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2007年7月15日 (日)

JVS Vol.9 No.1May 2007より(補足と続編)

マニアックな話題かと思いきや、意外に反響がある(っていうか、要するにマニアックな人しか、ここのブログを見に来ていないのか(爆))ようなので、もう少し具体的に論文の内容をアップしてみたいと思う。

対象は、平成18年度秋季関東大学男子1部リーグ戦・予選リーグ全28試合109セット中、ファイナルセットを除いた102セットで、各セットにつき両チームのサイドアウト率とブレイク率を算出。そうして得られたサイドアウト率・ブレイク率を5段階評価(=各項目の平均値を算出して、平均値を中心に±0.5SDを評価3、その外側±1SDずつをそれぞれ評価2・評価4、さらにその外側を評価1・評価5)で分類して、それぞれサイドアウト評価・ブレイク評価とする。その上で、各チームの順位とサイドアウト評価・ブレイク評価との相関を解析する、という方法である。さらに、各チームのそれぞれ6ローテーション毎にもサイドアウト評価・ブレイク評価を分類して、各ローテーション毎のバランスと勝敗との関係も解析している。

そして解析結果であるが・・・

まずサイドアウト評価と順位との相関を見ると、評価3以上のセットで強い相関が見られたのに対して、評価4以上のセットでは中等度の相関しか見られなかった。この結果は、順位を上げるためにサイドアウトは評価3以上が必要であることを意味している一方で、評価4・評価5といった非常に高いサイドアウト率をはじき出しても、必ずしも順位には影響を及ぼすとは限らないということを意味している。即ち、順位を上げるためには評価2以下の低いサイドアウト率をなくすことが必要条件であるが、高いサイドアウト率は順位を上げるための十分条件ではない、ということになる。
一方ブレイク評価と順位との相関を見ると、評価4以上のセットで強い相関が見られており、評価4以上の高いブレイク率をはじき出すことが順位を上げるための十分条件であることを意味している。

さらに、各ローテーション毎のバランスとの関係で見ると、サイドアウト・ブレイクともに、評価2以下のローテーションをなくすことが必要である、という結論に至っている。


というわけで、、、マスコミや一般のファンの間でよく聞く「レセプションさえきちんとセッターに返れば・・・」という文言は、現在のラリーポイント制にあっては、科学的根拠のないウソということになるわけだ!


p.s.: 今回の機関誌に掲載された他の論文にも、興味深い内容がちらほら見受けられる。例えば、『バレーボールゲームにおけるリベロプレーヤーに関する研究』の結論には、「リベロは、レシーブだけでなくセッターの代役としての機能を持つ可能性が高いことが示唆される」という文言がある。これは、以前「"リベロ"に関してルール確認」と題して書いた投稿内容を追認するものと言える結論である。さらに、とある大学男子バレーボール部に在籍する、セッター経験2年の控えセッターを対象にして、1日平310本・計5,000本のレフト平行トスを上げさせる練習を行い、それをカメラで撮影してセットアップの高さやトスの球質などを解析した『セッターのジャンプトスの動作変容に関する実践的研究』の中には、次のような文言があった。「本研究では(レフト)平行トスを上げさせたが、セット(アップ)の高さがネット上(=ネットの白帯より高い位置)の時は、スパイカーが打つポイントまでトスが伸びていることがわかった。しかし、セット(アップ)の高さがネット下(=ネットの白帯より低い位置)の時はトスの軌道が小さくなり、スパイカーが打つポイントまでトスが伸びず・・・(中略)・・・平行トスにおけるセット(アップ)の高さとトスは対応関係があると考えられる。」

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コメント

(こんばんは。いつも読ませていただいております。プロバイダー変わりました。)

 なるほど、サイドアウトによって得点進行を止めることができた(粘れた)サイドアウト制の頃と比べ、ラリーポイント制になってその意義が相対的に低くなった・・・ということでしょうか。ラリーポイント制ではセット中のどこかで点差が付けば、その後にサイドアウトの応酬で互角の展開だったとしてもセットポイントに近づいていくだけだし、サイドアウトで粘りながらブレイクするチャンスを窺えた頃とは確かに違うというのはわかります。より積極的にブレイクを取りに行かなければならないということになりますね。

 評価3(平均)以上ならば、さらにそれ以上サイドアウト率が良くても試合結果への相関は高くない、一方でブレイク率はより高いほど相関も高いということですけれど、サイドアウト率が高いということは相手のブレイク率を低く抑えているということだろう、いわば表裏関係にあって両者の傾向はだいたい同じではないか?というイメージがありましたので、そこにも差が現れるというのはちょっと意外でした。

 それにしても、こういうレポートを紹介していただけるのはうれしいです。私はただの見るだけファンですけれど、興味深いですねえ。

投稿: one of No.33 | 2007年7月16日 (月) 01時52分

 現・東京ヤクルトに居られた「故・大杉勝男」に敬意を顕し、且つ「マッチョ選手」への憧憬も込めたHNで統一して行こうかと想って居ます。 とは云え、気分で「仮の名」替えてブゥ垂れラレナキャ無らぬ「法的根拠」は不詳の儘だが…! さて。「全責務管理人」サンは如何想って居られるのか?遠からず来る筈な「プロ化」問題。爺

投稿: 勝魂⑧男。 | 2007年7月16日 (月) 07時57分

ありがとうございました。引用:マスコミや一般のファンの間でよく聞く「レセプションさえきちんとセッターに返れば・・・、以前から思っていました。それもバレーボール関係者が言っているところに明日への打開策が見えないなあと思います。
最近、相関関係に興味があり、エクセルのグラフを使い、相関係数を算出して、関係が強いか弱いか調べてみました。サンプルは100弱。特に、注目したのは返球率-サイドアウト率、サーブ効果率-ブレイク率。一般的に前者の相関関係は弱く、後者のは強かったです。(様々な要因はありますが今回は見送ります)高校、大学、国内、国際の各ステージの上位強豪層になれば、前者の関係は強いですが、日本が国際大会で強豪国と戦うときには前者の関係は弱いです。suis annexさんがいわれているとおりです。

投稿: バッキー | 2007年7月17日 (火) 17時12分

私もマニアックな人なので、興味深く拝見いたしました。論文の結果としては妥当な気がしますが、本業(?)のほうから見るといくつか疑問が浮かびます。
1)サイドアウト評価と順位との相関を見ると、評価3以上のセットで強い相関が見られたのに対して、評価4以上のセットでは中等度の相関しか見られなかった。
これっておかしくないですか?相関を求めるときには独立変数と従属変数が必要ですが、文章から推測すると独立変数は「サイドアウト評価」(つまり、1,2,3,4,5)になるはずなので、
「サイドアウト評価と順位」の相関があるか否かが検定されると思うのですが。単に相関を見るだけならSpearmanの順位相関になるはずですし、「サイドアウト評価と順位」に直線関係があるか否かを検定するのなら拡張mantel検定が必要になるはずです。
「評価3以上のセットで強い相関が見られたのに対して、評価4以上のセットでは中等度の相関しか見られなかった。」と言うのはわざわざ二つのカテゴリーに分類しているところになんとなく不自然な感じがします。
2)サイドアウト評価とブレイク評価が交絡していないか?
セットを取るには両者が必要なはずなので、交絡している可能性があると思います。文章から推察するに、「順位が高い(セットをとった)→ブレイク評価が高い」という仮説しか検定していないように思います。本当に知りたいのは「ブレイク評価が高い→順位が高い(セットをとった)」のはずです。この場合だとサイドアウト評価とブレイク評価の両者に相関があった場合、両者を独立変数として多重ロジスティック回帰などを行ってから結論づけるのが妥当だと思うのですが・・
3)サイドアウト評価とブレイク評価は標準化しているか?
2)とも関係がありますが少なくとも2つの値の優劣を比較するなら、平均値0、標準偏差1の標準化を行う必要があると思います。どう考えてもブレイク率のほうがばらつきが大きそうなので、そのまま解析するとブレイク率の寄与率が大きくなりそうです。

今回はバレーと全く関係ない質問ですみません。
私も統計はそれほど詳しくないので。

投稿: kgcci | 2007年7月17日 (火) 22時47分

今回は原則に反して、頂いたコメントの順番に逆らって、まずこの話題の根幹に関わりうる、kgcciさんのコメントにまず、レスをさせて頂きますm(_ _)m

>kgcciさん

言い訳からで申し訳ないですが、正直私はこういう統計のことはずぶの素人です。本来論文というものは、額面通り受け取るのではなく、批判的に読むべきですが、指摘して頂いた点については、私の勉強不足もあって批判的に読むことが出来ません。もし可能でしたら、kgcciさんに論文内容をすべて画像ファイルか何かにしてお送りしますので、おっしゃったような観点からもう一度見直して頂ければ幸いなのですが、いかがですか?(知り合いにも統計に詳しいやつもいるのですが、残念ながらバレーにはまったく興味がないので、、、)

ともかくも、一つ現段階でお答えできることは1)に関してですが、、、

私の書き方がまずかったかと思いますが、サイドアウト評価と順位の相関は、もう少し具体的に書きますと、各チーム(計8チーム)が戦った全セットのうちで、サイドアウト評価が1〜5の各割合を出して、その割合と順位との相関を取っています。すると、サイドアウト評価の1〜5のどれとも強い相関は見られません。さらに、各チームの戦った全セットのうちで、サイドアウト評価が5・4以上・3以上・2以上のそれぞれの割合を出して、その割合と順位との相関を取ってみると、すでに説明済みの結果が得られたということです。さらに具体的に例を挙げますと、順位1位だったチーム(東海?)は全セット26セットのうち、評価5の割合が0%・評価4の割合が31%・評価3の割合が62%・評価2の割合が8%・評価1の割合が0%です。一方、順位5位だったチーム(早稲田?)は評価5が18%・評価4が27%と、1位だったチームよりいい結果を残していますが、その一方で評価3が23%・評価2が27%・評価1が5%あり、良いセットと悪いセットの差が激しい結果です。評価4以上のセットの割合を見ると1位のチームは31%・5位のチームは45%、さらに評価5のセットは既述の通りですから、評価4以上の割合と順位は相関していると言い難いですが、評価3以上となりますと1位のチームが92%・5位のチームは68%ですから、相関していそうです。

といった具合です。

投稿: T.w | 2007年7月18日 (水) 00時34分

大変なことを質問してしまいごめんなさい(汗)。職業病か論文は批判的に読む癖がついてしまって・・・

この論文で本当に知りたい答えは、例えば、「サイドアウト評価4、ブレイク評価3のチームとサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームとではサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームのほうが順位が上」かどうかということだと思います。しかし、この論文ではサンプル数が6しかありませんので、この質問に答えることは不可能です。しかし、、「サイドアウト評価4、ブレイク評価3となったセットとサイドアウト評価3とブレイク評価4となったセットとではサイドアウト評価3とブレイク評価4のセットのほうがセットを取る確率が高い」かどうかと言うことに対してはサンプル数が102あるので可能だと思います。しかし、この問いには答えることが不可能なら、「サイドアウト評価よりブレイク評価のほうが重要」とは結論付けることが出来ないのではないのか?というのが僕の純粋な疑問です。

サイドアウトが確率よく取れることは裏を返せば被ブレイク率を低く出来ることですし、ブレイク率が高いと言うことは相手のサイドアウトの確率を低く抑えていると言うことなので、サイドアウト評価とブレイク評価は表裏一体のはずです。ブレイク評価を上げることが勝利への近道なら、相手のブレイク評価を下げることも勝利への近道とも思えるのです。バレーの戦術の歴史を見るとつまるところこれの繰り返しで、この両者に新しい戦術を取り入れたアメリカがオリンピックで連覇したことも納得がいきます。

ぜひとも論文は読みたいのですが著作権の関係もあるのでどうでしょうか?

なんだか、ブログあらしのようなことをしてすみませんでした。

投稿: kgcci | 2007年7月18日 (水) 20時55分

例えば、「サイドアウト評価4、ブレイク評価3のチームとサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームとではサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームのほうが順位が上」かどうかということだと思います。しかし、この論文ではサンプル数が6しかありませんので→サンプル数8の間違いです。

投稿: kgcci | 2007年7月18日 (水) 21時07分

>kgcciさん

>「サイドアウト評価4、ブレイク評価3となったセットとサイドアウト評価3とブレイク評価4となったセットとではサイドアウト評価3とブレイク評価4のセットのほうがセットを取る確率が高い」かどうかと言うことに対してはサンプル数が102あるので可能だと思います。

これについては答えが出せます。「サイドアウト評価4、ブレイク評価3となったセット」と「サイドアウト評価3とブレイク評価4となったセット」はそれぞれ28セット・16セットあり、実はその全てがそのセットをものにする結果になっています。すなわち、サイドアウト・ブレイクそれぞれの評価ポイントの合計が7以上となると、セットを奪う確率は100%なのです。逆に合計が5以下となると、セットを奪う確率は0%となります。これは「サイドアウト評価・ブレイク評価」と「セットの勝敗」との相関ですね。


そして、
>「サイドアウト評価4、ブレイク評価3のチームとサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームとではサイドアウト評価3とブレイク評価4のチームのほうが順位が上」かどうか

についてですが、もちろん仰っているように、サンプル数が8しかありませんので、統計的に有意な結果を出すには困難でしょうが、、、
例えば1位のチームはサイドアウト評価3のセットが62%でブレイク評価4のセットが31%あり、それぞれこのチームにとって最も多い評価ポイントです。一方、5位のチームはサイドアウト評価4のセットが27%でブレイク評価3のセットが50%あり、それぞれやはりこのチームにとって最も多い評価ポイントです。ですから、サンプル数が8と少ない「順位」との相関では、この結果が強く反映しているとも言えるでしょうね。


>ぜひとも論文は読みたいのですが

私のこのメールアドレスにメール頂けないでしょうか?


>ブログあらしのようなことをしてすみませんでした。

いえいえ(笑)、全然気にしないで下さい。濃い(笑)反応があるのはうれしいことです。

投稿: T.w | 2007年7月21日 (土) 00時14分

ぜひともバレーボールゲームにおけるリベロプレーヤーに関する研究という論文を読みたいのですが…。

投稿: あやか | 2009年10月14日 (水) 14時07分

今更感はありますが、、、(苦笑)

この論文に関しての問題点を、明確にして頂きました。ありがとうございます!!

データ分析の誤用について

投稿: T.w | 2013年6月21日 (金) 00時17分

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