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2007年8月 5日 (日)

ユ〜ウ! チャ・チャ(ワールドグランプリ2007開幕2戦)

ビデオでワールドグランプリの開幕2戦(カザフスタン・ドミニカ戦)を見終わった。世間の大方の予想を覆し、ユウは見事にレギュラーポジションを掴んだ! 大友ユウでも菅山ユウでもない、庄司ユウが「ユ〜ウ! チャ・チャ」と会場でコールされるのはユウヲタとしては何とも感慨深い・・・ヲタとしてだけでなく、全日本女子の未来を本気で考えた場合にも、以前の投稿でも書いたとおり、彼女には全日本のレギュラーセンタープレーヤー(middle blocker)として定着しなければならない責務があると言ってよい。実際、彼女がこの2戦で見せてくれたプレーは「世界標準」のセンタープレーヤー(middle blocker)のプレーと言ってよいものだ。例えば、相手コートからチャンスボールがアタックラインよりも前に返ってきた場合に、そのディグを後衛のプレーヤーに任せるのではなく、自分で行ってから速攻に切り込む・・・これが「当たり前のように」出来る選手がいなかったことを象徴するかのように、カザフスタン戦では後衛だった高橋選手がチャンスボールを取りに行こうとしてユウと交錯し、倒れ込んだ(一方のユウは、何事もなかったようにチャンスボールを繋いで速攻を打って見せた)。ユウのようなプレーが「当たり前」となれば、当然のことながら後衛のオポジットの選手はバックアタックの助走に入る準備が出来るはずであり、それは攻撃システムの「男子バレー化」を進めるための必要条件になるはずである。

こちらに、ドミニカ戦でのユウの本領発揮ぶりが「客観的なデータを挙げて」取り上げられていた。one of No.33さん、どうやらあなたの読みの方が正しいようです。"Rebounds"には、少なくとも「ワンタッチを取った数」が含まれているはずだと推測されます。)


さて、肝心の今大会の全日本女子の戦術そのものに話を移すが、、、
開幕2戦をみて、去年までのそれとははっきり違うと言える部分が見られた。

それは、「ブロックシステム」である。


Coaching & Playing Volleyball(CPV)の49号(2007年7月号)は、特集が『低身長で勝つ』であり、その中に竹下選手の書いた『低身長者のブロック』という記事があった。低身長の中高生・一般プレーヤーへの「アドバイスとしての」内容はともかくとして、締めくくりに彼女はこう書いていた。

『Coaching & Playing Volleyball(CPV)49号』より引用

私はクイックのヘルプに行きませんし、パイプにも跳びに行きません。ブロックのセオリーにはもちろん反していますが、私がブロックに参加するよりもフェイントカバーした方が、チームとして得点が多く取れるのです。

「クイックの(ブロックの)ヘルプに行かない」し「パイプ(に対するブロック)にも跳びに行かない」というのは、「バンチ」でブロックに構えないし「リード」ブロックもしない、という意味だ。それが、現在の世界トップレベルのバレー戦術に反していることを認識していながら、敢えてそれに「自分一人(個人)が」逆らうことが、むしろチームの勝利に繋がると確信しているかのように思えた。これを「全日本女子の不動のレギュラーセッター兼キャプテン」が語っているのだという意識で読んだ私は、「やはり今年も非国民でいなければいけないのか・・・」という暗澹たる気持ちにさせられたのだった。現在の全日本女子が、「特定の個人」の「特殊性」に依存するバレースタイルを貫いていることに、何の疑問も持っていないと思えたからだ。

しかし、つ、遂に、今大会の全日本女子は、そのスタイルを改めようとしているのが伺えたのだ! これまで全日本女子が、組織的バンチ・リードブロックシステムを採り入れようとしてこなかったことを正当化する根拠は、チームの要に低身長の竹下・高橋両選手がいるということ、であったはずだ。ところが、今大会の開幕2戦を見て、その竹下・高橋両選手が「バンチ」で構えて相手の速攻に対して「リード」でブロックに跳びに行っている姿を目の当たりにして、これまで長年全日本女子のバレースタイルに深く根ざしていた「特定の個人の、特殊性に依存する」バレースタイルを、遂に柳本監督は捨て去ろうとしているのだという確信を持った。優れた「個人技の結集」よりも「組織プレー」を重視する・・・それは、JVAの公式サイトに載っている柳本監督の、「現時点での『チームのバランスを考えて』この12名を選んだ」というコメントの裏にも込められている気がする。バンチ・リードブロックを行うためにハードルの高い竹下・高橋両選手すらもが積極的に相手の速攻に跳びに行き、特にドミニカ戦では「3枚ブロック」となるシーンがしばしば見られた。メグもパイオニアでは今や当たり前となった、相手のレフト攻撃に対するブロック参加を、遂に全日本でのプレーでも見せるようになり、同じプレーを木村選手までもが見せ始めた。どうやら今年の全日本女子のスタッフ陣は、「本当に」本気のようだ!

p.s.: 全日本女子のスタッフ陣がようやく本気で、世界標準の戦術であるバンチ・リードブロックシステムを導入しようとしているのに対し、そのことに対して何の指摘も出来ないどころか、「バンチ」で構えていた木村選手に対して「ブロックに構える位置がまずい」などと的はずれなコメントをする解説者達は、バレー中継から追放すべきではないだろうか?!

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コメント

記事中リンクありがとうございます。おかげさまでアクセス数が凄いことになってます(笑)。私は武富士ファンですが、庄司は同郷なので応援してます。あ、もちろん佐々木も。結果を出して、このままレギュラーポジションをがっちりつかんで欲しいですね。

ブロックシステムはいい方に向かっているのですね。初戦はワンタッチも取れずに抜かれることが多く、あまり機能していないようにも思えたんですが、それはまた違う問題でしょうか。

今日は有明に行ってきます。拙いですが、写真も撮ってきますよ。

投稿: 千酔亭 | 2007年8月 5日 (日) 10時52分

こんばんは。

>的はずれなコメントをする解説者達

自分の知識・経験のみを「ものさし」とすることの愚かしさ、でしょうか。
やはり人間いくつになっても勉強が大切ですね。

日本バレーは勉強を怠ってきたつけを散々払わされているのに、未だに過去の栄光に酔っているようで本当に心配です。


庄司選手、良いパフォーマンスを発揮してくれてうれしく思います。
WGを一緒にTV観戦していた母の一言「この子、美人ねー」。
私の再認識「昔の一流選手(ex:矢野選手、古すぎましたか?!)が持っていた雰囲気があるなー」。

投稿: 渡り鳥 | 2007年8月 6日 (月) 20時45分

>千酔亭さん

初コメントありがとうございました(笑)。
確か、枚方での紅白戦の件でそちらからリンクを張って頂いた際の当サイトのアクセス数も凄かったですよ。

>ブロックシステムはいい方に向かっているのですね

新しいものを生み出す際に、すぐに結果を求めても無理でしょう。「変わろうとしている」そのことが大事です。その過程でこれまでの問題点が明確に浮き彫りとなることもあるはず。今私が一番心配するのは、ブラジル戦の敗戦を受けてワールドカップ・その前のアジア選手権から、元のバレースタイルに戻ってしまうことです。

p.s.: バレブーの写真で楽しませてもらいました。これからも宜しくお願いします m(_ _)m

投稿: T.w | 2007年8月13日 (月) 23時23分

>渡り鳥さん

いつもありがとうございます!

が、「矢野」選手? どの? 何人か思い当たるのですけど、、、それとも私も知らない位に古い選手??でしょうか?

ユウがトモ(吉原元選手)にプレースタイル・フォームが似ているって意見が多いですけど、その辺はいまいち私にはピンと来ません。ユウはユウだし、トモはトモにしか見えません(笑)。どちらも「美人顔」とは言い難いですけど、コート上ではいい顔をしてると思います。ただ、もう少し、やっぱり「華」がある選手になって欲しいなぁと、、、切望します(爆)

投稿: T.w | 2007年8月13日 (月) 23時30分

庄司選手のリバウンドは、リードブロックだから取れているのではなくて、反対に積極的に仕掛けて早めに跳んでいるので触るチャンスがあるというブロックだと思います。

投稿: KEN | 2007年8月22日 (水) 06時43分

矢野選手=モントリオールの金メダリスト、矢野広美さんです。今でもバレーに係わっていらっしゃるようです(http://vbmontreal.cocolog-nifty.com/blog/)。
本当に例えが古くて申し訳ないです。私48歳なので、、、。

エントリー違いで申し訳ありませんが、戦術面でたとえ「列強のまね」でも、まず追いつくためには模倣が必要なのではとおもいます。世界標準なのですから。その上でそこに日本独自の+αを加味すればよいかと思います。
しかしそれ以前に、ボールコントロールの雑さはどうしたことでしょう。
日本が本当に強かった頃は、チャンスボールの扱いなどもっと丁寧だったと記憶しております。

投稿: 渡り鳥 | 2007年8月22日 (水) 11時25分

>KENさん

「積極的に先に仕掛けて早めに跳んでいる」の意味を、ご自身のブログでの記事で確認させて頂きました。ありがとうございます。


>渡り鳥さん

うーん、矢野選手・・・私の想像とは違いました(苦笑)、さすがに存じ上げないです(多分父親に聞けばわかると思いますが・・・)。

投稿: T.w | 2007年9月 9日 (日) 16時55分

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