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2007年2月28日 (水)

京都府立体育館観戦三昧(その3・日立佐和-パイオニア)

日立佐和もシーガルズ同様、基本的にマンツーマンコミットブロックシステムを敷くチームである。従って、基本的にアタッカーとブロッカーの「1対1」の戦いとなる。

第1セット、日立佐和のセンター飯田選手にユウの攻撃が封じられる。レオ・リーの両サイドの攻撃でサイドアウトを取って、セット序盤は一進一退の攻防となるが、中盤に入るとレセプション後のパイオニアの両サイドからの攻撃に対してコミットブロックでコースを抜かれたボールに対して、日立佐和の見事なディグが炸裂して長いラリーに持ち込まれ、しびれを切らしたパイオニアのスパイカー陣にミスが目立ち始め、じりじりと点差が広がる。一方、日立佐和のレセプションは終始完璧で、パイオニアは一発でサイドアウトを取られてしまい、ユキとマミ・リーとユミの2枚替えも機能せず、なかなか点差が縮まらない。終盤に少し追い上げるも25-20で日立佐和が先取。

第2セットも同様の展開。吉田敏明監督は、サーブで狙われてレセプションを崩され、ライト攻撃で相手レシーブ陣に拾われまいと「きれいに」決めようと意識し過ぎてサイドラインを割ったリーをマミに交代させ、第1セットからほとんど決まっていなかったメグもマイに交代させるが、日立佐和に傾いた流れは変えられず、25-21で日立佐和が連取。

このパターンはどこかで見たパターン、、、そう、去年の黒鷲旗の準々決勝で日立佐和にストレート負けしたときと同じパターンだ。前日シーガルズにやられた久光とも同じパターンである。しかし、このままの試合の流れで最後までいってしまうような雰囲気は感じられなかった。なぜならこの第2セットに見せた吉田敏明監督の采配の中に、試合の流れが変わりうる要素が見られたからである。

第2セット途中、メグに代えて投入されたマイが、レフト平行ではなくBセミを見せて、日立佐和の2枚ブロックの間を見事に抜いて見せた。実は彼女の出場は、第3セットの序盤までの僅かな間だけであったのだが、その僅かな時間も、吉田敏明監督にとってみれば、日立佐和のブロックシステムを切り崩す攻撃システムが、両サイドのアンテナいっぱいの平行ではなく、センター付近での時間差攻撃にあることを確信するに充分な時間であったと思われる。第3セットに入り、ユキはレフト平行よりもBセミを多用し始める。吉田敏明監督はさらに、第3セットからスタートローテーションも回してきた。その意図はセット序盤にはわからなかったのだが、セット中盤になり、マミのサーブに崩され始める日立佐和の姿を見て、日立佐和のローテーション上の「致命的欠陥」が露呈した! 日立佐和を生で見るのは、今シーズン初めてであったために初めてここで気づいたが、今シーズンの日立佐和で攻撃面での大黒柱となっている松尾選手がどうやらレセプションを苦手にしているらしく、彼女はサーブを打ち終わった直後のレセプションの場面では、彼女がリベロと交代している。このローテーションで前衛はアタッカー2枚(この日のスタメンではレフトの菅原選手とセンターの嶋田選手)であり、後衛が飯田・斎藤・松尾の3選手なのだが、そこで松尾選手とリベロが交代するため、後衛にレセプションを行わないセンターの飯田選手がコート上に残らざるを得ないのだ。だからと言って飯田選手はバックアタックを打つわけでもなく、一方の前衛アタッカーは上述の2枚であり、正直このローテーションでレセプションが乱れると、ローテーションが回らない可能性が高いのだ! このローテーションに、今シーズンこれまでの試合でもピンチサーバーとして活躍してきたマミのサーブが当たれば、、、吉田敏明監督がスタートローテーションを回した意図は、どうやらここにあったらしい。途端にパイオニアのブロックシステムが機能し始め、アサコ・ユウのブロックシャットが炸裂する。日立佐和のコート上の選手達の顔から、余裕の笑顔があっという間に消え、一気に形勢は逆転し、25-18でパイオニアが取り返す。

第4セットに入り、レオが徹底してBセミを打つと、日立佐和のブロックシステムは全く機能しなくなる。試合序盤は完全に封じ込まれていたパイオニアのセンター陣の攻撃も機能するようになり、さらにこの日の「ヒロイン」であるマミが連続してスパイクを決めて、パイオニアの一方的ペースとなり、全くスパイクが決まらずに途中マイに代えられていたメグまでもがスパイクを決め始める。25-18でパイオニアが連取して、2日連続のフルセットへ。

第5セットが始まる前、勝負は日立佐和のスタートローテーションでほぼ決まる、と言ってよい状況だった。3・4セット目はマミのサーブが回って来さえすれば、大量得点が確実にパイオニアに入ると誰もが思える程の日立佐和の崩れようだったのだ。それにもかかわらず、日立佐和のスタートローテーションが、1〜4セット目と全く変わっていないのを見て、私はパイオニアの勝利を確信した。結果は皆さんご存じの通り、15-5でパイオニアの圧勝であった。

もちろん、途中出場となったマミのサーブ・スパイクでの活躍が勝利を呼び込んだのは間違いない。しかし、前日の久光の戦いぶりとは全く異なり、コミットブロックシステムを敷く相手チームに対して、自チームの攻撃システムが機能していないことが判明した場合に、冷静に攻撃システムを切り替えることに成功したパイオニアの「調整能力」こそが、この日の勝利の最も重要なポイントだったと言える。それがなければ、たとえマミが同じ活躍を見せたとしても、ここまで一方的な展開にはならなかったであろう。さらに言えば、マミはリーとは異なり、レセプションには参加しない、いわば「スーパーエース」である。彼女をスタメンで使っても特に支障とならないパイオニアのレセプションシステム、、、これは、男子バレーの戦術で当たり前の「世界標準」システムである、リベロと両レフトの3枚でレセプションを行う「3枚レセプションシステム」を採用して、チーム強化を図っていることの表れである。一方、あれだけ特定のレセプションフォーメーションで連続失点を繰り返していながら、スタートローテーションを回せない日立佐和の現状は、ここ最近の日本の女子バレー界が抱え続ける問題点が集約された「縮図」のようにも映った、、、レシーブを信条としてチームを強化していながら、結局はチームで一番攻撃力のある大型のレフトの選手を前衛レフトからスタートしなければ勝てない現実があり、そしてその選手は大抵レセプションが出来ない選手なのである、、、。日立佐和がスタートローテーションを回せなかった理由は、これ以外に考えられない。

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2007年2月26日 (月)

京都府立体育館観戦三昧(その2・シーガルズ-久光製薬)

シーガルズは、基本的にマンツーマンコミットブロックシステムを採るチームであり、相手チームの前衛アタッカーが3枚の場面では、それぞれのブロッカーが相手チームのアタッカー3枚に対して「1対1」の勝負を挑む。しかし、相手チームのレセプションやディグが多少乱れて、トスが上がる場所がある程度絞られた場合には、センターブロッカーはそのトスが上がる可能性が高い場所に対して「デディケート」を行うし、相手チームの前衛アタッカーが2枚の場面では、当然ブロッカー3枚で「デディケート」を行う。「デディケート」というと、"レゼンデバレー"としてまとめたブラジル男子ナショナルチームのブロックシステムを思い浮かべる方も多いかもしれないが(そんなの、ここを真面目に覗いている人だけか?!(爆))、この「デディケート」はあくまで「コミット」ブロックシステムを「デディケート」して行うだけであり、ブラジル男子ナショナルチームのブロックシステムとは全く異なる。

この日のシーガルズは、久光の前衛アタッカーが3枚の場面で、敢えてオポジットの成田選手へのマークを甘くして、先野選手の速攻に2枚ブロックをコミットでつけた。セット前半は地力に勝る久光にリードされるも、フェヘイラ選手のレフトからの強打を見事なディグで繋いでラリーに持ち込むと、トランジションでの決定力に問題のある今シーズンの久光は、当然先野選手の速攻に頼らざるを得ないわけだが、そこで上述の戦略が見事に功を奏し、彼女の速攻をも封じ込めて、一発で決めさせない。すると真鍋監督は、シーガルズに拾い負けてはいけないと考えたのか? スタメンの落合選手を第1セット早々から狩野選手へと交代させる。しかし、これが裏目。トランジションでオポジットの成田選手がトスを上げるシステムを採る久光としては、落合選手がいなくなるとラリー中の攻撃がさらに単調になるだけ。結局フェヘイラ選手のレフト攻撃に頼らざるを得なくなり、それを見越したシーガルズレシーブ陣の思うつぼ。打っても打ってもレシーブされ、トランジションでシーガルズ「お家芸」の両センター(森・山口両選手)の早いライト攻撃を見せられて、フェヘイラ選手は精神的にキレてしまう。セット終盤で逆転されるパターンが続いて、久光は2セットを落とす。

第3セット途中で、真鍋監督はピンチサーバーとして先野選手に代えた徳川選手を、そのまま前衛でもプレーさせ、リズムを変えようとする。シーガルズのレセプションの乱れもあって、何とか久光が第3セットを取り返す。

第4セット、真鍋監督はそのまま徳川選手でスタート。しかし、彼女の攻撃で何かが変わるはずもなく、セット序盤から第1・第2セットと同じパターンで完全にシーガルズの一方的ペースとなり、25-12。久光は遂に首位陥落となった。

シーガルズの組織的ブロックと、それに連動するレシーブシステム、そこでの正確なディグからのトランジションで見せた「お家芸」の攻撃・・・シーガルズが目指すバレーシステムが見事にはまった試合だったと言えるが、勝敗の決め手となったのは、久光の攻撃システムの組み立てがあまりにもワンパターンすぎたことにあると言ってよい。シーガルズのマンツーマンコミットブロックシステムに対して自チームの攻撃システムが通用していないのが明らかであったにもかかわらず、なぜセンター付近での時間差攻撃を中心とした攻撃システムに組み立てを変えなかったのか?? 新セッターの橋本選手の経験のなさは仕方ないにしても、ベンチからそういった指示を出すなり、セッターを渡辺選手に代えるなりするチャンスは、4セットの間に何回もあったはずだ。もちろん、シーズン当初から指摘しているように、オポジットの成田選手がトランジションでセッターの役割をするシステムを敷いていること、落合選手に代わって狩野選手がコート上にいることが多いことが、攻撃システムの組み立てのワンパターン化、惹いてはトランジションでの決定力のなさに拍車をかけているのも間違いない。

やはり、今シーズンの久光には致命的弱点があると確信を持ったが、一方でこの試合の展開が、翌日の同じ場所での第1試合の伏線となることまでは、この時点では予想も出来なかった、、、。

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京都府立体育館観戦三昧(その1・JT-パイオニア)

第1セット、先にバンチ・リードブロックシステムが機能したのはJT。レオのパイプに3枚ブロックが揃って、見事にシャットし、試合の主導権を握る。そこでセッターの河村選手が、普段打数の少ないセンター陣にある程度トスを回して、両センター(江藤・宝来両選手)がプッシュでパイオニアのコート中央に落とす。そのためパイオニアのブロック陣は的が絞れず。セット中盤で2枚替え(ユキとマイ・リーとユミ)を見せるも、マイがJTのブロックの餌食にあって失敗に終わる。セット終盤に追い上げたものの、終始JTの一方的ペースで25-23とJTが先取。

その流れのまま、第2セット序盤も4-1とJTがリード。しかし、吉田監督の指示を受けてか、JTの前衛アタッカーが2枚の場面で、冷静に前衛レフト(谷口・高木両選手)を狙い始めて両サイドの高速平行をなくすと、途端に今度はパイオニアのバンチ・リードブロックシステムが機能し始め、セット中盤で逆転。第1セットの失敗を受けて、このセットはマイの代わりにマミを使って2枚替えを行い、マミが見事なスパイクでの活躍を見せて、第1セットとはまるで逆の流れとなり、パイオニアの完勝ペース。セット終盤に寺廻監督が、河村選手に代えて竹下選手を投入すると、会場からは割れんばかりの歓声が上がり、その会場の盛り上がりに乗って彼女が見事なディグを見せて、JTが追い上げ体制に入ったが時すでに遅く、25-22でパイオニアが取り返す。

第3セットはJTは竹下選手がセッターでスタート。しかし、そのせいでJTはセンター陣へのトスが極端に減り、第2セット中盤から機能し始めた(ワンタッチを取り始めた)パイオニアのブロックが、このセットは「ブロックシャット」という結果で表れて、パイオニアの一方的ペースとなる。JTはいつものトランジションでのボロが顔を出し、江藤選手が2段トスをトスミスして久保選手に交代させられる。25-17でパイオニアが2セット連取。

第4セット、JTは江藤選手に代わって久保選手・高木選手に代わって位田選手でスタート。こうなるといよいよ両サイドの攻撃のオンパレードとなったが、谷口選手が獅子奮迅の活躍。それでパイオニアのブロック陣がスプレッド気味となったところで、ケニー選手のパイプ攻撃に対してのブロックマークが甘くなり、彼女がきっちり決めてJTが勢いを取り戻す。最後はユウがシャットされて16-25。3位タイで並ぶ両チームの対戦は、フルセットに持ち込まれる。

第5セット、大事な出足でメグのサービスエースが出て、パイオニアが一歩リードしながら一進一退の攻防が繰り広げられる。しかし、コートチェンジの後、メグのライト攻撃を位田選手がシャットして10-8とJTがリードし、流れを掴みかける。ここで吉田監督がタイムアウトを要求。JTリードのままセット終盤となり、レオへの2段トスに頼りたくなるはずのトランジションの場面で、ユキは敢えて冷静にリーのライト攻撃を選択して、JTのブロック陣の的を絞らせない。結果、リーが見事にスパイクを決める。ユウに代えてピンチサーバーにリエが投入され、彼女が谷口選手を徹底的にサーブで狙い、竹下選手はケニー選手のバックセミを選択。ここで、スプレッド気味となっていたパイオニアのブロック陣は、きちんと修正してレオ・アサコの2枚が揃って、見事にアサコがシャットを連発して逆転。マッチポイントの場面でそれまで敢えてトスを上げなかったレオに最後は2段トスを上げて、それを彼女がきっちり決め、15-12でパイオニアのフルセット勝ちとなった。

フルセットの終盤の大事な場面で、敢えて相手チームのバンチ・リードブロックシステムの弱点をつくトス回しを徹底したパイオニアのセッターと、スーパーエースに頼り切ったトス回しをしてしまったJTのセッターの差が明暗を分けた試合だった。

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2007年2月19日 (月)

小野市総合体育館観戦記〜パイオニア-久光製薬(その2)

第3セット、そのメグのスパイクサーブの勢いに気持ちで押されたのか、久光のレセプションが乱れ始め、ユキやユウのフローターサーブでサービスエースを取られる。それでも両サイドのウィングスパイカー陣は決定率が高いものの、久光が今シーズン劣勢の場面では「頼みの」センター陣、特に先野選手の速攻に対してユウのブロックが機能して、シャットは取れないまでも抜けてきたボールをガッツが見事なディグを見せて、一発でコートに落とさせない。ファインレシーブで繋いだ2段トスをメグが見事に決めて、勢いに乗ったパイオニアが25-22でものにする。

追い込まれた久光は、スタートローテーションを一つ戻して第4セットスタート。恐らくそれは、メグのサーブの際に、成田選手がレセプションから外れざるを得ないローテーションは避けたかったからであろう。一方パイオニアは、それまでいいように決められていたフェヘイラ選手を潰しにかかって、レオをライトブロッカーにつかせて、ユウが見事にシャット。メグのサーブでパイオニアはさらに勢いに乗り、久光は「頼みの」先野選手がセット終盤にユウと交代したウィズにシャットされて勝負あり。最後はレオが決めて、25-20。

両チームのスパイク決定率は、パイオニアが50.4%・久光が48.9%と男子の試合並み。バンチ・リードブロックシステムは当然として、一方がブロックチェンジを行えばもう一方がそれを見てトスを上げる場所を変えるなど、両チームとも細かい戦略を企てながら、試合の流れが両チームの間を行ったり来たりする中で、各セットの勝負所で強気の「攻めの」サーブが打てるかどうか? が勝敗を分けた、まさに「男子レベル」の試合だった。

その中で、メグのスパイクサーブが遂に目覚めた! 第4セット終盤に彼女のサーブが回ってきた場面、会場は異様な雰囲気に包まれ、久光のコート上の選手達は、何とも言えないプレッシャーを感じているのがひしひしと伝わってきた。この異様な雰囲気はまさに、昨シーズンの決勝戦以来である。試合開始前の練習中、シーズン当初に履いていた特注(と思われる)黒いシューズでなく、チームメイトと同じシューズを履く彼女の姿を見て、何か予感めいたものを感じた。試合が進むにつれて、彼女のサーブを打つ瞬間の「ミート」が昨シーズンのそれにどんどん近づくのを目の当たりにして、身震いすら覚えた(この試合の1本目のサービスエースは、「ミート」の瞬間に私はサービスエースを確信した!)。今シーズン、吉田監督の指揮の下、組織的リードブロックシステムを採り入れているパイオニア。その戦略のために、昨シーズンのような全員がスパイクサーブを打つ、という戦略は採らずに、データバレー通りに狙った場所に確実に打つサーブが増えており、それはある程度機能しているのは間違いない。しかし、それで各セット20点以降の競り合いに持ち込んだ場面で、そのセットを奪うために本当に必要なのは、やはり「勝負所で渾身のスパイクサーブが打てるかどうか?」なのである。今シーズンのパイオニアに足らないもの、それはまさにこれであった。メグの本来のスパイクサーブが目覚めた今こそ、本来のパイオニアの力を発揮するチャンスである。

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2007年2月18日 (日)

小野市総合体育館観戦記〜パイオニア-久光製薬(その1)

当直明けの強行スケジュールで、車で小野へ向かった。若干無茶かな? と思わないこともなかったが、出かけた甲斐があった試合だった。

第1セット、スタートローテーションは昨シーズンの決勝戦でパイオニアが成功したマッチアップの形。即ち、メグのサーブの際に、久光は後衛センターがセッターの橋本選手となる形。このローテーションで、オポジットの成田選手がレセプションフォーメーションから外れられない(女子型(オポジット=ユーティリティープレーヤー型)のレセプションフォーメーション)ことが、勝敗の決定的分かれ目となったことは何度も説明済みだが、遂に(!)真鍋監督はそのローテーションで、成田選手をレセプションから外すフォーメーション(男子型(オポジット=スーパーエース型))を敷いてきた。
それは恐らく、今シーズンのメグのサーブの威力が昨シーズン程でないことと、今シーズンの久光のここまでのレセプション成功率の高さからくる自信が、真鍋監督にその決断を下させたのであろう。実際、試合序盤はその決断が正しいかのように、レセプションから成田選手の高速ライト平行が繰り出されて見事にパイオニアコートに突き刺さった。
その成田選手の攻撃に代表されるように、お互いに相手チームのバンチ・リードブロックシステムを切り崩すべく、両サイドの早い攻撃にセンター陣の早い速攻とパイプ攻撃を絡めるコンビネーションで、まさに男子バレーレベルのサイドアウトの応酬。その流れの中で、バンチ・リードブロックシステムが機能してブロックシャットが生まれたチームがリードを取る展開。8点まではユウのブロックが出たパイオニアがリードし、16点までは逆にレオを止めた久光がリードしてテクニカルタイムアウト。終盤に差し掛かり、ピンチサーバーで出た徳川選手がサービスエースを決めて21-18と久光がリード。ここでパイオニアの吉田監督は、前衛だったユウをウィズに代える。久光リードのままゲームは進み、パイオニアは更なる作戦として2枚替え(ユキとマイ・リーとユミ)を繰り出す。それによりパイオニアの前衛はマイ・アサコ・レオの3枚、対する久光は前衛アタッカー2枚(フェヘイラ・大村両選手)であり、このレセプションローテーションでは久光の攻撃にバックアタックはなく、レフト側2枚の攻撃のみとなる。それを見越して、パイオニアはレオをライトブロッカーとして跳ばせる戦略に出て、それによって確実にワンタッチを取り、トランジションでマイの高速レフト平行で切り返す形で点数を稼いで追い上げ体制に入ってジュースに持ち込む。ジュースの攻防の中でウィズがフェヘイラ選手のパイプ攻撃をシャットして流れを掴んだパイオニアが27-25で第1セットを先取する。

第2セット、セット終盤の重大な場面で、第1セット同様の戦略に出た吉田監督。上述のローテーションから両チームとも一つ回ったローテーション、即ちパイオニアの前衛がメグ・マイ・アサコの3枚、久光が前衛アタッカー2枚(落合・大村両選手)の場面でも、同じくメグをライトブロッカーとして跳ばせる戦略を採ったが、ここは久光の新セッター橋本選手が冷静に相手ブロッカーのポジショニングを確認し、徹底してマイの前から、即ちフェヘイラ選手のライトからのバックアタックを連続して使い、パイオニアに得点を稼がせなかった。最後はメグのレセプションが乱れて、25-21で久光が取り返す。
しかし、このセットぐらいから、遂に(!)眠れる獅子が目を覚まし始める、、、。昨シーズン、各チームの名だたるレセプションの名手をあれだけ苦しめた、あのメグのスパイクサーブが!

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2007年2月15日 (木)

東京体育館(テレビ)観戦記(その3・パイオニア - 東レ)

前回、京都府立体育館での対戦では、東レが前衛アタッカー2枚の場面でもバックアタックが使えないことを見越して、徹底して前衛レフトのアタッカーを緩いサーブで狙ってアンテナ近くからの攻撃をさせないように持ち込んだ上で、見事なバンチ・リードブロックシステムを展開した。今回も第1セット序盤は全く同様の戦略を敷き(従って、スタートローテーションも前回と同じ)、試合の主導権を握ろうとしたパイオニアであったが、同じ展開にはなるまいとこの日の東レは、苦し紛れにでも両センター(西脇・荒木選手)のライト方向アンテナ近くへワン・レッグ攻撃を意識して使い、中盤まで離されそうで離されない。しかし終盤に差し掛かって、その前衛アタッカー2枚の場面での西脇選手のライトへのワン・レッグをレオがほぼ1枚で完璧にシャットして18-15となった場面で、菅野監督はたまらずセッターを大山未希選手から中道選手に交代させる。パイオニアの連続サーブミスもあって20-18となり、そこでパイオニアはリーとユミ・ユキとユウの2枚替え。直後にユミのサービスエースで21-18。パイオニアの前衛は2枚替えのお陰でレオ・アサコ・ユウの高い3枚で、万全の体制と思われた矢先、サービスエースのせいもあって少し気が緩んだのか? 芝田選手の中央攻撃に対して1枚ブロックになってしまい、あっさりと決められてしまう。さらに、このあと22-22での終盤の大事な攻防で、東レは前衛に159cmの中道選手が回ってくる苦しいローテーションとなったにもかかわらず、パイオニアは彼女の前からきちんと攻撃を仕掛けられずにラリーに持ち込まれ、23-25で第1セットを落としてしまう。パイオニアとしては、やはり2枚替えの場面での気の緩みが痛かった。きちんと戦略通りに展開させられていた第1セットを、結果的に終盤で東レにさらわれた形であるから。

逆に若い東レにとっては、勢いを与えてしまう結果に繋がり、第2セットいきなり6連続得点を東レに与える羽目になる。中盤から何とか気持ちを立て直し、徐々に追い上げると佐藤選手のスパイクミス、続いて芝田選手の中央攻撃にはきちんとバンチ・リードブロックシステムが機能してシャットし、16-17の1点差まで詰めよる。東レは2枚替えを行って、前衛アタッカー2枚の場面をなくして逃げ切りをはかり、19-22と再び点差が開くも、レオが連続で決めてついに22-22の同点に追いつく。直後東レは木村選手の中央攻撃に頼るも、当然パイオニアは待ってましたと3枚ブロック。ところが、それを彼女が逃げずに外へはじき出して22-23。続いて佐藤選手がブロックを怖がらずにレフト攻撃をインナーへ打ち込み、その気持ちが本来アウトボールだったはずのボールをレオの体に当たる結果に繋がり22-24。最後も佐藤選手が決めて23-25で、このセットもパイオニアは落とす。

第3セットに入り、東レのブロックがスプレッドに「ばらけ」始めたのをついて、ユキはメグのパイプを多用し始める(第1セットはライトからのバックアタックを基本にしていた)。それで主導権を握ったパイオニアが終始リードを保ち、第1セット中盤にレオにシャットされて以来機能しなくなった西脇選手に代わって出ていた富田選手を、今度はアサコがリードブロックでBクイックをシャットして15-9。再び東レは、富田選手から西脇選手に戻さざるを得なくなり、気持ち的にも追いつめられる。メグが2段トスを超インナーへ見事に決めて17-10。このセットは決まったか? と思われたが、またその気の緩みが命取りとなったのか、あるいは2セットを連取したことでこの日は冷静さを失わなかった東レの選手達(特に木村選手)を褒めるべきか、冷静に攻撃では背の低いユキのストレート側へのブロックアウトを徹底して狙い、徐々にパイオニアの選手達の苛立ちを誘って、連続得点。ついに20-21と逆転してしまう。吉田監督はウィズに代えてユウを出すも、タイミングが大分遅かった印象で、勢いに乗ったら強い「若さ」に敵わず、最後も連続で木村選手にストレートを狙われて21-25。前回の雪辱を果たされ、パイオニアのストレート負けとなった。

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2007年2月12日 (月)

東京体育館(テレビ)観戦記(その2)

続いて、久光と併走する武富士。

開幕当初、配列について恐らく試行錯誤の段階だろうと書いたが、第2Legに入り、石原監督はやはり配列を変えてきた。エステス選手と足立選手の表裏を入れ替えたのだ。

この意図するところは、本当のところまではもちろん私にはわからない。戦術論的に推測すれば、以前にも説明したとおり、バックオーダーが主流の現在のバレー戦術では、両レフトのうちライトからの攻撃が得意な選手を表レフトに配することが多い。さらに、両レフトのタイプが明らかに異なる、即ち片方がどちらかと言えばテクニシャンタイプでもう片方が大砲型の場合は、大砲型を裏レフトに配してバックアタックを打たせる戦略がある(裏レフトの方が、セッターが前衛即ち前衛アタッカーが2枚の、攻撃が弱い場面で後衛に位置する機会が多いため)。今シーズンの武富士は開幕当初は、後者の戦略を意図してエステス選手を裏レフトに配したのかもしれないし、あるいは明らかに練習不足と思われる彼女に、いきなりライトから打たせる負担を背負わせたくなかったのかもしれない。しかし結果的に東京体育館でのJT戦を見ると、彼女が前衛ライトに位置する(オポジットの吉澤選手が前衛レフトに位置する)ローテーションにおいては、彼女がネット際に構えてレセプションから外れていることが多く、そのまま結局レフトからオープントスを打っているケースが多かったため、決して彼女が前衛ライトでプレーする機会はさほど見られず、上述の戦術論的観点で「表裏」を入れ替えたわけではないようだ。もう一つの可能性として、開幕当初に見られた弱点であった、オポジットの吉澤選手が前衛センターでのローテーションでのレセプションの場面で、レセプションを苦手とする足立選手がレセプションに参加しなければならなくなっていた点を、両レフトの「表裏」を入れ替えることでエステス選手にレセプションを任せるという意味合いがあるのかもしれない。

具体的には指摘できないが、開幕当初には何か「違和感」を覚えた今シーズンの武富士の「配列」だが、少なくとも足立選手とエステス選手を入れ替えたことで、「スムーズになった」印象はある。その「配列」操作が果たして功を奏しているのかどうかの評価として、今日の久光との首位攻防第2ラウンドが一つの試金石になるかもしれない。

ただし、昨シーズン見られた武富士の「強み」であったはずの、レフトへの早い平行とライトからのハニーフの高さのある攻撃、という「両サイド」を意識させる2種類の攻撃パターンが影を潜め、足立選手にしろエステス選手にしろ、すっかり「レフトサイドからの攻撃のみ」になってしまった感は否めない。吉澤選手のライト攻撃では如何せん「高さ不足」が否めない。昨シーズンは久光に勝ち越していた武富士だが、今シーズンの戦いぶりで果たして久光相手に善戦できるだろうか? 武富士としては何とかサーブで久光の安定したレセプションを揺さぶって、「個人技同士の戦い」に持ち込むしかないであろう。


次に、JT。

開幕当初、組織的リードブロックでワンタッチを取った後のトランジションに力を入れてきたのが目を惹いた今シーズンのJTだったが、東京体育館での戦いぶりを見る限り、若干「ボロ」が見え始めた感が否めない、、、。センター陣がトランジションで2段トスを上げに行く場面での「繋ぎ」の不安定さが顔を出し始めているのだ。

確かに寺廻監督の「やろうとしている戦術」は手に取るようにわかる。前衛両サイドの早い平行トスを、レセプションの場面でもトランジションの場面でも常に繰り出せるようにして、相手チームのブロッカーをスプレッド状態にさせておいて、ケニー選手の中央からのパイプ攻撃を絡める。理念としてはよくわかるが、現在のJTはあまりにも完成度が低すぎる。結局のところ、安定してレフト平行を打ちこなせているのは谷口選手ただ一人。さらに相手チームのブロッカーをスプレッド状態にするには、レフトへの高速平行だけでなく、センターから「高くて早い」速攻が繰り出されて相手センターブロッカーにコミットブロックを強いることが必要不可欠だが、そのような速攻は全く繰り出されない。従って、ケニー選手のパイプ攻撃が見事に決まったように見えても、それは「チーム戦術としての」攻撃システムではなく、ただ単に彼女の卓越した身体能力によって決まっているだけの「個人技としての」攻撃となっている。

なお、谷口選手の対角の高木選手がレフトとしては頼りないのは確かに否めず(もともとセンタープレーヤーであるからして仕方あるまい、、、)、リベロの菅山選手をアタッカーに戻して、谷口選手の対角に配したらどうかという意見を散見するが、恐らくそれは少なくとも今の寺廻監督の頭の中にはないであろう。なぜならば、菅山選手は、あの身長にして実は「テクニシャンタイプ」というよりどちらかといえば「大砲型」のアタッカーなのだ。時間差攻撃でセンター中央に切り込むアタックは得意だが、実は両サイドの早い平行トスを打つのは決して得意でなく、むしろ高いオープントスを打つ方が得意である(それは、全日本に選ばれるずっとずっと前から、彼女のプレーを見てきたファンならよくご存じのはずだ)。寺廻監督が目指すバレーは旧来の日本型バレーである「各プレーヤーの個人技や得意なプレーに依存したバレー」ではなく、「ある首尾一貫したバレースタイルが各選手の共通の理解として存在し、コート上にどの選手が入っても変わらないバレー」であり、今年のJTの各選手が共通の理解として念頭に置く「首尾一貫したバレースタイル」においては、レフトプレーヤーは「どのような場面でも高速のレフト平行トスを打つ」ということになっているはずだ。それを見事に体現できているのが谷口選手であり、恐らくそれを体現できなかった熊前選手が引退に追い込まれたのではと(勝手に)推測する。

結局、寺廻監督のやりたいバレーが体現されるまでには、まだまだ長い道のりが必要なようだ。今シーズンについては、ケニー選手の卓越した身体能力と「心中する」しかないと考えたようであり、実際例えば、本来はサーブ力のある谷口選手にもスパイクサーブを止めさせて、チーム戦術として相手チームの狙うべき場所へ確実に打つサーブに切り替えさせている。これは、それによって相手チームの攻撃システムを「確実に」単調にさせてブロックシステムでワンタッチをとる「確率を上げ」て、トランジションでとにかく「ケニー選手に決めてもらう!」ということであるはずだ。しかし、それですらも、トランジションでの「繋ぎ」が不安定であるようでは、元も子もないのだ。寺廻監督の苦悩はまだまだ続きそうだ。

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東京体育館(テレビ)観戦記(その1)

シーズンも中盤に入り、フルセットの大熱戦が続いている。東京体育館での中継を見ながら、ここまでの各チームの戦いぶりをまとめてみた。

まず、東レ。

昨シーズンの決勝ラウンド前にも書いたとおり、以前から若い大型のウイングスパイカー陣の揃っている東レであるが、問題点はレセプションをこなせるウイングスパイカーがいないことであった。昨シーズンはイェレナ選手がその問題点をカバーし、そして今シーズンは途中からレフトに回った木村沙織選手が、一手にその役割を果たしていると言って過言ではなかろう。その彼女の果たしている役割に象徴されているように、実は東レの一番の問題点は、個人技に頼ったバレーを展開する傾向にある点、言い換えれば組織としてのバレー戦術が見られない点と言ってよい。179cmの大山未希選手をセッターに据えて、セッターの大型化、ひいてはブロックの強化を図ったはずの東レだが、実際には184cmの木村沙織選手を含めて、結果には繋がっていないようだ(大山未希選手がセット当たり0.09本・木村沙織選手が0.19本)。それには多分にブロックシステムが組織化されていないことが影響していると思われる。個人技の戦いに持ち込めればある程度の強さを発揮するかもしれないが、リードブロックを採用するチームが増えつつある現状で、果たして4強に残れるだろうか? これからが正念場であろう。


続いて、久光製薬。

予想通り、安定した戦いぶりで首位を走る久光製薬。
し・か・し、昨シーズンの久光と比べて何か見劣りする。それは、開幕当初に書いたとおり、バンチ・リードブロックとそのあとのトランジションである。第2Legに入ってそろそろリーグ中盤に差し掛かっても、どうやらそれは変わらないようだ。

昨シーズンのレギュラー陣と比べて落合選手が狩野(美雪)選手に代わり、レセプションをはじめ安定感を増した感がある一方、やはり落合選手と狩野(美雪)選手ではブロック面で大きな差が出る。個人データとして表れる数字だけではなく、チーム戦術としての組織的バンチ・リードブロックシステムとして、大きな差が出ている気がする。昨シーズン対戦成績で圧倒的優位に立っていた東レ相手に、今シーズンは苦戦を強いられているのには、昨シーズンに比べてブロックシステムの完成度の違いが影響している気がしてならない。

トランジションについては、開幕当初に比べて助っ人のフェヘイラ選手がチームに馴染んで、本来の力を発揮し始めたが、それでもやはり昨シーズンのケニア選手のようにはいかない。もちろんその分を補うために、先野選手の打数が増えているわけだが、これからシーズン終盤、まぁ4強入りは固いとしても、大事な決勝ラウンドに向け、果たしてトランジションでの決定力不足は解消されるだろうか? フルセットの大熱戦では個人技同士の戦いに持ち込まれることも多いであろうが、その場面で果たして力が発揮できるであろうか? それが久光優勝のための鍵になるであろう。


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