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2006年3月18日 (土)

決勝戦〜久光製薬-パイオニア(その6)

総括として、今年のVリーグ女子決勝戦は、非常にレベルの高い試合だったと思う。セリンジャー監督の言葉を借りれば「どちらのチームもパワーバレーを展開した」ということになるのであろうが、この言葉には言葉尻以上の深い意味があると思う。日本バレー界において、「パワーバレー」と言うと、いわゆる日本女子バレーの伝統(?)と思われている「小さな選手が拾って繋いで、速いコンビバレーを展開する」というバレー戦術の、全く両極に位置するバレー戦術のことを指しているように聞こえる。即ち、日本においては「背の低い巧い選手が速いコンビバレーを展開する」バレーと「背の高い選手が高いオープンバレーを展開する」バレーという、2つのどちらかしかないようなイメージで捉えられていて、当然「パワーバレー」と言うと後者のことを指すと思われているような気がしてならないのだ。しかし、果たしてそうだろうか?? 確かに両チームのアタッカー陣から繰り出される攻撃は、Vリーグ女子チームの中でもトップレベルの高さとパワーを兼ね備えている。去年のVリーグ女子決勝戦のNEC-パイオニアは、よくこういう言葉で表現された。「組織プレーのNEC対個人の技術のパイオニア」と。即ち今年の決勝に残った両チーム(パイオニア・久光製薬)は、「高さとパワーを兼ね備えた」各アタッカー陣の「個人技術」に依存したバレースタイルだという風に捉えられているいい例であろう。

しかしその戦術はここまで書いてきたとおり、実は相手チームの戦術を研究した上での、綿密な分析に裏打ちされた組織バレーであった。「背の低い巧い選手が速いコンビバレーを展開する」バレーと「背の高い選手が高いオープンバレーを展開する」バレーのどちらが優れているのか? こんな不毛な議論が長年繰り広げられている日本女子バレー界であるが、答えは簡単である。「背の高い選手が速いコンビバレーを展開」すればいいのである。即ち、「高さとパワーを兼ね備えた選手が、綿密な分析に裏打ちされた組織バレーを展開」するということであり、これこそが「パワーバレー」であると思う。決勝の第3戦、セットカウントこそ3−0のストレートとは言え、すべてのセットが2点差で第2セットを除いてはジュースに持ち込まれている。これはまさに男子バレーの世界である。「20点以降の競り合いの中での、紙一重の差で勝敗が決まる」、しかしその紙一重の差が小さいようで非常に大きな差であることが、ラリーポイント制になってからの全日本男子の国際試合での戦いぶりを見ていれば一目瞭然である。そういう男子バレーの世界に、確実に日本の女子バレーも突入したという象徴的な決勝戦であったと思う。そういう意味で、非常に高いレベルの決勝戦だった。

Numberの記事がこう締めくくられていた。
「パイオニア vs. 久光の決勝戦は、日本バレーの転換期になるかもしれない。」

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