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2006年11月22日 (水)

(世界バレー女子準決勝)イタリア - ロシア

Pool F でのブラジル戦を、リューバ(ソコロワ・シャチコワ、、、どちらが旧姓でどちらが結婚後の姓かはこちらを参照)温存で戦ったロシアだっただけに、リューバが入ってどう戦いぶりが変わるのか? それに一番注目していた、準決勝のイタリア戦であった。

今大会のロシアは、直前のワールドグランプリとは異なり、リューバをオポジットに配して、ゴーディナとガモワでレフト対角を組んでいる(ワールドグランプリでは、ガモワをオポジットに、リューバをレフトに配していた)。ローテーション全体のバランスとしてはこの方が良いだろう。攻撃面でのプレータイプが近いゴーディナとガモワを対角に配して、ユーティリティープレーヤーであるリューバをオポジットに配する。即ちVリーグ(プレミアリーグ?!)女子の東レや久光製薬と同じような配列だ。(言うまでもなく)バックオーダーの配列に、表レフトのゴーディナとオポジットのリューバとリベロのクリュチコワの3枚でレセプションフォーメーションを敷く。裏レフトのガモワとオポジットのリューバが隣に並ぶため、2人が前衛の際にはガモワをライトブロック・リューバをレフトブロックにつかせることが可能、、、これは、センターのメルクロワとガモワの202cmコンビのブロック(!)を相手レフトに見せつけられることを意味する。もちろん、これにはレセプションと前衛ライトをこなせる能力を併せ持つ、ゴーディナの復帰があるからこそである。

一方のイタリアは、初戦のセルビア戦を落としたものの、その後は危なげなく8連勝。しかし、所詮は(セルビア同様に)全日本に有利に組まれたグループ分けのお陰で、かなり実力差のある格下ばかりと対戦していただけのこと。初めての格上との対決で真価が問われる。

第1セット、まずスタートローテーションを見て、少し疑問が、、、。どう見ても明らかに上背でロシアにかなわないイタリアとしては、172cmと両チームのスタメンの中でダントツに上背のない、セッターのロビアンコが前衛センターの位置からスタートするというのはどういう意図なのか? 相手(ロシア)チームの誰かと自チームの誰かを、戦略上の理由で同じ位置からスタート(=マッチアップ)させるためなのかもしれないが、、、にわかにはその意図が理解できなかった。
セット中盤まで、両チームともミスも少ない、緊迫した一進一退の攻防が続いて16-16。ここで、大黒柱のリューバがスパイクを決め、ロシアが1点を勝ち越すと、続いてゴーディナの強烈なスパイクサーブでイタリアのレセプションを乱して、ブロックでワンタッチを確実にとって、トランジションでやはりリューバが決めるパターンの繰り返しで一気に20-16と引き離す。そして極めつけに、イタリアの精神的柱でもあるレフトのリニエーリを、202cmブロックコンビが見事に連続シャット! イタリアはリニエーリを若手のオルトラーニに代えざるを得なくなる状況に追い込まれてしまい、このセットは勝負あり。25-19でロシアが先取。

第2セットが始まる前に、解説のゼッターランド・ヨーコさんも、上述のイタリアのスタートローテーションについて触れ、「どうも理由が分からない」と。実際、第2セットのスタートローテーションは、イタリアは第1セットからは3つ回して、オポジットのトグットが前衛センターの位置に変えてくる。ところがスタート早々、ローテーションを3つ回したために202cmブロックコンビに相対することとなった、リニエーリの対角レフトのピッチニーニも連続で完膚無きまでにシャットされ、今度はピッチニーニを若手のフィオリンに代えざるを得なくなる状況に追い込まれる。レフトの決定率が上がらない分を何とかカバーしようと、センターのパッジをグイッチに代えるなどして、ロシアのブロック陣を攪乱しようと足掻くも、全てが後手後手。通用するのは単発でのトグットのバックアタックのみ。25-16でロシアが圧倒。

第3セット、イタリアは今度はスタートローテーションは第1セットに戻した上で、リニエーリをフィオリンに代えてスタート。要は、202cmブロックコンビに立ち向かえるレフトがリニエーリでもピッチニーニでもないから、仕方なく別の選手、、、ということか? ベテラン2人で立ち向かえないブロックに、若手のフィオリンが打ち勝てるはずはなく、、、結局トスが上げられる場所はスーパーエースのトグットのみと、今度は彼女にブロックマークが付いて、最後は彼女が逃げてスパイクミス。25-20でロシアのストレート勝ちとなり、結局 Pool F に入ったチーム同士の決勝となる。

結局、イタリアのスタートローテーションは何だったのだろう?? 最後まで見て、何回かビデオを見直したが、結局マッシモ新監督の意図するところはわからず、、、。まぁ何を意図していたにせよ、この日のロシアには全く通用せず、何とも一方的な試合だった。今大会のイタリア、、、Pool E に入ったせいもあり、ほとんどチェックできていないが、この日の試合ぶりを見る限り、このままでは戦国時代に入りつつある、世界の女子バレー界から取り残される可能性がありそうだ。2003年のワールドカップから、戦術面がほとんど何も変わっていない(トグットが復帰しただけだ)。ウイングスパイカー陣が今の程度の決定力しかないのならば、もっと男子並みに両サイドの攻撃を高速化しなければ今後は厳しいだろうし、ブロック面でも例えばドイツのように、3枚ブロックを多用して相手にプレッシャーを与えるぐらいにならないと、ロシアのように圧倒的な高さのあるチームには、最終的には負けてしまう。世界各国がイタリア人監督を迎える時代となり、データバレーが急速に世界中に浸透しつつある現在の女子バレー界で、イタリアがこれまで維持していた地位を保つのは難しい状況を迎えそうだ。是非とも来年のワールドカップまでに、バレーファンとして、イタリアの巻き返しを期待したい。

一方のロシア、、、これ程までにリューバがコート上にいるといないとで、バレーが変わるものか?! 1999年のワールドカップの頃も、確かに彼女一人の力に頼っていたところは大きかったが、あくまでそれは「個人技」のレベルの問題だった。ところが、今のロシアでは、彼女がコートにいると、決して彼女が直接プレーをするしないに関わらず、「組織として」チームが回り始める。特にブロックが変わった。Pool F でのブラジル戦で書いたが、確かに以前のロシアのように「高さはあっても、各個人がバラバラ」というブロックから脱皮し、データバレーに基づいてサーブ戦術との連携及び、3人揃っての組織ブロックシステムを構築しようという「思い」は伝わってきていたが、それが結果として表れることは少なかったように思う。しかし、この日のイタリア戦では、それが見事に結果として表れた。現に上述の通り、イタリアは「何かを意図して」スタートローテーションを考えてきていたはずなのだろうが、結局それが何なのかもわからないままに、次々と相手チームの戦略を後手後手にさせ、最後はミスで自滅させた。力と力の真っ向勝負でなく、相手に自分たちのバレーをさせないことで、一方的勝利を手に入れた。ブラジルとの決勝戦が、本当の意味で楽しみになった瞬間だった。

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