« GAORA観戦(久光製薬 - NEC) | トップページ | "トランジション"とは? »

2007年1月10日 (水)

NHK BS1観戦(久光製薬 - デンソー)

ビデオで観戦、、、。

昨シーズンに引き続き、3戦目にしてようやく初勝利を上げたパイオニアが、今週末に対戦する久光製薬。果たして、付け入る隙はあるのか? その観点で見てみた。

ケニア選手がいなくなったことで、トス回しが元来の久光らしい形に戻って、センターの先野・大村両選手の打数が増えて、両レフトの狩野・フェヘイラ両選手も同じようなタイプの選手で、確かにバランスは良くなった。従って「死角はない」ように見えるがその代わりに、昨シーズンの久光が準優勝に輝いた最大の要因となった「バンチ・リードブロック」と、その後のトランジションでの決定力の高さが、影を潜めている印象が強い、、、。

尼崎での開幕戦を見て、武富士がハニーフ選手が今シーズンも来てくれるものと考えてフォーメーションを組んでいたように見えたのと同じく、恐らく真鍋監督もケニア選手が当然来てくれるものと考えてフォーメーションを組んでいたのは間違いない。ファーストタッチをセッターが行った場面で、オポジットに配されている成田選手がトスを上げにいく戦術が、昨シーズン以上に徹底されている。確かにそれを見事にこなす彼女の技術は素晴らしい。確かに素晴らしいが、彼女は「オポジット」であって「リベロ」ではない。例えば、彼女が前衛でセッターが後衛の場面で、セッターがファーストタッチを行った場合に、「オポジット」の彼女がトスを上げにいくとすれば、いったい誰がスパイクを打つのか? そう、チャンスボールが返ってきたトランジションならともかく、普通のトランジションの場面では、彼女は前衛・後衛にいる両レフトにトスを上げるしかないのである。その場面で、当然想定されていたのは、あの「圧倒的に決定力のある」ケニア選手がレフトにいる、ということであったはずだ。

確かに、狩野・フェヘイラ両選手は安定している。しかし、彼女たちの特にバックアタックの決定力は、決して高いものとはとても言い難い(あくまで、ケニア選手と比べて、という意味合いが大きいが、、、)。レセプションが多少乱れても、センター線が使えて、その決定力が高い点は強みであるが、それが決まらずにラリーに持ち込まれた場合に、急速に決定力が下がる点が弱点である。逆に、久光にサーブ権がある場面で、昨シーズンならば相手チームの攻撃に対して、バンチ・リードブロックでワンタッチさえ取れば、それを1点に繋げる確率はかなり高かったが、今シーズンはそうとは言えないであろう。昨シーズンの決勝では、パイオニアは前衛のケニア選手にフェイントボールを拾わせて、トランジションで後衛の落合選手の苦し紛れのパイプ攻撃を使わせる戦略を採って成功したが、同じ戦略を採る余地が今シーズンの久光にもありそうだ。まだまだエンジンのかかっていない(あるいは空回り?)パイオニアであるが、意外といい勝負は出来るかも? という気がしてきた。

|

« GAORA観戦(久光製薬 - NEC) | トップページ | "トランジション"とは? »

コメント

 二度目のおじゃま様です。
 実は私「セリンジャーのパワーバレーボール」持ってます。
 私がVリーグを見始めた頃、楽しく観戦するためには戦術を勉強する必要があると思って書店めぐりをしたのですが、普通に入手できるバレー関係の書籍はどれもプレーヤーの技術指導が主体で、戦術に関してはあまり詳しくありません。そこで「セリンジャーのパワーバレーボール」を取り寄せたのでした。初めてこの本を開いた時は目が回りました。技術も戦術も、その意味と応用と、長所と短所etc. 範囲が広くて、緻密で、深く追求されていて、いやもう・・・。今でもときどき主に戦術面のページを開きますが、この本と格闘を始めて30分くらいで頭がオーバーヒートします。いまだに理解度は恐らく5%以下。

 久光の大村選手や引退した鶴田さん達がかつてセリンジャー監督の指導を初めて受けた時「ジャンプしてから打つまでの時間をストップウオッチで計り、その短縮を目指した。スパイクを打つ角度まで指定した。体で覚えてきたものがすべて数値化、理論化されていた。」等カルチャーショックを受けたと語った記事がありました。また、島崎みゆきさんが復帰したときも「バレーってこんなに難しかったっけ」と感想を語っていました。彼女達がびっくりするくらいだから、私に簡単に理解できるはずはありません。しかし、セリンジャー監督が提唱するパワーバレーが如何に多彩で緻密なものか、それを実践するため選手に求められるフィジカルや戦術理解度がどれほどハイレベルなのか、それはよくわかります。

 相変わらず私には難しい「セリンジャーのパワーバレーボール」ですが、でもこちらを拝読するようになってから少~し理解度が高まったと思います。たとえば去年の黒鷲旗の時のフォーメーションクイズ(わかりませんでした!)と、バックオーダーの優れた点に関する解説を読んでから「あ、これはフロントオーダーとバックオーダーのことだ(「セリ・パワ」のp.38~)」とあらためて気付かされたり、おかげ様でだいぶ理解できた(ような気がする)箇所がいくつかあります。というより、観戦ファンにはsuis annexの方がお勧めです (^^)b (そしてやっぱり指導者関係者は「セリ・パワ」必読!ですよね)

 さてVプレミアの方ですが、私はテレビで放送された試合しか見ていませんけれど、T.wさんが常々「女子は男子を追いかけている」と指摘されているとおり、Vプレミア女子においても男子的戦術の色合いが濃い、あるいは、その熟度が高まってきたチームが増えてきたということでしょうか。そして、もしかしたらこれは女子選手にとってはかなり体力消耗が激しい戦術なのでは? 体力が消耗すると集中力にも影響しますから、だから2セット目までトントン進んでも3セット目やそれ以降に苦戦しているチームがあるのではないか? などと推測しているところです。

投稿: one of No.33 | 2007年1月13日 (土) 13時48分

はじめまして。ちょくちょく見させていただいております。
さて、よく「トランジション」という用語が出てきますが、どういう意味、プレイのことなんですか?
初歩的な質問ですみません。教えていただければ幸いです。

投稿: めいなび | 2007年1月14日 (日) 00時45分

>one of No.33さん

こんばんわ!
『セリンジャーのパワーバレーボール』持ってらっしゃるんですね! 素晴らしい!
仰るとおり、「フロントオーダー・バックオーダー」という用語こそ出てきませんが、p.38から図入りで解説されているのは、まさにこのことです。そして、当時は「フロントオーダー」が主流であった(特にアジア圏の各国で、恐らく日本もそうであったと推測されます)こと、それに対してセリンジャー監督が当時は主流でなかった「バックオーダー」をアメリカ女子ナショナルチームで採用したことが書かれています。彼に先見の明があったのかどうかは定かでないにせよ、現在では「バックオーダー」が当たり前となっていることは何回も説明済みですね。(因みに、彼がp.53で「究極のサーブ」として、「(当時は)行われたのを見たことはない。しかし私はサーブがこの方向へ発展するだろうと予測している」と書いている「ジャンプ・スパイクフロートサーブ」は、パイオニアのメグを含め、まさに現在のトップレベルで主流となっている、ドライブ回転の少ないスパイクサーブのことであり、彼の予見はまさに当たっています!)

>Vプレミア女子においても男子的戦術の色合いが濃い、あるいは、その熟度が高まってきたチームが増えてきた

はい、その通りだと思います。昨シーズンの決勝ラウンド前にまとめたように、武富士・久光製薬が最も男子的戦術を採り入れており、その2チームが現在全勝でトップを走っているのは、当然の結果と言えます。ただ、途中まで競っていても第3セットになるとあっさり負けてしまったりするのは、ラリーポイント制に基づく傾向であろうと私は思っています。初めてラリーポイント制が採用された1999年のワールドカップの頃から顕著に見られ始めた傾向ですので(当時のワールドカップレポで、すでに指摘しています)。ラリーポイント制自体が、サイドアウト制に比べて、非常に集中力を要するルールなのです。


>めいなびさん

初めまして。ご質問ありがとうございます。以前から「トランジション(切り返し)」と何回か意識して書いてきたつもりですが、御指摘を受け、きちんと一つの記事としてまとめて書いてみましたので、御参照下さい。

投稿: T.w | 2007年1月19日 (金) 00時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105977/13428164

この記事へのトラックバック一覧です: NHK BS1観戦(久光製薬 - デンソー):

« GAORA観戦(久光製薬 - NEC) | トップページ | "トランジション"とは? »