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2006年9月11日 (月)

ワールドグランプリ決勝を前に総括(その2)

一方男子バレーが今後進んでいく道は、予想するのは困難である。私のような一介の素人に予想できるはずがない。
しかし、女子バレーはその意味では簡単である。戦術面で女子バレーは確実に、男子バレーの後を追いかけているのであるから、世界のトップレベルに仲間入りするために進むべき方向は、誰の目にも明らかなはずである。

象徴的なシーンが、実は決勝ラウンドのロシア戦の第2セットにあった。全日本が11-17で劣勢の場面、相手のフェイントボールに対してファーストヒットをセッターの竹下選手が行った場面。決勝ラウンドで初のスタメンとなったセンターの石川選手がトスを上げに行こうとして、後衛の高橋みゆき選手と交錯した、、、。実は石川選手が所属する武富士はVリーグ女子チームの中では唯一、ラリー中にセッターがファーストヒットを行った場合に、前衛センターがトスアップを行うという戦術を敷いているチームである。彼女は武富士でも新人であるが、すでに今年の黒鷲旗でレギュラーとしてほぼ全試合出場しており、当然のことながらその武富士の戦術を体で覚えていた。そのために彼女はセッターの竹下選手がファーストヒットを行ったのを見た瞬間、体で自然にそう反応したのであろう、、、。

しかし現在の全日本は、ファーストヒットを竹下選手が行った場合には、対角のライト/オポジットに配される高橋みゆき選手がトスアップを行うというシステムを敷いているのである。前衛センターはその場面で高橋みゆき選手に向かって速攻を打ちに入り、彼女がツーアタックを打つのか? それとも前衛センターの選手に速攻を上げるのか? と相手を攪乱させる方式であり、確かに試合中にそれで得点をするシーンがあるのは事実である。その「日本独自の戦術」が素晴らしいのか、そうでないのかについては敢えて言及するつもりはないが、ただ私が言いたいのは、「それはチームとしての戦術/システムと果たして言えるのか?」ということである。その戦術を「日本独自の戦術」と本当の意味で言えるようにするためには、セッターがファーストヒットを行った場面では「ライト/オポジットのポジションに配される選手がトスアップを行う」というシステムにしなければならない。が、果たして現実にそうなっているだろうか?? 実際にはセッターがファーストヒットを行った場面では「高橋みゆき選手がトスアップを行う」というシステムになっていないだろうか?? 彼女が怪我をしてしまう、あるいはあまりにも不調で他の選手と交代せざるを得なくなった場合、果たして同じ戦い方が出来るのだろうか??

男子の世界では、イタリアセリエAリーグに世界各国の有数のプレーヤーが集まり、文字通り世界トップレベルの戦いが繰り広げられる。そこでレギュラーとして出場するためには、各選手は当然その時点での世界トップレベルの戦術の中で、自分の専門のポジションに要求されるプレーをマスターすることが必要不可欠である。結果的に、世界トップレベルのある国で新しい戦術が開発されると、その国の選手を通じてイタリアセリエAリーグにその戦術は伝わり、他の国の選手もその戦術をマスターし、結果的に他の国のナショナルチームにその戦術はあっという間に広がる。女子の世界も徐々にそうなりつつあるのである。やはりもっともっと世界トップレベルのバレーを「選手自身も」見なければならない。リベロの菅山選手、ゲーム中に確かに素晴らしいディグ(スパイクレシーブ)は見せているが、世界のリベロ達のプレーを見て欲しい。世界の名リベロ達は、ラリー中にトスをあげる場面で、決して「アンダーハンドレシーブ」は使っていない。名リベロ達は「アタックラインを確認」したうえで、アタックラインより後ろで踏み切って、ジャンプトスを上げているという現実を。

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コメント

こんにちは。ご無沙汰しています。

やはり管理人さんの指摘は鋭い。胸につかえていたものが管理人さんの指摘ですっきりしたような気がします。

さて、WGP終わりましたね。某テレビ局のハシャギ振りとは違って個人的にはアテネの6強との差は全く縮まっていなと感じました。まあ、韓国が今のままなら北京オリンピックには何とか出場できると思いますが(カザフスタンも恐いですよね)、メダルとなると・・・。

それにしても日本はサーブカットがひど過ぎると思いませんか。高橋なんて狙われて崩されている。恐らくどこのチームも高橋は狙っていけば最終的には崩れる、と思っているのではないでしょうか。で、そんなことを思いながら中国戦を観ていたら案の定高橋が崩されまくっている。日本はサーブカットに参加していた劉亜男を狙っていたのだけれど、全く崩れない。170cmのWSが186㎝のMBにサーブカットで負けてどうする!しかも劉亜男の方が年下です・・・ors。

どうせ崩れるならブロックで相手にプレッシャーを掛けられない高橋より今のメンバーなら落合(本当なら栗原)をレフトにして木村と対角を組ませ、OPに小山か大山を入れても良いのではないかと思うのですが・・・。実際モントルーでイタリア相手にこのフォーメーションを試していましたが(リベロ井野)、フェイントを落とされまくった以外はまぁまぁでしたよ。ただ、この布陣だと果たしてセンターがトスを上げられるのかという疑問が残りますが・・・。

それと今回のWGPを観ていて180㎝台後半のWSといえども、サーブカットが出来て平行が打ててジャンサが打てること、が必須になってきているとつくづく思いました。日本ではこの条件を満たす選手は今のところいませんが(栗原が一番近いかな)、月刊バレーボールによれば大山は早いトスの練習をしているという事なので、世界選手権のお楽しみとしておきましょう。

以上、素人の感想ですが、管理人さんのご意見は如何に・・・。

投稿: ディーラー | 2006年9月12日 (火) 00時09分

こんばんは。
いつも勉強させていただいております。

『ブラジルやキューバでは選手の運動能力を高めるために14歳以下の大会では、前衛センターが必ずセッターを務めなければならない。』(CPV27号)

脳・神経系が一番発達する小・中学生時代は、上記のようにルール改正をしたほうが良いのではないかと思います。

なんと現在の日本の小学生バレーは「フリーポジション」ですから、、、。

投稿: 渡り鳥 | 2006年9月12日 (火) 20時09分

>ディーラーさん

いつもコメントありがとうございます。

>韓国が今のままなら北京オリンピックには何とか出場できると思いますが

正直言いますと、このままだと日本は、北京の最終予選ではカザフスタンは勿論、タイにも負ける気がしてなりません。

>それにしても日本はサーブカットがひど過ぎると思いませんか。

日本人のサーブレシーブ能力の低さは、私はとっくに1999年のワールドカップの時から(本当はそのもっと前から)気付いて、レポに書いたとおりです。結局、日本のバレー界が「サーブレシーブ能力は世界よりも劣っている」という現実から目をそらし続けるから、女子も男子の二の舞になりつつあります。男子は「サーブレシーブ能力が世界よりも劣っている」という現実を否応なしに突きつけられ、それまで中型で技巧派だったセンタープレーヤー陣が、一斉にレフトにコンバートされる結果になりました。女子もその瀬戸際まで追い込まれているかもしれません。もちろん女子の場合は「中型の技巧派プレーヤー」なんてほとんどいませんから、「サーブレシーブの出来ないウイングスパイカーをセンターにコンバートする」しかないかも、、、。イメージとしては久光の大村選手でしょうか(正確には、彼女の場合はもともとセンターで、チームの事情でレフトにコンバートされ、全日本ではもともとのセンターに戻ったわけですが)。小山選手などは面白いかもしれませんよ。サーブレシーブの代わりに、トスは練習してもらう。センターとしてミスの少ない選手に生まれ変われたなら、そのあとにスーパーエースにあらためてコンバートする、、、海外ではこれが標準です。最近ではイタリア男子のアテネでレギュラーセンターだった若手のフェイ選手が、現在ではスーパーエースを務めています。

>180㎝台後半のWSといえども、サーブカットが出来て平行が打ててジャンサが打てること、が必須になってきている

まさにおっしゃるとおりだと思います。パイオニアは女子Vリーグチームの中で唯一、そのスタイルを当たり前のように取り入れているチームです。佐々木・栗原両WSのサーブレシーブ成功率は決して満足できるものとは言い難いですが、それでも優勝できるのです。他のチームは見習ってもらいたいところです。

投稿: T.w | 2006年9月18日 (月) 19時01分

>渡り鳥さん

初めまして。コメントありがとうございます。

>『ブラジルやキューバでは選手の運動能力を高めるために14歳以下の大会では、前衛センターが必ずセッターを務めなければならない。』(CPV27号)

不覚にも、その記事は見逃していました。そ、そうなんですか?! 協会のお偉いさん方はその事実を知っているのだろうか? 知っているはずがない、あるいは知っていても、その意味するところがわからないでしょうねぇ。私も是非そうすべきだと思います!

投稿: T.w | 2006年9月18日 (月) 19時09分

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