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2007年5月 9日 (水)

黒鷲旗女子3位決定戦〜パイオニア-東レ(その2)

この日も前日のJT戦同様、レセプションを乱されて常に相手に主導権を握られながら第1セットは進行。そのまま東レに持って行かれるか? という苦しい場面で、ユキは両レフトにハイセット(2段トス)を上げた。レオ・メグのハイセットの決定率が必ずしも高いと言える状況ではなかったが、今にもガタガタと崩れてしまいそうな試合の流れであったものが、ハイセットのリズムで何とか流れが踏みとどまり、セット中盤にメグのスパイクサーブで逆に東レのレセプションを乱して、追い上げ体制に入る。向井・大山加奈両選手のハイセットに対しては執拗に3枚ブロックを完成させ、特に向井選手を完全に潰しきった。遂に23点目で追いつき、焦り始めた東レがスパイクミスを出してこのセット初めてのリードを24点目で奪い、24-23とセットポイント。大山加奈選手に3枚ブロックを弾かれジュースに突入するも、以降は常にパイオニアがセットポイントを握る展開。焦りの見える東レにネット際でのミスが重なり、最後も東レのミスで32-30と、ジュースの大接戦をものにする。

第1セットにパイオニアの3枚ブロックの餌食となった向井選手に代え、第2セット以降、東レは高田選手をオポジットに配してのスタート。序盤はユウのサービスエースなどで主導権を握りかけたパイオニアだったが、再び東レのコートエンド一番奥から打たれるフローターサーブにレセプションを崩され、為す術なくリードを許す。16-25で第2セットは東レが取り返す。

第3セット、中盤までメグのパイプなどで勢いに乗ってリードを保つも、中盤で再びレセプションを崩され始め、東レの2枚替え(高田選手に代えて中道選手・大山未希選手に代えて向井選手)の効果もあって、じりじり東レに追い上げられ、16-17と逆転を許す。ここでパイオニアは両レフトへのハイセットで流れを立て直そうとするも、両チームのハイセットの攻防は勢いに乗った東レの大山加奈選手に軍配が上がって、19-25。

第4セットも第3セットと同じような展開で、序盤からパイオニアが主導権を握って進行。12-6とダブルスコアとなったところで、東レは高田選手を向井選手に戻して、再び第3セット同様の両チームのハイセットの攻防へ持ち込もうとする。さらに、西脇選手よりブロック能力に優れる富田選手を彼女に代えて入れ、逆にパイオニアの両レフト陣のハイセットにブロックで対抗しようと目論む。その目論見どおりに、再びサーブでパイオニアを揺さぶり、じりじりと追い上げて20-19の1点差。まるで第3セットの再現を見るような展開となったが、このセットの終盤のハイセットの攻防は、組織的ブロック力に勝るパイオニアに軍配が上がり、25-22。試合はフルセットに持ち込まれる。

そして第5セット、前セット終盤から炸裂したパイオニアのブロックが、序盤から容赦なく東レスパイカー陣を襲い、4−1とリードを奪う。東レのセッター大山未希選手が必死に両サイドにトスを散らして、パイオニアのブロック陣を振ろうと試みるも、レオとアサコが執拗にその両サイドのトスに振られずに3枚ブロックを完成させる! しかし、東レも粘りを見せてブロックカバーを執拗に繋ぐ。その粘りで中盤に追いつき、逆にメグをシャットして7-8と逆転してチェンジコート。流れが東レに傾くか? と思われたが、パイオニアの組織的3枚ブロックは尚も執拗に東レスパイカー陣を襲い、東レはスパイクミスを連発。パイオニアが11-8と再逆転する。東レはセッターを大山未希選手から中道選手に代え、逆にユキのミスなどもあって再び13-13の同点となるも、最後は大山加奈選手に託したハイセットをパイオニアの組織的3枚ブロックがきっちりワンタッチで繋いで、トランジションでアサコが連続で決めて15-13。

その直後に行われた決勝戦に引けを取らない、死闘と呼ぶに相応しい3位決定戦だったが、両チームの「ハイセット(2段トス)の攻防」で、タッチネットもほとんど犯さずに、執拗に3枚ブロックを完成させたチームの勝利となった。特に、レオとアサコが見せた、レフトからライトへ・ライトからレフトへと、4〜5本連続でブロックを完成させた様は、圧巻としか言いようがなかった。男子バレーでは日常茶飯事で見られても、女子バレーの試合で、しかも「日本人選手のみ」で、あのようなブロックを目の当たりにしたのは、長いバレー観戦歴の中でも初めての経験だ。

吉田敏明監督が導入した、組織的バンチ・リードブロックシステムは、完全にパイオニアの選手達の体に染みついたと言ってよい。来シーズンは、JTや武富士のレフト陣が繰り出すような「高速平行」に対して対応できるための、「スプレッド・リード」ブロックシステムを構築することが課題となるだろう。そのためには、ライトブロッカーの「大型化」も課題となるはずだ。これも吉田敏明体制になって、変わった大きな点の一つだが、今シーズンのパイオニアは昨シーズンまでと異なり、控えの若手選手の試合出場のチャンスが非常に増えた。特に、マミの活躍ぶりは素晴らしかった。以前パイオニアにいたカムイ(椿本真恵元選手)のプレーを彷彿とさせる、豊かなジャンプ力を活かした攻撃力(この日の東レ戦、ラリー中のライト側のハイセットを、ものの見事に向井選手のブロックの上を抜いて決めたスパイクは圧巻であった!)はもちろん、ブロックの際の手の形もなかなかいいセンスを感じさせる。サマーリーグ等で、控えの若手選手中心のチームでも同様の組織的リードブロックシステムを練習させれば、彼女の「高さ」は魅力だけに、恐らくは来シーズンあたり、レギュラー争いには加わってくる可能性を充分秘めていると見ていいだろう。

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コメント

この試合では、一番印象に残ってるのはやっぱりブロックですね。
あの長いラリーでの鬼ブロックすごかったです。普通だったらセンター・レフトの選手の寄りが甘くて、不完全なブロックのところで吸い込み・・・とかになってたんでしょうけど、本当にきっちり止めてましたから・・・。
あと、印象に残ってるのは、東レ・荒木選手の速攻を3枚ブロックで止めたシーンです。(ブロックフォローでつなげられましたけど)
レオヲタとしては(笑)、スパイクもサーブもミスが多かったけど、ブロックは良かったかなーと。
レオとメグのブロックの違いは、ブロードへの反応の違いとか、あと某所で“コースを潰すブロック”と言われていましたが、そういうところなんでしょうか。(わたしにはよくわかりません)

来シーズンは、個人的には、レセプションがどう改善されるのか、注目したいと思います。

投稿: マツ | 2007年5月 9日 (水) 21時55分

こんにちは。

黒鷲旗の渾身のレポありがとうございます。

三位決定戦はGAORAでも放送してくれませんでしたが、管理人さんのレポのおかげで、臨場感たっぷりに楽しめました。ありがとうございます。

しかし、今年の東レはフルセットで勝てませんなぁ。選手は疲労倍増でしょう。まぁ、個人的には、カナちゃんが復帰してくれたので、そこそこ楽しめましたが・・・。
それにしても、ダンさんが絶不調でしたね。怪我が直りきっていないのか、今年は全く精彩がなかった・・・

うーん。パイオニアは着実に戦術という点で進化しているのですね。東レは男子バレー化という進化はしないんでしょうか?菅野監督は男子畑なのに・・・orz

私としては、早くカナちゃんの平行が観たいんですが・・・。そうしたら、日本代表も、半歩ぐらいは進化できると思うんだけどなぁ(カザフに勝てるかなぁ)。

投稿: ディーラー | 2007年5月10日 (木) 01時07分

 御託は、終っての後ニャあ幾らでも並べ得る。 「赤羽」軍は「東レ」に「2セット」与えても能かったのか?
 「3/1」で切る可きじゃ無かったか?如何。

投稿: マッチョ | 2007年5月10日 (木) 07時29分

※日本民族は何年何月何日まで、「東洋の魔女」の幻影を奨んで引きずる心算なんだろうか?
 そして、そんな事実さえ見知らぬ若者に「日章旗」を背負わせ、地球上に「3枚」しか無いメダルを、「ドッグレースの兎」宛らに義務付ける気か。もう少し「リラックス」させて「世界戦」の一つとして参加させ、見守っては遣れまいか?勝

投稿: カズ君 | 2007年5月10日 (木) 15時39分

>マツさん

佐々木選手のブロックは、「吸い込み」が非常に少なく、また手に当たると高率でシャットになる(=ブロックアウトを取られにくい)手の出し方(アンテナ側の手の「締め」が素晴らしい)だと思います。それに比べると、栗原選手のブロックは、高さは高いものの「締め」が甘い気がします。

来シーズンのパイオニアの課題がレセプションにあることは、言うまでもありませんね。如何せん「佐々木選手がチームで一番レセプションが上手い」という状況は、何とか打破してもらいたいです・・・。JTが今シーズンあのように変われたわけですから、パイオニアだって可能なはずです。

投稿: T.w | 2007年5月14日 (月) 23時59分

>ディーラーさん

やはり、3枚ブロックをぶち破る大山加奈選手の姿は、他の日本人選手にはないものを感じます。それだからこそ、彼女には何か別のことを一つでも覚えて欲しい。例えばライトから打てるようになるとか。ライトから打てるなら、ハイセット並みの高いトスしか打てなくても、すぐにオポジットとして全日本でも使い勝手があると思います(もちろんブロックも上達してもらう必要がありますが、、、)。竹下選手が上げる現状の平行トスを彼女が打てるようになるには、長い時間がかかると思います。

>東レは男子バレー化という進化はしないんでしょうか?

確か、昨シーズンオフには東レの男女両チーム間で、技術面・精神面両方を含めた相互交流があったと記憶しているのですが、戦術面では正直今シーズンも目立った進展は見られませんでした。各プレーヤーの持ち味を活かそうとしているのでしょうか?? 正直、わかりません。

投稿: T.w | 2007年5月15日 (火) 00時44分

>彼女には何か別のことを一つでも覚えて欲しい。例えばライトから打てるようになるとか

自分もそう思う。
大山は速いトスを覚えるより、ライト打ちを覚えた方が絶対良いしそっちの方が早い。
栗原はレセプションを猛練習、大山はライト打ちを猛練習。

投稿: ブッシュ | 2007年5月17日 (木) 02時50分

>彼女には何か別のことを一つでも覚えて欲しい。例えばライトから打てるようになるとか

この言葉に今の日本のバレーボールの限界が見える気がしてなりません。以前管理人さんが「レゼンデバレー(その2)- アメリカ型分業システムの進化版」にも述べていましたが、今の選手に要求されている最低限の技術のレベルがどんどん低下してきている気がします。以前センターの選手についての意見を述べさせてもらいましたが、個人的には「DH」、もしくは「1芸主義」の選手が多すぎると思うのです。これでは、戦術うんぬんする以前の問題があまりに大きすぎます。しかし、攻撃力がないと世界相手には戦えない、全日本の監督の苦労がしのばれます。栗原、大山の両選手には絶対に「DH」になってほしくありません。彼女たちが「DH」になってしまえば、木村選手のような選手は今後しばらく出てこないでは?と思ってしまいます。栗原、大山の両選手ともにレセプションの向上を願っています。

投稿: kgcci | 2007年5月17日 (木) 23時32分

こんにちは。

管理人さん、レスありがとうございます。

さて、大山選手のライト打ちの件なのですが、第11回Vリーグの終盤、当事の達川監督の方針で、何試合かOPでスタメン出場してました。

私はNHKBSでNEC戦(3-1で東レ勝利)を見たのですが、かなり良い出来でしたよ。ライトからダウンザラインやショートクロスに強烈なスパイクやバックアタックを何本も決めてました。解説の大林さんも「加奈ちゃんってライト打ちがこんなにうまかったの?」という感じで感心してましたし、本人も「レフトより決定率が上がる理由はわからないが、決まるからうれしい」みたいな発言をしていました。

ただ、以前管理人さんがおしゃっていたように、代表チームではシンのブロックの問題があって、なかなかOPではやりにくいですよね。

投稿: ディーラー | 2007年5月18日 (金) 04時15分

>ブッシュさん、kgcciさん

いつもありがとうございます。
そう、そうです、そうなんです。この前「何か一つでも・・・」と書き込みながら、ため息をつきたくなっている自分がいました。例えばフェヘイラ選手などは、ブラジルではナショナルチームに入っていませんが、攻撃面ではナショナルチームレベルだと思います。恐らく守備面でナショナルチームレベルでないのでしょうね。でも、同じ体格の日本人プレーヤーよりは間違いなく守備はできるでしょうね。彼女ぐらいの攻撃力を持つプレーヤーはたくさんいて、その中でナショナルチームに選ばれるのは「1芸主義」でない選手ということでしょう。確かに戦術云々の以前に、海外の強豪国とは「同じ土俵に立てない」というのが日本のおかれた現状という感じがします。男子に関してはまさにそうです。女子もその一歩手前でしょう。何とか、「同じ土俵に立てていた」時代を知る選手が現役として残っているうちに、今の現状を打破する雰囲気を作り始めて欲しい、そう全日本女子に願っています(本当は底辺から変えていかなければならないのでしょうが、、、)。その意味でも、栗原・大山両選手には何としても頑張ってもらいたいです。

投稿: T.w | 2007年5月20日 (日) 23時46分

>ディーラーさん

御指摘ありがとうございます。確かに大山選手がオポジットとして何試合か出場したのは覚えています。もちろん当時の達川監督の意図がどこにあったかは私に完全にわかるわけではありませんが、端から見ている限りでは、彼女をオポジットとして育てたいとか、彼女の今後のため・プレーの幅を広げるためにオポジットに配した、というよりは、当時の大黒柱であったアダムス選手の体調不良のために、急遽日本人ウイングスパイカー陣で両レフト・オポジットをまかなう必要が出て、その結果、彼女にレセプションをさせる負担を背負わせないためにオポジットに配した、即ち、あくまで急場しのぎの意味が強かったように伺えました。結果的には、そのあと監督が替わって、以降レフト打ち一辺倒ですし、あの時(きっかけは急場しのぎであったとしても)本格的にオポジットとしてコンバートされていれば、もう少しプレーの幅が広がっていたかもしれません。

それはそうと、大山選手のNHKでの特集番組、じっくり見させてもらいました。父親にも教えてあげようと、当日の夕方に実家にも電話したところ、「あぁ今晩やろ、もちろん知ってる」との返事(笑)。後日、番組の感想などをアップしようと思います。

投稿: T.w | 2007年5月21日 (月) 00時06分

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