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2007年2月28日 (水)

京都府立体育館観戦三昧(その3・日立佐和-パイオニア)

日立佐和もシーガルズ同様、基本的にマンツーマンコミットブロックシステムを敷くチームである。従って、基本的にアタッカーとブロッカーの「1対1」の戦いとなる。

第1セット、日立佐和のセンター飯田選手にユウの攻撃が封じられる。レオ・リーの両サイドの攻撃でサイドアウトを取って、セット序盤は一進一退の攻防となるが、中盤に入るとレセプション後のパイオニアの両サイドからの攻撃に対してコミットブロックでコースを抜かれたボールに対して、日立佐和の見事なディグが炸裂して長いラリーに持ち込まれ、しびれを切らしたパイオニアのスパイカー陣にミスが目立ち始め、じりじりと点差が広がる。一方、日立佐和のレセプションは終始完璧で、パイオニアは一発でサイドアウトを取られてしまい、ユキとマミ・リーとユミの2枚替えも機能せず、なかなか点差が縮まらない。終盤に少し追い上げるも25-20で日立佐和が先取。

第2セットも同様の展開。吉田敏明監督は、サーブで狙われてレセプションを崩され、ライト攻撃で相手レシーブ陣に拾われまいと「きれいに」決めようと意識し過ぎてサイドラインを割ったリーをマミに交代させ、第1セットからほとんど決まっていなかったメグもマイに交代させるが、日立佐和に傾いた流れは変えられず、25-21で日立佐和が連取。

このパターンはどこかで見たパターン、、、そう、去年の黒鷲旗の準々決勝で日立佐和にストレート負けしたときと同じパターンだ。前日シーガルズにやられた久光とも同じパターンである。しかし、このままの試合の流れで最後までいってしまうような雰囲気は感じられなかった。なぜならこの第2セットに見せた吉田敏明監督の采配の中に、試合の流れが変わりうる要素が見られたからである。

第2セット途中、メグに代えて投入されたマイが、レフト平行ではなくBセミを見せて、日立佐和の2枚ブロックの間を見事に抜いて見せた。実は彼女の出場は、第3セットの序盤までの僅かな間だけであったのだが、その僅かな時間も、吉田敏明監督にとってみれば、日立佐和のブロックシステムを切り崩す攻撃システムが、両サイドのアンテナいっぱいの平行ではなく、センター付近での時間差攻撃にあることを確信するに充分な時間であったと思われる。第3セットに入り、ユキはレフト平行よりもBセミを多用し始める。吉田敏明監督はさらに、第3セットからスタートローテーションも回してきた。その意図はセット序盤にはわからなかったのだが、セット中盤になり、マミのサーブに崩され始める日立佐和の姿を見て、日立佐和のローテーション上の「致命的欠陥」が露呈した! 日立佐和を生で見るのは、今シーズン初めてであったために初めてここで気づいたが、今シーズンの日立佐和で攻撃面での大黒柱となっている松尾選手がどうやらレセプションを苦手にしているらしく、彼女はサーブを打ち終わった直後のレセプションの場面では、彼女がリベロと交代している。このローテーションで前衛はアタッカー2枚(この日のスタメンではレフトの菅原選手とセンターの嶋田選手)であり、後衛が飯田・斎藤・松尾の3選手なのだが、そこで松尾選手とリベロが交代するため、後衛にレセプションを行わないセンターの飯田選手がコート上に残らざるを得ないのだ。だからと言って飯田選手はバックアタックを打つわけでもなく、一方の前衛アタッカーは上述の2枚であり、正直このローテーションでレセプションが乱れると、ローテーションが回らない可能性が高いのだ! このローテーションに、今シーズンこれまでの試合でもピンチサーバーとして活躍してきたマミのサーブが当たれば、、、吉田敏明監督がスタートローテーションを回した意図は、どうやらここにあったらしい。途端にパイオニアのブロックシステムが機能し始め、アサコ・ユウのブロックシャットが炸裂する。日立佐和のコート上の選手達の顔から、余裕の笑顔があっという間に消え、一気に形勢は逆転し、25-18でパイオニアが取り返す。

第4セットに入り、レオが徹底してBセミを打つと、日立佐和のブロックシステムは全く機能しなくなる。試合序盤は完全に封じ込まれていたパイオニアのセンター陣の攻撃も機能するようになり、さらにこの日の「ヒロイン」であるマミが連続してスパイクを決めて、パイオニアの一方的ペースとなり、全くスパイクが決まらずに途中マイに代えられていたメグまでもがスパイクを決め始める。25-18でパイオニアが連取して、2日連続のフルセットへ。

第5セットが始まる前、勝負は日立佐和のスタートローテーションでほぼ決まる、と言ってよい状況だった。3・4セット目はマミのサーブが回って来さえすれば、大量得点が確実にパイオニアに入ると誰もが思える程の日立佐和の崩れようだったのだ。それにもかかわらず、日立佐和のスタートローテーションが、1〜4セット目と全く変わっていないのを見て、私はパイオニアの勝利を確信した。結果は皆さんご存じの通り、15-5でパイオニアの圧勝であった。

もちろん、途中出場となったマミのサーブ・スパイクでの活躍が勝利を呼び込んだのは間違いない。しかし、前日の久光の戦いぶりとは全く異なり、コミットブロックシステムを敷く相手チームに対して、自チームの攻撃システムが機能していないことが判明した場合に、冷静に攻撃システムを切り替えることに成功したパイオニアの「調整能力」こそが、この日の勝利の最も重要なポイントだったと言える。それがなければ、たとえマミが同じ活躍を見せたとしても、ここまで一方的な展開にはならなかったであろう。さらに言えば、マミはリーとは異なり、レセプションには参加しない、いわば「スーパーエース」である。彼女をスタメンで使っても特に支障とならないパイオニアのレセプションシステム、、、これは、男子バレーの戦術で当たり前の「世界標準」システムである、リベロと両レフトの3枚でレセプションを行う「3枚レセプションシステム」を採用して、チーム強化を図っていることの表れである。一方、あれだけ特定のレセプションフォーメーションで連続失点を繰り返していながら、スタートローテーションを回せない日立佐和の現状は、ここ最近の日本の女子バレー界が抱え続ける問題点が集約された「縮図」のようにも映った、、、レシーブを信条としてチームを強化していながら、結局はチームで一番攻撃力のある大型のレフトの選手を前衛レフトからスタートしなければ勝てない現実があり、そしてその選手は大抵レセプションが出来ない選手なのである、、、。日立佐和がスタートローテーションを回せなかった理由は、これ以外に考えられない。

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