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2007年4月22日 (日)

決勝戦〜久光製薬-JT(その2)

このまま4セット目で一気に優勝を決めてしまうか? と思われた久光だったが、JTが意地を見せる。16-15と久光リードでテクニカルタイムアウトとなるも、ケニー選手の頑張りで逆転。しかし21-22の場面で、そのケニー選手を狩野美雪選手が見事にシャットして同点。これで会場全体に久光の優勝ムードが漂ったところで、フェヘイラ選手が痛恨のサーブミスを犯して22-23。この場面で、セッターの橋本選手は、第2セット以降宝来選手に当たらなくなって決定率の高かった狩野美雪選手に頼るも、若さゆえのトスミスで22-24。もう一本狩野美雪選手に頼るも、再びトスが乱れて、ピンチブロッカーで登場していた久保選手にシャットされて22-25。決勝戦はフルセットに突入する。

向かえた第5セット、JTは頼みの谷口選手・ケニー選手に頼る単調なトス回しとなり、久光のバンチ・リードブロックシステムにワンタッチをきっちり取られる。ただ、これまで何度も書いてきたとおり、今シーズンの久光は、ワンタッチを取った後のトランジションの場面での決定力に難があり、その致命的弱点をどう克服できるか? が試される結果となったが、そこで狩野美雪選手が期待に応えてスパイクを決める。さらに、トランジションでの攻撃で決めきれない場面でも粘り強くラリーを続け、谷口選手を成田選手が、ケニー選手を先野選手がシャットして勢いに乗る。最後は実に久光らしく、成田選手のラリー中のトスアップから大村選手の速攻が決まって15-11。5年ぶり2回目の久光製薬の優勝で、2006/07 シーズンは幕を終えた。

フルセットの大熱戦であり、紙一重の勝負であったのは間違いないが、例年と異なりたった1試合で決まってしまう決勝戦の状況で、第2セット序盤での竹下選手のトスミス(敢えて、そう言わせてもらう)は、試合の流れを大きく変える、あまりにも致命的なミスだった。一方、それに対して何のコメントもないNHKの中継って、何とレベルの低いバレー中継なのだろうか! 試合自体は表向き上は白熱の決勝戦だったかもしれないが、戦術面から見れば、昨シーズンの久光対パイオニアに比して、見所は少ない試合だったと言わざるを得ない。第1セットの戦いぶりを見て、第2セットからスタートローテーションを3つ回して結果的に成功した久光に対し、所詮今シーズンのJTは自チームのペースでワンパターンのバレー(谷口選手の早いレフト平行とケニー選手の攻撃)をしているだけであって、相手チームのブロックシステムがどうだからこう攻めるとかいうような、相手チームを見てその弱点をつくなどということが出来るチームではなく、為す術がなかった。久光の選手達に試合開始早々の緊張感がなければ、恐らくは一方的な展開で終わっていただろう。寺廻監督、あなたのことは尊敬していますが、今シーズンのJTのレベルは所詮、V・プレミアリーグを制することが出来るようなレベルではありませんでしたし、逆にこのレベルで制することが出来るようでは、日本の女子バレーに未来はありません。尊敬しているからこそ、敢えて厳しく言わせてもらいます(もちろん、そんなことはご自身が一番感じてらっしゃるはずですよね?)。

久光が優勝を勝ち得た大きな要因としては、今シーズンの久光の致命的弱点であった「トランジションでの決定力の無さ」を、この試合についてはフェヘイラ・狩野美雪両選手が見事にカバーしていた点が挙げられるだろう。そして彼女達のその見事な攻撃力を引き出したのは、ベスト6にも選ばれた久光の新しい正セッターのトスにあることは言うまでもない。そう言えば、この決勝戦は、「低くて早い」トスを信条とするセッターと「高くて早い」トスを信条とするセッターの対決とも呼べる試合であった。結果は、ご存じの通りである。

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コメント

控えセッターまでが「高くて早い」トスを上げる事ができるパイオニアが、「低くて早い」トスしか上げる事ができないセッターのJTに負けたのはなぜなのでしょうね。
戦術論を語ってくれる貴重なサイトだとは思いますが、結局好き嫌いレベルの視点での分析になってしまうのは残念ですね。

投稿: ライファー | 2007年4月22日 (日) 12時04分

>ライファーさん(ギンムクさん)

御批判は真摯に受け止めさせていただきます。ただ、あくまで、個々の選手自身に対して批判をするのは本意ではなく、「世界と相対する」という観点から、日本のバレーはどう進むべきなのか? そのために選択すべき「戦術」に対して議論をしているつもりですので、好き嫌いといっても「選手個人」に向けられたものではないことは、ここで改めて断らせて頂きます。

一つ忠告させて頂きますが、一つのサイト・ブログではハンドルネームは一つに統一するのがネット上でのルールですので、その点をよくご留意のうえ、次回のコメントをお待ちしています。

投稿: T.w | 2007年4月22日 (日) 20時25分

男子決勝のコメントもお願いします。

投稿: バッキー | 2007年4月23日 (月) 15時04分

 今期の日本煙草㈱は「助っ人頼み」し過ぎた?

投稿: マッチョ | 2007年4月23日 (月) 18時34分

僕自身はパイオニアの試合を見ていないのでパイオニアの試合についてコメントはありませんが、JTと久光の試合についてはBSで見ましたので少し感想を言わさせてください。

「高くて早い」トスと「低くて早い」トスの観点から言うと両チームのセッターともに日本人に上げるトスはどちらかと言うと、「低くて早い」トスの範疇に入る気がします。「高くて早い」トスがあげられたら、もう少しレフトからのストレートスパイクが増えてもよいような気がします。両外国人選手には「高くて早い」トスが上がっていた(特に久光製薬)と思います。見ているとレフトの平行は「クロスにか打てない」トスになっている気がします。また、ライファーさんが「低くて早い」トスしかあげられない(あげていない)JTについてのコメントがありましたが、JTはライトにエースを置いているのでセンターブロッカーには極力レフトを意識させたいはずなので、「クロス」が抜けていれば「高く」ても、「低い」トスでも速さに重点を置くのは納得がいきます。

では勝敗を分けたポイントは何か?私が思うのは次の2点です。
1)谷口選手と成田選手、両外国人選手のマッチアップ
JTの頼みは谷口選手とケニー選手なので、どちらかを抑えることが久光にとって勝利につながる。両外国人選手のマッチアップについては引き分けだったかも知れないが、谷口選手と成田選手の対戦は成田選手の勝利と言ってもいいのではないか?(これにはJTの竹下選手のトスも影響しているが)成田選手はサイドのブロッカーでありながら、両チーム最多の6ブロックポイント挙げている。

2)トランジションでの精度の差
残念ながら両チームともレセプションからの決定力が低いため、トランジションに移行する場面が多い。したがってトランジションに移行した際に安定して攻撃できるチームが勝利する。

逆にJTが勝つためには何が必要だったか?と言うことになりますが、成田選手がライトのポジションにいるため、サーブの打ち方などで、簡単に「片翼飛行」に出来ると思うのですが。「片翼飛行」に攻撃を追い込んでブロックを寄せることが必要だったのではと、思うのです。ブロード攻撃はセンタープレーヤの攻撃力から考えて、さほど効果がなさそうなので。

最後になりましたが、最近の日本のバレーを見ていて痛感するのが、センタープレーヤーの技術の無さです。レシーブには目をつぶってもトスは上げられない、もっとひどいのがまともに速攻を決められないことです。センターの速攻が決まっているとセッターは相当に楽が出来ます。いくらブロックシステムが変化したとはいえ、両チームのセンタープレーヤーのスパイク決定率が4割未満では、セッターは組み立てに苦労をするはずです。コンビの中心となるセンターの速攻は重要な攻撃です。事実、男子ブラジルチームの両センターの決定率は相当に高いです(古いですがアテネ決勝の決定率は8割ほどあったはずです)。

投稿: kgcci | 2007年4月24日 (火) 00時05分

>バッキーさん

毎回謝ってばかりのような気がしますが、、、V・プレミアの男子決勝は見ておりません。黒鷲は見ると思いますので、またその時にでも、、、宜しくお願いします m(_ _)m

投稿: T.w | 2007年4月29日 (日) 20時49分

>kgcciさん

解説ありがとうございます!
マッチアップに関しては、投稿で書いたとおり、全くもって同意見です。昨シーズンは久光が絶対的なエースのケニア選手がいたことで、彼女が前衛レフトの位置からスタートすることがほとんどだったのに対して、パイオニアがそれを逆手にとってスタートローテーションを決めて、それが決勝の勝敗を分ける重要なポイントとなりましたが、今シーズンは同じことを今度はJTに対して久光がやり返したような形でした。

トランジションからの決定力については、恐らくシーズンを通じてはJTの方が高かったように思います。だからこそ、今シーズンの久光の生命線は「鉄壁のレセプション」にあったはずで、落合選手よりも狩野美雪選手をスタメンで使う最大の理由はそこにあったはずなのです。ところが、この試合に限ると(というか、リーグ終盤から決勝戦にかけて)狩野美雪選手がトランジションからの攻撃でも大黒柱の活躍をしていたと思います。リーグ中盤までは彼女の攻撃力では限界があるように思いましたが、決勝戦では落合選手と遜色ない活躍を前衛でも後衛でもみせていました。kgcciさんが仰るとおり、成田選手がオポジットに配されていて、かつ彼女がトランジションでセッターの役目を果たすので、シーズン中は容易に「片翼飛行」に陥っていたのですが、狩野美雪選手が後衛ライトからバックアタックに積極的に参加するようになって、状況は変わりました。さらに決勝戦ではブロックでも活躍しました。正直、彼女がここまでの活躍を見せると、落合選手の居場所は難しくなったと言わざるを得ないですね。

センタープレーヤーのレベルの低さについても、全くもって同感です。今シーズンのV・プレミアリーグは、男子も実は、アタック決定率のベスト10の中にセンタープレーヤーがわずか2人(!)しかランクインしていません。といっても、決定率が低いのではなく、どのチームもセンタープレーヤーの打数が規定打数に達していないのです。日本のブロックレベルを考えても、センターにトスを上げられない状況って、非常に嘆かわしいと言わざるを得ませんね。

投稿: T.w | 2007年4月29日 (日) 21時50分

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