【配列】フロントオーダー/バックオーダー
フロントオーダーよりバックオーダーが優れている理由は他にもある。
フロントオーダーでは、セッターが後衛ライトのフォーメーションで、前衛は「レフトにオポジット/ライトプレーヤー・センターにレフトプレーヤー(裏レフト)・ライトにセンタープレーヤー/ミドルブロッカー」と並ぶ。この際のサーブレシーブフォーメーションで、当然オポジット/ライトプレーヤーはレフト側から、裏レフトプレーヤーはライト側から攻撃を仕掛けることになる。その次のローテーションでのサーブレシーブフォーメーションでも、両者の関係は変わらないので、やはりオポジット/ライトプレーヤーがレフト側から、裏レフトプレーヤーがライト側から攻撃を仕掛けざるを得ない。即ち、本来レフトからの攻撃が得意なはずのレフトプレーヤーが前衛3回のローテーションのうちで2回はライト側から攻撃しなければならず、逆にライトからの攻撃な得意なはずのオポジット/ライトプレーヤーが前衛3回のローテーションのうちで2回はレフト側から攻撃しなければならないのである。これは、各ポジションの専門性という意味から見て、非常に不都合である。この点において、トップレベルに限らず、スパイクサーブなどの強烈なサーブのほとんどないB級レベルにおいても、フロントオーダーは採用すべきでないと私は昔から考えている。
しかし、敢えて上述の「フロントオーダーの欠点」を逆手に取るならば、時にフロントオーダーを採用する意味が出る場合がある。最近のトップレベルの試合で、うまくフロントオーダーを採用して成功していた例として印象に強く残っているのは、アテネオリンピック最終予選(OQT)の時の全日本女子である。あのときの全日本女子は、レフトからの攻撃が得意な高橋みゆき選手をオポジット/ライトプレーヤーに配し、一方ライトからの攻撃が得意な木村沙織選手を裏レフトに配していた。あの大会の初戦のイタリア戦で、当時まだ高校生だった木村沙織選手がスタメンであったことを、「イタリアのデータバレーの裏をかくための奇襲」と考えた方もいたようだが、私は「フロントオーダーを採用していたこと」から考えて、あのときの柳本監督の頭の中であくまでスタメンは木村沙織選手で固定されていたことを確信した。(実際、ゲーム途中でよく見られた木村沙織選手と佐々木選手との選手交代が行われると、フロントオーダーを採用しているがために、オポジット/ライトプレーヤーの高橋みゆき選手と裏レフトの佐々木選手が上述の関係に陥り、佐々木選手にしかトスが上がらない、単調なトスまわしになっていた、、、結果的にはそれで彼女が大活躍したわけだが。)そしてオリンピック本番では、バックオーダーに戻っていた。オリンピック本番では木村選手をスタメンで使うつもりは最初からなかったのであろうと、そこから受け取れる。
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コメント
こんにちは
わかり易い解説をどうもありがとうございます。
フロントオーダー、バックオーダーって今まで注意して見たことが無かったですけど、これからはオーダーを確認しつつ観戦したいと思ってます。
投稿: ディーラー | 2006年6月16日 (金) 21時05分