたが、アメリカはグラスが後衛に下がったところで第2セット終盤同様に彼女がサーブで狙われるために、郎平監督はローガン・トム同様に代表復帰をした元・名リベロのシコラを投入。彼女の気迫溢れるプレーが意気消沈しかけていたアメリカのコート内の士気を高め、ローガン・トムのノータッチエースで再びアメリカが15-14とリード。ジャケリネが序盤で2本止められた影響もあってか、弱気にスパイクをネットに引っかけて16-14。17-16と1点差に追い上げたところで、またまたジャケリネのスパイクがネットで、18-16。ギマラエス監督はたまらず彼女をサッサへ交代させる。その交代で一進一退でブラジルも凌ぐが、22-20からシェイラがローガン・トムにシャットされて23-20。直後にバレウスカの速攻に頼るも、それにバウン・ハニーフの2枚ブロックが揃ってラリーに持ち込まれ、ハニーフがライトからハイセットを決めて、24-20。最後もハニーフが決めて25-21、アメリカが1セットを取り返す。
実はこのセットのポイントは、18-16のアメリカ2点リードの場面にあった。2点ビハインドで追い込まれたブラジルは、ファビアナの速攻に頼ったが、セット序盤にジャケリネの両サイドの早い攻撃をそれぞれサイドブロッカーがシャットに成功したことで、アメリカのブロックシステムがきっちりバンチを敷いて速攻に2枚揃うことができ、この試合で初めて見事にワンタッチを取ったのだ。これが、23-20の終盤の大事な局面でバレウスカの速攻に2枚ブロックが揃う伏線になった。さらには、これがフォフォンのトス回しにまで微妙に影響し始め、それが第4セットの序盤にまで影響する・・・。

その第4セット、まずジョインズがブロードを決めてアメリカが先行。直後、ラリーからフォフォンはファビアナの速攻を使おうとするも、それにアメリカのブロックシステムがきっちりバンチで2枚揃うのがトスアップ寸前でわかったのか? 名手らしからぬトスミスで0-2。さらに次にはパウラの高速パイプに頼るも、またまたトスが合わず0-3。アメリカのブロックシステムの威圧、特に中央攻撃に対する威圧が、ブラジルの高速3Dバレーの歯車を狂わせ始める。仕方なく、フォフォンは両センターをブロードでライトへ走らせて対抗し始めるが、両サイドの攻撃一辺倒になったことに対して、アメリカは「待ってました」とシェイラをハニーフがまともにシャット! こうなるとブラジルのアタッカーをしても如何ともし難い・・・ジャケリネのライト平行・ファビアナのライトへのブロードがともにアメリカのブロックの威圧に負けて、連続スパイクミスで7-14。直後、ハニーフが豪快に決めて7-15。打つ手がなくなったギマラエス監督はシェイラをナタリアに代え、彼女が豪快にレフト攻撃で決め返して8-15。さらに若い彼女のライトからの攻撃に託すも、それをファインディグで繋がれて、ラリーからファビアナの速攻を久々に繰り出したフォフォンだったが、それを何とジョインズが1枚でシャット! こうなると何をやっても決まるアメリカ。バレウスカの速攻は今度がバウンに1枚で止められ、逆にアメリカの速攻にブラジルのブロック陣がついて行けない・・・。パウラが一人で気を吐いて、終盤ブラジルが23-24と1点差まで追い上げるも、最後はパウラのスパイクサーブがネットにかかり、23-25。フルセットの死闘へもつれ込む。アメリカはこのセット中盤から、ハニーフが大黒柱の活躍を見せた。

そして、運命の第5セット。ブラジルはジャケリネに代えてサッサでスタート。サイドアウトの応酬で2-1のアメリカ1点リードから、フォフォンは逆モーションをついて高速ライト平行をシェイラにあげるも、バウンが見事に空中で間に合って2枚ブロックが揃ってシャット! こうなるとフォフォンは次はパウラに高速レフト平行を上げざるを得ず、当然それをアメリカもわかって、綺麗に2枚ブロックが揃い、そのプレッシャーに負けてパウラが珍しいスパイクミスを犯し、4-1。直後、パウラが決めて4-2とするも、ローガン・トムが相手コートまで追いかけて繋ごうとする気迫を見せ、次のラリーではパウラをバウンが見事にシャットして5-2。バレウスカのブロードもローガン・トムがシャットして、7-2。これでほぼ勝負あった。チェンジコート後、9-5と少し追い上げ体勢に入りかけるも、ファビアナがスパイクミスを犯して11-5。13-6から、パウラが第4セット終盤同様に気を吐いて、13-9と追い上げるも、時すでに遅し。ハニーフがライト平行を決めて14-9のマッチポイント。最後はシェイラの高速ライト平行がサイドラインを割って、15-9。

中央からの速攻に対してブロックでプレッシャーをかければ、ブラジルほどに完成された高速3Dバレーであっても、もろくも崩れ去る・・・それが見事に体現された試合だった。それだけ、アメリカのブロックは素晴らしかった!

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2007年11月12日 (月)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - アメリカ(その1)

お待たせのブラジル対アメリカのレポ・・・。

ブラジルのスタメンはこれまでと同じ。昨年の世界バレーとは違って、今大会は固定のスタメンで戦っている。一方のアメリカはレフトにナマニとローガン・トム、センターにバウンとスコット、オポジットにハニーフ、セッターにバーグ、リベロにデービスで、こちらは表レフトのナマニ以外は不動のスタメン。

第1セット、ポーランド戦・キューバ戦の立ち上がり同様、まずシェイラの連続サービスエースでブラジルがリズムを掴んで8-4とリード。そのリードを保ちながら16-12となるが、ここでアメリカは唯一の弱点とも言える「もう一枚のレフト」のナマニがパイプをハイセットをと苦しい場面できっちり決める活躍を見せて食い下がる。ポーランド戦の後半での活躍でナマニは自信をつけたか? しかし、ジャケリネが強打を決め返して20-15とブラジルがじりじりと引き離しかけたところで、アメリカは2枚替えで勝負に出るも、直後にフォフォンにサービスエースを決められてしまい21-15。またまたジャケリネにブロックを弾かれて22-15。自慢のブロックが全部弾かれてしまっていると、郎平監督は何と大黒柱の一角であるスコットをジョインズへと代えてしまう。結局このセットは25-17とブラジルの圧勝。ブラジルはレセプションが全く乱れず、その結果、アメリカのバンチ・リードブロックが全く機能できず。スコットが代えられてしまったのが象徴的となってしまった。

第2セット、アメリカはそのままスコットに代えてジョインズがスタメン。その彼女がいきなりジャケリネをシャット! どうやら彼女もなかなかのブロックの名手のようだ。このセットはアメリカがブラジルのサーブにレセプションを崩されずに凌いで、一進一退の攻防で序盤は展開。9-9からパウラが決めて10-9。ここでブラジルはファビアナのサーブで、遂にアメリカのレセプションを崩され11-9。直後はファビアナがサーブミスを犯すも、続くサーバーのシェイラが4枚レセプションの一角であるハニーフを狙ってレセプションを乱し、彼女のバックアタックをなくしておいてブロックマークを絞り、第1セットで全く止められなかったナマニを遂にシャットして、13-10とじりじりブラジルが引き離し始める。直後もサーブでハニーフを狙い、今度はナマニ以外のもう一枚のアタッカーであるジョインズの速攻に2枚ついて見事にワンタッチを取り、トランジションでジャケリネがバックアタックを決めて14-10。たまらず郎平監督は前衛アタッカー2枚の状況を変えるべく、ハニーフとオーモーサントス・バーグとブースの2枚替えを行うも代わって入ったブースがスパイクミスで15-10。こうなると、ブラジルは押せ押せとなり、シェイラのサーブが走り出して、アメリカは途端にレセプションが返らなくなる・・・郎平監督はさらにナマニをグラスへ代えて何とかレセプションを立て直そうとするも、ブラジルはすかさず代わったグラスをサーブで徹底して狙い、気づけば20-12。最後はグラスがサーブミスで25-16。結局このセットもブラジルの圧勝。アメリカはオポジットのハニーフがレセプションに参加する「4枚レセプション」を敷いており、彼女がサーブで狙われて崩されるとバックアタックの攻撃枚数が減ってしまうという弱点をブラジルにつかれてしまった。

後のないアメリカは、第3セット、セッターをベテランのオーモーサントスへ代え、「もう一枚のレフト」はグラスでスタートしてくる。流れを変わり始めたきっかけは、やはりブロックだった・・・。

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2007年11月 9日 (金)

時間がありません・・・

Bサイト含めた、日本戦以外の試合のビデオが溜まってきてしまいました・・・しかもフルセットの熱戦ばかりやってくれるんだもん・・・イタリア-セルビア・キューバ-ポーランド・ブラジル-アメリカ・・・レポを書きたいのですが、何せ、時間がない!!


ってことで、期待されてる皆さん、申し訳ありません。きながぁーーーにお待ち下さい m(_ _)m

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2007年11月 6日 (火)

(ワールドカップ2007女子)ポーランド - アメリカ

ポーランドは初戦のブラジル戦で、セッターのシリバが若干期待はずれだったこともあり、2戦目からはずっとサドレクがスタメンで出場している。彼女は今年のワールドグランプリで初めて見た(認識した?)が、特にバックトスの上げ方が巧いと個人的に思う。また、ブラジル戦活躍したポドレッツがスタメンで出場し、レフトにポドレッツ・グリンカ、センターにリクトラス・ジェケビッチ、セッターにサドレク、リベロにゼニク。一方、アメリカは何と言ってもローガン・トムの代表復帰に尽きる。これで、昨年の世界バレーとは違って、20点以降の終盤にスコットに頼り切ったトス回しをする必要もなくなるだろう。

第1セットは中盤まで一進一退の攻防で、点差が全く離れない。アメリカはオポジットのハニーフがレセプションに参加しており、4枚レセプションシステムを敷いている。サーブは昨年の世界バレーの頃と同様に、あまりスパイクサーブは使わずに、フローターサーブで相手チームのレセプションフォーメーション上での弱点をきっちりついてくる戦略を採り、このセットはポーランドの後衛レフトを狙ってパイプ攻撃をなくして、ブロックのマークを絞ろうとしている。それをボニッタ監督もわかってか、両レフトのグリンカ・ポドレッツが後衛に回ってくるとそれぞれサビカ・ロスネルに代えて守備固めを図る。さすがはボニッタ。19-19の同点からスコボロニスカのスパイクサーブがネットにかかり、20-19とアメリカ1点リードの場面で、郎平監督が動いて2枚替え。サーバーで入ったオーモーサントスが放ったボールが、ポーランドコートの後衛レフトの角ぎりぎりに見事にオンザラインで、21-19とアメリカが一歩抜け出す。直後は前衛レフトのグリンカへ緩いサーブを打って彼女の攻撃をなくし、ポーランドはスコボロニスカのライトからのバックアタックを繰り出したが、それをローガン・トムが見事にシャットして、このセットの流れをアメリカが掴む。最後は2枚替えで入っていたブースがライトから決めて、25-21。アメリカが先取する。

第2セットも序盤は一進一退の展開。ここからポーランドがリクトラスのサーブでアメリカの攻守の要のレセプションを連続で乱して、8-5とリードしてテクニカルタイムアウト。直後にローガン・トムの対角レフトに入っているナマニのレフト平行をサドレクが1枚でシャットして、9-5。これを見た郎平監督は、すぐにナマニをグラスへと代える・・・やはり今年も「もう一枚のレフト」で苦しむアメリカなのか・・・。これでポーランドが主導権をにぎったかと思われたが、アメリカもセッターのバーグのノータッチエースで9-8と追い上げる。ポドレッツが高速ライト平行を決めて、11-9。直後に自身のサーブでアメリカのレセプションを乱して、ジェケビッチがダイレクトで決め、12-9。さらにジェケビッチがスコットとのネット上での押し合いに勝ち、13-9。追い込まれたアメリカはハニーフがスパイクミスを犯して14-9。ラリーからのハイセットをグリンカが目の覚めるようなスパイクを打ち込んで、15-9。ポーランドが勢いづく。アメリカは2枚替えで立て直そうと図るが、ローガン・トムをリクトラスが1枚でシャットして18-11。ここから、途中出場のグラスが徹底的にサーブで狙われてアメリカは連続失点。たまらず郎平監督はグラスを再びナマニへ戻さざるを得ず、気づけば22-11とダブルスコア。最後はポドレッツが豪快に決めて、25-12。うーん、やはりアメリカは「レフトのもう一枚」が足りないようだ。

第3セットに入り、ポーランドのデータが集まってきたのか? 両サイドの高速平行に対してアメリカのブロックが必ず2枚で間に合うようになり、8-4とリードしてテクニカルタイムアウト。粘り強くワンタッチを取り、トランジションでスコットが連続して決めて10-5。しかし、ポーランドも負けてはいない。グリンカが後衛の場面での守備固めで入ったサビカがファインディグを連発してチームの士気を高めると、ジェケビッチがナマニをシャットして追い上げ開始。15-12とアメリカ3点リードの場面で郎平監督が動いて2枚替え。しかし、その代わって入ったブースをサドレクが連続で止めて15-15。ローガン・トムに頼るも、3枚ブロックでワンタッチを取られてファインディグで繋がれ、再びブースが今度はリクトラスにシャットされて、15-16とポーランドが逆転! この場面でアメリカの危機を救ったのはスコット。グリンカの高速レフト平行に遅れながらに着いていって、流れながらのブロックで見事にシャットして、ポーランドに流れを掴ませない。そのままセット終盤まで一進一退の攻防へ突入。両チームともにブロックがスプレッドになっている状況で、両サイドに頼り続けるポーランドと、適宜スコットの速攻を絡めるアメリカのトス回しが対照的。ローガン・トムのサーブミスで最初にセットポイントを掴んだのはポーランド。ここでナマニが意地で決めてジュース。ポーランドはポドレッツが、アメリカはやはりスコットが決めて25-25。ここでバーグのスパイクサーブがポーランドのレセプションを乱して、26-25とアメリカがセットポイント。最後はナマニがまたまた意地で決めて27-25。このセット終盤は、第2セットの屈辱を見事にナマミが晴らした形となった。ポーランドは、終盤に一度でもセンターの速攻を使っていれば・・・第1セットのアメリカのサーブが徹底して裏レフト狙いだったことで、パイプが使えない、引いては中央からの攻撃は使えない、というイメージになったのだろうか? スコットが完全に両サイドマークで動いていただけに、悔やまれるところだろう。

第4セット、やはり一進一退の攻防から、第3セット終盤の活躍で気をよくしたナマニが、ポーランドの3枚ブロックのインナーを打ち抜く見事なスパイクで8-6と一歩リード。しかし、ポーランドはリクトラスのサーブでアメリカのレセプションを乱して4連続ポイントで8-10と逆転。この場面でもナマニがハイセットを苦しい体勢で決めて、9-10。このセットはポーランドのブロックは、前セットでのスコットの打数を受けてかバンチに戻っている。それでもバウンが「高くて早い」Aクイックをものの見事に決めて13-14。ここでローガン・トムが連続で決め、15-14とアメリカが再逆転。スコボロニスカのバックアタックがライン踏み越し(ペネトレーション)で16-14。ナマニがまたまた決めて18-15。ローガン・トムの強烈なスパイクサーブでポドレッツのレセプションを乱し、もらったチャンスボールをバウンが再び「高くて早い」Cクイックを決めて、流れは完全にアメリカに傾く。ここからポーランドはミスを連発。サドレクがキレたように両サイドへ無茶なトスを上げて、最後はドリブルを犯してシリバへと代えられてしまう。これで勝負あり。最後もポーランドのミスで25-17。

勝負所の第3セット終盤、両チームともにブロック陣型がスプレッドになっているところでのトス回しが勝敗を分けた。サドレクは上手だが、まだその辺の駆け引きは出来ないようだ。第4セット終盤にキレて、強引な両サイドへのトスを上げる姿はどこか、同日セルビアに敗れたチームの正セッターと重なる気がしたのは私だけだろうか?!

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2007年11月 5日 (月)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - キューバ(その2)

第3セット、1セットをとった余裕からか? キューバのトス回しがキューバ本来のライト攻撃中心となり始め、7-5とリード。が、それにきっちりブラジルのブロック陣は対応。ファビアナが中央からの時間差をシャットして7-7と追いつき、直後に相手から返ってきたボールをフォフォンが直接ファビアナへ速攻を上げて、それが見事にキューバコートへ突き刺さり、ブラジルが会場のブラジルコールとともに一気に乗ってしまう。キューバのサーブの際には会場からブーイングが木霊し、まだそういった雰囲気になれていないケニアが弱気なプレーでのスパイクミスを連発して10-15。このセットは彼女へトスが上げられなくなり、仕方なく頼ったライト攻撃をジャケリネがシャットして14-22。バロスの強烈なスパイクサーブでブラジルのレセプションを乱し、もらったダイレクトボールをケニアが打ち込むもそれすらブラジルに拾われてシェイラが決め返して16-23。セットポイントの場面で、ギマラエス監督はサーブのいいファビアナに代えてサッサをピンチサーバーで投入し、その期待に応えて見事にサービスエース! このままブラジルが一気にいってしまうのか?

第4セット、優位に立ったブラジルが両サイドの高速平行でキューバブロック陣を翻弄してリードするも、キューバが執念のファインディグを連発! サントスのノータッチエースで7-7と追いつき、中盤でこの試合初めてファビアナのクイックをシャットして11-9とリード。さらに続けてカリーヨがファビアナのBクイックに遅れながらリードで見事にシャットして13-10。第3セット中盤から弱気なプレーとなっていたケニアも、そのリードで落ち着きを取り戻す。ブラジルが両サイドから繰り出す攻撃を必死に繋いで繋いで・・・最後にバレウスカのブロードをルイザが1枚出シャットして16-13。ブラジルがキューバの執拗な繋ぎにしびれを切らして、シェイラがスパイクミス。完全に落ち着きを取り戻したケニアのスパイクが炸裂して24-18。最後も長いラリーから、ブラジルがキューバに繋ぎ負ける形で25-19・・・こんな試合展開、誰が予想しただろうか?

第5セット、一進一退の緊迫の攻防から抜け出したのはブラジル。8-6とリードしてチェンジコートした直後、ジャケリネの強力なスパイクサーブで連続得点を稼いで10-6。ラミレスがライトから決めて流れを断ち切るも、直後に自身がサーブミス。ケニアが再び弱気となってスパイクミスを犯し、12-7。サントスがライトから決めるも、直後にケニアが今度はサーブミス。続いてカリーヨも「入れにいって」サーブミスでブラジルのマッチポイント。最後はジャケリネがフェイントを落として15-11。ブラジルは優勝を決めたかのような喜びよう。

やはり終わってみれば期待通りの死闘だった。フルセットの勝敗を分けたのは、勝負所の緊張した場面で渾身のスパイクサーブが打てるかどうか? という、これまで何度も書いてきた、ラリーポイント制の下での戦いにおいて最も要求される側面だった。これまで見せたことのないような執念のディグが素晴らしかったが、本来高さとパワーが持ち味のチームカラーでありながら、ファイナルセット中盤以降に途端に「力を抜いて、入れにいって」サーブミスを連発してしまったキューバ・・・かつてワールドカップ4連覇を果たした強豪が、ここ最近すっかりメダル争いから遠ざかってしまったその理由が、露呈したような形の幕切れだった。

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(ワールドカップ2007女子)ブラジル - キューバ(その1)

開幕3連戦の中では最も注目の対戦カードだろう。
実力的にはブラジルが一歩も二歩もリードしている感があるが、この両国の対戦は大概、死闘になるのだ!
ブラジルはポーランド戦と同じスタメン。一方キューバは、以前久光にいたケニアがスタメンで出場。

第1セット、まるでポーランド戦のビデオを見ているかのように、ファビアナがキューバのレセプションを乱していきなり4-1とブラジルリード。キューバも負けじとケニアのサービスエースで4-4へといったん追いつくが、今度はシェイラの連続サービスエースで8-4とリードしてテクニカルタイムアウト。やっぱりポーランド戦の再現のよう・・・。キューバとしては、ブラジルの唯一の弱点とも言える、フォフォンが前衛の場面で彼女のブロックの上を狙うしか突破口がないはずだが、ルイザが彼女の1枚ブロックにワンタッチを取られてしまって、キューバはリズムが掴めない。これでは、ブラジルの一方的ペースか・・・と思いきや、そのルイザが連続サービスエースで11-12と逆転。やはりこの試合はもつれそう・・・。お互いのサーブの出来で流れが二転三転する中で、このセットの流れを決定づけたのは、21-19の場面でサーブが回ってきたジャケリネ。彼女の連続サービスエースで25-19。それにしてもブラジルのサーブが凄い・・・ウイングスパイカー陣3人のスパイクサーブは強力だし、ファビアナのジャンピングフローターも相変わらず捕りづらそう。昨年に比して、サーブに随分と力を入れて強化してきた様子だ。

第2セットに入り、ようやくルイザが冷静にフォフォンの上から強打を決め始めて、6-5とキューバが一歩リード。そのまましばらく一進一退の攻防が続く・・・このセットは、ブラジルの強力なスパイクサーブにもファビアナのジャンピングフローターにもキューバのレセプションがなかなか乱れず、シェイラに1本サービスエースを取られるのみ。16-14からファビアナのブロードを見事にワンタッチで繋いで、トランジションでケニアが豪快に決めてキューバが流れを掴む。パウラの早いレフト平行に見事にブロックが間に合ってカリーヨがシャットし、20-16。このセットは勝負あったかと思いきや、ここでまたファビアナのサービスエースが出て、20-19。直後も彼女のサーブで乱され、絶体絶命・・・チャンスボールをブラジルコートへ返し、ブラジルはパウラの高速レフト平行に頼ったが、またまたカリーヨのブロックが間に合って21-19。追い込まれたブラジルはシェイラに頼るも、それをキューバのバロスが渾身の捨て身レシーブを連発し、23-19。連続シャットされたパウラをサッサに代えるも時すでに遅し。最後はルイザが決めて25-19。この日のキューバの執念は素晴らしい! 前日もアメリカにフルセットで敗れているだけに、連敗は許されないからだ。

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2007年11月 4日 (日)

(ワールドカップ2007女子)日本 - 韓国

ざぁーっとビデオで昨日・今日の日本戦を見た。

アジア選手権以来、貝塚での合宿までは杉山・荒木両選手がスタメン組であったのに、直前になってユウをスタメンとして使おうとしたのはなぜだったのか?

まぁ、「非国民宣言」した人間としては、別にどうだっていいというのが本音ではあるのだが、悲しいかな? 人間の習性は変えられず、ついつい考えてしまう。

韓国戦で顕著だったが、ワールドグランプリの時と比べ、竹下選手が前衛の場面でのブロックの弱点を、ブロックチェンジを行うことで繕おうとしている点が伺えた。具体的には、本来ライトブロッカーとなる彼女をレフトブロッカーに配して、栗原選手をセンターブロッカー・センター陣をライトブロッカーとして構えさせる戦略だ。特に現在の韓国はライト側からの攻撃が少なく、レフト側のキムヨンギョン選手にトスが集まっている。従って、韓国と相対する場合には、相手のライト側からの攻撃に対するマークが多少甘くなっても、相手のレフト側すなわち自チームのライト側にデディケートするのが理には適う。その意味で竹下選手をレフトブロッカーに配したと考えられ、実際それがある程度機能していた。ただ、問題はそこでワンタッチを取ったり、抜けてきたボールをディグで繋いだ直後のトランジションでの攻撃だ。一般的にレフトの選手が相手のレフト攻撃に対してブロック参加を行った直後のトランジションで、レフト攻撃を行うのは相当の技術と修練を要する。その点、栗原選手はパイオニアで実は盛んに同様の戦略を経験しているため、問題なくトランジションでレフトからの攻撃を繰り出して見せた。但し、そこ(レフトの栗原選手)にしかトスが上がらないとわかったのでは、相手ブロッカー陣にとっては「思うつぼ」となる。そこで、ライトブロッカーとして跳ぶセンター陣にも、トランジションでライトからの攻撃を繰り出してもらう必要があるし、さらには後衛にいるレフト・オポジットの両選手にバックアタックを繰り出してもらう必要があるのだ。

現在の全日本女子の配列で考えると、その場面で後衛にいるレフトプレーヤーと言えば高橋みゆき選手であり、オポジットプレーヤーと言えば木村沙織選手だが、そのうち高橋みゆき選手は残念ながらバックアタックは打てず、木村沙織選手はラリー中にトスを上げるというチーム内の「約束事」がアジア選手権以来出来たはずなので、結局トランジションでトスを上げられる場所は、レフトの栗原選手かライトのセンター陣しかないのだ。となると、センター陣がライト側からハイセットを打ちこなせる能力が不可欠となり・・・という論理展開だろうか?

で、結局のところ実際には、その場面で栗原選手のレフト攻撃一本槍となっているわけだが・・・果たして、明日のセルビア相手にもブロックチェンジを行うのだろうか?? ヨーロッパ型のバレーを相手にして、ライト側からの攻撃に対するマークを甘くするデディケートが得策と果たして言えるのだろうか??
さらには、この戦略を採ることで、表レフトの役割を果たせるのが、栗原選手以外には(現在の全日本女子のベンチ入り12名の中では)考えられなくなっており、柳本監督は「テン・シン・メグ」と心中すると言っているようなものである。

ま、やはり考えるだけ時間の無駄だったような気がしてきた・・・。

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2007年11月 3日 (土)

(ワールドカップ2007女子)ブラジル - ポーランド

ブラジルはジャケリネが復帰! 故意のドーピングではなかったとの判断で、温情措置が採られた模様。そうなるとスタメンはレフトにジャケリネ・パウラ、センターにバレウスカ・ファビアナ、オポジットにシェイラ、セッターがフォフォン、リベロがファビと"万全の"メンバー。一方のポーランドは、今大会直前にセッターのシリバが現役復帰しており、そしていきなり開幕スタメンで出て来た。

第1セット、序盤の攻防からまずブラジルがファビアナのサーブでポーランドのレセプションを乱し、5-2と流れを掴む。さらにシェイラのサーブでもポーランドのレセプションを乱して、一気に8-3とリードしてテクニカルタイムアウト。そのタイムアウトあけ直後にもシェイラがノータッチエースを決めて、早速ブラジルはお祭りムード。ポーランドは仕方なく、グリンカに頼って何とかムードを切り替えようとするが、彼女の強打をリベロのファビがファインディグで繋いで、それをシェイラがパイプで決めてしまう。どうやらポーランドのブロック陣はスプレッドになっている・・・どおりでパイプが炸裂するわけだと思いきや、スプレッドなのに今度はジャケリネのレフト平行について行けない・・・当然ファビアナの速攻にも1枚しかブロックにつけず、弄ばれているよう・・・。困ったポーランドは後衛の場面でレセプションを崩されたグリンカを下げざるを得ない展開で、代わった選手も早速狙われてサービスエースを取られる始末で16-8。またまたファビアナのサーブで崩され、浮き足だったポーランドは現役復帰した大ベテランであるはずのシリバがドリブルを犯してしまう。直後はレフトへトスミスを犯し、サドレクへと交代。セッターが交代しても、流れは全く変わらずまたまたファビアナにサービスエースを取られて、気づけば22-9と一方的な展開。最後はパウラが決めて25-12。このセットで勝負あった、といっても過言ではない。

後で見直すとポーランドのブロック陣が試合開始早々からスプレッドになってしまっていた時点で、「ブラジルには勝てない」と言っているようなもの。スプレッドになっていても、それでもパウラ・ジャケリネの高速レフト平行について行けず・・・それじゃぁスプレッドにしている意味がない、ってことで勝てるわけがない。

第2セット序盤も5-3とブラジルリードで、再びポーランドのセッターシリバがベテランらしからぬトスミスでブラジルのポイント・・・と思ったら、なぜかポーランドのポイントと主審がジャッジ。明らかなジャッジミスでブラジルが猛抗議して試合一時中断・・・と思っていたら、主審が審判台から降りてきて・・・どうやら体調不良のようで、前代未聞の試合途中での主審交代劇。で、交代した途端、やはり判定はブラジルのポイントへと覆り、気づけばこのセットも14-6。ロスネルと交代したポドレッツが活躍して終盤ポーランドが追い上げたものの、最後は1セット目に続いて、パウラが高速レフト平行をポーランドコートへたたき込んで25-20。

第3セット、ポーランドは2セット目好調だったポドレッツを入れ、またセッターをシリバからサドレクへ代えてのスタート。シリバの現役復帰はある意味注目だったが、この試合に限ると足を引っ張った感が否めず仕方ない交代。1・2セットに比べれば点数的には競ったものの、結局ブラジルは一度もリードを許すことなく、最後はバレウスカが決めて25-22と、ブラジルのストレート勝ちに終わった。

ブラジルとしては、初の3大大会制覇へ向け、完璧なスタートを切ったと言えるだろう。昨年の世界バレーでは、結局のところ「サッサのチーム」だったことが金メダルを逃す最大要因になってしまったわけだが、特にこの試合では、出産明けのパウラが"完全復活"しており、ジャケリネと2人揃えば、もう179cm「しかない」サッサに頼る必要は全くないところだろう。

それにしても、世界の女子バレー界の戦術は、やはり予想通りに男子の後を確実に追いかけている・・・パウラのレフト平行は、フォフォンのトスアップから何秒でスパイクヒットしているだろうか・・・アテネオリンピック当時の世界一の高速レフト平行、楊昊へのトスより全然「早い」! しかも彼女のパイプは男子でいうところの「高速パイプ攻撃」の領域に足を踏み入れている(「Aクイックとネットから少し離れたバックセミ」といったコンビが見られた・・・「高速パイプ攻撃」についてはこちらを参照のこと)。だが、これは決してブラジルだけに当てはまることではなく、ポーランドのウイングスパイカー陣にも概して言えることで、グリンカやポドレッツと言った「大砲」アタッカー陣までもが、「高くて早い」レフト平行トスを当たり前のように打ちこなしていた。試合内容は一方的であったために、期待したほどには楽しめない試合だったが、そういう観点から見ると、去年のワールドグランプリの頃に「近い将来に」と予想したとおりの、両サイドの高速平行バレーが当たり前の時代が、世界の女子バレー界で目前に迫っていることを、否応がなしに見せつけられたような試合だった。

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2007年11月 2日 (金)

"ハイセット"とは?

ハイセット "high set" とは?・・・"set" はトスのことであり、字面からは「(軌道の)高いトス」という意味になるが、いわゆる「2段トス」の意味で使用される。即ち、ファーストタッチのディグが乱れてしまって、セッターがトスを上げられない状況や、セッターがトスを上げられる状況でも非常に苦しい体勢で上げなければならない状況で、前衛両サイドのアタッカーへ上げる「(軌道の)高いトス」のことである。 ハイセット "high set" を打ち切れるだけのアタッカーがなかなか出てこないことが、長らくの日本女子バレー界の最大の課題である。

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2007年11月 1日 (木)

リエちゃん、頑張って!

マイマイの久光への移籍は早々に公式発表されて、パイオニアファンとしても本心から「頑張って欲しいな」と思っていた。一方、同じく移籍先を探すとされていたリエちゃんの情報が全く出てこなかったので、どうなったのか? と心配していたが、なーんと海外リーグへ移籍していたとは!!

詳しい事情は、こちらをご覧下さい。

国体前にパイオニアの若手軍団がドイツ遠征を行っていたのも、そういう繋がりがあったからでしょうかねぇ?
昨シーズンのV・プレミアリーグは彼女にとっては、ものすごく悔しい経験だったでしょうが、同じくアテネ直前に悔しい想いをしてフランスリーグ・RCカンヌへ移籍、その経験を活かして現在の全日本女子の「不動のリベロ」の座を手に入れた佐野選手に負けないくらいの活躍を期待してます!


そう言えば、兼ねてから噂されていた、パイオニアの新外国人選手も正式に発表されましたね。
何と彼女、U-16世界選手権で得点王とベストレシーバー賞を獲得しているとか! ベストレシーバーと言えばそう、「レセプション成功率」が最も高い選手という意味ですよ! ってことは、以前20歳前後で日立に助っ人でやってきたソコロワの再来ですか!? これは否応がなしに期待で胸が高まりますね・・・。あとは、ユキの後釜・・・開幕戦の正セッターをユミとイクとどちらが務めることになるのか? 個人的には「高くて早い」トスをマスターしているユミが一歩リードしているように思いますが、どうでしょう?

以上、パイオニア関連の話題2つでした。


p.s.: リエちゃん、ブログやってくれないかな・・・。

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