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2007年5月 7日 (月)

黒鷲旗女子準決勝〜JT-パイオニア

試合になっていたのは、一進一退の攻防で8−7でJTのテクニカルタイムアウトを向かえた場面まで。中盤の手に汗握る長いラリーの場面で連続してケニー選手に決められてからは、パイオニアは防戦一方となってしまった。セット終盤に位田選手にサービスエースを決められた時には、V・プレミアのセミファイナルを見ていない私ですらもが、「これって、まさかセミファイナルラウンドのJT戦の再現?!・・・」と悪夢が頭をよぎってしまい、本当にその通りとなってしまった。

しかし、今シーズンについては、これが実力どおりの結果なのだろう。今シーズンのパイオニアは、残念ながらJTに実力で及ばなかったのだ。それが、V・プレミアリーグのセミファイナルラウンド・黒鷲旗の準決勝と、立て続けにJT相手の大一番での0−3の完敗という結果で如実に表れたのだ。

今シーズン、セリンジャー体制から吉田敏明体制になり、パイオニアのバレーは確実に変わった。何より変わったのは、事前に予想されたとおり、ブロックシステムだった。組織的バンチ・リードブロックシステムを採り入れ、リーグ開幕から試合を重ねる毎にそれは完成度を増していき、それは客観的データにもある程度反映された(今シーズンのV・プレミアリーグ、各レグ毎のブロック決定本数の推移に関してこちらを参照のこと)。さらに言えば、ブロックシステムの完成度に寄与したものとして、「データバレー」の重視が挙げられるだろう。バンチ・リードブロックシステムが機能するために、「データバレー」が果たす役割はとてつもなく大きい。

しかし、バンチ・リードブロックシステムが機能するために、「データバレー」とともにもう一つ、必要な要素がある。それは、バレーボール用語集のカテゴリにあるこの投稿で説明したように、「スパイクサーブの重要性」である。これに関して、今シーズンのパイオニアは、間違いなく昨シーズンより後退してしまった。昨シーズンに比べ、下位チームとも接戦の多かった今シーズン。もちろんフランシーやマオ・トモが抜けたという戦力的なマイナス面はあるにせよ、その接戦を勝利するにあたり、これまでのレポでも書いてきたとおり、途中から出場する機会の多かったマミ・ユミ・リエといった、控え選手達の「攻めのサーブ」が劣勢をはね返す契機となった試合が本当に多かった。メグのサーブばかりが印象が強い昨シーズンではあったが、セリンジャー監督の指示の下、レギュラー陣ほぼ全員がスパイクサーブを打つ戦略を採っていた点が目を惹いた。それが今シーズン、「データバレー」を重視するあまり、相手のレセプションフォーメーション上で狙うべき場所に着実にサーブを打つという目的のために、緩めのフローターサーブの一辺倒になってしまった。これが、お互いにプレッシャーのかかる大一番の試合にあって、相手に隙を与える一要因になってしまったことは否めない。特に今シーズンのJTのように、セッターにピタッとレセプションが返れば、両サイドの高速平行を繰り出されてしまうチーム相手には、今シーズンのパイオニアのレギュラー陣のサーブは余りにも弱すぎた。JTに一度流れを掴まれてしまうと、それをはね返すような流れを自チームのサーブから作り出すのは不可能だった。

但しこの「スパイクサーブの重要性」を軽視する傾向は、今シーズンにあってはパイオニアだけに見られたものではなく、他のチームにも共通してみられる傾向であり、実際JTもそうであった(本来強烈なスパイクサーブを打てるケニー選手や谷口選手が、こぞってシーズン中盤からスパイクサーブを封印した)。これは、男子バレーの後を着実に追いかけている世界の女子バレーの戦術の変遷からみれば、非常に憂うべき事態と言える。例えば、昨シーズンからスタートした日韓トップマッチを見ていても、韓国チームの各選手はミスを恐れずにスパイクフロートサーブ(日本で多い、いわゆるジャンピング・フローターサーブではなく、メグのサーブに近い「無回転のスパイクサーブ」)を打っている。確かに「スパイクサーブの重要性」を重視しすぎると、「短期的には」ミスによる失点が増え、目先の試合を落とす結果に繋がる可能性も高いだろう。吉田敏明・寺廻両監督とも、今シーズンについては「目先の結果」のために、このような選択をしたのだと(両監督の戦術を慕う人間としては)思いたい。

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