« 全日本女子紅白戦@枚方市立総合体育館(その1) | トップページ | ドキュメント スポーツ大陸・バボChannel#72 »

2007年5月20日 (日)

全日本女子紅白戦@枚方市立総合体育館(その2)

(その1)で書いたとおり、紅組・白組ともオポジットに配されていたのは大村・宝来両選手、即ち本来センタープレーヤー(middle blocker)であった。もちろん、この日の紅白戦は「枚方市制60周年記念バレーボールカーニバル」の中の一企画として開かれた、いわば「顔見世興行」的な側面があるわけでもあり、これだけで柳本監督が今年の全日本女子について思い描いている構想が完全にわかるわけではないだろうが、だからといって全く意味もなく適当に配列を決めたわけでもあるまい。ただの「市民サービス」と割り切って行った紅白戦なら、一番人気のメグ・カナをスタメンから外すわけはないであろうから。

本日の紅白戦で両チームのオポジットに配されていたのがセンタープレーヤー(middle blocker)であったことに、柳本監督の強い思いが込められているとするならば、今年の全日本女子は「3人センタープレーヤー」システムを敷く戦略を採る、ということになるだろう。イメージとしては、アテネオリンピックで金メダルを獲得した中国女子ナショナルチームや昨年の世界バレーでさんざん解説したドイツ女子ナショナルチーム、さらには第10回Vリーグを制したパイオニア(トモがオポジットに配されていた)を思い浮かべて頂ければいいであろう。

これは、昨シーズンまでの全日本女子の戦略の根本を揺るがす変化と言える。これまで何度も書いてきたとおり、私が女子バレーに関して昨シーズン「非国民」であった最大の理由は、「特定の個人の、特殊技術に頼った戦術・戦略」で勝とうと目論んでいた点にある。はっきり具体的に書けば「高橋みゆき・木村沙織両選手」の個人技術に頼ったシステムを作り上げ、その結果この2選手が抜けるとバレーシステムが崩壊する状況にあったこと、それが最大の問題点であり、そしてこの問題点は「特定の選手」が時代とともに変遷しながらも、長年日本の女子バレー界にずっと横たわってきた問題点なのだ。

もし今年の全日本女子が、本気で「3人センタープレーヤー」システムを敷くつもりならば、昨シーズンの全日本女子のオポジットとして欠かせない存在であった「高橋みゆき・木村沙織両選手」に決して頼らないチームを作るという、強い意志の表れと捉えてもいいかもしれない。オポジットに、特殊技術を持つ特定のユーティリティプレーヤーを配するのではなく、ハイセット(2段トス)やバックアタックをある程度打ちこなす能力を持ち合わせた長身のmiddle blockerを配する、、、それは、その能力さえこなせるならば、特定の誰かである必要はない。その候補として、ひとまずは大村・宝来の両選手が選ばれたと言っていい。そう言えば、今回の全日本女子メンバー発表の表記では、宝来選手はMB(middle blocker)ではなくWS(ウイングスパイカー)との表記がなされていたのは、その伏線だったのだろうか?

上述のことが正しいと仮定して、この日の紅白戦を見直してみる。この日、全日本メンバー20名のうち、イタリアから帰国していない高橋みゆき選手と、先日フランス・カンヌ入りが発表された井野選手、さらに杉山選手の3名が不在であり(杉山選手は結婚式直後のため?)、結果紅組・白組のセンター陣は多治見・荒木・嶋田・庄司・先野の5選手であった。そのうち、嶋田選手のみこの日は出場機会なく、これまでの全日本での彼女の状況を見ても、正直最終12名に入るのは難しいであろう。そうなると、センター陣の最終12名枠の争いは多治見・荒木・庄司・先野の各選手に、この日不在であった杉山選手を含めての争いとなるだろうが、その中で上述のことを考慮すれば、荒木選手はオポジット候補に回る可能性があるだろう。何より、今年の全日本女子メンバー選考の中で最も柳本監督の明確な意図が見えるのがセンタープレーヤーの選考である。昨年選ばれていなかったパイオニア・久光のレギュラーセンター陣をこぞって選んでいるのである。そこに杉山選手を加えても、今年の全日本女子ではこれまで以上に組織的リードブロックを徹底したい、という意図があるように思えてならない。その意味で、荒木選手はパイオニア・久光のセンター陣・杉山選手と比べると、リードブロックの技術に少し難があると言わざるを得ない。逆に、彼女の利点を活かせるのはむしろオポジットに配された時かもしれない。

この日最も会場をある意味沸かせたとも言える、櫻井選手のレフト起用だが、恐らくここに高橋みゆき選手がいれば、櫻井選手の場所に彼女が収まったはずだ。櫻井選手はもちろん本来リベロだが、彼女はこれまで過去に充分世界を相手にある程度の実績を残している上、リベロというポジションに要求される、チームメイトに的確な指示を出せる能力も間違いなく持っている(さらに、世界最先端の戦術である、ラリー中にアタックラインを確認しつつ、その手前で踏み切ってジャンプトスを上げるという能力をも持ち合わせた)選手である。その意味では、今シーズンの全日本女子のリベロとして「試されるべき」人材は(井野選手を除けば)佐野選手と菅山選手であろう。櫻井選手は「試す」という次元ではなく、そのためこの日は本来のリベロから外れて、ある意味高橋みゆき選手の「代役を務めた」のかもしれない。

そして、レフト陣。(その1)で書いたとおり、メグ・カナには「レセプション」のみに徹するという課題・試練を与えて、その能力の期待値の高い木村沙織・高橋みゆき選手と競わせる、そういう意図が見えたように思えた、この日の紅白戦であった。

以上、全て私の勝手な推測であるが、根幹部分である「特定の個人の、特殊技術に頼った戦術・戦略からの脱却」だけは、柳本監督の頭の中に間違いなく存在することを祈って止まない。

|

« 全日本女子紅白戦@枚方市立総合体育館(その1) | トップページ | ドキュメント スポーツ大陸・バボChannel#72 »

コメント

 彼の「桜井」が「リベロ使用」で無い?関心。
 …「マーヴェ」は好きだが、「かおるリベロ」は世界レベルじゃあ間違っても無い!まぁ落第。

投稿: マッチョ | 2007年5月20日 (日) 07時59分

う~ん残念ながら、栗原は右肩炎症により大事をとったというのが本音みたいですね。
たぶん大山もまだ肩が万全じゃないという事だと思う。
去年はあれだけの離脱者を出した全日本だから、今回はかなり慎重にいきたいと考えてるのかも。特にレフトは他のポジションに比べて層が薄いから・・・
まぁ、その間レセプション練習に集中的に取り組むなら、それはそれでいいけれど。

にしても、万全じゃない選手をアンダーサーブでも出そうとするパフォーマンス根性は、さすが柳本JAPANですわ。

投稿: ブッシュ | 2007年5月20日 (日) 13時57分

>ブッシュさん

こんばんわーー。

色々探ってみても、結局のところメグカナの状態はどうなのか、よくわかりませんね。一応「肩の故障」というのが表向きみたいですけど、RYU'S CAFEでも、『打たないのか、打てないのかは全くの不明です』とのことですし、先日の『ドキュメント スポーツ大陸』を見ても、大山加奈選手の肩関節のガングリオンは完全に消失していたわけですし、アンダーサーブしか打てない状況とも思えないのですが、、、(本当にそれ程の故障具合ならば、レシーブ練習すら危険だと思います)。

まぁ、でも少なくとも大村・宝来選手はオポジットとして使うつもりはあるのではないか? と思いますが。JVAのホームページにアップされた各選手のプロフィールを見ても、やはり2人はWSとなってますし。というか、そう「願いたい」です。投稿記事では書き忘れましたが、オポジットにクイッカーを配するならば、「フロントオーダー」であってもオポジットと裏レフトの「ポジション専門性から見た」不利益は生じずに済みます(だからといって、あえて「フロントオーダー」にこだわる必要はないのですが)。とあるブログで、「フロントオーダー」だから「高橋みゆき選手のオポジットは固定だ」という意見がありましたが、上述の理由で必ずしもそうとは言えないと思います。

投稿: T.w | 2007年5月27日 (日) 23時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105977/15131083

この記事へのトラックバック一覧です: 全日本女子紅白戦@枚方市立総合体育館(その2):

« 全日本女子紅白戦@枚方市立総合体育館(その1) | トップページ | ドキュメント スポーツ大陸・バボChannel#72 »