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2007年4月 2日 (月)

突然ですが男子V・プレミア、、、(「高くて早い」トスとは?)・その1

以前も紹介した、大山加奈選手の大ファンであるうちの父親であるが、大山加奈選手に至るまでに実は、好きな選手の変遷というのがあり、その昔はサントリーの奥野(元)選手、そして中垣内(元)選手に長らくハマっていた。彼が大活躍した日ソ対抗やワールドカップなどの試合のビデオを、それこそ「擦り切れるんじゃないの?!」というくらいに見狂って、完全に試合内容を覚えて、どこのタイミングで彼がスパイクを打つのかまで完全に見事に覚えて、それ以外の場面を綺麗に早送りして見ている姿を端から見て、呆れたものだった。

その父親が、中垣内(元)選手の次にお気に入りとなった選手は加藤陽一選手だった。

先週の日曜日のGAORAでは、彼が現在所属するJT対堺の試合が中継されたが、この試合は彼にとってどうやら今シーズン初のスタメン・フル出場となった試合だったようだ。彼の活躍により勝利を収めたJTだったが、その活躍の背景にあったのが同じく今シーズン初スタメンであった(正確には前日の土曜日が初スタメンであったようだが)セッターの丹山選手の「高くて早い」トスにあったという事実に、気づくファンは少ないであろう。

かなり以前から(確か、昨年のワールドグランプリの頃に「(パイオニアの)ユキのトスがフォフォンのそれにダブって見える」と書いた頃から)、ずっと書こう書こうと思いつつ、なかなか重い腰が上がらなかったわけだが、遂にこの領域に足を踏み込もうと思う。

まず、大前提としてトスされたボールは「放物線軌道を描く」(実際にはボールには大きさがあり、回転すると同時に空気抵抗もかかってくるため、完全な放物線軌道ではないはずだが、、、)ということを念頭に置く必要がある。放物線には「頂点」が存在し、放物線軌道を辿るボールは(空気抵抗を無視すると)「頂点」を通過する時に最もスピードが遅くなる。現在のバレー界にあって、世界No.1セッターと言えば、ブラジル男子ナショナルチームのリカルドであることは、揺るぎない事実であろうが、彼のトスは常に、アタッカーがスパイクヒットを行う瞬間に放物線軌道の「頂点」を通過するような軌道を描いている。(世界バレーのビデオをお持ちの方は、リプレーでしばしば映るエンド側からのカメラでの映像をよくご覧いただければ、私の言いたいことはわかって頂けると思う。)

一般に、プレー経験のない方はもちろんのことプレーヤーでも、「はやい」トスと言えば「低い」トスというイメージを漠然と描いていることが多いと思う。確かに、これまで私も「高速立体的3Dバレー」と表現してきたブラジル男子ナショナルチームのバレーを思い浮かべればわかるように、「高速」トスという印象のあるリカルドのトスは軌道が「低い」印象がある。では軌道が「高く」見えるトスは果たして「遅い」トスなのであろうか?

実は軌道が「高い」「低い」というのは、非常に曖昧な表現であって、実際にはトスが描く放物線軌道の「頂点」がどこにあるのか? ということに言及しなければ、そのトスの軌道を具体的にイメージできないはずである。セッターのセットアップ位置とアタッカーのスパイクヒットを行う位置が決まっているとして、その2点を通過するトスが描く放物線軌道は、数学的・物理学的に無数に存在するのだが、その2点に加えて「頂点」が決まれば、トスされたボールが描く放物線軌道は一つしかなくなる。「はやい」トスを上げようとした場合、セッターのセットアップ位置とアタッカーのスパイクヒットを行う位置の2点を結ぶ「直線」にトスの軌道が限りなく近い場合に「はやい」トスになるはずであり、実際Bクイックのトスはそのようなトスを上げるのが一般的である。Bクイックの場合は、セッターのセットアップ位置とアタッカーのスパイクヒットを行う位置の2点の水平距離がさほどないため、2点を結ぶほぼ「直線」に近いトスを上げることが、重力の影響を考えても(即ちトスが放物線軌道を描くという大前提があっても)可能である。しかし、例えばレフト平行を考えてみると、2点の水平距離はかなりある(5〜6mある)ため、トスが放物線軌道を描くという大前提を無視できない。2点を結ぶ「直線」に限りなく近い軌道を描くトスを上げようと思えば、トスの描く放物線軌道の「頂点」を限りなくコート外遠方に設定しなければならず、そのようなトスを実際に上げれば、アタッカーは間違いなくスパイクを上手くヒットできない。従って実際には、セッターのセットアップ位置とアタッカーのスパイクヒットを行う位置の2点を結ぶ「直線」軌道に限りなく近い軌道でトスを上げつつも、そのトスされたボールの描く放物線軌道の「頂点」はセッターとアタッカーとの間(中間付近)にあることが多く、従ってトスされたボールの描く軌道は2点を結ぶ「直線」から徐々に「下方へ」軌道がずれていくことが多い。つまり、そのようなトスでは、アタッカーのスパイクヒットを行う位置は、本来そのアタッカーが最高点で打てる高さよりも「下方へ」ずれることとなる。これは、たとえどんなに「はやい」トスであろうとも、そのアタッカー本来の持ち味を殺すトスになってしまう。

一方、トスされるボールの描く放物線軌道の「頂点」がアタッカーのスパイクヒットの位置と一致するトスは、上述のトスに比べると一見トスが「高く」見える。特に、セッターのセットアップ位置とアタッカーのスパイクヒットを行う位置の2点の間の垂直方向の距離が大きい場合、トスはかなり「高い」トスに見えるはずである(リカルドのトスが「高く」見えないのは、ブラジル男子ナショナルチームのウイングスパイカー陣、例えばジバを例に取れば、リカルドとジバの身長がほとんど変わらないために、リカルドのトスアップ位置とジバのスパイクヒットの位置が垂直方向の距離があまりないことに起因する)。しかし、このトスは勿論、アタッカーが最高点で打てるトスとなり、そのアタッカー本来の持ち味を最大限に活かすトスとなる。

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