2006年11月24日 (金)

世界バレー(女子)最終総括(その3)

この勢力地図の中で日本がどの位置に入るのか、、、? 日本で開催される大会の「異様な雰囲気」での試合会場の下では、第3グループに入るだろうが、海外のアウェーの試合会場の下では、正直第4グループと言わざるを得ない。今大会の6位という成績は、確かに大会前の大方の予想を覆すものであり、また最近の世界選手権での日本の成績から見ても、好成績と言えるだろう。しかしながら、落ち着いて見直せば、今大会で全日本が勝ったコスタリカ・ケニア・韓国・ポーランド・トルコ・セルビア・オランダは、ケニアと韓国を除いてすべて、最近オリンピックに出場すら出来ていない国々である。一方で、オリンピック常連国である、キューバ・イタリア・中国には全て完敗した。結局やはり、今の戦術では世界のトップチームには全く通用しない、という現実を見せつけられた形だ。179cmのサッサに頼らないバレーをしようと努めるブラジル・178cmのブロムに頼らないバレーをしようと努めるオランダ、、、それと現在の全日本はあまりにも好対照だ。

かつて名プレーヤーと名を馳せ、アトランタオリンピック出場の立役者であった佐伯美香選手が、「自分がいると、全日本の将来にとって、ためにならない」とビーチバレーに転向したのが1997年。それ以降も全日本女子は、ずっと同じ過ちを繰り返し続けている、、、佐伯選手のあとは大懸(現・成田)郁久美選手、そして現在は、、、。確かに彼女たちは素晴らしい「個人技」を持っている。それ自体は世界に通用するものかもしれない。ただ、時代は着実に前へ進んでいる。「個人技の総力の結集」よりも「システマティックな戦術」の方が勝っていることを、世界のバレーは証明している。いつまで「個人技」に頼り続けたら気が済むのだろうか? そして、その「個人技の結集」を「組織バレー」と勘違いし続けるのであろうか? 9年前にそれに気づいて、自ら行動を起こした佐伯選手。彼女の叫びは無情にも日本のバレー界には響かなかったようだ。

しかも、今大会での全日本の置かれた状況が、1999年のワールドカップ時に非常に似てきている気がするのは私だけだろうか? あの時も24連敗していた中国に勝つなどの「奇跡的勝利」を重ねて6位、それも韓国・中国とセット率争いでの6位であり、星勘定では4位相当の結果であり、誰もが翌年のシドニーオリンピックの出場を信じて疑わない結果であったが、翌年起こった出来事は皆さんのご承知の通りである。あの時の二の舞になることだけは避けてもらいたいと思うのだが、、、どうだろうか? ただ、1999年の時と違うのは、ネット上でのファンの意見である。あの当時、全日本女子の戦術に対して批判的だったのは少数派だったと思うが、今大会は決してそうでもないようだ。これは着実に「にわかファンでない」バレーファンが増えてきたことを示していると言っていいであろうし、それに当サイト・ブログが一定の役割を果たせているのならば、非常にうれしい限りだ。むしろ今後訴えかけていかなければならない対象は、バレーを「見るファン」ではなく、バレーを「やるファン」及び、現プレーヤー・コーチ陣かもしれないと、最近つくづく感じ始めている。特にコーチ陣(もちろん、全日本レベルの話ではなく、中高生含めたB級レベルの話である)の意識を何としても変えなければならない。上背のない選手達が、長身チーム相手に拾って繋いで、最終的に小さなエースが決める、、、確かにそれは柔道の「柔よく剛を制す」の精神に通ずる如く、日本人の心に響くのかもしれないが、実際に世界のトップレベルのバレーを見てもらえば、元プレーヤーであるはずのコーチ陣が、そんな図式は今では通用しないことぐらい、「見るファン」よりも早く気づくはずだ。問題は、世界のトップレベルのバレーを簡単には見られない、現在の地上波の状況にあるのかもしれない、、、。

最後の最後に、(決勝戦のあとに行われた、、、)中国対日本のスカパー放送を見た。実況・解説はそれぞれ下田恒幸アナとゼッターランド・ヨーコさんの黄金コンビ! 試合の内容がどうのこうのではなく、素晴らしい中継だった! 全日本以外の試合を是非とも見て欲しいと幾度となく呼びかけている当サイト・ブログであるが、全日本以外の試合はスカパーで見ていても、全日本の試合は地上波で見てらっしゃる方も多いと思うが、後日再放送されるであろう、中国対日本の試合も是非見てもらいたいと思う。それを見て頂ければ、私が言いたいことはわかるはずだ。実況・解説のお二人が全てを代弁してくれていた!

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世界バレー(女子)最終総括(その2)

オランダはセリンジャー(息子)監督の下、フリールのような強烈なスパイクサーブは残しつつも、その他のプレーヤーはフローターサーブやジャンピングフローターサーブなどで着実に相手のレセプションフォーメーション上の弱点を徹底的についてくる戦術を見せ、それによって相手の攻撃を着実にブロックでワンタッチを取った後は、従来の前衛センターが2段トスをあげる世界標準のスタイルを脱ぎ捨てて、オポジットのフリールがトスを上げにいくという戦術を見せた。もちろん、これにはオランダの現在の最大の弱点である、セッターの稚拙さを何とか補うために編み出されたものであろうと思われるのだが、、、。現役時代セッターとして、バルセロナオリンピックで銀メダルを獲得したセリンジャー監督が、手塩にかけて育てた優秀なセッターが現れるか、あるいはフリールともう一人のアタッカーで「2セッターシステム」を完成させたとき、オランダはさらに着実に階段を上ることになるであろう。また、大会の前半の試合では、ほとんどの試合で途中出場して、フル回転の活躍をしていた178cmのブロムを、大会後半にはアタッカーとしては出場させずに、それでいて中国から勝利をもぎ取ったことは、大会を通じてチーム力がアップしたことを何よりも雄弁に物語る事実であろう。

一方のドイツも、まずは3枚ブロックを多用する、バンチ・リードブロックシステムの完成度に目を奪われたが、よくよく見ていくと、両レフト・オポジット・リベロの4枚の誰もがレセプションをこなせる、アジアスタイルのバレーが従来見せていたようなスタイルを採り、非常に「堅実な」バレーを展開していた。堅実すぎて若干豪快さを失っていた印象も否めず、Pool F でのフルセットでの戦いを、あと一歩のところで相次いで落としてしまったことが、ベスト8入りを逃す結果に繋がってしまったが、実質的には第2グループに最も近いところに位置していると思われ、今後国際経験を積めば、間違いなく優勝争いに絡んでくる力を発揮するはずだ。

オランダ・ドイツに対して、大躍進を果たしたセルビア・モンテネグロは、過去の投稿で何回か書いたとおり、ブロックシステムが稚拙であった。しかしながら、逆に言えば、稚拙なブロックシステムながらに、第2グループまで躍進したセルビア・モンテネグロだけに、もしブロックシステムの強化が図られた場合、ロシア・ブラジルに追いつきうるだけの力を秘めていると言えるわけであり、その意味でも今後のセルビアには要注目である。

その他の第2グループの中国とイタリアは、明暗が分かれたように思う。中国は王一梅・徐雲麗の10代コンビを大会通じてフルで使い切り、特に王一梅はベストスコアラーランキングで3位に入る活躍を見せた。周蘇紅のコンディション不良が目立ち、彼女の途中交代が多かったこともあり、レフトの楊昊・王一梅に頼るバレーにならざるを得なかったことが、王一梅のスコアラーランキングでの順位を上げる結果に繋がったわけだが、昨年に比して楊昊はコンディションも戻りつつあり、これで周蘇紅が復調し、さらには趙蕊蕊までもが復活すれば、、、チームの底力アップとしては申し分ない形となる。その途中段階を着実に歩んでいる結果だったと言えるだろう。
一方のイタリアも、昨年のワールドグランプリなどでフィオリンやオルトラーニなどの若手を使って、チームの底力アップを図っていたが、結局今大会では彼女たちがスタメンで出ることはなく、ベテランのリニエーリ・ピッチニーニらが悉く潰された準決勝のロシア戦で、途中交代で出場するも、試合の流れを変えることは出来ずに完敗。3位決定戦でもセルビア・モンテネグロにいいところなく敗れて、メダルも逃した。中国とは違い、ベテラン中心のベストメンバーで臨んで、結果(=世界選手権2連覇)を求めていたはずだが、、、。確かに、大会直前にボニッタ監督が電撃解任されるという出来事はあったにせよ、グループ分けとしてはこの上なく恵まれていただけに、選手達のショックも大きいだろうと思われる。ロシアとの準決勝でも書いたが、戦術面でここ数年進化がほとんど見られないだけに、スタメンのメンバーもほとんど変わらない現状のままだと、セルビアだけでなく、他の新鋭国に抜かれていく可能性が高いだろう。これまで、ブラジルと並んで「女子バレーの戦術の男子バレー化」を引っ張ってきた国として、是非ともさらに「男子バレーに近づく」戦術を見せてもらいたいと、真に願うばかりだ。

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2006年11月23日 (木)

世界バレー(女子)最終総括(その1)

何とか間に合った、、、これで、あさってからの男子2次ラウンドに専念できそうだ!
(男子に関しては、スカパーの1次ラウンド放送予定は、はっきり言って意味不明、、、。見たい試合が全く放送されておらず、全試合放送予定の2次ラウンドからいよいよ「男子バレーモード」に入る予定。)

優勝したロシアには、純粋におめでとうと言いたい。レゼンデ監督がブラジル女子ナショナルチームの監督に就任して以来、ずっとブラジル女子を応援してきた私ではあるが、リューバを女子バレー史上最高のプレーヤーだと1999年のワールドカップの頃から評価し続けていたこともあって、彼女の復帰により今回(準決勝のイタリア戦・決勝のブラジル戦で書いたとおり)これまでには見られなかった戦いぶりで飾った優勝には、感慨深いものを感じる。特に決勝戦でカプラーラ監督が見せた、スタートローテーションのチェンジ、、、長年ロシアの監督を務めたカルポリ監督も、時に的確なローテーションチェンジを見せたが、それは大抵の場合、自チームでその日に調子のいい選手に託すために繰り出されているだけのことだった。今大会の決勝戦第3セットのスタートローテーションチェンジは、相手の攻守の要であるサッサを潰してブラジルに自分たちのバレーをさせないため、さらには、ロシアにとっての攻守の要であるリューバが前衛センターの場面でのレセプションフォーメーションを最後に回すことで、「女子型(オポジット=ユーティリティプレーヤー型)」となる弱点を回避するためであったと思われる。そしてそれは見事に的中し、ブラジルに傾きかけていた試合の流れを、一転ロシアに引き寄せ、最終的にロシア本来のスタイルである、「力と力の真っ向勝負」に持ち込んだ。また、Pool F での試合では全く対抗できなかったファビアナの速攻に対しても、第3セットあたりからワンタッチを取れるように試合を通じてきっちり修正してきた。それもこれも、やはりリューバがいるからこそ、柔軟に対応できることであった。カプラーラ監督は、決勝戦の後のインタビューで「MVPはソコロワ以外にはあり得ない」とはっきりと語っている。彼女もまだ28歳で(考えてみると、Vリーグに来ていた頃って、20歳前後だったんだ!?)、まだまだ現役を続けられそうであり、彼女がいる限りはロシアが優勝争いに絡み続けるのは間違いないだろう。あと彼女に託された大きな課題は、アタッカーとしてセッターを如何に育てられるか? であろう。現在の正セッターのアクロワが、コーチのキリロワさんの域に近づいたならば、ロシアの黄金時代がやってくるのは間違いない。

一方のブラジルは、結果的には「無冠の帝王」状態を続けることとなってしまった。予選ラウンドの戦いぶりからずっと見続けてきた私としては、(オランダ戦で書いたとおり)ギマラエス監督の頭の中に恐らくあったであろう「サッサのチームになってはいけない」という思いが、決勝の最後の勝敗を分ける大事な場面での選択を間違えさせた気がしてならない。決勝戦の第5セット、スタートからサッサを使っていれば、恐らくは違った結果が待っていたのではないか? という気がする。

しかし、ギマラエス監督が本当に狙っているのは「目先の勝利」なのではなく、あくまで「北京オリンピックでの金メダル」であろうから、内容を度外視して今大会での優勝を狙うよりも、将来を見据えた場合に間違いなく弱点となりうる179cmのサッサに頼らない戦い方をする、という「明確な意図」が見えた今大会にあって、ロシアにフルセットの大熱戦の末に敗れた準優勝は、北京オリンピックでの金メダルという大目標に向かう上で、着実な結果は残した形だと思われる。サッサが「スーパーサブ」として控えに回ったときが、ブラジルに本当に栄冠が訪れる瞬間ではないだろうか?

今大会の結果は、現在の女子バレー界の勢力地図において、ロシア・ブラジルが頭一つ抜けていることを世界に知らしめるものだったが、それに続く第2グループとしては、中国・セルビア(セルビア・モンテネグロ)・イタリア、さらに第3グループとして、キューバ・オランダ・ドイツ・アメリカ、それ以外の各国が第4グループで団子状態を形成しているとみて良さそうだ。団子状態の中の1チームだと思われていたセルビア・モンテネグロが、一気に第2グループへ躍進、同じくオランダ・ドイツが第3グループへと着実に階段を上ってきたことが、今大会の戦いぶりで明らかとなった。

セルビア・モンテネグロの大躍進が物語るように、第4グループと第2グループとの間の差はさほど大きなものではない。まさに「戦国時代到来」といって過言でないと思う。そして、その決して大きくはない「差」というのは、ブロックシステムに代表される、「組織プレー」の完成度にあると思う。第3グループに上ってきたオランダ・ドイツの今大会の戦いぶりは、それを物語る良い例であり、実際ドイツの若い21歳のフュールストは今大会のブロック賞を獲得するという、データにも表れる結果を残した。また、この両チームはこれまでのヨーロッパスタイルの「豪快なエースはいるが、緻密さには欠ける」バレーではなく、アジアスタイルのバレーの「良いところ」を積極的に採り入れてきていた。

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(世界バレー女子決勝)ロシア - ブラジル(その2)

第3セット、再びロシアのサーブからスタート。最初のサーバーはセンターのボロダコワであった。このスタートローテーションは、ブラジルの攻守の要であるサッサとガモワをマッチアップ(=相手チームの誰かに自チームの誰かを同じ位置からスタート)させる形であると同時に、例の前衛センターがオポジット・後衛センターがセッターのレセプションフォーメーションが、6つあるローテーションのうちで一番最後に回ってくるローテーションとなる形となる。
セット序盤でガモワが、相対するサッサをブロックの高さで圧倒して、ブラジルは再びサッサに代えてマリを投入せざるを得なくなり、マリが出てきたところですかさずゴーディナの強烈なスパイクサーブが彼女を襲って、一気にロシアペースの11-6。ローテーションが「ずれた」ことに気づいてギマラエス監督は、早くも2枚替え(フォフォンとレナタ・シェイラとカロウをそれぞれ交代)を行って表裏を入れ替え、何とか立て直そうとするものの、16-12とロシアがリードを保ったままテクニカルタイムアウト入り。再びゴーディナのサーブが回ってきて、レセプションを乱され、マリが連続スパイクミス、、、。何とかマリが苦し紛れのフェイントを決めて、直後にロシアの「女子型」レセプションフォーメーションが訪れるが、ロシアがローテーションを回したために、ブラジルのサーバーは、さほど強いサーブは打たないヴァレウスカ。それでもレセプションは乱される始末なのだが、その苦しい場面を、気合いが最高潮に達し始めたガモワがブラジルのブロック陣をぶち破って、一発でしのぐ。最後はブラジルの頼みのファビアナの速攻が、Pool F での戦いから通じても初めて? と思われるぐらいに、きれいに202cmのメルクロワにワンタッチを取られてしまい、またまたガモワに切り返しをされて25-18。

第4セット、ブラジルはスタメンからサッサをマリに代えてくる。ロシアのマッチアップの形は第3セット同様。しかし、ここからは両チームとも金メダルへ向けての執念をむき出しにし始め、気を抜いたプレーなど全く見られない展開。ここまで来たら戦術など関係ない、本当に「力と力の真っ向勝負」である。この形は本来ならばロシアの勝ちパターンであるはずだが、ブラジルも負けてはいない。セット終盤にガモワ・ゴーディナをブラジルブロック陣が連続でシャットして、22-17。珍しくゴーディナを下げてサフローノワを出すなど、ロシアベンチも必死。しかし、最後はマリがレセプションで乱されるも、それを自分でバックアタックを打って決めて25-20。遂に死闘はフルセットへと突入する。

第5セット、ロシアのサーブからスタートとなったが、第4セットが「力と力の真っ向勝負」となったことに象徴されるように、もう戦術など関係ないと、カプラーラ監督は元のスタートローテーションに戻してくる。一方のブラジルは第4セット同様、サッサをマリに代えたままのスタート。これは恐らくギマラエス監督の頭の中では、ロシアはローテーションを回したままでスタートしてくるだろう、という予想があったのではなかろうか? この判断が果たしてどう響くか?
序盤はロシアは当然のことながら大黒柱のリューバにトスを集めて、主導権を握ろうとする。一方のブラジルはお家芸のブロックとレシーブの連携で対抗。中盤からはロシアはガモワにトスを集め、ブラジルはシェイラで対抗。ガモワ対シェイラの「スーパーエース対決」の様相に。13-12とブラジル1点のリードの場面で、ロシアはリューバのサーブに回り、シェイラのスパイクがエンドラインを割って同点。シェイラが決まらなかったため、今度はジャケリネのレフト平行に頼るもロシアのブロック陣が見事にシャットして逆転で14-13とロシアのマッチポイント。最後は大黒柱のリューバの実質サービスエースで15-13! ロシアが16年ぶりの栄冠に輝き、またしてもブラジルは3大大会の金メダルを逃す結果となった。

結果的には、ローテーションを元に戻して「力勝負」に出たロシアのカプラーラ監督に対して、それを読めずにサッサを戻さなかったギマラエス監督のベンチワークの差が、勝敗を分けたか、、、? しかしゲームそのものは、本当に現在の女子バレー界で最高レベルの、見応えある試合だった。激戦だった Pool F を勝ち抜いてきた両チーム同士にふさわしい内容の決勝戦だった!

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(世界バレー女子決勝)ロシア - ブラジル(その1)

両チームともベストメンバーでのスタメン、当然である。

前日のイタリア戦に関して書いたとおり、今大会のロシアは攻守の要であるリューバがオポジットのポジションに配されている。以前「バックオーダーにおけるサーブカット(=レセプション)フォーメーション」と題して書いたとおり、レセプションの要となる選手がオポジットに配される場合、「女子型(オポジット=ユーティリティプレーヤー型)」のフォーメーションとなるため、前衛センターがオポジット、即ち後衛センターがセッターのローテーションにおいて、セッターがセットアップの位置までに移動するのに、時間を要するという「弱点」がある。それをブラジルがどうついてくるか? その点に注目していた。

第1セットはロシアのサーブからスタート。常にセッターがバックライトのローテーションからスタートするロシアに対して、ブラジルはセッターが前衛ライトからのローテーションでレセプションからのスタートを採る。そうすると、上述のロシアが「女子型」のレセプションフォーメーションとなる際に、ブラジルのサーバーはサッサとなる、、、これはギマラエス監督の「狙い」だろう。
問題のサッサのスパイクサーブでは、何とかリューバが苦しいトスを一発で切って、連続失点を許さない。一進一退のサイドアウトの攻防が続いて13-12でロシアが1点リード。そこで問題のサッサのスパイクサーブの次のローテーションである、ファビアナのサーブが回ってきて、そこで珍しくリューバのレセプションが乱される。その動揺はあっという間にロシアチーム全体に波及し、そこからはブラジルの一方的展開となり、15-25。

第2セットはブラジルのサーブからのスタート。予想通り、ブラジルはローテーションを一つ回してスタート。そうすれば、問題の「女子型」のレセプションフォーメーションにおいて、再びサッサのスパイクサーブが当たる。やはりギマラエス監督はそれを狙っているようだ。第1セットで攻守の要のリューバが崩されてしまったロシアチームの動揺は、第2セット序盤まで影響し、早速サッサの強烈なスパイクサーブでレセプションが崩されてガモワがスパイクをネットにかけてしまい1-3。ロシアのカプラーラ監督は早くも1回目のタイムアウトを使う。直後幸いにもサッサのスパイクサーブがミスとなり、ロシアとしては命拾い。9-11と2点差のまま何とか「しのいで」、再びサッサのスパイクサーブを迎えるが、再びここでサッサがサーブミスを犯し、ロシアとしては再び命拾い。2点差のまま中盤へ突入し、ここでロシアがシェイラ・ヴァレウスカを連続でシャットして15-15の同点に追いつく。そこからしばらくサイドアウトの攻防が続いて、このセット3度目のサッサのサーブ。ここはサーブミスはなかったが、何とかやはりリューバのライト攻撃でロシアが一発でサイドアウトを取り返す。21-21の同点で、この試合第1のポイントが訪れる、、、ロシアが前衛2枚の状況で、ブラジルのギマラエス監督は、前衛に上がってきた179cmのサッサを188cmのマリに交代させる。さらに前衛のフォフォンに代えて、ピンチブロッカーとしてカロリネを投入し、何とかブロックでロシアに対抗して、2セット連取したいという意気込みが前面に出た。しかしながら、その策が功を奏せず、逆にマリを出したことでレセプションが乱れて、サッサを戻す羽目に、、、。最後はシェイラのバックアタックがエンドラインを割って25-23でロシアが取り返す。

先に仕掛けて、それが功を奏さなかったブラジルベンチ。しかし、試合の流れは一貫してブラジルペースであり、何とかロシアが「しのいでいる」という印象だった。ところが第3セットに第2のポイントが訪れる。今度は、先にロシアベンチが仕掛ける。遂にスタートローテーションを回してきたのだ!

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2006年11月22日 (水)

(世界バレー女子準決勝)イタリア - ロシア

Pool F でのブラジル戦を、リューバ(ソコロワ・シャチコワ、、、どちらが旧姓でどちらが結婚後の姓かはこちらを参照)温存で戦ったロシアだっただけに、リューバが入ってどう戦いぶりが変わるのか? それに一番注目していた、準決勝のイタリア戦であった。

今大会のロシアは、直前のワールドグランプリとは異なり、リューバをオポジットに配して、ゴーディナとガモワでレフト対角を組んでいる(ワールドグランプリでは、ガモワをオポジットに、リューバをレフトに配していた)。ローテーション全体のバランスとしてはこの方が良いだろう。攻撃面でのプレータイプが近いゴーディナとガモワを対角に配して、ユーティリティープレーヤーであるリューバをオポジットに配する。即ちVリーグ(プレミアリーグ?!)女子の東レや久光製薬と同じような配列だ。(言うまでもなく)バックオーダーの配列に、表レフトのゴーディナとオポジットのリューバとリベロのクリュチコワの3枚でレセプションフォーメーションを敷く。裏レフトのガモワとオポジットのリューバが隣に並ぶため、2人が前衛の際にはガモワをライトブロック・リューバをレフトブロックにつかせることが可能、、、これは、センターのメルクロワとガモワの202cmコンビのブロック(!)を相手レフトに見せつけられることを意味する。もちろん、これにはレセプションと前衛ライトをこなせる能力を併せ持つ、ゴーディナの復帰があるからこそである。

一方のイタリアは、初戦のセルビア戦を落としたものの、その後は危なげなく8連勝。しかし、所詮は(セルビア同様に)全日本に有利に組まれたグループ分けのお陰で、かなり実力差のある格下ばかりと対戦していただけのこと。初めての格上との対決で真価が問われる。

第1セット、まずスタートローテーションを見て、少し疑問が、、、。どう見ても明らかに上背でロシアにかなわないイタリアとしては、172cmと両チームのスタメンの中でダントツに上背のない、セッターのロビアンコが前衛センターの位置からスタートするというのはどういう意図なのか? 相手(ロシア)チームの誰かと自チームの誰かを、戦略上の理由で同じ位置からスタート(=マッチアップ)させるためなのかもしれないが、、、にわかにはその意図が理解できなかった。
セット中盤まで、両チームともミスも少ない、緊迫した一進一退の攻防が続いて16-16。ここで、大黒柱のリューバがスパイクを決め、ロシアが1点を勝ち越すと、続いてゴーディナの強烈なスパイクサーブでイタリアのレセプションを乱して、ブロックでワンタッチを確実にとって、トランジションでやはりリューバが決めるパターンの繰り返しで一気に20-16と引き離す。そして極めつけに、イタリアの精神的柱でもあるレフトのリニエーリを、202cmブロックコンビが見事に連続シャット! イタリアはリニエーリを若手のオルトラーニに代えざるを得なくなる状況に追い込まれてしまい、このセットは勝負あり。25-19でロシアが先取。

第2セットが始まる前に、解説のゼッターランド・ヨーコさんも、上述のイタリアのスタートローテーションについて触れ、「どうも理由が分からない」と。実際、第2セットのスタートローテーションは、イタリアは第1セットからは3つ回して、オポジットのトグットが前衛センターの位置に変えてくる。ところがスタート早々、ローテーションを3つ回したために202cmブロックコンビに相対することとなった、リニエーリの対角レフトのピッチニーニも連続で完膚無きまでにシャットされ、今度はピッチニーニを若手のフィオリンに代えざるを得なくなる状況に追い込まれる。レフトの決定率が上がらない分を何とかカバーしようと、センターのパッジをグイッチに代えるなどして、ロシアのブロック陣を攪乱しようと足掻くも、全てが後手後手。通用するのは単発でのトグットのバックアタックのみ。25-16でロシアが圧倒。

第3セット、イタリアは今度はスタートローテーションは第1セットに戻した上で、リニエーリをフィオリンに代えてスタート。要は、202cmブロックコンビに立ち向かえるレフトがリニエーリでもピッチニーニでもないから、仕方なく別の選手、、、ということか? ベテラン2人で立ち向かえないブロックに、若手のフィオリンが打ち勝てるはずはなく、、、結局トスが上げられる場所はスーパーエースのトグットのみと、今度は彼女にブロックマークが付いて、最後は彼女が逃げてスパイクミス。25-20でロシアのストレート勝ちとなり、結局 Pool F に入ったチーム同士の決勝となる。

結局、イタリアのスタートローテーションは何だったのだろう?? 最後まで見て、何回かビデオを見直したが、結局マッシモ新監督の意図するところはわからず、、、。まぁ何を意図していたにせよ、この日のロシアには全く通用せず、何とも一方的な試合だった。今大会のイタリア、、、Pool E に入ったせいもあり、ほとんどチェックできていないが、この日の試合ぶりを見る限り、このままでは戦国時代に入りつつある、世界の女子バレー界から取り残される可能性がありそうだ。2003年のワールドカップから、戦術面がほとんど何も変わっていない(トグットが復帰しただけだ)。ウイングスパイカー陣が今の程度の決定力しかないのならば、もっと男子並みに両サイドの攻撃を高速化しなければ今後は厳しいだろうし、ブロック面でも例えばドイツのように、3枚ブロックを多用して相手にプレッシャーを与えるぐらいにならないと、ロシアのように圧倒的な高さのあるチームには、最終的には負けてしまう。世界各国がイタリア人監督を迎える時代となり、データバレーが急速に世界中に浸透しつつある現在の女子バレー界で、イタリアがこれまで維持していた地位を保つのは難しい状況を迎えそうだ。是非とも来年のワールドカップまでに、バレーファンとして、イタリアの巻き返しを期待したい。

一方のロシア、、、これ程までにリューバがコート上にいるといないとで、バレーが変わるものか?! 1999年のワールドカップの頃も、確かに彼女一人の力に頼っていたところは大きかったが、あくまでそれは「個人技」のレベルの問題だった。ところが、今のロシアでは、彼女がコートにいると、決して彼女が直接プレーをするしないに関わらず、「組織として」チームが回り始める。特にブロックが変わった。Pool F でのブラジル戦で書いたが、確かに以前のロシアのように「高さはあっても、各個人がバラバラ」というブロックから脱皮し、データバレーに基づいてサーブ戦術との連携及び、3人揃っての組織ブロックシステムを構築しようという「思い」は伝わってきていたが、それが結果として表れることは少なかったように思う。しかし、この日のイタリア戦では、それが見事に結果として表れた。現に上述の通り、イタリアは「何かを意図して」スタートローテーションを考えてきていたはずなのだろうが、結局それが何なのかもわからないままに、次々と相手チームの戦略を後手後手にさせ、最後はミスで自滅させた。力と力の真っ向勝負でなく、相手に自分たちのバレーをさせないことで、一方的勝利を手に入れた。ブラジルとの決勝戦が、本当の意味で楽しみになった瞬間だった。

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2006年11月21日 (火)

(世界バレー女子準決勝)ブラジル - セルビア・モンテネグロ

立ち上がりは、私のほぼ予想通りの展開となった。今大会のセルビアが攻撃面に比して、守備特にブロックシステムが稚拙であることをすでに述べたとおりであり、当然のことながらブラジルの3Dバレーに対応できる力は、残念ながら持っているはずもなかった、、、。

ファビアナの「高くて早い」速攻2連続に、セルビアのブロック陣は完全に「面食らった」様子で、ブロックはすぐさまズタズタにされた。浮き足だってジェンシロがスパイクミスをして0-3の時点で、早くも最初のタイムアウト。それでもセルビアの選手達は落ち着きを取り戻せず、直後もイェレナ(ニコリッチ)がスパイクミス。一方のブラジルはやりたい放題の攻撃をレフトからライトからセンターから、、、。あっという間に1-7。中盤スパソエビッチの強打で何とか対抗し始めるも、ブラジルにチャンスボールを返してしまうと、その時点でブロックにつくことすら半ば「諦めてしまっている」ような状態で9-16。一方のブラジルは、クルスマノビッチの速攻をヴァレウスカが「リードブロック」で見事にシャット。これだけブロックシステムに差があると、お話にならない、、、。終盤に入ってようやくセルビアの選手達が「開き直った」感じで、強いサーブや強いスパイクなどの「個人技」で対抗し始めると、ブロックも「一か八か」のマンツーマン・コミットブロックとなり、それをフォフォンが見逃すはずもなく、シェイラの中央での時間差攻撃がセルビアコートに突き刺さって勝負あり、25-17でブラジルがあっさり先取。

第2セットに入っても、力の差は歴然としたまま。何とかかんとか3枚ブロックに跳んだら、すかさずフェイントでコート中央に落とされる、、、8-3のブラジルリードで最初のテクニカルタイムアウト。10-4から、スパソエビッチのサーブでブラジルが崩され、3点差まで追い上げられるが、逆にフォフォンのサービスエースをきっかけにブラジルが7連続得点、たまらずセルビアはスーパーエースのジェンシロを下げざるを得ない状況。こうなるとトスは前衛レフトにしか上がらないのは誰の目にも明らかであり、、、イェレナがブラジルのブロック陣に潰される。実況の下田アナも「このセットを見る限り、やっているバレーは大人と子供です」とバッサリ。25-14でブラジルが連取。

このままあっさり終わってしまうのか? と思われた第3セット。しかし、この日は「異様な雰囲気」に「呑まれた」あの日のセルビアではなかった。スパソエビッチが序盤に「強烈な」スパイクサーブを打ち切り、中盤にはラリー中の2段トスを「強気に」打ち切ってチームの士気を高め、遂にこの試合初のリードを奪う。終盤の競り合いで、対角のイェレナにもその気合いが乗り移り、連続で2段トスを打ち切って、25-21でセルビアが取り返す。

第4セット、前セットで息を吹き返したセルビアが勢いに乗って序盤リードするも、イェレナをブラジルが3枚ブロックで封じ込めて逆転。19-16から今度はスパソエビッチを3枚ブロックでシャットして勝負あり。最後はイェレナ・ジェンシロが相次いでスパイクミスを犯して25-20。この瞬間、ブラジルのメダルが確定した。

第1・第2セットの一方的な試合展開から一転して、第3セット以降は白熱した攻防となったが、総じてやはり「大人と子供」の試合であった。「個人技の総力」によってある程度は対抗できても、「綿密にシステム化されたバレー」にはやはり勝てない、、、。一見すると見た目は違うのだが、全日本がブラジルに勝てないのと同じ図式を見せられたような試合だった。

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2006年11月19日 (日)

世界バレー(女子)MVP選出の真相

この件については、各方面から予想通りの大反響・非難轟々の嵐だが、昔からバレーを見続けている「変人」としては、「またか、、、」と思うだけのことだ。

しかも、この件がTBS主導で行われたこと、と思われる方も多いだろうが、昔からバレーを見続けている「変人」としては、むしろJVA日本バレー協会及び、そのJVAの資金に「おんぶに抱っこ」のFIVB主導だろうことはうすうす予想が付いた。

いつも閲覧させていただいている「Fair Judgement Blog」より引用
(いつも試合会場で、実は、あの(ラインズマンの)方が管理人さんかな? などと想像を勝手に膨らませております)

ただ、MVPを選出する際に、1位~4位チームからの選出を希望していたことだけが、TBSの唯一の救いかな(ってこれも完全に裏話じゃん!)。

ちなみに、竹下選手がMVPだと決めたのはFIVBであり、TBSは最初反対していたそうです(結局丸め込まれたようですが…)。
FIVBのアコスタ会長は、竹下選手を有能なプレーヤーとしてものすごく評価しているようです。だからこそ、今回のMVPとなったようですが…でも優勝したのはロシアですし、どう考えてもロシアからMVPが出るのが普通です(本当に記者投票したのか?って感じ)。

日本がある程度「そこそこの順位」に留まっていてくれるのが、FIVBとしては最も好都合なのだろう。だから日本で世界大会を開くのも大歓迎だし、率先して日本に有利なグループ分けや試合順変更を行う。それだけの優遇をしてもオリンピック出場が危ぶまれる事態になると、オリンピック最終予選までも日本で開催する配慮する、、、。そこまでしてもオリンピックに出られない程に、世界レベルから引き離されたのが全日本男子、、、。

しかし、全日本男子が(事実上)初めてオリンピック出場を逃した1996年から、丁度今年で「10年」を迎える、、、。男子バレーを約10年遅れて、着実に追いかけている現在の女子バレー界、、、即ち、私の言いたいことはわかりますよね? 皆さん。

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2006年11月15日 (水)

世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その2)

確かにセルビアは初戦でイタリアに勝つなど、着実に力をつけてきているのは間違いなかったが、まだまだ所詮は「国際舞台になれていない」「ジュニア上がりの」チームだった。

バレースタイルは攻撃面は男子バレーそのものであり、「両サイドの平行(もしくはバックライトからのバックアタック)と前衛センターの速攻に、後衛レフトプレーヤーのパイプ攻撃を絡める」という基本スタイルの一辺倒である。これを「単純な(=レベルの低い)コンビネーションしかない」と評価するのは大きな間違いであり、このコンビネーションこそが「バンチ・リードブロックシステム」に対して最も有効なコンビネーションである。しかしながら、攻撃面に比して、守備面の稚拙さが際だった、、、現代バレーにおいて、守備の最前線は「ブロックシステム」である。このブロックシステムがまだまだお粗末だった。恐らくこれは「ジュニアからメンバーがほぼ固定して強化されてきている」ことが影響しているだろうと思う。現代バレーにおいて、最も成熟に時間がかかる要素が「ブロックシステム」だと思われるからだ。あのシステム化されていないブロックでは、恐らく Pool F に入っていたら、ベスト8入りすらも危うかっただろうと思われる。逆に言えば、今回 Pool F に入ったチームは、どこもブロックシステムのレベルが非常に高かった。従って、グループ分けが醜かった分、Pool F の戦いは見ている側からすれば、決勝ラウンドに匹敵するくらい楽しめる結果となった。

さらには、ドイツ対ブラジル戦のレポで書いたとおりだが、今のセルビアの選手達は今大会のような「国際舞台」にあまりにも経験がなさ過ぎであった。完璧な自分たちのバレーを展開して、2セット先取した全日本との対決。第3セットからリズムが狂い始めると、途端に「異様な会場の雰囲気」に完全に「呑まれて」しまった。全日本が逆転勝利を収めた鍵として、第3セット以降の全日本のレセプションの安定ぶりが挙げられるだろうが、あれは全日本のレセプションが素晴らしかったのではなかった。ただ単にセルビアチームのサーブが途端に弱くなっただけのことである。これまでも何回も書いてきたように、ラリーポイント制の下で、最も勝敗を左右する「20点以降の緊迫した競り合いの中でこそ、渾身のスパイクサーブを見せられるかどうか?」がそのチームの本当の実力である。Pool F のチームは、すべからくこういった力を持っていた(中国対オランダの第5セット、12-12の攻防でフリールのサーブが回ってきた時、私はオランダの勝利を確信した)。この点が残念ながら、今大会のセルビアには見られなかった。恐らくまだ準決勝に進出するレベルに達しているチームではないと思う。

しかし、試合後の会見でセルビアの監督や選手達が答えているように、あの日の全日本との試合を「あの異様な雰囲気の中で」体験できたことは、普段のヨーロッパ勢同士との対決の恐らく何十倍もの経験になったことであろう。

♪ 奇跡はき〜っと、偶然なんか・じゃ・ない ♪

全くその通りである。全日本が、日本で開催される主要国際大会でしばしば見せる「奇跡的」勝利は、決して偶然ではなく、「日本のメディアと FIVB と日本バレー協会との間の結託」によってもたらされる「不可解なグループ分け」と、試合会場の「異様な雰囲気」によってもたらされる「必然」である。
しかし、そこで全日本相手の敗戦を経験した「バレー新鋭国」にとっては、次の本番で遥かに全日本を凌ぐ実力を見せつける結果になる「必然」をももたらすのである。

来年のワールドカップでまた見られるかもしれない、セルビアが楽しみである。

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世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その1)

本日は当直業務のため、残念ながら決勝ラウンドをスカパーで観戦することが出来ません。
そのため、決勝ラウンドのレポは、後日(今週末かな?)のアップとなります。ご了承下さい。

ということで、決勝ラウンド前に軽く総括したいと思う。

まず大会全体として、非常に競ったフルセットの大熱戦が多かった! これは、ラリーポイント制が導入されて初めての国際大会であった、1999年のワールドカップには見られなかった現象であり、実際私はワールドカップレポ1999の中で、こう書いている。

「どうもラリーポイント制になって、フルセットの試合が減ったような気がするのは私だけだろうか? あまり実力のないチーム同士の場合は別にして、実力のあるチーム同士で力が拮抗している場合、第1・第2セットぐらいまでは確かに大熱戦となるのだが、その大熱戦をあと一歩のところで落としてしまうと、あとのセットは気が抜けたように負けてしまう傾向が強い様に思う」

もちろん、これは女子にのみ言えたことであり、その後に開幕した男子の方では、期待通りのフルセットの大熱戦が繰り広げられた。恐らく、1999年当時に「実力伯仲」と思えた女子チーム同士というのは、今の女子バレー界で言えば、実はかなり実力差があったチーム同士だったのだろうと思う。当時から約7年が経過し、着実に男子バレーの領域に近づきつつある現在の女子バレー界にあっては、20点以降の緊迫した競り合いの中で、わずかな差が勝敗を分ける、その領域に世界の女子バレー界が完全に突入していることを意味するわけである。これをもう少し具体的に表すならば、1999年当時に世界の男子バレー界で起こっていた現象、即ち「前回のオリンピック優勝国(当時オランダ)が世界選手権で予選落ちをし、ワールドカップには出場すら出来ず、次のオリンピックでも出場権を危ぶまれる(実際には救済的な形で出場した)」という戦国時代への突入を、現在の世界の女子バレー界が迎えようとしている、ということである。事実、前回のオリンピック優勝国である中国が、Pool F での戦いで一つ間違えば(得点率で)9位以下に終わる可能性すらあったわけである。中国の今大会の戦いぶりを「単に中国が不甲斐ないだけ」と捉えているファンも多いようだが、必ずしもそれだけでないことは、スカパーを通じてあるいは会場で生で Pool F の試合をじっくり観戦されたファンの方ならば分かっているはずだ。

それにしても、予選リーグのグループ分けは酷かった、、、。大会前から書いていたように、明らかに Pool A がレベルが低く、Pool B がレベルが高いのは分かっていたことだが、実際ふたを開けてみても、Pool E での勝敗・試合内容から見て、Pool A のレベルの低さは、Pool B 以外と比べても際だっていた。その恩恵を一番受けるはず(予定)だったのは恐らく全日本なのだろうが、結果的に一番恩恵を受けたのはセルビアだった、、、。

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