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2006年11月24日 (金)

世界バレー(女子)最終総括(その2)

オランダはセリンジャー(息子)監督の下、フリールのような強烈なスパイクサーブは残しつつも、その他のプレーヤーはフローターサーブやジャンピングフローターサーブなどで着実に相手のレセプションフォーメーション上の弱点を徹底的についてくる戦術を見せ、それによって相手の攻撃を着実にブロックでワンタッチを取った後は、従来の前衛センターが2段トスをあげる世界標準のスタイルを脱ぎ捨てて、オポジットのフリールがトスを上げにいくという戦術を見せた。もちろん、これにはオランダの現在の最大の弱点である、セッターの稚拙さを何とか補うために編み出されたものであろうと思われるのだが、、、。現役時代セッターとして、バルセロナオリンピックで銀メダルを獲得したセリンジャー監督が、手塩にかけて育てた優秀なセッターが現れるか、あるいはフリールともう一人のアタッカーで「2セッターシステム」を完成させたとき、オランダはさらに着実に階段を上ることになるであろう。また、大会の前半の試合では、ほとんどの試合で途中出場して、フル回転の活躍をしていた178cmのブロムを、大会後半にはアタッカーとしては出場させずに、それでいて中国から勝利をもぎ取ったことは、大会を通じてチーム力がアップしたことを何よりも雄弁に物語る事実であろう。

一方のドイツも、まずは3枚ブロックを多用する、バンチ・リードブロックシステムの完成度に目を奪われたが、よくよく見ていくと、両レフト・オポジット・リベロの4枚の誰もがレセプションをこなせる、アジアスタイルのバレーが従来見せていたようなスタイルを採り、非常に「堅実な」バレーを展開していた。堅実すぎて若干豪快さを失っていた印象も否めず、Pool F でのフルセットでの戦いを、あと一歩のところで相次いで落としてしまったことが、ベスト8入りを逃す結果に繋がってしまったが、実質的には第2グループに最も近いところに位置していると思われ、今後国際経験を積めば、間違いなく優勝争いに絡んでくる力を発揮するはずだ。

オランダ・ドイツに対して、大躍進を果たしたセルビア・モンテネグロは、過去の投稿で何回か書いたとおり、ブロックシステムが稚拙であった。しかしながら、逆に言えば、稚拙なブロックシステムながらに、第2グループまで躍進したセルビア・モンテネグロだけに、もしブロックシステムの強化が図られた場合、ロシア・ブラジルに追いつきうるだけの力を秘めていると言えるわけであり、その意味でも今後のセルビアには要注目である。

その他の第2グループの中国とイタリアは、明暗が分かれたように思う。中国は王一梅・徐雲麗の10代コンビを大会通じてフルで使い切り、特に王一梅はベストスコアラーランキングで3位に入る活躍を見せた。周蘇紅のコンディション不良が目立ち、彼女の途中交代が多かったこともあり、レフトの楊昊・王一梅に頼るバレーにならざるを得なかったことが、王一梅のスコアラーランキングでの順位を上げる結果に繋がったわけだが、昨年に比して楊昊はコンディションも戻りつつあり、これで周蘇紅が復調し、さらには趙蕊蕊までもが復活すれば、、、チームの底力アップとしては申し分ない形となる。その途中段階を着実に歩んでいる結果だったと言えるだろう。
一方のイタリアも、昨年のワールドグランプリなどでフィオリンやオルトラーニなどの若手を使って、チームの底力アップを図っていたが、結局今大会では彼女たちがスタメンで出ることはなく、ベテランのリニエーリ・ピッチニーニらが悉く潰された準決勝のロシア戦で、途中交代で出場するも、試合の流れを変えることは出来ずに完敗。3位決定戦でもセルビア・モンテネグロにいいところなく敗れて、メダルも逃した。中国とは違い、ベテラン中心のベストメンバーで臨んで、結果(=世界選手権2連覇)を求めていたはずだが、、、。確かに、大会直前にボニッタ監督が電撃解任されるという出来事はあったにせよ、グループ分けとしてはこの上なく恵まれていただけに、選手達のショックも大きいだろうと思われる。ロシアとの準決勝でも書いたが、戦術面でここ数年進化がほとんど見られないだけに、スタメンのメンバーもほとんど変わらない現状のままだと、セルビアだけでなく、他の新鋭国に抜かれていく可能性が高いだろう。これまで、ブラジルと並んで「女子バレーの戦術の男子バレー化」を引っ張ってきた国として、是非ともさらに「男子バレーに近づく」戦術を見せてもらいたいと、真に願うばかりだ。

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