« 世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その1) | トップページ | 世界バレー(女子)MVP選出の真相 »

2006年11月15日 (水)

世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その2)

確かにセルビアは初戦でイタリアに勝つなど、着実に力をつけてきているのは間違いなかったが、まだまだ所詮は「国際舞台になれていない」「ジュニア上がりの」チームだった。

バレースタイルは攻撃面は男子バレーそのものであり、「両サイドの平行(もしくはバックライトからのバックアタック)と前衛センターの速攻に、後衛レフトプレーヤーのパイプ攻撃を絡める」という基本スタイルの一辺倒である。これを「単純な(=レベルの低い)コンビネーションしかない」と評価するのは大きな間違いであり、このコンビネーションこそが「バンチ・リードブロックシステム」に対して最も有効なコンビネーションである。しかしながら、攻撃面に比して、守備面の稚拙さが際だった、、、現代バレーにおいて、守備の最前線は「ブロックシステム」である。このブロックシステムがまだまだお粗末だった。恐らくこれは「ジュニアからメンバーがほぼ固定して強化されてきている」ことが影響しているだろうと思う。現代バレーにおいて、最も成熟に時間がかかる要素が「ブロックシステム」だと思われるからだ。あのシステム化されていないブロックでは、恐らく Pool F に入っていたら、ベスト8入りすらも危うかっただろうと思われる。逆に言えば、今回 Pool F に入ったチームは、どこもブロックシステムのレベルが非常に高かった。従って、グループ分けが醜かった分、Pool F の戦いは見ている側からすれば、決勝ラウンドに匹敵するくらい楽しめる結果となった。

さらには、ドイツ対ブラジル戦のレポで書いたとおりだが、今のセルビアの選手達は今大会のような「国際舞台」にあまりにも経験がなさ過ぎであった。完璧な自分たちのバレーを展開して、2セット先取した全日本との対決。第3セットからリズムが狂い始めると、途端に「異様な会場の雰囲気」に完全に「呑まれて」しまった。全日本が逆転勝利を収めた鍵として、第3セット以降の全日本のレセプションの安定ぶりが挙げられるだろうが、あれは全日本のレセプションが素晴らしかったのではなかった。ただ単にセルビアチームのサーブが途端に弱くなっただけのことである。これまでも何回も書いてきたように、ラリーポイント制の下で、最も勝敗を左右する「20点以降の緊迫した競り合いの中でこそ、渾身のスパイクサーブを見せられるかどうか?」がそのチームの本当の実力である。Pool F のチームは、すべからくこういった力を持っていた(中国対オランダの第5セット、12-12の攻防でフリールのサーブが回ってきた時、私はオランダの勝利を確信した)。この点が残念ながら、今大会のセルビアには見られなかった。恐らくまだ準決勝に進出するレベルに達しているチームではないと思う。

しかし、試合後の会見でセルビアの監督や選手達が答えているように、あの日の全日本との試合を「あの異様な雰囲気の中で」体験できたことは、普段のヨーロッパ勢同士との対決の恐らく何十倍もの経験になったことであろう。

♪ 奇跡はき〜っと、偶然なんか・じゃ・ない ♪

全くその通りである。全日本が、日本で開催される主要国際大会でしばしば見せる「奇跡的」勝利は、決して偶然ではなく、「日本のメディアと FIVB と日本バレー協会との間の結託」によってもたらされる「不可解なグループ分け」と、試合会場の「異様な雰囲気」によってもたらされる「必然」である。
しかし、そこで全日本相手の敗戦を経験した「バレー新鋭国」にとっては、次の本番で遥かに全日本を凌ぐ実力を見せつける結果になる「必然」をももたらすのである。

来年のワールドカップでまた見られるかもしれない、セルビアが楽しみである。

|

« 世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その1) | トップページ | 世界バレー(女子)MVP選出の真相 »

コメント

確かに仰る通り。
2004年の最終予選で「必然的」に負けたイタリアは、その後、日本より遙かに強くなってますからね。
日本は当初の予定通り6位以内になっただけ。。
特定の選手に頼り切ったチームを、「時代を作れる」と言い切ってしまうところに、やり切れなさと憂いを感じてしまうな。

このブログを通じて、他の国に更なる興味を持つことが出来ました。日本以外のチームを真剣に、そして楽しみに見たのは実は今大会が初めて。
女子は今日で終わってしまうけど、男子の方も期待しています。

投稿: ブッシュ | 2006年11月16日 (木) 06時27分

>ブッシュさん

こんばんわ。

>このブログを通じて、他の国に更なる興味を持つことが出来ました。

ありがとうございます(涙)
そう言って頂けることが、一番うれしいです。睡眠時間を削ってレポを描いた甲斐がありました!
一人でも多く、ブッシュさんのように、「全日本バレー」でなく、バレーそのものが好きなファンが増えて欲しいです。それこそが、日本のバレーが本当に強くなるための第一歩だと思っています。

投稿: T.w | 2006年11月18日 (土) 00時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105977/12696745

この記事へのトラックバック一覧です: 世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その2):

« 世界バレー(女子)決勝ラウンドを前に総括(その1) | トップページ | 世界バレー(女子)MVP選出の真相 »